新作ストリートモデル、GSX-8T/8TTが、いよいよ発売開始。プレス向けに実施された説明会の内容を交えつつ詳細をお伝えしよう。GSX-8T/8TTは、スズキの名車をモチーフにしながら新しさを感じさせるデザインと、走りの自由度が最大の魅力。この2点を徹底的に追求していることが取材からわかった。
⚫︎写真:富樫秀明
目次
- 1 早くも好評、既に販売目標を超える1000台が受注
- 2 「ワクワクするものをつくれ」社長の一声からデザイン主導で始まった
- 3 バーエンドミラーはスズキの歴史で2車種目、質感と機能性を造り込んだ
- 4 タンクは後期型T500をイメージ、シートはワイド&ソフトでより快適に
- 5 バッテリーは2.1kg軽く60%も小型、寿命は驚異の10年!
- 6 8TTは当初発売予定がなかった! ビキニカウルは高速走行に効果大
- 7 カラーリングもワクワクがテーマ、凝りまくった色が揃う
- 8 ゆったり走っても楽しく自由、8Sとは違う乗り味
- 9 価格はやや高めながら納得の質感と装備、次の“ワクワク”にも期待!
- 10 【純正アクセサリー】レトロ感を高める専用デザインを採用
- 11 GSX-8T/GSX-8TT主要諸元(2025)
早くも好評、既に販売目標を超える1000台が受注
1月30日から発売されたGSX-8T/8TTは、GSX-8Sをベースにネオレトロなスタイルを与えたストリートモデル。ネイキッドのGSX-8Tと、ビキニカウルを備えたGSX-8TTがラインナップされる。
エンジンと車体&足まわりは、快活な走りで定評あるストリートファイターのGSX-8Sと共通。その上で外装やヘッドライト、シートなど数々の専用部品を奢り、デザイン性と使い勝手を向上させている注目の1台だ。
メディア向け説明会は1月30日、横浜の赤レンガ倉庫で実施。長い歴史と小粋さを感じさせるスポットがGSX-8T/8TTの世界観にマッチしていた。予約状況は好調で、8Tの国内販売目標台数360台、8TTの同480台に対し、計1000台の注文が入っているという。

GSX-8T(129万8000円)。新設計のヘッドライト、タンク、バーエンドミラー、ステンレス製マフラーカバーなどでレトロさと新しさを演出。車名のTは、デザインモチーフのT500「Titan」が由来だ。

GSX-8TT(138万6000円)。GSX-8Tをベースにヘッドライトカウルとアンダーカウルを装着。1970~80年代のロードレーサーをイメージした。車名はTitanに加え、「Timeless」を意味するTTとしている。シート自体は8Tと同一だが、シート表皮が異なる。
「ワクワクするものをつくれ」社長の一声からデザイン主導で始まった
プロダクトコンセプトは「Retro Spirit, Next Generation Performance.」。懐かしさをまといつつ、次世代のパフォーマンスを重視し、様々なシーンでバイクに乗る楽しさと所有する喜びを得られるモデルを目指した。
「いつかのスズキのDNAを現代的なデザインに消化させたスタイリングを持ちつつ、スズキの最新技術、パフォーマンスを背負ったモデルになります」(加藤氏)
そもそも企画がスタートしたのは、鈴木俊宏社長からデザイナーに「ワクワクするものをつくれ」という一声から始まった「ワクワクプロジェクト」が発端だった。
「デザイナーが自由な発想で、デザイン思考でモノづくりをしてみる“ワクワクプロジェクト”がGSX-8T開発のきっかけです。通常のプロセスであれば、バイクの開発プロジェクトは日本のデザインチームから進めるのですが、今回は新しいデザインの風を吹かせたいという考えで、スズキイタリアのデザインセンターからスタートしました」(古橋氏)
イタリアのデザインチームを日本のスズキ歴史館に招待し、スズキ100年の歴史を見学してもらった。様々なクラシックバイクが並ぶ中、若いデザイナーたちが「ワオ!」と叫んだのがT500だった。
T500は、量産車としては世界初の500cc2スト2気筒エンジンを搭載し、1968年に登場。1960年代のスズキ車に散見される象徴的な馬蹄型ヘッドライトと、前方が丸みを帯びたタンクがデザイナーの目にとまったという。
「T500からにじみ出る、ユニークで独創的な形をモチーフにスタートしました。このタイムレスなデザインが現代に再現できれば、初心者からベテランまでみんなワクワクするんじゃないかなという思いで進めてまいりました」(古橋氏)
1960~70年代はデジタルではなく、手作業の柔らかいラインがデザインの特徴的な要素。これを現代に生み出すため、手作業で粘土(クレー)をいじり、削っては盛ったりという作業を繰り返して現在の形を造り出した。
従来は、ライバルを想定してベンチマークを置く開発のやり方だったが、今回は「こういうバイクをつくりたい」という思いが発端のため、ライバルを想定していないという。
「結果的にできたものに対してのライバルはいると思いますが、一番のライバルは(社内の)デザインですね(笑)。デザイナーの“こういうものをつくってくれ”という提案に対し、喧々諤々させながら、なんとか成立させていきました。デザインで0を1にしたものをもっと上げていきたいという思いでした」(加藤氏)
バーエンドミラーはスズキの歴史で2車種目、質感と機能性を造り込んだ
バーエンドミラーも大きな特徴の一つ。1980年頃、アメリカ仕様のモデルで採用例があるため、スズキとしては2車種目の採用となるが、国内仕様や21世紀のモデルではスズキ初の装備となる。
高品質な外観を追求し、アルミダイカストステーや薄型のミラーハウジングを用いた。
「野暮ったいデザインにしたくなかったので、特にハウジングは硬度の高いプラスチックを使い、このスタイリングを実現しました」(小林氏)
このバーエンドミラーはデザインを重視するワクワクプロジェクトとしては譲れない部分だったが、もちろん視認性は何より重要。バーエンドミラーは視認性が落ちるケースも多いが、形状や曲率に工夫を凝らした。開発当初は見づらかったが、トライアンドエラーを何度も繰り返して煮詰めた結果、最終的にはGSX-8Sと同等以上の視認性を確保できたという。
なお、ミラーとバーエンドのウェイトを合わせた重量は8Sより軽く、ハンドリングへの影響はないとのこと。また、ミラーステーが視界から消えたことで前方の見晴らしがよくなり、景色を楽しみながらゆったりツーリングするのがお勧めという。
タンクは後期型T500をイメージ、シートはワイド&ソフトでより快適に
燃料タンクも重要なポイントだ。
「全体的なプロポーションは丸みを帯びていますが、タンクはボクシー(箱型)な形にこだわりました。後期型T500は肩のラインに特徴的な面があるのですが、それを意識して造形いたしました」(古橋氏)

8Sや8Rと比べても張り出しの強い特徴的な造形。タンク容量を増やすつもりはなく、デザインを重視したところ、結果的に容量が2L増えた。なお日本仕様の諸元上では「16L」だが、厳密には2.5L増の16.5Lという。
シートも新設計の専用品だ。8Tはタックロールシート、8TTは滑らかな表皮と赤いステッチを施したスポーティタイプ。タンクとテールカバーをつなぐデザインのサポート的な造形をしており、しっかりデザインを吟味している。
同時に前後シートとも8Sより座面を拡大し、クッション性もアップすることで乗り心地を向上させている。シート面積は前後とも拡大され、新たに高密度ウレタンフォームを採用。ソフトながらも奥にコシがあり、8Sよりお尻が痛くなりくいという。
バッテリーは2.1kg軽く60%も小型、寿命は驚異の10年!
8T/8TTは小型&軽量なエリーパワー製リチウムイオンバッテリーを搭載。スズキでは現行ハヤブサに続いての採用例で、GSX-8Sや8Rにはないアイテムだ。
採用した狙いは様々あり、軽量化が大きな理由の一つ。タンク容量は2.5L増加したが、8Sの鉛バッテリーより2.1kg軽いリチウムイオンバッテリーで重量を相殺。容積は60%も小型だ。なお、燃料タンクは横幅を増やして容量アップを実現しており、バッテリーの小型化でスペースを確保したわけではないそうだ。
さらにロングライフなのもポイント。寿命電圧は鉛バッテリーの約5倍で、期待寿命は10年(スズキ調べ)。さらに自己放電が少ないのも特性だ。
「春にバイクに乗ろうとした時にバッテリーが上がっていた経験が皆さん、あるのではないでしょうか。バッテリーは使用しなくても自然に放電してしまう現象があります。リチウムイオンバッテリーは鉛バッテリーより自己放電性に優れており、バッテリー容量が半分になるまでの期間が大幅に伸び、鉛バッテリーの125日に対して740日となっています」(柴山氏)
740日、つまり2年間放置していても50%しか放電せず、エンジン始動も可能というからスゴイ。
8TTは当初発売予定がなかった! ビキニカウルは高速走行に効果大
続いてGSX-8TTのビキニカウル。下部に特徴的なエラ(スポイラー)がデザインされているが、これはデザイナーの古橋氏によるとズバリ「GS1000Sにインスパイア」されたもの。
「当初はオプションパーツとしてデザインしていたのですが、あまりにもカッコよすぎちゃって(笑)。仕様の1つとして加藤さんにお願いしました」(古橋氏)
もちろん機能性も高い。ヘッドライト上のエアインテークからスクリーンの内側に風を流し、スクリーン上部のパイピングで風の流れを意図的に剥がすことで、頭部への振動を軽減している。デザインを崩さずに防風性を上げるために、テストを繰り返す中でデザイナーと設計とのやりとりを繰り返した結果だ。
「強力に導風するタイプではないんですけれども、GSX-8Tと乗り比べていただければ、高速道路でしっかり効果を感じられます」(佐藤氏)
カラーリングもワクワクがテーマ、凝りまくった色が揃う
カラーリングもワクワクをテーマに取り組んだ。8TTのグリーンは、クラシックバイクをイメージ。英国バーミンガムのクラシックバイク博物館に赴き、多数の旧車を見学して「これぞクラシックバイクのカラーリング」というブリティッシュグリーン×ゴールドの組み合わせを採用した。
8TTのブラックは、往年の米国AMAスーパーバイクレーサーのカラーリングを意識したグラフィックが特徴だ。
一方の8Tは3色を用意した。ブラックはバイクらしい定番カラーとして設定。ゴールドは天候によって様々色に見えるのが特徴で「高級スコッチウイスキーのような琥珀色と言いますか、非常になまめかしい色」と古橋氏は話す。
マットグリーンはツヤ消しながらメタリックを散りばめ、非常に硬い鉄をイメージさせるカラーとしている。
ゆったり走っても楽しく自由、8Sとは違う乗り味
775cc並列2気筒や鋼管フレームなどの基本構成はベース車のGSX-8Sと共通で、足回りのセッティングも変わらない。それでも走りの雰囲気はかなり違っており、ストリートバイクの軽快さを持ちつつ、ゆったり走っても楽しく自由さがあるという。
「GSX-8Sは十分なパワーとパンチの効いたトルクを持ちつつ、スムーズなスロットルレスポンスで誰にでもコントロールしやすいモデルです。これがGSX-8Tで求められるベクトルに合うのではないかとベースにしました。
ただ実際GSX-8Tに乗ってみると、新たに造り込んだ部品が寄与して派生モデル感が全くなく、このエンジンのプラットフォームはGSX-8Tのために生まれてきたんじゃないかと思うぐらいキャラクターにマッチしています」(加藤氏)
「8Tの方がより軽快感のあるハンドリングです。8TTはちょっとしっとりとしたハンドリングになっていますが、その分、高速域などの安定性が上がっています」とテストライダーの佐藤氏も話す。
ライディングポジションに関してはGSX-8Sと変わらず、ハンドル/着座位置/ステップによる三角位置も同じだ。しかしタンク幅が広がっている分、シート幅も広がった。「自由度が高く、リラックスして乗れるライディングポジションを目指しました」と佐藤氏が話すように、ライポジの印象は異なるという。座り心地も前述のとおり高密度ウレタンフォームを採用し、ソフトな座り心地になっている。
価格はやや高めながら納得の質感と装備、次の“ワクワク”にも期待!
筆者が気になったのは価格だ。8Tは129万8000円、8TTは138万6000円。これに対し、ベース車のGSX-8Sは112万2000円で、ホンダCB750ホーネット=103万9500円、ヤマハXSR700=101万1000円、カワサキZ650RS=107万8000円。700cc前後のモデルとしては若干高額に感じたのだ。
その理由の一つは昨今の物価高騰にある。材料費や人件費、輸入部品の為替の影響のほか、「特に触媒に使う貴金属が高騰している」と加藤氏は話す。
「もう一つは、やっぱり凄く造り込んだのが要因です。他のバイクの部品をポンッとつけたわけではなく、一つひとつの部品をキャラクターデザインに合わせて造り込んでいます。リチウムイオンバッテリーも初期投資は確かに高いんですけれど、ランニングコストが優秀です。コストだけではなく、得られるメリットもあるので、総合的に勘案して価格を決定しています」(加藤氏)
もちろん、バーエンドミラーなどの装備やクイックシフターが標準で装備されるなど他車よりワングレード高い装備も高額化の理由という。
―――開発陣の談話から、デザインと使い勝手をキッチリ追求していることが実感できたGSX-8T/8TT。デザイン先行という新しい開発手法ながら、スズキらしさが詰まったモデルに仕上がっている。その乗り味が楽しみだ。ちなみに話を窺っていると、ワクワクプロジェクトはこの8T/8TTだけではない模様(!?)。次のワクワクできる新作にも期待したい。
【純正アクセサリー】レトロ感を高める専用デザインを採用
純正オプションも専用にデザインされている。1960~70年代のタイムレスな雰囲気を助長する外装パーツをはじめ、ソフトサイドケースやグリップヒーターなどの実用装備も揃えた。
GSX-8T/GSX-8TT主要諸元(2025)
・全長×全幅×全高:2,115×775×1,105【1,160】mm
・軸間距離:1,465mm
・最低地上高:145mm
・シート高:815【810】mm
・装備重量:201【203】kg
・エンジン:水冷4サイクル並列2気筒DOHC4バルブ775cc
・最高出力:80PS/8,500rpm
・最大トルク:7.7kg-m/6,800rpm
・燃料タンク容量:16L
・変速機形式:6段リターン
・ブレーキ:F=Wディスク R=ディスク
・タイヤ:F=120/70ZR17 R=180/55ZR17
※【】内は8TT
この記事にいいねする














































































































実車乗ってみないとですが、先のDR-Z4もうそうだけど、スズキなのに高いという・・ちょっと悲しい
8T/8TTの魅力のキモは何といってもデザインなんだから、スズキはなぜ発表会に最高の功労者たるARTHER氏も同席させなかったんだろう?