トライアンフの400ラインナップに今年は新モデルが2種加わった。そのうちの1台が、ダートトラッカースタイルの「Tracker400(トラッカー400)」だ。ストリートカスタムでは定番の仕様を、メーカーオフィシャルでハイレベルに実現された本モデル、乗り心地はどんなものだろうか? 試乗レポートをお伝えしたい。
⚫︎写真:山内潤也
目次
5機種目の「トライアンフ400」はスポーティーなダートトラッカー
トライアンフが2023年に発売した「スピード400」「スクランブラー400X」は、日本のライダーにとって大きなインパクトと共に受け入れられた。それまで660ccを最低ラインとした大型排気量モデルしかラインナップされていなかったトライアンフから、初めて普通二輪クラスに投入されたモデルだったのだ。のちに、よりクラシックなスタイリングを採用した「スクランブラー400XC」も追加され、ミドルクラスが欲しいライダーは3種のラインナップを選べるようになった。
そんな中、今年新たに更なる2モデルが追加された。ロケットカウルを装備した本格カフェレーサー「スラクストン400」と、ダートトラッカー風の外装を備える「トラッカー400」だ。特にトラッカー400は、ダートトラックレース(フラットトラックレース)出場マシンをイメージした、シンプルだがレーシーな装いが特徴的な仕様。とはいえ、一見するとオフロードマシンっぽいブロックパターンのタイヤや、スクランブラーと共通のテールアップマフラーなど、テイストはやや従来モデルと似ており、スラクストンほど派手な違いはないように見える。しかし当然ながら新型の本機は、見えない部分まで細やかな設計を改修された全くの別モデルなのだ。
エンジンは42PSにパワーアップ! ワイド&ローハンドルとアップステップで、マシンを振り回すポジションに
従来モデルとの大きな違いはそのポジションだ。ハンドルは、ベースとなるスピード400に対しバー幅を23mmワイドに、位置を134mm低く設定。フットペグも86mm後方、27mm上方にリフトアップ。ライダーは「前傾かつ腕を開く」独特のポジションをとることとなる。ホイールサイズは前後17インチでピレリ製MT60RSを標準装備し、ノビータイヤらしい細かなトレッドパターンだが、オンロードでも確実なグリップ性を持つ。
さらにサスペンションは、ブラックアルマイト処理を施した43mm倒立フロントフォーク、ガス式モノショックリアサスで130mmのストローク量を持ち、しなやかな路面追従性もトラッカーらしい調整だ。また、エンジンはスピード400から改良を加えられており、カムシャフトやチューニング変更によって42PS/9000rpmへパワーアップ。従来のレブリミットから1000rpmも引き上げられ、より「開けられる」仕様に進化を遂げた。
このように全体的に「ダートトラックレーサー」として性能が強化されたトラッカー400だが、もちろん外装もそれに合わせ、レーシングストライプを描くタンク、ゼッケンプレート風サイドカバー、メーターバイザーを装備。しかしクラシックな丸型ヘッドライト、アナログ/デジタル1眼メーターなど、クラシックな要素はそのまま。まさにストリートで活躍する、モダンなダートラスタイルが用意されているというわけだ。
足つき良好、軽さと新ポジションでぐいぐい曲げて楽しもう
トラッカーをはじめ、オフテイストのバイクで気になるのは足つきだ。しかしトラッカー400は805mmの標準的なシート高で、シングルエンジンの細身なボディや、サスペンションが柔らかめなのも相まって足つきは良好だ。173kgの重量も重すぎず、車体を起こすのもバランスをとるのも、なんら緊張感はいらない。小柄なライダーでも十分に取り回せるのは強みだ。
走り出すとその気軽さに加え、やけにスムーズに切れるハンドルに驚きがある。大げさな体重移動がなくても、ハンドルが操作に機敏に反応してひらひらと旋回可能だ。これはやはりワイドハンドル、そしてアップしたステップの効果であり、幅広のハンドルはオフロードバイクよろしくコントロール性がとても良好。これは同期のスラクストン400が幅狭のセパレートハンドルで仕上げられているのと対照的だが、トラッカーも十分に小回り、そしてコーナリングを楽しめるマシンといえるだろう。
また、電子制御がほとんど採用されていないことも、シンプルなトラッカーにとってはむしろプラス。ライディングにしっかり集中できるのは嬉しい。近年では減少の一途をたどっているアナログメーターは、トラッカーが欲しいライダーの価値観にはむしろ馴染むであろうことも間違いない。
そんなライディングの楽しさを感じられる新型「トラッカー400」。性能面のアップデートも加わり、トライアンフ400シリーズはますますこなれてきており、スタイルと価値観で自由に選べるラインナップが充実し始めた。ダートラスタイルが欲しい、あるいはカスタムしていきたいというライダーにとって、トラッカー400は無視できない存在のひとつといえるだろう。
Tracker 400主要諸元(2026)
・全長×全幅×全高:2033×857×1050mm
・ホイールベース:1371mm
・シート高:805mm
・車両重量:173kg
・エンジン:水冷4ストロークDOHC4バルブ単気筒398cc
・最高出力:30.89kW(42PS)/9000rpm
・最大トルク:37.5N・m/7500rpm
・変速機:6段リターン
・燃料タンク容量:13L
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=110/70-17、R=150/60-17
・価格:80万9900円
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