2025年末、アメリカのカリフォルニア州で開催された『ボンネビル・エクスペリエンス』というイベントに参加し、トライアンフのモダンクラシックシリーズ5台に試乗してきた。Vol.2では900ccツインエンジンを搭載するボンネビルT100とスクランブラー900の試乗記をお届けしよう。
目次
1200ccシリーズよりもリアルにクラシック感を味わえる900ccシリーズ
『ボンネビル・エクスペリエンス』では、とても贅沢な時間を過ごさせてもらった。3日間に渡って開催されたイベントは、初日の夜がパーティ、2&3日目が試乗という流れ。
パーティでは、モダンクラシックシリーズの2026年モデルの発表の他、トライアンフの長い歴史が紐解かれ、1959年式のT120ボンネビルやスティーブ・マックイーンが映画『ブリット』に登場させた1966年式のTR6、さらに映画『007』でジェームズ・ボンドが駆ったスクランブラー1200XEなど、著名人のトライアンフも展示された。

パーティ会場には1959年式のT120ボンネビルも。『ボンネビル・エクスペリエンス』の模様は筆者(小川勤)のSNSにも挙げているので興味のある方はご覧ください。
翌日から2日間に渡って、ボンネビルシリーズのT120、T100、ボバー、スピードマスター、さらにスクランブラー900の5台に試乗。カリフォルニアの海沿いや市街地、そして峠を楽しんだ。
トライアンフに限らずイギリスのプロダクトは、存在そのものに派手さはないが、紛れもない本物感があるものが多い。今回のイベントを通して、トライアンフのモダンクラシックシリーズが持つそんな奥ゆかしさをよりリアルに感じることができた。
トライアンフ海外試乗記Vol.2では、900ccツインを搭載するボンネビルT100、スクランブラー900の試乗記を紹介。1200ccより遥かに軽くてスリムな900ccシリーズは、ある意味1200ccよりもリアルにクラシックバイクらしさを受け継いでいると言っていいだろう。
多くのライダーの夢を叶え続ける『ボンネビルT100』
いつかはトライアンフ。そんな夢を抱くライダーはとても多い。
ボンネビルT100は、初めてのトライアンフ、初めての大型バイク、バイクにリターンする際に選ばれることが多いバイクで、たくさんのライダーの夢を叶えてきたし、これからも叶え続ける。
ボンネビルT100は、多くの方が思い浮かべるバイクのスタイリングを持ち、実際に走り出し、丁寧につくり込まれた扱いやすさや気持ちよさを知ると、バイク趣味の奥深さを教えてくれる。コンパクトな車体を軽々とダッシュさせる感覚は、900ccシリーズだけの恍惚の瞬間であり、それは今回の試乗時にも何度も訪れた。
2026年モデルは、主にユーロ5+への規制対応と電子制御のアップデート。IMU(慣性測定装置)と連動したABSやトラクションコントロールを装備し、ライディングモードはレインが追加された。
多くのライダーは1200ccモデルと比較し、900ccモデルをエントリー向けと捉えるかもしれない。確かにその側面はあるものの、1200ccと900ccはまるで別物。900ccにしかないスリムさが生み出す軽快さは、ベテランも納得の仕上がりだ。「ロード」モードを選んでスタートする。
900cc特有のエンジンの伸びを楽しみたい『ボンネビルT100』
スロットルを開けると、野太く小気味よいサウンドがライダーを高揚させ、馴染みやすい乗り味が安心感をもたらす。難しいことを考えずに直感的な操作を行えば、バイクとライダーの一体感が簡単に訪れる。そして、市街地でも峠でも景色に馴染む姿を見ると、改めてその佇まいが端正であることが伝わってくる。
その端正な佇まいに貢献するのが、存在感のある並列2気筒エンジン。270度の位相クランクが生み出す不等間隔爆発は、低中速では粘り強さと心地よいパルス感を生み、高回転まで回すと官能的な伸びを見せる。この伸び感の良さは1200ccにはない900ccだけの特権。もはや熟成の極みと言ってもよく、扱いやすさに優れるだけでなく、きちんと速さも約束してくれる。
サスペンションはよく動く設定で、それもバイクとライダーの一体感の得やすさに貢献。ブレーキのタッチも優しい。足まわりは、決して高価なパーツを使っているわけではないものの、タイヤを含めた各パーツのバランスが優れており、それが完成度を引き上げていることがわかる。
途中、新たに採用された「レイン」モードもテスト。いい意味でモワッとしたレスポンスとなり、これなら雨や冷感時にライダーをサポートしてくれるはず。また、バイクが穏やかな特性になるため、大型バイクに慣れる過程や、疲労が溜まってきた時に使えば、スロットル操作の緊張感から解放されるだろう。
ボンネビルT100は、伝統のボンネビルの名を継承し、先鋭さと保守さが混ざり合う独特のイギリス気質が素敵に映るバイク。大切なものは守りつつ、きちんと進化を繰り返し、どこまでもスマートだがきちんと芯の『強さ』を持っている。2026年モデルはその『強さ』の部分をさらに固め、いつまでも色褪せない魅力をさらに深化させた。じっくりと付き合うほどに輝きを増すバイク、それがボンネビルT100だ。
⇒https://www.triumphmotorcycles.jp/bikes/classic/bonneville/bonneville-t100
さらにモダンかつスポーティに進化した『スクランブラー900』
2026年モデルのモダンクラシックシリーズの中で最も大きなアップデートを受けたのがスクランブラー900だ。他モデル同様の規制対応や電子制御の変更はもちろん、足まわりが大幅に刷新された。
フロントフォークは正立から倒立となり、リヤサスはリザーバータンクを新たに装着。フロントブレーキキャリパーはラジアルマウントとなった。また、ホイールのリムとスイングアームは、スチール製からアルミ製とし軽量化を実現。見た目にもモダンさとスポーティさを増し、もちろん走りの質感を大幅に向上させてきたのだ。
取り回しや引き起こしも軽く、気軽にバイクに乗りたい気持ちにさせてくれる。シート高はボンネビルT100もスクランブラー900も同じ790mmだが、足つきはボンネビルT100の方がはるかに良く、ポジションもコンパクト。ただ、身長165cmと小柄な筆者(小川勤)でもスクランブラー900のポジションは自然で、足つきも不安はない。
ライディングモードは「ロード」「レイン」「オフロード」が用意され、コーナリングABSやトラクションコントロールも装備。「オフロード」モードではリヤのABSをオフにすることができる。まずは「ロード」で走り出す。
リズミカルにキビキビと走る『スクランブラー900』
大径ホイール&ストロークの長いサスペンションを装着するスクランブラー900は、シチュエーションや速度を問わず、軽快だ。ライダーの微妙な荷重変化を感じ取り、スパッスパッと向きを変えていく。このリズムの良さは、他のモダンクラシックシリーズにはないもの。新しい足まわりがこのキャラクターをさらに引き立てている。
市街地でもその動きは顕著だったが、本領を発揮するのは峠だ。速度が上がってもリズムの良さは変わらず、その応答性の良さを知るとさらにレスポンスよく動かしたい気持ちになるほど。そして、それに応えてくれるのがスクランブラー900なのである。これはアップデートされたサスペンション、スイングアームやホイールのリムの効果だ。
これまでスクランブラー900は、ショートトリップや市街地の相棒であることが多かったようだが、この運動性の高さはライダーを郊外や長距離ツーリング、そしてスポーツライディングへと誘うだろう。
どこを走っていても、感心するのはエンジンの味付けで、ボンネビルT100よりも少しだけ軽く回転を上げていく感覚がスポーツ気分を高めてくれる。実際に中回転域から高回転域を繋いで走ると十分な加速を披露する。
トライアンフのモダンクラシックは、スタイリングやエンジンの鼓動感、そしてその雰囲気に新旧が同居し、その感じ方はキャリアによって様々。中でも900ccシリーズは、スリムな車体が生み出す軽快感が、よりリアルにクラシックバイクを思わせてくれる。
そして、スクランブラー900は、若い世代のファッションとの調和性も高い。そんなことを感じながら、少し砂利の浮いた起伏の大きな道に突入し、スタンディングでギャップをいなしながら走る。すると、ちょっとした冒険気分までもが訪れる。こんなに自由な感性で楽しめるバイクは滅多にないし、これこそが長く連れ添える本質的な魅力に繋がるのだ。
⇒https://www.triumphmotorcycles.jp/bikes/classic/scrambler/scrambler-900
『ボンネビルT100』と『スクランブラー900』の足つきをチェック!
<Triumph Motorcycles>
https://www.triumphmotorcycles.jp
この記事にいいねする



































































