空冷Lツインエンジンとクラシカルなハーフカウルを組み合わせ、独自の存在感を放つDUCATI SPORT1000S。
スポーツバイクとしての緊張感と、往年のレーサーを思わせる造形美を併せ持ち、眺めても、走らせても楽しめる一台だ。
今回はそんなSPORT1000Sをベースに、オリジナルの世界観を崩すことなく、細部の仕立てで完成度を高めた一台をご紹介する。
(トップ画像提供 @coona_mts)

2007年式 DUCATI SPORT1000S

DUCATI SPORT1000Sとは?

SPORT1000Sは、ドゥカティが2000年代半ばに展開した“スポーツクラシック”シリーズの一角を担うモデル。往年のレーサーレプリカを思わせるハーフカウルに、空冷2バルブLツイン“デスモデュエ”エンジンを搭載するネオクラシックスポーツだ。

992ccの空冷Lツインは、過度な電子制御を持たないダイレクトなフィーリングが魅力。一方で、セパレートハンドルとバックステップが生むポジションは前傾が強く、決してイージーとは言えない。

見た目の美しさと、ある種のストイックさ。その両面を併せ持つことこそが、このモデルの個性である。

見た目の美しさとは裏腹に、セパレートハンドルとバックステップが生むポジションのキツさが特徴的なSPORT1000S

今回ご紹介する車両はオリジナルの世界観を崩すことなく、細部の仕立てで完成度を高めた一台

憧れは、ディーラーの奥から現れた

きっかけは大型二輪免許の取得だった。

30代後半、仕事の関係で住んでいた名古屋から地元・静岡へ戻ったタイミングで免許を取得。次の一台を探すためドゥカティディーラーを訪れた。当初の本命はスクランブラーだったという。

だが、何気なく店員に見せた過去の愛車…SRの写真が流れを変える。

「これ、お好きですよね? ちょうど昨日、下取りで入ったんです」

そうして店の奥から姿を現したのが、このSPORT1000Sだった。
もともとカフェレーサースタイルに惹かれていたオーナーにとって、その造形は決定打に近かった。
当時、Alfa Romeo 147 Ducati Corseにも乗られており、「イタリアン2台体制にしたい」という背景も、この選択を自然なものにした。

Instagram「大輔さん」
https://www.instagram.com/ducati_sport1000s

SPORT1000S購入のきっかけとなった、かつての愛車SR400

イタリアン2台体制の相方であり、アルファロメオとドゥカティのコラボモデルAlfa Romeo 147 Ducati Corse

楽ではない。でも、それがいい

ノーマルのポジションは想像以上に厳しい。SRでセパハンに慣れていたオーナーでさえ、初試乗は15分で腰が悲鳴を上げたという。
それでもスタイルは崩さない。

・レイダウンキットでシート高を約4〜5cmダウン
・AELLA製セパレートハンドルへ変更(垂れ角10度→6度)
・クラッチレリーズ交換で操作系を軽量化

できる限り楽に。
だが、見た目のバランスは壊さない。
それは快適化というより、“折り合いをつける”ための調整だ。

少しでも乗りやすくするため、レイダウンキットでシート高を4~5cmダウン

垂れ角の緩和を目的に、セパレートハンドルはAELLA製へ変更

流行ではなく、自分の基準で

マフラーはコンチタイプへ変更。近年のドゥカティではテルミニョーニ装着車が多いが、選択基準はシンプルだ。「このデザインが好きだから」。エンジン下でとぐろを巻くエキゾーストパイプの造形も、この車両の見どころのひとつである。

ホイールはキャストからスポークへ戻し、さらにステンレススポークへ組み替え。チューブレス加工も施し、実用性も確保した。

一見すればノーマル然。
しかし細部には、確かな手間と意思が込められている。

マフラーは流行りのテルミニョーニではなく、コンチタイプをチョイス

ホイールはスポークに変更し、よりクラシックに寄せている

維持するという選択

SPORT1000Sは当時、爆発的なヒットモデルではなかった。その影響もあり、外装パーツを中心に生産終了部品は少なくない。結果としてオーナーは部品取り車まで確保している。

一方で機関は非常にタフだ。
空冷Lツインは堅牢で、電子制御が少ないぶん大きなトラブルも少ないという。

現在の走行距離は64,000km超。インジェクションの恩恵もあり、コンディションは安定している。

クラシックな中にレーシーな印象を与えるフロントビュー

絞り込まれたテールラインは、静止していても走りを想像させる

ドゥカティの象徴である90度に開く空冷Lツイン

乗り続けるという応え

「体が続く限り乗りますよ」

さらりと語るその言葉に、迷いはない。

SPORT1000Sは決して万人向けではない。だが、乗り手の感覚に強く訴えかける何かを持っている。
扱いやすさでも、最新装備でもない。
自分の基準で選び、乗り、維持し続けるという姿勢。
クラシックスポーツの矜持とは、スペックではなく“乗り続けるという答え”そのものなのかもしれない。

Instagram「みんなの単気筒」
https://www.instagram.com/minnano_tankito

たとえポジションがキツくても、常に笑顔を忘れないオーナーの大輔さん!
Photo by @morimaro_bk

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