ハーレーダビッドソンがラインナップしている3輪モデル“トライク”が大幅刷新を敢行。リヤサスペンションが刷新され、ホイールトラベル量は2倍以上に、バネ下重量はなんと30kgも軽減され、ハンドリングや乗り心地が大幅に強化されたという。さっそく、その走りを体感してみた!
⚫︎写真:ハーレーダビッドソンジャパン
目次
過去最大級の大幅変更、リヤまわりの構造を一新した
前1輪&後2輪のトライクは、バイクの免許がなくても普通自動車のマニュアル免許があれば乗車できるカテゴリー。ハーレーダビッドソンの純正トライクは、2014年モデルから日本に導入されている。
2026年モデルでは、リヤサスまわりを中心に新型シャーシを投入し、新たなリバースシステムを採用した。ホイールトラベル量は58→127mmへと倍以上に増加したほか、バネ下重量が30kgも軽減。過去最大級の大幅なアップデートを施した。
都内で実施されたプレス向けの試乗会に参加。ロードグライド3を主に試乗した。 二輪のロードグライドシリーズと同様、アイコンであるシャークノーズフェアリングを備えた近未来的なスタイルが特徴だ。

2026年型トライクは3モデルをラインナップ。手前左から「ストリートグライド3 リミテッド(573万9800円〜)」「CVO ストリートグライド3 リミテッド(800万5800円〜)」、奥が「ロードグライド3」。

フロント19&リヤ18インチを採用。ホイールベースは1720 mmと長大だが、二輪の大型クルーザー並みに収まっている。シートやパッセンジャー用フットボードの形状も改善された。車重は従来型から9kg増の537kg。

エンジンはロードグライドリミテッドなどと同じミルウォーキーエイトVVT117。可変バルブタイミング機構を備えた1923ccの空油冷45度OHV4バルブV型2気筒だ。最高出力は二輪版から2.7PS減の106PS、最大トルクは0.51kg-m減の17.34kg-mに。

リヤサスまわりの構造を一新。従来のリジッドアクスルに対し、ド・ディオン式アクスルを新採用した。今までスイングアームと一体だったデファレンシャルギアを別体とし、ワットリンク機構などを備えることで、衝撃吸収性の向上や、左右の沈み込み量の変更が可能になった。
ハーレーならではの加速フィールはトライクでも健在!
実車を前にして、まず巨体に圧倒された。2輪のロードグライドも迫力十分だが、バイクではありえない威圧感が凄い。恐る恐るシートにまたがると、コクピットから見える風景はバイクそのものなのに、足で支えなくても自立しているのが不思議だ。
いざ走り出すと、腹に響く鼓動感とサウンドを伴いながら、怒涛のトルクで加速していく。エンジンはロードグライドリミテッドなどと同じくVVT=可変バルブタイミング機構を備えた1923ccの空油冷45度OHV4バルブV型2気筒で、17.34kg-mもの最大トルクをわずか3500rpmで発生する。
2輪のロードグライドリミテッドはスロットルを大きく開けると体がのけぞるほどの加速を見せるが、本作は車重が120kg以上ヘビー。ダッシュ力はやや劣るものの、豪快な加速は健在だ。ゼロ発進や微速域でも当然フラつくことなく、常にドッシリ安定してハーレーのエンジンを堪能できるのは独特な楽しさがある。
走行モードは二輪のロードグライドシリーズと同様に、ロード、スポーツ、レイン、カスタムの4種類を用意する。モードによってスロットルレスポンスや出力特性は大幅に違うが、どのモードでも回転数に関わらず右手の動きに従順に反応。VVTの恩恵もあって、全域パワーバンドといった印象だ。

ライダーは身長177cm&体重62kg。手前に引かれたアップハンドルで上体はリラックス。バケット形状のシートに腰を預け、勇壮な気分に浸れる。両足もベタ着きだが、停車時に足を出すと後輪に巻き込まれる恐れがあるので足を着かない方がいいとのこと。
ハンドルを切ってコーナリングする独特な感覚、特にタンデムが得意
コーナリングは非常に独特だ。筆者はサイドカーには乗ったことはあるが、トライクは初体験。サイドカーはハンドル操作に加え、左右への体重移動が意外と重要だが、トライクは基本的にハンドルを切って曲がる。
40km/h程度まではハンドルにさほど力は要らず、ダイレクトかつ素直に曲がってくれる。巨体でのUターンは不安が伴うが、もちろんトライクでは安心だ。
一方、速度を上げるにつれてコーナリングで腕力が必要になる上に、アンダーステアが顕著になり、曲がるのに苦労する場面も。試乗しているうち、旋回中にスロットルを閉じると曲がりやすくなることに気付いたが、オーバースピードでの旋回はくれぐれも注意されたい。
また、内輪差が意外とあり、バイクの感覚で走るとイン側の後輪を縁石などにヒットさせやすい。そのため、道の真ん中を意識して曲がることが肝要だ。試乗会場には車幅を把握するためにパイロンを両側に立てたS字コーナーが設けられていたが、恥ずかしながら筆者はイン側の後輪をパイロンにヒットさせてしまった。ただし、すぐにコツをつかめるので安心してほしい。
続いて二人乗りにもトライ。大トルクのエンジンは加速が鈍ることなく、ソロと遜色がない。何より特筆すべきは、低速走行時の安定感。二輪ではフラつきがちなシーンだが、もちろんドッシリ安定し、タンデムで難しいUターンも楽々こなす。運転する側もパッセンジャー側も非常に安心だ。

段差のある前後一体シートを装備。ソフトな感触のパッセンジャー用ハンドルを左右に設置する。後席ライダーのGも凄まじく、体がのけぞるほどの加速なので、個人的には別売アクセサリーのバックレストが欲しいと思った。
新旧モデルではギャップ通過時の安定感が桁違い、接地感も高い
従来モデルと比較すると、リヤ2輪が交互に段差へ乗り上げた際の安定感が飛躍的に向上していた。試乗会に設けられた波状路で試したところ、旧型は車体をホールドできず、ヒザをタンクに打ち付けてしまうほどの激しい横揺れが発生。新型でもかなりの衝撃はあるものの、揺れは旧型の半分以下に抑えられている。これだけでも新型を選ぶ価値があるだろう。
続いてハンドリングを比較。会場には旧型ロードグライド3が用意されていなかったため、代わりにカウルがハンドルマウントされている新旧ストリートグライド3リミテッドを短時間ながら乗り比べてみた。
劇的な違いは感じられなかったが、新型はコーナリングでハンドルを切る力がやや軽くて済む。また、新型はリヤ2輪のホイールトラベルが伸びて旧型よりアクティブに動くためか、しっかり路面を捉え、旋回中の接地感が向上。これにより安心感やスポーティさが増している。
新しくなったリバース(後退)モードは、実にラクだった。
旧型は重い電動モーターを搭載し、右側スイッチボックスのボタンを押すことで後退していた。一方の新型は動力源をエンジンスターターに変更し、スロットル操作でバックする。
新型は、グリップを両手で保持したまま操作できるのがメリット。ただし、動作にパーシャル状態がなく、ある位置からオン/オフのみ働くデジタル的挙動なので、スロットルをチョチョイ動かすとギクシャクしがち。後退し始めたら、可能な限りオンを維持すると安定してバックできた。

後退するには、アイドリング状態で1速に入れ、右手元スイッチのR(リバース)ボタンをプッシュ。クラッチを握ったまま、さらにギヤをダウンするとリバースモードに入る。メーターに操作方法が表示されるので安心。なお、モーターの廃止はバネ下重量の軽減にも貢献している。
【まとめ】バイクともクルマとも違う独特な乗り物、安心してハーレーに浸れる
コクピットからの風景や風を受けて走る感覚、加速フィールはバイクなのに、転ぶ心配のない安定感があり、バンクせずにハンドルを切って曲がるのはクルマのよう。トライクは、バイクとクルマの中間的だが、どちらにも属しない独特な魅力があるカテゴリーと実感した。
そしてハーレーの純正トライクは、独自のエンジンをはじめ、ワイルド、自由といったハーレーの世界観をダイレクトに体現している。いささかのコツが必要であり、それなりのクルマが買えてしまう価格帯だが、安心してハーレーならではの世界観を楽しみ、クルマでは決して味わえない気分に浸りたい人にぜひオススメしたい。
【各部解説】豪華メカを満載、各部の使い勝手もアップした

ロードグライドシリーズの象徴であるシャークノーズフェアリングは、2026年モデルで現行ローグラと同様のエアロデザインに刷新。これにショートタイプのスモークウインドスクリーンとフォグランプを組み合わせる。

グロスブラックに切削加工が光るアルミキャストホイールを新採用。φ49mmデュアルベンディングバルブのFフォークと4ピストンキャリパーを備える。電子制御ブレーキが充実しており、前後の配分を最適化するELBをはじめ、横方向へのGを検知するC-ELBやC-ABSも搭載。
ロードグライド3[2026] 主要諸元
・全長×全幅×全高:2615×1460×――mm
・ホイールベース:1720mm
・シート高:710mm
・車重:537kg
・エンジン:空水冷4ストロークV型2気筒OHV4バルブ 1923cc
・最高出力:106PS/5020rpm
・最大トルク:17.34kg-m/3500rpm
・燃料タンク容量:22.7L
・変速機:6段リターン
・ブレーキ:F=Wディスク R=ディスク
・タイヤ:F=130/60B19 R=215/45R18
・価格:553万5200円~
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