■文:中村浩史 写真提供:ACTIVE https://www.acv.co.jp/
2009年を最後に途絶えていたスズキの400ccスーパーモタード、DR-Z4SMが帰ってきた。ACTIVEが製作した同車をベースとしたデモバイクは、モタードの『ロード寄りのパフォーマンス』を大幅に引き上げた、絶品の足まわりが印象的な1台だった。
コーナリング時は足を出すか、ヒザを出すか?!
2025年に発売されたDR-Z4S/SMは、スズキのバイクづくりが目指すコンセプトのひとつである「誰にでも分かりやすい高性能」とは、ちょっと一線を画するものだ。搭載される400ccの水冷DOHC4バルブ単気筒エンジンは38PSを発揮。最高出力を謳うことがはばかられる現代で、国産中型排気量モデルとしてはトップクラスのパワーウェイトレシオ4.05をマークする。
一方の足まわりは前後ともKYB製のフルアジャスタブルサスペンションを、ツインスパー形状のセミダブルクレードルフレームにセット。シート高も890mmと、これはハッキリと「乗り手を選ぶ」バイクだ。119万9000円というプライスもファンをアッと驚かせたものだ。
ACTIVEが製作したデモバイクはそんなDR-Z4SMをベースに、本物志向のモタードをより強化してやろう、というものだ。まずはワイヤスポークホイールをGALE SPEEDアルミ鍛造ホイールに換装。装着されたのはモタード向けのTYPE-Xだ。これで前後で合わせてタイヤ込み3kgの軽量化になったというから、これはかなり効果が大きい軽量化だ。
そしてサスペンションはフロントフォークスプリングとリアサスをHYPERPROに換装。これは、モタードモデルを性能強化するためには真っ先にやりたい箇所で、万人向けに乗り心地や快適性を出しておかなければならないノーマルから、もっとライダーのターゲットを絞るための変更だ。HYPERPRO製サスのコンスタントライジングレートスプリングが、ゆっくり走る時にはソフトに、高荷重をかけて走る時にはしっかりとした減衰を出してくれる特性が、モタードにピタリとハマる仕様だと思えた。
早速、試乗の舞台となったSPA西浦モーターパークのコースに出ると、やはり走りのしっかり感が段違いだ。前記の足まわりパーツ類の変更で、端的に言うならフワフワとした乗り心地が、サスペンションの伸び縮みをしっかり感じられる仕様になっている。ギュッと沈んでゆっくり伸びる、減衰の効いた動きだ。
ブレーキは強烈無比。まだテスト中だというGALE SPEED製のフロントクロスロックディスクローターとラジアルマウントキャリパーが軽量なボディを止める。強烈なストッピングパワーに驚くばかりだ。
コースでは街乗りのスピードはそこそこに、すぐにペースを上げてみる。エンジン、マフラーは純正仕様のままだから動力性能は変わらないけれど、サーキットで全開走行すると、DR-Zは本当に速い! GALE SPEEDのブレーキング時は前記の強力な効きを意識しながら、ジワッとブレーキングして少しずつレバーをリリースすることを心がけての走行だ。
このブレーキング時に気づいたのは、ブレーキングで感じる縦方向の剛性がしっかりしていること。これはおそらくパフォーマンスダンパーの効果が大きいようで、強力なブレーキングを、ホイールとフロントフォーク、そしてパフォーマンスダンパーで受け止めている印象だ。同時に、サーキットでの全開走行では気づきにくかったが、ACTIVEのスタッフによると、パフォーマンスダンパー装着で高回転域の振動が柔らかくなるという。
そしてグレードアップしたサスペンションは、今日、初めてサーキットを走るという前提でセッティングしてくれていたようで、ノーマルよりずっとロードスポーツ寄り。伸び縮みの両方向できっちり減衰が効いて、減速時には車体が前下がり、加速時は前上がりという姿勢がコントロールしやすい。直進安定性が高くなって、バンクに至るスピードも抑えられている。
この動きならば、モタードのエキスパートでなくとも、恐怖感なくDR-Zを振り回すことができるはずだ。コーナー立ち上がりでアクセルをわざと大きめに開けても、車体の前後バランスが破綻しないのは、ロードスポーツとまではいかなくても、オンオフモデルからの派生であるモタードの、ロードモデル寄りの特性が強化されているからだろう。
走行は、はじめはリーンアウトでイン側の足出しでコーナリングしてみたのだけれど、ハンドル幅が詰めらていることもあって、今ひとつしっくりこない。ならばと膝を路面にこすりつけるハングオンスタイルにしてみたら、自然にコーナリングできる。付け加えると、クラッチレバー側に設置されたサブのリアブレーキ、親指で操作するサムブレーキがこの上なく使いやすかった!
スポーツバイク寄りに作り込み、サーキットランを目的にセッティングしたバイク、ここではDR-Z4SMというモタードは、ハングオンでヒザを擦りながら走るのが気持ちイイ! 目的をしっかり持ったカスタムとは、こういうことなのだろう。

Type-X(クロス)と呼ばれるモタードに特化した仕様のGALE SPEED製アルミ鍛造ホイール。サイズはフロント:3.50-17、リア:4.50-17。DR-Z4SM用の前後セット価格は27万2800円。ブレーキまわりではローター径をφ320mmとし、キャリパーサポート(Type-X専用。開発中製品)を介して対向4ピストンキャリパーをラジアルマウントする。

リアブレーキはノーマルディスクに対向2ピストンキャリパーを装着。フルバンク時にロードクリアランスを取れるよう、下向きに装着したキャリパーをなるべくスイングアーム側に寄せて取り付けるサポート(開発中製品)を使用している。

リアタイヤはダンロップのSPORTMAX Q5を履き、よりロードグリップを引き出すようノーマルの140/70R17を150/60R17に変更。アルミホイールへの換装でチューブレス化したことで耐久性も向上、軽量化も達成した。

リアサスはHYPERPRO製。写真は開発中製品だが、プリロード/圧&伸側減衰力調整機構付きのフルアジャスタブルタイプとして発売予定という。スプリングはHYPERPROならではのコンスタントライジングレートが採用されている。

オフロードバイク的なフレーム特性を持つ車両には、パフォーマンスダンパーの効果はハッキリと体感できるものだ。特にサーキットランではハードブレーキングに強く、街乗りではしっとりと振動を抑えた乗り心地となる。DR-Z4SM用は3万8500円だ。

ライディングシューズやブーツソールへのホールド感が高いステップバー(開発中製品)。取り付け位置は変わらないものの、取り付け角度を4段階で変更でき、ライダーの体格に合ったライディングポジションに対応した回転できる。

ワイヤークラッチ用にGALE SPEED製の可変レバーレシオ機能を持つクラッチホルダーを使用。グリップ下側にサムブレーキマスターシリンダー(5万2800円)も装着される。使い勝手が素晴らしく良かった。

クランプ部を太く、パイプハンドル径をφ28.6mmからφ22.2mmまでテーパードデザインとしたテーパーハンドルハンドルバー(9900円)。今回の装着品は、よりロードスポーツに寄せるべく、ノーマルよりも左右幅を詰め、ライディングポジションもロード寄りになっている。一方でハンドルにマウントされたのは新型のGPSラップタイマーQSTARZ。バイク用に開発されたので従来モデルよりもかなり小型となっている。

効力がジワッと立ち上がるGALE SPEEDによるフルスペック鍛造ラジアルマスターシリンダーVRD(5万2800円)。レバーレシオを変更でき、ピストン径もφ19/17.5/16/14mmをラインアップ。写真はΦ14のマットブラック仕様だ。
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