5月に舞い込んできたハーレーダビッドソンの「空冷スポーツスター復活」という衝撃のニュース。日本導入のアナウンスはなかったが、一体どうなるのか……? そこでハーレーダビッドソン ジャパンの玉木一史社長にインタビューを敢行し、気になる情報をとことん訊いてみた!
⚫︎写真:宮下豊史 ⚫︎聞き手:松田大樹
目次
生産終了から5年、突如発表された空冷スポーツスター復活!
アメリカ本国のハーレーダビッドソンが5月5日、第一四半期の決算発表で「空冷スポーツスターを復活させる」ことを明らかにした。「2027年モデル」として発売し、「手頃な価格帯(1万ドル)」のエントリーモデルになるという。
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2021年に生産終了した従来型の空冷スポーツスターには1202ccと883ccの2モデルが存在していたが、動画では「883になるだろう」との発言も。空冷スポーツスターは、特に日本で人気が非常に高く、2021年末に発表された「フォーティエイト・ファイナルエディション」は争奪戦が巻き起こった。以降も人気は根強く、程度のいい中古車はプレミア相場となっている。
その空冷スポーツスターが復活するとあって、二輪業界やライダーは大きな拍手をもって迎えた。しかしながら肝心の「日本導入」についてはアナウンスがなく、価格や発売時期、仕様も明らかになっていないのが現状だ。
そこで、6月1日にハーレーダビッドソン ジャパン(以下、HDJ)の玉木一史代表取締役にインタビュー。気になる空冷スポーツスター復活劇の詳細を伺った。

ハーレーダビッドソンジャパン代表取締役の玉木一史氏。日産自動車やマセラティジャパンといった国内外の自動車業界で20年以上にわたるキャリアを持ち、2025年1月1日付で現職に就任。以来、全国のディーラーやユーザーとの対話を重視するなど新風を呼んでいる。
日本のみならず、世界的にスポーツスターを求める声が高まっていた
Webike(以下W):まず、決算発表でアナウンスされた「空冷スポーツスターの復活」は事実ですか?
玉木代表(以下、玉木):もちろんです。5月5日の決算発表で同時に今後の戦略を発表することは、その前の第4四半期の決算発表からお話をしていました。それに向けて、日本も含め、色々な声をアメリカ本社に拾っていただきながら、グローバルの戦略を作り上げてきたという経緯です。
W:間違いなく空冷のスポーツスターが復活するということですね。
玉木:はい。
W:空冷スポーツスターは、日本で販売されるハーレーの4割を占めるほど絶大な人気を誇り、その結果、日本は世界で最もスポーツスターの販売台数が多い国でもありました。HDJさんからもずっと復活を要望していたのですか?
玉木:商品について私どもが何を本社に要望しているかはお伝えできませんが「将来的にスポーツスターというモデルは日本にとって非常に意義がある」とは伝えてきました。皆さんもご存じのとおり、スポーツスターは中古車にプレミアムがつくほどの大人気です。マーケットが欲しているという事実をきちんと本社に伝えることは我々の役目だと思っています。
W:ディーラーやお客様からの要望はやはり多かった?
玉木:そうですね。代表に就任して以降、色々なフィードバックをいただいておりますが、商品に関してやはり一番多いのは「スポーツスター復活」のご要望でした。ビジネスの側面はもちろん、お客様にとっても待望のモデルだったのではと思いますね。
W:玉木さんが初めて「スポーツスター復活」の報に接した時の心情はいかがでしたか?
玉木:率直に申して、本当に良かったなと思いました。ディーラーさんもそうですが、やはりお客様が一番欲しがっているバイクだと思いますので。ただ、スポーツスターを望んでいるのは、「日本だけではなく、グローバルでも同じ」と本社の社長も申していました。世界各地からスポーツスター復活の要望が出ていたのだと思います。
W:日本だけではなく、全世界的にスポーツスターを求める声が大きかったのですね。
玉木:そうです。アメリカでもやはりエントリーのモデルに相応しいですし、カスタムしやすいバイクでもあります。「BLANK CANVAS」と言っていますけど、キャンバスに自分のバイクを描くようにカスタムする。どのハーレーも同様ですが、特にスポーツスターはそういう役割を果たしてくれています。初めてハーレーに乗られる方が、自らどんどんカスタムできるバイクという意味でも、最も市場が欲している1台だと思いますね。
日本にも2027モデルとして導入、発表されたシルエットは市販版に近い!
W:今回のスポーツスター復活は、ハーレーにおけるエントリーバイクを用意することが狙いの一つであると発表されています。となると気になるのが、スポーツスターの1200と883、どちらが復活するのかということです。決算発表の音声を聞いていると、エントリー層を意識して「排気量は883になる」というようなコメントもありましたが?
玉木:申し訳ありません。公式なコメントは差し控えさせていただきます。
W:決算発表では2027年モデルとして復活とアナウンスしていますが、それは確かですか。
玉木:はい、2027年モデルになります。
W:2027年モデルとなれば、早ければ来年早々ぐらいに登場しますか?
玉木:発売のタイミングについては何もお伝えできません。ご期待ください(笑)。
W:日本にも入荷してくるのでしょうか。
玉木:はい、グローバルモデルなので、日本に入ってくるのは間違いないです。
W:成長戦略では「既存の投資を活用」「新たなプラットフォームへの投資はしない」とのことでした。排気量も気になりますが、どのモデルが復活するのかも気になります。
玉木:残念ながら何もお話できませんので、決算時に発表されたシルエットをご覧いただけたらと思います。
W:あのシルエットはかなり市販仕様に近いと考えていいですか?
玉木:はい、近いと考えていただければと思います。
W:玉木さんは既に実物を見ていらっしゃる?
玉木:まだ実物は見ていませんが、写真では見ています。

こちらは2021モデルのスポーツスター・883アイアン。空冷Vツインエンジンやエアクリーナー、燃料タンク、サイドカバー、マフラー形状などはほぼ同じ。シートは上記シルエットがダブルなのに対し、アイアンはシングルで、リヤフェンダーとテールライトも異なる。
価格は160万円? ナイトスターとの差別化はどうなる?
W:復活する空冷スポーツスターの価格について「1万ドル程度」と発表されました。単純計算すると日本円で160万円程度です。気が早い話ですが、日本ではどれぐらいの価格になるのでしょうか?
玉木:それもまだ決まっていないというのが率直なお答えです。
W:さらに突っ込んで申し訳ないのですが、日本では水冷975ccのナイトスターが今年値下げされて、148万円になりました。さらに空冷スポーツスターが復活すると、HDJさんとしては値付けが悩ましいのでは……?
玉木:価格を決める時は当然、全体のポートフォリオの中でバランスを見ながらやっていきますので、他モデルの価格も加味する1つの要素になります。

現在のハーレーラインナップの中で、空冷スポーツスター的なポジションにいるのが2022年に登場した水冷975ccVツインのナイトスターで、大型ハーレーのエントリーモデルという位置付けだ(写真は2026年型)。2026年型で大幅プライスダウンし、148万8800円に。
W:加えて気になるのは排ガス規制です。米国と日/欧では規制が異なり、日/欧では米国より規制が厳しいユーロ5+(令和2年排出ガス規制)が適用されます。一般論として、やはり米国よりコストが上がってしまいますか?
玉木:私は開発の人間ではないので、正式なコメントをお伝えすることはできません。ただし、あくまでも一般論として、開発工数がかかれば当然コストも上昇します。
W:日本への輸送代などを含めると、1万ドルよりもう少し価格が上がりそうに思えますが、エントリーモデルらしいプライスになると考えていいですか?
玉木:「エントリーモデルらしい価格」をどのレベルで皆さんがご想像しているかによるので、ちょっとお答えできませんけれども、過去のスポーツスターの販売データを見ると、やはり若い方で、初めてハーレーを所有される方を獲得できていました。今回のスポーツスターも同じ役割を果たしてくれるものだと思っています。
W:そのお言葉だけで、我々は色々とイメージを膨らませられます(笑)。
反響はやはり大きい。「スプリント」を含めディーラーの期待も高まっている!
W:具体的にディーラーさんからのコメントや反響はお聞きになっていますか?
玉木:とにかくお客様からのお問い合わせが多く入ってきています。コールセンターよりも、ディーラーさんへダイレクトに問い合わせが行くケースが多いです。先程も申し上げた通り、現時点で詳しくお話しできる内容はほぼないのですが、それだけ反響が大きいのだと思います。
また、ディーラーさんとお話ししていると、今までスポーツスターが果たしていた役割が大きかったことを実感します。ある女性の経営者の方とお話した際に、「女性におすすめしやすいモデルが新車にはなかなかなく、どうしても中古車を販売せざるを得ない」と仰っていました。スポーツスターに加え、成長戦略で発表されたスプリントも、身長が145cm程度の方でも足が着きやすく、新車をおすすめできると喜んでおられました。

成長戦略では新型「スプリント」の発売も明言。スポーツスターより安価な1万ドル以下のクルーザーで、玉木氏によるとこちらも「日本導入」されるという。シルエット的にはインドなどで展開される単気筒モデル「X440」のバリエーション車か。
W:それだけディーラーさんにとっても大事な存在だったし、日本のハーレー業界を支えていた1台だったということですね。
玉木:仰る通りですね。これもディーラーさんからのお話しで、その通りだなと感じたのは、単価が高くて価値のあるバイクももちろんバリューがありますが、多くのお客様にご紹介できる回数が増えれば増えるほど、やっぱりビジネスとして楽しいじゃないですか。多くのお客様とお話しできるスポーツスターのようなバイクがあって、商談があればあるほど、ショールームも現場も活気づきますからね。
原点回帰、その解答の一つがスポーツスター
W:とにかく注目度は高いですし、純正アクセサリーパーツもたくさん出るでしょうから、発表時にはそれらを組み合わせた「日本専用バージョン」などがあると、さらに盛り上がりますよね。我々もその騒ぎに乗じたいと言いますか(笑)。
玉木:ぜひ盛り上げていただきたいですね。話題作りもそうですし、私としてはエントリーモデルであるがゆえに、マーケットを広げたいんですよね。二輪免許の保有者を増やすことも我々のミッションの1つと思ってますので、こういった話題性のあるバイクが新車で出ることで、特に若い方が免許を取り、スポーツスターを買いたい方が増えれば増えるほど、市場としてはどんどん潤っていきます。
あと、ぜひお伝えしておきたいのが、今回はスポーツスターだけを発表したわけではなく、「Back to the Bricks」という成長戦略も同時に発表しています。Bricks、つまりレンガという単語(※)はハーレーにとって物凄く大事な言葉で、「原点回帰」と私は解釈しています。今まで以上にディーラーさんとのビジネスをもっと大事に、パートナーとして一体となって収益を上げていきましょうというメッセージでもありますので、お客様が欲しているモノはきちんとご提供しなければと考えています。
マーケティングメッセージの「RIDE」が象徴しているように、ハーレーはライドしてなんぼの商品になります。幸福、自由を追求し、自分らしさ、ライフスタイルを体現できる商品、そのためのライドです。こうして原点回帰し、行き着いたのがスポーツスターという一つの「解」なんだと思いますね。
W:わかりました。最後になりますが、日本のスポーツスターファンに向けて、一言お願いできますか?
玉木:本当に多くのスポーツスターのオーナーさんが今もいらっしゃって、ハーレーをずっと支えてくださっています。過去のデータを見ていて、スポーツスターからスポーツスターに乗り換える方ももちろん大勢いらっしゃいますけれども、スポーツスターをエントリーに、クルーザーなど様々なモデルに発展され、何十台もハーレーを乗り継いでおられる方にもたくさんお会いしています。今回のスポーツスター復活で、そういった方がもっともっと増えるキッカケになればと思います。ぜひご期待いただければと思います。
W:ありがとうございました!
※ハーレーには「レンガをひとつずつ積み重ねる」という考え方があるそうで、「Back to the Bricks」とは、その1つのレンガに立ち返る…といった意味合いと思われる。ちなみに、米国ミルウォーキー本社の社屋もレンガ造り。
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土のにおいがしないスポーツスターは食指が動かない個人的にシャコタン仕様でないのを期待
旧野田体制で離反したディーラーやレッドバロンにも新車を卸す漢気を見せてもらえればファンはもっと増えるんじゃないかな
期待してます