「スタイリッシュかつ快適に日々の移動を行ないたい」というニーズに応えて、よりスタイリングを重視したスクーターとして企画された「ヤマハFazzio(ファツィオ)」。カジュアルなデザインの車体にシンプルな空冷4ストローク125ccエンジンを搭載しているが、アイドリングストップ、スマートフォンとの連携、静かなエンジン始動を実現するスマートモータージェネレーターシステムなど機能は充実。国内モデルとして初搭載されたパワーアシスト機能も含めて、ファツィオを実走インプレッション!
目次
デザインコンセプトは「Hello,Simple」

ヤマハファッションスクーターの共通アイコンとして、「Fazzio」は漢字の「しんにょう」のような前から後ろへ流れるスタイリングを受け継いでいる。車体の各部に「オーバル(楕円)モチーフ」を取り入れ、シンプルながらカジュアルなスタイリングを実現。カラーは画像のライトブルーに加え、リーフグリーン、パステルイエロー、ブラックの全4色。
「Hello,Simple」をコンセプトに車体デザインされたファツィオ。「普段着のように乗れるけれどファッション性が高く、ライダーのファッションともコーディネートしやすい」をテーマとして、元々はアセアン向けに開発されたファッション系スクーターだ。2022年インドネシアでの発売以来、大人気となっているが、2026年4月にその国内モデルが初登場した。
ファツィオが搭載する空冷124cc単気筒は、2017年に発売されたアクシスZ用をベースとしたブルーコアエンジン。「高効率燃焼」「ロス低減」「高い冷却性」の3点を照準に開発され、走行性能と環境性能を高い次元で融合しているのが特徴だ。
このエンジンに始動用モーターとジェネレーター機能を一体化したスマートモータージェネレーター(SMG)を搭載し、スターターボタンひと押しでエンジン始動できるワンプッシュスタート機能を実現。停車時には自動でアイドリングを停止し、再発進時にスロットルを回すだけでエンジン再始動するストップ&スタートシステムも搭載。スマートフォンとの連携機能・Y-コネクトやUSB Type-Aソケット、スマートキーシステムなど便利な機能が充実しているのも特徴だ。
車体は長く乗っても飽きが来ないよう、流行に左右されない普段着のようにシンプルなデザインとしつつ、ヘッドランプ・テールランプ、メーターパネルなどをオーバル(楕円)モチーフで統一。コンビニフックをカラビナ型にし、各所にオーバルアイコンを装備するなどファツィオ独自のスタイリングを確立している。
そうしたシンプルさと多機能を両立しているのがファツィオの特徴だが、注目は国内モデル初採用となった「パワーアシスト」だ。SMGをモーターとして機能させることでエンジンのトルクを補助する仕組みで、停車状態からの発進時にスロットルを大きく、もしくは素早く開けることで、最大約3秒間にわたり駆動力をアシストするのだ。開発スタッフによると、「停車状態からスロットル全開にした際、アシストの有無によって30m地点で、半車身から一車身程度の差がつく」とのことだ。
ファツィオの足着き性をチェック
軽量な車体は取りまわしやすく、コミューターとして乗りやすい
ファツィオの車体は、普段着のようなシンプルなデザインが注目されているが、外装カバーは成形できる厚みと強度を確保しつつ板厚を適切化。さらにエンジンは走りのよさとコストを両立させるために軽量な空冷ブルーコアを採用し、燃料タンクをシート下に設置するなど、車体全体で軽量化にこだわることで車重97kgを実現している。これはヤマハの原二クラススクーターでは、JOG125の95kgに次ぐ軽さとなっている。
軽量な車体は取り回しのしやすさに直結していて、センタースタンドも楽に使用できる。空冷ブルーコアエンジンはアイドリングからほんの少しスロットルを開けただけでトルクが立ち上がってきて、交通の流れにのれる加速力を発揮する。その位置でスロットルを固定して走行していると、メーターに「ECO」の文字が表示される。これは「環境にやさしく、燃費のいい状態で運転している」ことを表しているのだが、ファツィオはその状態でも充分な走行性能を発揮する。
前後タイヤは12インチのワイドタイプが装着され、直進性は良好。車体の軽さもあってハンドリング操作は軽めで、ヒラヒラとしたマシンコントロールもしやすい。前後サスは、状態のいい舗装路ではスムーズなストローク感があって乗り心地はいいが、荒れた舗装路ではゴツゴツした突き上げが身体に伝わってくる瞬間もあった。
また、アイドリング状態ではエンジンの振動がハンドルグリップに伝わってくる。すぐに不快を感じるレベルではないが、その際にも便利なのがアイドリングストップ機能だ。信号待ちなどで停止するとアイドリングも止まり、エンジンからの振動がなくなる。再発進でスロットルを開けるとエンジンはすぐに再始動するので、モタモタすることなくスムーズなライディングを続行できる。
軽量で取り回しやすい車体は、少ないスロットル開度でもストレスのない走りに貢献していて、ビギナーも扱いやすさを感じる乗り味となっている。おしゃれで扱いやすいコミューターを求めている人には、ファツィオはベストな1台としてオススメだ。
「パワーアシスト」で抜群のスタートダッシュが決まる!
ファツィオの空冷ブルーコアエンジンはアイドリング付近から実用的なトルクが立ち上がり、そこからの加速もスムーズに伸びていく。そうした全域で扱いやすいエンジン特性と、軽いハンドリングによるマシンコントロールのしやすさでシティコミューターとして高い完成度となっている。
そして、ヤマハの現行スクーターラインナップとは異なるシンプルな車体デザインは、これまでのメインターゲットとは異なる女性や若年層への訴求力となるだろう。さらに、オプションパーツとしてヘッドランプ・テールランプ、前後ウインカーのリングカラーを変更できたり、シートカバーのカラーも変更できたりと、好みのカラーコーディネートができるのも楽しさにつながっている。
しかし、そうしたファッション性だけではないのがファツィオの大きな特徴だった。発進時にスロットルを大きく開けると、パワーアシスト機能が俊敏なスタートダッシュ力を発揮し、可愛らしい雰囲気とは異なるスポーツスクーターのような速さとなるのだ。
ファツィオには、ジェネレーター(発電機)とエンジンスターター機能を一体化し、静かにエンジン始動ができるSMGが搭載されている。そのジェネレーターに発電時とは逆向きに電気を流すことでモーターとして機能させ、駆動力を増加させるのがパワーアシストなのだ。エンジンで発生した燃焼トルクに、モーターの駆動力をプラスするシステムで、同型のブルーコアエンジンを搭載したアクシスZの加速力に、モーターの駆動力が追加されているのだから遅いわけがない。
モーターの駆動力アシストは最大約3秒間だが、その後も慣性力は残り、エンジンによる加速力は持続しているので、唐突なパワーダウン感や失速することもない。むしろ俊敏なスタートダッシュとその後のスムーズな加速は、原二スクーターでトップレベルに感じられるほどだ。タンデムや荷物を積載することが多いユーザーには、ファツィオのパワーアシストはスムーズな発進をサポートする機能として大いに役立つはずだ。
個人的には、ハンドル位置があと数cm高ければフロント荷重がもっとかけやすくなり、さらにスポーティな走りができるようになると感じたが、元々のファッションスクーターというコンセプトからは離れた評価だなと考え直した。とは言え、ファツィオは軽快で速く、パワーアシストを活かしたスタートダッシュはかなり俊敏。可愛らしさを感じるファッションスクーターとしてだけではなく、スポーティな走りも楽しめるところが、じつにヤマハらしいモデルだと思った。
ヤマハ ファツィオ・主要諸元
・全長×全幅×全高:1820×685×1125mm
・ホイールベース:1280mm
・車重:97kg
・エンジン:空冷4ストロークSOHC2バルブ単気筒124cc
・最高出力:8.3PS/6750rpm
・最大トルク:1.00kgf・m/5000rpm
・燃料タンク容量:5.1L
・変速機:Vベルト式無段変速
・ブレーキ:F=ディスク、R=ドラム
・タイヤ:F=110/70-12、R=110/70-12
・価格:36万8500円
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