3月20日の大阪モーターサイクルショーで初公開された、ホンダCB400スーパーフォア・Eクラッチコンセプト。「コンセプト」と名はつくものの、ショー会場では来場者に自由に跨らせていたこともあり、発売は確実。今年最大の話題作となるであろうことは間違いない。ここでは正式発表の1ヶ月ほど前に行なった開発者へのインタビュー記事をお届けする。
⚫︎写真:関野 温/編集部
目次
「コミュニケーションツール」としての400cc4気筒
兄弟車のCBR400R FOUR Eクラッチコンセプトも含め開発責任者代行を務めた橋本さんは、これまでにCB250RやCBR650R、海外向けモデルなどの開発を担当。プライベートでは自身が開発に携わったCRF250Rでレース参戦の経験も。現在、愛車として自身が開発した400cc4気筒車、どちらを迎え入れるかを検討中!

ウェビックプラス(以下W):2025年の9月に中国・重慶のショーで現地仕様の「CB500スーパーフォア」がデビューした時から、Webikeプラスではもう大騒ぎになりました。記事もたくさん作りましたし、ページビュー数も圧倒的に多く、去年の新車の中でも注目度はピカイチだったと思います。
橋本貴明さん(以下 橋):はい、拝見しておりました。ありがとうございます。
W:なので、このインタビューもめちゃくちゃ気合いが入っています(笑)。というわけで、まずはCB400/500スーパーフォアの開発の経緯を教えてください。この車両はどんな経緯で開発されたのでしょうか?
橋:日本国内の排ガス規制が厳しくなってきて、それに対応できる400ccクラスの並列4気筒は必要だよね…という声は上がっていたのですが、その一方で中国の地場メーカーが4気筒のモデルをどんどん販売している。中国のツーリングスポットにはそんなバイクで10代後半〜20代前半の若い方々が集まって、ワイワイ話したり、バイクを見せ合ったりして楽しんでいるんです。
W:日本のレーサーレプリカブームの頃のような熱気を感じますね。
橋:そうですね。ただ、中国の方はスピードよりもファッションの延長線上、コミュニケーションツールの1つとして盛り上がっている。そういう姿にすごく刺激を受けまして、中国と日本の事情を合体させれば、新しい並列4気筒車が作れるのでは…というのが起点となって、プロジェクトが動き始めました。
W:先代モデルのCB400SF(NC42)は2022年に生産終了になっています。その時点でも後継を望む声は非常に多くありましたが、やはり日本市場だけでは台数規模的に復活は難しかった?
橋本:どこまで言えるかという部分はありますが、ご想像のとおり、台数規模で掛けられるコストや装備は決まってきます。日本だけで商品になるんだっけ?といった議論が多々ある中で、中国の状況が大きなきっかけにはなっています。
W:その、日本と中国の状況を合体させることでスタートしたプロジェクトは、CB400SFの後継機種を作ろう…というところから始まっているんですか?
橋本:いいえ。「中国で若者に受け入れられるフルカウルタイプを作ろう」というのが企画の動き出しでした。中国の方はきらびやかなものがお好きで、フルカウル車が非常に人気を集めています。市場規模でもネイキッドに対して10倍ぐらいあるのが実情です。
W:スーパーフォアではなく、400~500ccクラスのフルカウル並列4気筒車、つまり兄弟車のCBR400(500)R FOURがメインだったわけですね。
橋:はい。CBR650R系よりもう少し排気量の少ないクラスです。中国の免許区分は150cc以上が排気量フリーになるのですが、中国は免許を取ったらポンと500ccクラスに乗っちゃうんですね。日本のように250ccクラスなどを介さないケースが多くて。そうした時に起きるギャップも想定しつつ「長く乗ってもらえる車両ってどんな特性のものだろう?」ということを考えていきました。
W:では後からネイキッドタイプというか、CB400/500SFが開発に加わってきたんですね?
橋:はい。国内で売るとなると、当然ながらネイキッドを求める声が出てきます。部品を共用し、そのボリュームを生かして各国のモデルを作り分ける例も多いので、そうした検討も進めていました。なので捉え方としてはネイキッドは後から加わっているのですが、最適なタイミングを見極めていた部分はあります。
W:なるほど。しかし、そうやってホンダさんが開発を進めている真っ只中に、カワサキさんが強烈な400ccの4気筒車を発表しましたよね。
橋:はい、強烈でしたね。私たちもたくさん勉強させていただきました(笑)。
W:2023年に発表されたカワサキ・ニンジャZX-4Rは400cc史上最強の77psを発揮するなど、かなり尖ったモデルです。しかし今回のCBR400R FOURはホンダのスーパースポーツを示す「RR」ではないし、オールラウンドなスポーツモデルだと思うのですが、そうした路線も最初から決まっていたのですか?
橋:はい。先ほども言ったように中国のお客様はスピードは求めておらず、コミュニケーションツールの延長線で、きらびやかなカウルを纏ったものが欲しいという要求が強いんです。スペックは期待されると思いますが、それだけでは長く楽しんでもらえるバイク作りはできないと考え、街中、ツーリング、ワインディングといった普段使いで楽しんでいただけるバイクを意識して企画・開発してきました。

カワサキが2023年に発表したニンジャZX-4Rも中国をメインマーケットとする車両。400cc史上最強の77psはホンダにも衝撃を与えたが、新CB/CBRの「オールラウンドスポーツ」という軸がブレることはなかった。
W:ちょっと話が遡ってしまうのですが、この車両は開発当初から並列4気筒ありきなのですか? だとしたら、その理由は何ですか?
橋:2気筒は既存ラインアップにありますし、その上でホンダらしさを出していくには、もう1つ踏み越えた車両が欲しかった、というところです。
W:なるほど、分かりました。ちなみにこのモデルには500と400の両方があるわけですが、販売ボリュームで考えるとやっぱり500が多いのですか?
橋:市場スケールで考えると、そうなるのかなと思っています。
W:中国と日本以外の地域でも売るんですか?
橋:具体的には決まっていなくて、求められれば他の国にも広く提供していきたいとは考えています。
ボア・ストロークは両方を400に専用化
W:続いて500と400の違いについて教えてください。CB500SFは502cc、今回のCB400SFは400cc(詳細な排気量は未発表)と排気量が違いますが、これはボアとストローク、どちらで変えてらっしゃるのか、それとも両方変えてらっしゃるのか。そもそも500のボア・ストロークも未発表なのですが。
橋:未発表なので非常に答えにくいところで…。具体的なボア・ストロークの数値はご勘弁ください(笑)。
W:オールラウンドスポーツと考えると低中速域は無視できないですし、かつ、500から400に排気量は下がる。そうなるとロングストローク傾向で排気量ダウンした方が、出力特性を作り込む上では有利なのではと感じますが。
橋:500からはボア・ストロークの両方を変えています、というのが答えですね。求められるものに応じて最適化を図っています。500のお客様を軸としたスタンスですが、その上で日本の、400のお客さんを考えた時にどうあるべきか、という観点から決めています。
W:なるほど。単純な排気量ダウンならボアだけ、あるいはストロークだけダウンの方がコストも有利と思いますが、日本のユーザー特性を追求してボアとストロークの両方を400に最適化した…と捉えさせていただきます。その上で、さらにお聞きしたいのは最高出力です。400で考えた場合、従来型NC42の56psは上回りますよね?
橋:そこはホンダの特性として、お客様の期待に広く応えるものを出さないと売れないと思ってます。
W:ユーザーが求めるものはカワサキさん超えかもしれませんが(笑)。
橋:そこは広く言い過ぎたかもしれません(笑)。
W:やはり、スペック的には500より抑えたものになる?
橋:排気量が約1.25倍違いますので、出力も当然差は出てきます。今回の車両は「コンセプト」ですので、詳細については乞うご期待とさせてください。
W:分かりました。でもエンジンについてもう少し教えてください。従来のNC42とは全く関係のない完全新作としたのはなぜですか? 素人考えだと、NC42系のエンジンをリニューアルして使う選択肢もあるのではと思うのですが。
橋:大きくは2つあります。1つは現在の排ガス規制の要求値が高まっていて、その中で環境性能を求められるとエンジンの諸元を変える必要がありました。もう1つは、現代に求められるスタンダードなスポーツネイキッドバイクって何だっけ? というところを深く掘り下げていくと、与えるべき性能や諸元のために刷新する必要がありました。
W:そうした2つの大きな理由を前提に、エンジンの考え方として何を変えているんですか? NC42との比較で分かるのは、エンジンの主要三軸が三角形配置になって前後長が縮まり、センターカムチェーンがサイドカムチェーンになり、細かなとこではクランクケースの前にあったオイルフィルターがエンジン下に移動していたりしますが。
橋:コンセプト段階なので技術的な部分はまだお伝えできないのですが、前提として新しいスーパーフォアを作るとなった場合に、30年に渡って認められ続けた従来型は当然無視できない、大いなる先生です。
その認められてきた本質を分解すると、扱いやすさであったり、誰でも受け入れてくれる懐の広さであったり、VTECのように可変する楽しみであったり、荷物を積んでキャンプにも行ける汎用性だったりします。そうした本質を改めて考え、現代の技術で再構築したのがこの新型CB400スーパーフォアです。
その中の1要素として、エンジンとして扱いやすさや懐の広さを得るにはどういう諸元や部品配置が必要か…という考え方を入れ込んだのがこの形です。
W:なるほど。では、具体的な話はもう少し後の楽しみにしておきます。
橋:外観から分かる部分で言うと、今回はEクラッチを搭載しております。その配置や構成もクラッチがあって容易に置ける右側ではなくて、新エンジンなんだからやるべきことはあるよねって話をして、今の配置になっています。従来のEクラッチはエンジン右側の、クラッチカバーに張り付くような形でしたが、新型CB400SFはクランクケース背面と言ったらいいのかな…に、配置していると。
W:クランクケース上からドライブスプロケット上に被さるような、L字型の配置に見えますね。
橋:そうですね。かつクラッチリフターをエンジンの左側からプッシュロッドで押しています。既存機種のパーツをうまく活用することで、並列4気筒としては最適な配置にできたと考えております。
W:従来も「少し出っ張ってるな」程度でしたが、今回のEクラッチは着いているのに気づかない…って言うとちょっとオーバーですけど、そのくらい違和感がない。ちなみに今回、Eクラッチ無しのマニュアル仕様は設定されますか?
橋:えー、今回の車両はEクラッチ付きのコンセプトモデルとなっております。
W:なるほど(笑)。いずれにしても既存のEクラッチ車、CBR650系やレブル250は8〜9割がEクラッチと聞いています。そうした数字を見ると、新型CB400SFがEクラッチオンリーの可能性もゼロではなさそうだ…と、個人的には思います。
ハイパーVTECがなくても「可変」を楽しめる!
W:従来型エンジンとの比較でいうと、ハイパーVTECは今回、採用されて…。
橋:いないですね。
W:4バルブと2バルブを切り替え、高回転で胸のすくような加速感が楽しめるハイパーVTECは、従来型CB400SFを象徴するメカだったと思います。それを非採用とした理由は?

1999年のモデルチェンジで搭載された「HYPER VTEC」は、2002年に「SPECⅡ」、2003年に「SPECⅢ」へ進化し、2007年にはFIを得た最終系「Revo」に到達。CB400SFを象徴するメカとして愛された。
橋:ハイパーVTECがCB400SFが認められてきた魅力の、大きな要素ということはもちろん理解しています。ただし今の道路事情や環境面を考えて走ると、その良さを実感するシチュエーションは非常に限定的と捉えました。
4バルブに切り替わった瞬間は気持ちいいですよね。でも、その気持ちよさを知ってしまうと、2バルブ領域で走らせ続けることにストレスが溜まるというか…。
一般的なツーリングの速度域だと、VTECに入らないシチュエーションが大半です。それで本当に「可変する喜び」をお客様に提供できているんだっけ? と考えて、今回はハイパーVTECを異なる形で表現し、新型CB400SFとCBR400R FOURに投入しています。
W:異なる形とは?
橋:具体的には吸気サウンドに着目しました。先代はエンジンがホリゾンタル吸気で、エアクリーナーボックスはお尻の下にありましたが、新型ではダウンドラフト吸気になったこともあり、ボックスが車体前方の、ライダーの耳に近いところに移動しています。これを利用して、新型CB400SFではエアクリーナーダクトの左右の長さや断面積などを変えて、低中速で聞こえやすい音と中高速で聞こえやすい音、さらにはその和音を作って、クリアな吸気音をライダーに聞かせるという取り組みを行っています。
W:“吸気音VTEC”みたいなイメージですか?
橋:可変はしないですけど(笑)、ライダーの意思をちゃんとオートバイに伝えたいし、そこから返ってきたものも味わって欲しいと考えて、スロットル操作に応じてちゃんと吸気音が変わる。低い回転領域から広くそういう領域を設けることによって、VTECのような可変する喜びを味わえるように作り込んでいます。
W:右手の動きひとつで音がどんどん可変していく…と。
橋:今回はTBW(スロットルバイワイヤ)やライディングモードを入れてあり、それによる可変や、Eクラッチとの協調制御によるブリッピング機能もありますので、減速中ですらブリッピングによる並列4気筒サウンドを楽しめるようにして、オートバイに乗る環境全般で可変する直4らしさを味わえるよう作り込んでいます。
W:CB/CBR650Rやレブル250など、既存のEクラッチ車はワイヤー引きスロットルで、シフトダウン時のエンジンブレーキは半クラッチの制御で逃がしていました。けれども、今おっしゃったブリッピングなどを含めて、EクラッチとTBWを組み合わせることで、制御や乗り味はどう進化しているのでしょうか?
橋:ライディングモード各々の特性をより活かせています。今回は「スポーツ」「スタンダード」「アーバン」という3つのモード(に加え、組み合わせを変更できるユーザーモードも搭載)を入れていて、アーバンは街中の渋滞も楽に走れるよう、TBWとEクラッチの特性を合わせ込んでいます。
具体的にはスロットルのレスポンスを落とすことで、渋滞路でも右手の操作に気を遣わず、左手はフリーで発進・停止を繰り返せる。ツーリングの疲れを残さずに翌日は学校なり会社に行き、来週はどこに行こうか…と考えられる。そんな余裕や活力がある世界観をイメージしています。
電子制御でVTECを演出?!
W:もうひとつ、エンジン関係でお聞きしたいのはヨンフォア(CB400フォア)風のエキゾーストパイプです。あれはどういった意図でしょうか?
橋:エキパイは管長の長さを変えると得られる性能もあるため、不等長のモデルもあります。しかし、やっぱり直4らしい綺麗なものを考えると、やはりあのスタイルかなと。
W:650系のエキパイも同様のイメージですが、今回は400ということで、ホンダ400cc 4気筒の始祖・CB400フォアをオマージュしたものと捉えていいですか?
橋:インスピレーションは受けているかなと(笑)。
W:あれで全く受けてないって言ったら嘘ですよね(笑)。いずれにしても“ホンダの400cc4気筒らしさ”をこれ以上なく強調するアイテムだと感じます。中国にはCB400SFのそっくりさんがたくさん存在しますが、そんな中でもホンダのオリジンをアピールできるポイントですね。
橋:ですが、排ガス対応を進める中で、あの形が崩れかけたこともあったんです。でも、ここは守るべきところでしょうと。
W:サイレンサーもヨンフォア風エキパイの流れるようなスタイルを崩さないよう、意識して設計したデザインなのでしょうか?
橋:そうですね。マフラーを決める要素はデザイン性や消音規制、出力特性など色々あるので、その全体に対してバランスする形としています。
従来型NC42よりも10kg以上軽い?!
W:続いて車体について教えてください。これも従来型との比較で言うと、ダブルクレードルフレーム/正立フォーク/ツインショックという構成が、新型ではダイヤモンドフレーム/倒立フォーク/リンク式モノサスへと変わっています。これは開発の主軸がフルカウルということで、そういう車体構成にも対応すべく、最初から決まっていた構成なのでしょうか?
橋:決まっていたわけではないですが、基本的にはそういう方向性では進んでいたのは間違いないです。でも日本の市場を、スーパーフォアの後継ってどうだっけと考えた時に、当然ながら議論はありました。この車両は何を大事にするんだっけ? CB400SFが認められてきた本質って何? それを考えた時に手段として何を選ぶのか、議論しつつ決めたのが今の形です。
W:少し個人的な話になりますが、僕(インタビュアーの松田)は従来型のCB400SFが大好きです。懐がものすごく広いというか、どんな技量のライダーでも安心して楽しく走れる。もちろんVTECのエンジンも楽しいんですが、潤沢な接地感、車体の包容力がとにかく素晴らしい。当然ながら新型CB400SFでも、そういうものは絶対に必要だよねって話になると思うのですが。
橋:はい。当然必要ですし、さらに言うとそれがもう1段階、進化していると思っています。というのも新型は、従来型に対して車重がかなり軽くなっているんです。コーナリングはもちろん、まっすぐ走るだけでも、もちろん取り回しでも、やっぱり軽さって正義だよねって本当に思うんです。軽量化によって、今回はCB400SFの本質をより表現できていると思っています。
W:その軽量化っていうのは、どういった部分で実現しているんですか?
橋:オールニューなので全部です。中心となるエンジンはもちろん、車体も同様。従来型よりも2ケタ、軽くできているので。
W:フタケタ?! NC42より2桁も軽量化されている!? フタケタって…最低でも10kgですよね?
橋:具体的な数値はまだお伝えできませんが、かなりの軽量化を達成しています(笑)。
ホンダ広報:取り回したらすぐわかるくらい、全然違いますよ。一瞬250ccクラスかと思うくらいです(注:インタビュー時は取材陣が車両に触れたり、跨ることはNGだった)
橋:バイクを起こした瞬間に「あ、違うね」って言ってもらえるくらいの差があります。それも単純に重量の絶対値だけじゃなく、Eクラッチの配置が示す通り、完全新設計ということで重量物を適切に配置することができている。同じような質量の他のバイクと比べても「あらっ?」と思えるくらい、数値以上の軽さを表現できています。
股下は非常にスリム。足着きも良好だ
当インタビュー後、3月20日に開幕した大阪MCショーで取り回し/跨りの機会を与えられたが、サイドスタンドからの引き起こしは明らかに軽く、取り回しの軽さも400ccの基準を塗り替えるものと感じられた。
加えて足着き性の良さも印象的。これは車体の新設計に伴い、サイドカバー付近をスリムに設計できているため。具体的にはシートレールの幅を狭めているそうだが、その中にはバッテリーなどの電装系などが収まるため、スペースのせめぎ合いで苦労したという。足着き性などの詳細は以下の記事を。
若者向けだからこその液晶メーター
W:続いてデザインについて教えてください。ダイヤモンドフレームやモノサス化など、車体構成は大きく変わっているのに、どこからどう見てもCB400SFに見える。非常にバランスよくまとまっていると感じます。
橋:それはある意味、順序が逆なんです。開発のスタート地点は「長年愛されるオーソドックスなネイキッドスタイリング」で、スーパーフォアというモデル名は後から付いてきた部分があるので、それに合わせてアイコニックな部分をエッセンスとして入れ込んだり、より強調したりして……。
W:先ほど、企画としてはフルカウルが先で、ネイキッドは後から加わったとお聞きしましたが、ネイキッドのスタート時点でも「スーパーフォアを作ろう」ではなかったんですか? ならばネイキッドでもストリートファイター的な可能性もあったかもしれない?
橋:そういう方向を求めるお客様が多ければそうだったかもしれませんが、現状は中国でも日本でも、オーセンティックなネイキッドを求めるお客様が多いと捉えています。それを前提に今の時代に求められる、スタンダードなスポーツネイキッドを作ろうというところにスーパーフォアという名前が乗ってきた…というイメージです。

紆余曲折はあったようだが、結果的には「ザ・スーパーフォア」と呼べるスタイルを得た新型CB400SF。タンクの造形はその最たるものだ(詳細はこちらの記事から)。
W:そうなんですね。でも結果的には日本のユーザーにとって、最も馴染み深いスタイリングになったのかなと感じます。で、そうなるとお聞きしたいのがスマホのような四角い液晶メーターです。これは従来型のような砲弾型の指針式メーターではなく、最初から液晶メーターで行こうと考えてらしたんですか?
橋:そうですね。デジタル化が進んでいく中で、メーターはスマホとの連携も含めて、提供すべき価値が計器の枠を超えて広がっています。あとはこのバイクは、やはり若いお客様を取り込んでいかないといけない。スマホが日々身近にある中で、受け入れやすく、かつ得られる機能を考えて、あのメーターを今回は選んでいます。
W:兄弟車のCBR400R/500R フォアもそうですが、新型CB400/500SFも若い人に向けて…という意図がかなり強いんですね。
橋:はい。中国のお客様は若い方が多く、しかも初めて触れるバイクでもあります。そうした方々を取り込んで「やっぱりオートバイって楽しいね」と思っていただき、10年、20年とオートバイのある生活を続けて欲しい。なので、そうした方の価値観を強く意識しています。さらに言うと、我々の世代は苦労して頑張って得たものを大切にする意識が強かったと思いますが…。
W:今の若い人は欲しいものをすぐに、かつイージーに得られないとそっぽを向かれそうです。
橋:はい。価値観が変化しているので、彼らがより簡単にストレスなく、すぐに直4の400ccを楽しめる、という部分はとても大事だと考えています。
W:スマホに対応しやすい液晶メーターはその一例ですが、そうやって敷居を下げて、群雄割拠な中国でも「ホンダのCBっていうのはこんなにいいんだ!」と知ってもらおう、ってことですね。
橋:そこはホンダに限らなくてもいいんです。シュリンクしているオートバイの市場に対して、トップシェアメーカーとして我々がやるべきことはあると考えていますので。
W:なるほど。分かりました。ちなみに今回は中国市場がかなり大きな存在感を占めているわけですが、車両の生産はどうなるのでしょうか? 500は中国生産と思いますが、400の生産は日本の熊本製作所?
橋:日本仕様として、一番適したところを選びます。
W:ホンダさんが現在日本で販売している車検付きのバイクは、基本的に熊本製作所で作られています。新型CB400SFもそうなると、勝手に予測させていただきますね(笑)。
“神”は100万円切りでやってくる?!
W:あとは500と400の違いを教えてください。もちろんエンジンの中身は違いますが、外観ではサイドカバーのエンブレムの数字が違うくらいしかわからない。
橋:基本的に免許区分と法規制適合の違いだけと考えてもらっていいです。マスのボリュームを使って、手の届く価格を実現することも大切だと思ってますので。
W:違う点はタイヤでしょうか。昨年9月の重慶ショーで発表された500はCST(台湾チェンシンタイヤの1ブランド)でしたが、今回のコンセプト車はピレリのディアブロロッソ4を履いています。
橋:まだコンセプトなので何とも言えませんが、お客様が見た時にどう思うんだっけ? というのは当然意識していますので、その期待を裏切らないように考えております。
W:日本人が嬉しいタイヤが標準装着になるってことですね。分かりました。あとは値段的なところをお聞きしたいです。ズバリ、いくらになりますか?
橋:そこはまだ決まっていません。
W:なるほど。ただ勝手ながら、現状のラインナップからある程度の想像はできます。2気筒のCBR400Rが現在86万3500円、これに今回、Eクラッチ車が発表されていますが、今までの例だとだいたい5万円くらいの上乗せです。で、4気筒のCB650RがEクラッチ車で108万9000円。となるとやはり、100万円切りの95〜98万くらいを期待したいところです。
ホンダ広報:販売側の想いとしても、20や30代、場合によっては10代のお客さんが求められるバイクを目指したものですから、手に取りやすい価格でないと意味がないと思っています。
W:それは大いに期待させていただきます。
W:最後に話が逸れてしまうのですが、昨年秋の重慶ショーでは歴代CB400スーパーフォアを大量に並べて、30年に渡るヒストリーを強くアピールされていました。中国には結構な台数の中古車が流れていて、現地でのCB400SFはレジェンド的な存在感の1台になっていると聞きます。
橋:はい。現地では“神バイク”と呼ばれていると聞いています。
W:神ですか! 今回の中国投入にはそうしたバックボーンもあるんですね。
橋:今の中国のオートバイ文化の盛り上がりの、1つの発端にはなっています。それを地場のメーカーが、現地の方々でも手の届く値段と外観性能、エンジン形式の車両を作ってきたことで、グッと市場が広がってきています。
W:中国にはCB400SFのそっくりさんが数多く存在します。神を真似ていたら、本物の神がやってきてしまった…と、そういうわけですね。
橋:先ほども申したように、中国はカウル付きのスポーツバイクがほとんどで、スタンダードネイキッドという概念がないんです。そこにスーパーフォアのような形が、非常に新鮮さをもって受け入れられたのだと思います。

中国のZX MOTOが販売する「500F」。470ccの並列4気筒は73psを発揮する。
W:話がまた逸れるんですけど、日産のスカイラインGT-R(R32〜34)って基本的に日本でしか売っていなかったけれど、ゲームの「グランツーリスモ」が世界的に流行ったことで“日本に凄いクルマがあるらしい”と話題になり、海外でも人気を博す一因になったと聞いています。状況としては結構……。
橋:それに似ているかもしれませんね。
W:手に入れにくいゆえに神格化された面はあるかもしれませんが、従来型CB400SFは神と呼ぶに相応しい能力や魅力を持っていたと思います。ふたたび降臨した“神”に試乗できる日が楽しみです。ありがとうございました!
ボディカラーは全4色
大阪&東京MCショーで発表されたカラバリはこの4色で、白は日本仕様として初公開。市販仕様も同様の展開となるはずだ。
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