トライアンフを代表するクラシックモデル、SCRAMBLER 1200 XEとBONNEVILLE T120。

どちらも1200ccの水冷並列2気筒エンジンを搭載する一方、出力特性や車体構成は異なる。実際に乗り比べてみると、その乗り味には明確な違いを感じた。

今回は、それぞれ約1ヶ月ずつ試乗。街中や高速道路、ワインディングなどを走って感じた、2台の個性を紹介する。

同じ1200ccクラスでも、乗ってみると走りは別物。BONNEVILLE T120とSCRAMBLER 1200 XEを1ヶ月ずつ乗り比べた。

街中を小気味よく走るSCRAMBLER、太いトルクで走るT120

まず街中で感じたのは、アクセルを開けたときのキャラクターの違いだ。

SCRAMBLER 1200 XEは、車線変更や交通の流れに合わせてアクセルを開けると、スッと前へ出てくれる軽快さが印象的だった。

大きな車体ではあるものの、走り出すと動きは小気味よく、こちらの操作に対して素直に反応してくれる。街中でも積極的に車体を動かしながら走りたくなるような感覚だ。

一方のBONNEVILLE T120は、低回転域から太いトルクを感じられる。

アクセルを大きく開けなくても、ゆったりと力強く前へ進んでくれるため、街中ではどこか余裕のある走りを楽しめた。

同じ1200ccクラスのエンジンを搭載していても、SCRAMBLERは軽快さ、T120はゆとりのあるトルク感という違いがある。

今回試乗したBONNEVILLE T120。クラシカルなスタイルに、低く太いトルクを持つ1200ccエンジンを搭載する。

こちらはSCRAMBLER 1200 XE。スクランブラースタイルと21インチフロントホイールが印象的な1台。

高速道路での加速はSCRAMBLER 1200 XEがより力強い

高速道路では、両車の加速感の違いがよりはっきりと感じられた。

もちろん、T120も高速道路の合流や追い越しで不足を感じることはない。アクセルを開ければしっかりと加速し、十分な速度まで力強く伸びていく。

ただ、SCRAMBLER 1200 XEに乗り換えると、加速感はさらに力強く感じられた。

合流や追い越しの場面では、アクセルを開けた瞬間にグッと車体を押し出してくれるような感覚があり、速度の伸びもより鋭い。

これはT120の性能が不足しているということではなく、あくまで2台を実際に乗り比べたうえでの印象だ。

高速道路でも積極的に加速を楽しみたいならSCRAMBLER 1200 XE。太いトルクを感じながら、余裕を持って巡航したいならBONNEVILLE T120が合っているように感じた。

T120は低回転から太いトルクがあり、アクセルを大きく開けなくてもゆったりと前へ進んでいく

アクセルを開けるとスッと前へ出るSCRAMBLER 1200 XE。街中でも軽快に走れるのが楽しい。

マフラー音にも個性がある

排気音にも、2台それぞれの個性がある。

BONNEVILLE T120は、低く太い音が印象的。アイドリングの時点から存在感があり、クラシックバイクらしい雰囲気をしっかりと味わえる。

一方、SCRAMBLER 1200 XEは、T120と比べるとマフラー音は比較的静かに感じた。

音の好みは人それぞれだが、排気音も含めてゆったりとバイクを楽しみたい人には、T120の音が心地よく感じられるかもしれない。

OLD TRIUMPHのT120と現行T120。こうして並べると、時代を超えて受け継がれる「BONNEVILLEらしさ」が見えてくる。音もまた、そのひとつ。

アップタイプのマフラーを備えるSCRAMBLER 1200 XE。T120と比べると、音は比較的静かな印象だ。

足つきと取り回しはT120が圧倒的に気楽

身長173cmの私の場合、足つきにはかなり大きな違いがあった。

SCRAMBLER 1200 XEはシート高が高く、両足をついてもつま先が接地する程度。信号待ちや傾斜のある場所、バイクを押し歩く場面では、少し気を使う。

特に車体を停める場所によっては、足をつく位置や車体の傾きに注意したくなった。

対してBONNEVILLE T120はシート高が低く、両足がしっかりと地面につく。

停車時の安心感はもちろん、取り回しの気楽さもT120が圧倒的。バイクを降りて押す場面でも、余計な緊張をせずに済む。

ただし、長時間走った際の疲れやすさについては、両車で大きな差は感じなかった。

足つきや取り回しの安心感を重視するならT120。多少の不安定さも含めて、車体を操る感覚を楽しみたいならSCRAMBLERという印象だ。

T120はシート高が低めで、両足がしっかり地面につく。その安心感から、街中でも精神的にゆとりを持って走ることができた。

身長173cmの私の場合、SCRAMBLER 1200 XEは両足のつま先がつく程度
Photo by HIKARU

オフロードバイク好きにはSCRAMBLERのスタイルが刺さる

デザインについては完全に好みの問題だが、もともとオフロードバイクが好きな私には、SCRAMBLER 1200 XEのスタイルがとても魅力的に映った。

アップマフラーや長めのサスペンションなど、スクランブラーらしいスタイルには、見ているだけで気分が上がる。

実際に、試乗中には軽い林道にも少しだけ入ってみた。

ただ、足つきの悪さもあり、思っていた以上に怖さを感じてしまい、数百メートルほど走ったところで引き返すことに。

本格的なオフロードを楽しむには、車体の大きさや重量に加えて、ある程度の技量も必要だと感じた。

舗装路を中心に走りながら、ときどき未舗装路へ寄り道する。そんな楽しみ方であれば、SCRAMBLERらしい個性を十分に味わえると思う。

オフロードバイク好きの私には、このスクランブラースタイルがたまらない!
Photo by HIKARU

夏場の信号待ちではアップマフラーの排熱が気になる

SCRAMBLER 1200 XEで、夏場に少し気になったのが排熱だ。

アップマフラーの影響で、信号待ちなどの停車中には脚まわりに熱を感じる。特に暑い日は、じっとしていると少し気になることがあった。

とはいえ、走り出してしまえば熱はそれほど気にならない。

「熱すぎて乗れない」というほどではないものの、スクランブラーらしいスタイルとの引き換えに、多少の熱さは受け入れる必要がありそうだ。

夏場の信号待ちでは、アップマフラーからの排熱が脚まわりに伝わってくるが、走り出せば気にならない

一方、こちらはT120。キャブレターを思わせるエンジンまわりの造形が面白い。こういうところに、ボンネビルらしいクラシカルな魅力を感じる。

同じ1200ccでも、楽しさは別物

SCRAMBLER 1200 XEとBONNEVILLE T120は、同じトライアンフの1200ccクラスでありながら、軽快に操る楽しさと、ゆったり味わう楽しさという、異なる魅力を持った2台だった。

今回、実際に乗り比べてみて感じたのは、スペックやスタイルだけでは分からない、それぞれの個性の面白さだ。

私自身はSCRAMBLER 1200 XEにより強く惹かれたが、T120にも、肩の力を抜いて走りたくなる心地よさがあった。

同じ1200ccクラスのトライアンフでも、走り出せばしっかりと別の顔を見せてくれる。

それこそが、この2台を乗り比べて一番面白かったところだ。

Instagram「みんなの単気筒」
https://www.instagram.com/minnano_tankito

軽快に操る楽しさのSCRAMBLER 1200 XEと、ゆったり味わう楽しさのBONNEVILLE T120。どちらも、走る楽しさをしっかり味わえる2台だ。

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