空冷Lツインエンジンとクラシカルなハーフカウルを組み合わせ、独自の存在感を放つDUCATI SPORT1000S。
スポーツバイクとしての緊張感と、往年のレーサーを思わせる造形美を併せ持ち、眺めても、走らせても楽しめる一台だ。
今回はそんなSPORT1000Sをベースに、オリジナルの世界観を崩すことなく、細部の仕立てで完成度を高めた一台をご紹介する。
(トップ画像提供 @coona_mts)
DUCATI SPORT1000Sとは?
SPORT1000Sは、ドゥカティが2000年代半ばに展開した“スポーツクラシック”シリーズの一角を担うモデル。往年のレーサーレプリカを思わせるハーフカウルに、空冷2バルブLツイン“デスモデュエ”エンジンを搭載するネオクラシックスポーツだ。
992ccの空冷Lツインは、過度な電子制御を持たないダイレクトなフィーリングが魅力。一方で、セパレートハンドルとバックステップが生むポジションは前傾が強く、決してイージーとは言えない。
見た目の美しさと、ある種のストイックさ。その両面を併せ持つことこそが、このモデルの個性である。
憧れは、ディーラーの奥から現れた
きっかけは大型二輪免許の取得だった。
30代後半、仕事の関係で住んでいた名古屋から地元・静岡へ戻ったタイミングで免許を取得。次の一台を探すためドゥカティディーラーを訪れた。当初の本命はスクランブラーだったという。
だが、何気なく店員に見せた過去の愛車…SRの写真が流れを変える。
「これ、お好きですよね? ちょうど昨日、下取りで入ったんです」
そうして店の奥から姿を現したのが、このSPORT1000Sだった。
もともとカフェレーサースタイルに惹かれていたオーナーにとって、その造形は決定打に近かった。
当時、Alfa Romeo 147 Ducati Corseにも乗られており、「イタリアン2台体制にしたい」という背景も、この選択を自然なものにした。
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楽ではない。でも、それがいい
ノーマルのポジションは想像以上に厳しい。SRでセパハンに慣れていたオーナーでさえ、初試乗は15分で腰が悲鳴を上げたという。
それでもスタイルは崩さない。
・レイダウンキットでシート高を約4〜5cmダウン
・AELLA製セパレートハンドルへ変更(垂れ角10度→6度)
・クラッチレリーズ交換で操作系を軽量化
できる限り楽に。
だが、見た目のバランスは壊さない。
それは快適化というより、“折り合いをつける”ための調整だ。
流行ではなく、自分の基準で
マフラーはコンチタイプへ変更。近年のドゥカティではテルミニョーニ装着車が多いが、選択基準はシンプルだ。「このデザインが好きだから」。エンジン下でとぐろを巻くエキゾーストパイプの造形も、この車両の見どころのひとつである。
ホイールはキャストからスポークへ戻し、さらにステンレススポークへ組み替え。チューブレス加工も施し、実用性も確保した。
一見すればノーマル然。
しかし細部には、確かな手間と意思が込められている。
維持するという選択
SPORT1000Sは当時、爆発的なヒットモデルではなかった。その影響もあり、外装パーツを中心に生産終了部品は少なくない。結果としてオーナーは部品取り車まで確保している。
一方で機関は非常にタフだ。
空冷Lツインは堅牢で、電子制御が少ないぶん大きなトラブルも少ないという。
現在の走行距離は64,000km超。インジェクションの恩恵もあり、コンディションは安定している。
乗り続けるという応え
「体が続く限り乗りますよ」
さらりと語るその言葉に、迷いはない。
SPORT1000Sは決して万人向けではない。だが、乗り手の感覚に強く訴えかける何かを持っている。
扱いやすさでも、最新装備でもない。
自分の基準で選び、乗り、維持し続けるという姿勢。
クラシックスポーツの矜持とは、スペックではなく“乗り続けるという答え”そのものなのかもしれない。
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