ハーレーダビッドソンの2026年型がいよいよ日本上陸開始。モデルチェンジを受けた注目の3車種をピックアップして試乗を行った。新たに可変バルブのVVTを搭載したロードグライドリミテッド、フルパニアを標準装備したパンアメリカ1250リミテッド、そして150万円を切る新価格となったナイトスターの乗り味はいかに?

⚫︎写真:ハーレーダビッドソンジャパン

ハーレー2026年型は主に4車種がモデルチェンジを受けた

ハーレーダビッドソンの2026 年モデル23 車種が2月20日に発表され、3月から順次デリバリーされる。カラーチェンジを除き、外観やメカ的にモデルチェンジを受けたのは、グランドアメリカンツーリングの「ロードグライドリミテッド」と「ストリートグライドリミテッド」、アドベンチャーの「パンアメリカ1250リミテッド」、スポーツスターの後継機である「ナイトスター」。その中から3車種のインプレッションをお届けしたい。

プレス向けの試乗会をお台場海の森公園付近で実施。写真左からパンアメリカ1250リミテッド、ナイトスター、ロードグライドリミテッド。

[ロードグライドリミテッド] 元々パワフルだったが、VVTでより隙のない加速に!

まず注目は、大陸横断クルーザーとして有名なグランドアメリカンツーリングシリーズに加わったロードグライドリミテッドだ。2026モデルから新たに VVT(可変バルブタイミング)を採用した“ミルウォーキーVVT117エンジン”を搭載。今までファクトリーカスタムのCVOにミルウォーキーVVTエンジンの採用例はあったが、グランドアメリカンツーリングとしては、ストリートグライドと合わせて初登場となる。

2026年型ロードグライドリミテッド。特徴のシャークノーズフェアリングは2024モデルから、よりモダンなデザインに一新された。価格435万3800円~。

長い伝統が息づく1923ccVツイン。2026年型で可変バルブタイミング(VVT)を新採用したことに加え、新吸気路とハイパフォーマンスエキゾースト、シリンダーヘッドを改良した。

 

ロードグライドリミテッドは、STDのロードグライドにロアーフェアリング、よりアップライトなハンドル、トップケースなどを与えたプレミアムクルーザー。実車を前にすると、威風堂々とした巨体に見惚れる。

その一方で、シートにまたがると乗車姿勢はフレンドリー。手前にハンドルがあって自然と上体が直立し、足つき性にも不安がない。

177cm&61kgのライダーでは背筋が伸び、ヒザの曲がりも緩やかで、リラックスした乗車姿勢。シートの座り心地も快適そのものだ。フットボードのほか、前方にクルージング用のハイウェイペグも備え、ロングランでも安楽。

シート高は740mmと低く、両足がベッタリ。ステップが足着きをジャマしないため、400kg超の車重でも信号待ちや停車時における安心感は高い。

 

アイドリングや発進時から、いかにもハーレーらしい鼓動感が楽しい。まるで大きなゴムの塊が弾んでいるような振動を味わいながら、パワフルに巨体が進んでいく。そして回転数が上がると不快な振動が収束し、シルキーな特性に変化する。こうしたフィーリングはまさにハーレーの真骨頂だ。

走行モードとして、ロード、スポーツ、レイン、カスタムの4種類を用意。モードによってスロットルレスポンスや出力特性は大きく異なるが、回転数に関わらず“全域パワーバンド”といった印象は共通だ。中でもスポーツモードは、ダイレクトな加速感が心地いい。

ハーレーのVVTは、特定の回転数で切り替わるのではなく、スロットル開度や回転数に応じてシームレスに吸気バルブのタイミングを可変させるもの。VVTが非装備のSTD仕様も十分すぎるほどパワフルだが、乗り比べてみるとロードグライドリミテッドは特に3000~5000rpmの美味しい領域のトルクが分厚くなっていることが体感できた。

ちなみにリミテッド、STDとも最高出力107HP/5020 rpm、最大トルク17.85kg-m/3500rpmというスペックは同一。そこに至るまでの出力特性がリニアになっているのだ。

まさに大陸横断クルーザー、ハーレーの醍醐味が存分に味わえる

巨体ながらハンドリングは意外なほど素直。お尻で荷重すればスッと忠実に車体がバンクし、軽やかに曲がっていく。ブレーキも使いやすく、制動力は十分。乗り心地もさすがの一言で、前後サスが路面のギャップをしっかり吸収し、ロングランでも疲れにくいだろう。

特徴的なフェアリングもしっかり機能していた。現行型のデザインになる前のロードグライドに試乗した際、カウルは大きいにも関わらず風が体にバンバン当たっていたが、現行型は特にヘルメットに当たる風が大幅に軽減。試乗当日はあいにくの雨だったが、上体やヒザまわりがほとんど濡れていなかったことも付け加えておきたい。

巡航時は滑らかな回転フィールと怒涛の直進安定性で、どこまでも走りたくなる。一方で意外にもコーナリングは軽やかだ。

 

巨体だけに当然ながらUターンや極低速での小回りには緊張感が漂う。また、クラッチの重さも気になるところ。クラッチはもちろんマニュアルで、ここまで大排気量なのだから重いのは当然なのだが、渋滞にハマるとなかなか大変だ(せめてアシスト&スリッパークラッチが欲しい)。

なお、ミッション別体式のミルウォーキー系エンジンはデザインが変わってしまうため、ホンダEクラッチのような自動クラッチをつけるのはなかなか難しいとのこと。しかしながら、何らかのアシスト機構があれば、グランドアメリカンツーリングに乗るハードルがより下がるのは間違いないだろう。

他にも印象的だったのはオーディオだ。パワフルかつ高音質な4チャンネル200wスピーカーからラジオを流しつつ、巨大なフェアリング越しに風景を眺めながらクルーズすると、日本の郊外がまるでアメリカ大陸になったかのように錯覚してしまった。

グランドアメリカンツーリングは、日常的な実用性を追求しないからこその個性がある。中でもロードグライドリミテッドはハーレーらしい大陸横断クルーザーの個性を存分に味わうことができる1台だ。

リヤトランクに埋め込み型テールライトや、スタイルに調和したトップラックなどを新採用。前後シートに独立式シートヒーターも装備した。

フルカラーTFTメーターは横幅312mmと巨大。最新のSkyline OSが搭載され、Apple CarPlayを接続できる。ラジオなどのオーディオ、クルーズコントロール、グリップヒーターなども完備。

[パンアメリカ1250リミテッド] 電脳サポートが大充実、真の大陸横断バイクはコッチかも

パンアメリカ1250は、2021年に登場したハーレー初のアドベンチャーモデル。同社初ジャンルながら高い完成度に定評がある。パワートレインは、スポーツスターSにも搭載される水冷1252ccのレボリューションマックス1250だ。

「リミテッド」は2026モデルから新設定されたグレードで、今までオプションだったフルパニアをはじめ、グリップヒーター、アンダーガード、クイックシフターなど、欲しいアイテムをあらかじめ標準装備した“全部入り”モデルだ。

新登場したパンアメリカ1250リミテッド。フルパニアが標準で勇壮な佇まい。チューブレスのスポークホイールを履く本作と、キャストホイール+オンロードタイヤのSTグレードを用意する。価格315万5900円~。

1252cc水冷Vツインのレボリューションマックス1250はブラックアウトされ、空冷風のフィン付エンジンカバーが付いた新デザインに。

 

試乗した感想は「呆れるほどラク」の一言に尽きる。まず停止時には自動で車高をダウンするアダプティブライドハイト(ARH)機構があり、アドベンチャーモデルにありがちな足先ツンツンの“バレリーナ状態”にならず、ノンストレス。上体が直立し、ヒザに余裕があるライポジも安楽だ。

手前に引かれたアップハンドルで上体はごくわずかに前傾。自然なステップ位置と合わせ、スポーティな走りもこなす。スリムな車体と見晴らしのいい視界も特徴的。

停車時にサスがダウンし、シート高が25mm低下するため、両足のカカトがしっかり接地。ただし足を降ろした位置にステップがあるので、足を前に出すか横に広げる必要がある。

 

そしてエンジン特性がフラットで疲れない。基本的には回転数に関わらず、どこからでもスムーズに吹け上がり、とてもフレキシブルな特性。前述のミルウォーキーエイトエンジンのようなドコドコしたフィーリングと違い、モーターのように洗練された現代的な味わいだ。

プリセットされた走行モードは5つ(スポーツ、ロード、レイン、オフロード、オフロードプラス)あり、好みに調整できる4つのカスタムモードも用意。いずれもパワー、ブレーキ、トラクション、サス設定が連動し、最適にセッティングされる。

ハンドリングも実にクセがない。車高が高く、フルパニアを装着するため、いかにも重心が高そうなのにフラつくことなく倒し込みが可能。コーナリングでは素直に思い描いたラインをトレースしてくれる。これは、路面状況に応じて的確な減衰力に調整してくれる電子制御セミアクティブサスの恩恵も大きいだろう。

手動で調整可能なスクリーンは防風性が良好。他のモデルには装備されていないクイックシフターもラクさに貢献している。

レトロな「ハーレー」という固定観念を覆す、洗練された走り。充実した電子制御も相まって、実に安心&快適だ。試乗時間が限られており、ダートは試していないが、本作なら挑戦したくなる。

 

グランドアメリカンツーリングとは一味違い、最新バイクらしい洗練された安楽さを持つパンアメリカ1250リミテッド。さすが“ハーレーのアドベンチャー”だけあって、大陸横断もこなすほどの快適さを誇る。味わいや雰囲気はグランドアメリカンツーリングと質が違うものの、ラクに大陸横断できるのはコッチかも……と思うほどだ。

標準装備のアルミ製防水パニアケースはSWモテックとのコラボ。サイドとリヤを合わせて120Lもの容量を誇る。

フロントマスクも独特。横長のLEDヘッドライトは、コーナーで進行方向を照らすアダプティブタイプ。その下にリミテッド専用のLED補助ライトとフォグランプが装着される。

[ナイトスター] 独自の個性をキープしながら、軽快に走り回れる!

 

ラストは、975cc水冷Vツインを積むナイトスターだ。本作は、惜しまれつつも生産終了した空冷スポーツスターに代わり、2022年にデビューした後継モデル。2026年型では名作ダートトラックレーサーのXR750を彷彿とさせる新色=ブラッドオレンジを採用したほか、冷却フィンを強調するアップデートを実施した。

驚きなのは価格。従来の188万8000円~から40万円引きの「148万円」という新価格になったのだ。これは、1000cc前後の国産ネイキッドと比べても十分競争力のある価格帯。既にX350やX500といったハードルの低いモデルは存在していたが、ナイトスターが本格的な大型ハーレー普及に一役買うのは確実だろう。

2026年型ナイトスター。新色のオレンジは、マフラーカバーを従来のグレーからクローム+ブラック仕上げに変更した(灰および黒の車体色はブラック仕上げ)。外観を除いて従来型を踏襲する。価格148万円。

水冷Vツインのレボリューションマックス950Tは、吸気側に可変バルブタイミング機構を採用。フレームはエンジンを構造部材に使用するダイヤモンドタイプで、テールはアルミ製だ。2026年型でフィンに切削仕上げを施した。

 

丸眼にダウンマフラー、フロント19&リヤ16インチという伝統的な構成とスリム&コンパクトな車体が、いかにもスポーツスターらしい。筆者がナイトスターを試乗するのはデビュー時の2022年型以来だが、遠いハンドルと前寄りのステップによって、体が「く」の字気味になる独特なライポジは相変わらずだ。

フラットなハンドルはグリップ位置が遠く、上体が前傾。ステップ位置はやや前寄りのため、体が前屈気味になる、アグレッシブなポジション。右側にエアクリーナーがあるため、タンクをヒザで挟めないが、ヒザと足首で車体をホールドできる。これもスポーツスターらしい。

705mmという低いシートとスリムな車体によって足着き性は超優秀。両足がベッタリ着く上に、ヒザが曲がるほど余裕だ。身長160cm台でも両足がカカトまで接地するほど。

 

3種類の走行モード(ロード/スポーツ/レイン)があり、最もパワフルな“スポーツ”では極低速からトルクフル。パワーバンドがワイドで扱いやすく、低回転域ではフライホイールが回っているドロドロしたハーレーらしいフィーリングが楽しめる。

一方でスロットルを開けていくと、5000rpm程度からパワーがグッと盛り上がり、7000rpmでもう一段伸び上がってレッドゾーンまで一気に吹け切る。とても息の長い加速で、マッタリした味わいとスポーティさの二面性を併せ持つ。なお“ロード”モードでは4000rpm前後の盛り上がりが抑えられ、“レイン”ではスロットルレスポンスもマイルドに。ユルさのあるレインモードが意外に楽しく、個人的に普段使いならこれでOKだと思った。

競争力のある価格になり、本格ハーレーへのハードルが下がった

ハンドリングも素直だ。前後に接地感を伴いながら、体重移動などのアクションに対してリヤから従順に曲がっていく。シート下に燃料タンクを設置したことにより重心が低く、倒し込みやバンク中の安定感が高いのも美点だ。トラコンやドラッグトルクスリップコントロール(急減速やシフトダウン時に後輪がロックするのを防ぐシステム)といった電子サポートも安心感を高めてくれる。

ハーレーのラインナップでは抜群の扱いやすさが光るナイトスター。軽やかな倒し込みと安定した旋回が持ち味だ。

 

サスはややソフトな設定のため、ちょっとしたギャップでは体にオツリが来る場面も。とはいえ、基本的に乗り心地は良好だ。ローグラリミテッドとパンアメリカという重量級と同時に試乗したせいもあってか、小回りもイージー。街乗りからクルージングまで幅広くこなせる。

少し気になったのはライポジ。1時間程度走っていたら、前方に伸ばしていた肩と背中がかなり凝ってしまった。私のような50代のオジサンに長時間走行はややキツいかもしれない。ちなみに純正オプションで手前に引いたプルバックハンドルも用意されているので、ラクなライポジが欲しい人はカスタムもアリだろう。

いずれにせよ、この価格でハーレーの世界観にドップリ浸れるのは貴重。免許の関係はあるにせよX350やX500よりも本格ハーレー入門モデルとして、ぜひオススメしたい。

フロントはショーワ製のφ41mm SDBV正立フォークにアキシャルマウントのブレンボ製4ポットキャリパー、アルミキャストホイールという現代的な組み合わせ。タイヤ空気圧低下の警告機能もある。

メーターはアナログ速度計と、タコなどを表示する液晶パネルを備える。灯火類はLEDだ。

ロードグライドリミテッド[2026] 主要諸元

・全長×全幅×全高:2620×1035×――mm
・ホイールベース:1625mm
・シート高:740mm
・車重:417kg
・エンジン:空水冷4ストロークV型2気筒OHV4バルブ 1923cc
・最高出力:108.8PS/5020rpm
・最大トルク:17.85kg-m/3500rpm
・燃料タンク容量:22.7L
・変速機:6段リターン
・ブレーキ:F=Wディスク R=ディスク
・タイヤ:F=130/60B19 R=180/55B18 M/C 80H

パンアメリカ1250リミテッド[2026] 主要諸元

・全長×全幅×全高:2345×1095×――mm
・ホイールベース:1585mm
・シート高:815/840mm
・車重:209kg
・エンジン:水冷4ストロークV型2気筒DOHC4バルブ 1252cc
・最高出力:152.3PS/8750rpm
・最大トルク:13.15kg-m/6750rpm
・燃料タンク容量:21.2L
・変速機:6段リターン
・ブレーキ:F=Wディスク R=ディスク
・タイヤ:F=120/70R19 R=170/60R17

ナイトスター[2026] 主要諸元

・全長×全幅×全高:2250×840×――mm
・ホイールベース:1545mm
・シート高:705mm
・車重:220kg
・エンジン:水冷4ストロークV型2気筒DOHC4バルブ 975cc
・最高出力:89.7PS/7500rpm
・最大トルク:9.69kg-m/5750rpm
・燃料タンク容量:11.7L
・変速機:6段リターン
・ブレーキ:F=ディスク R=ディスク
・タイヤ:F=100/90-19 R=150/80B16

画像ギャラリー (25枚)

 

この記事にいいねする


コメントを残す