12月7日に開催されたYOKOHAMA HOT ROD CUSTOM SHOW2025の会場で、異彩を放ちながら確かな存在感を見せていた一台があった。
それはスーパーカブでありながら、誰もが知る“カブの姿”とは明らかに異なるシルエットを持つマシン。
今回はディガースタイルとビーチドラッグレーサーの発想から生まれたスーパーカブC50のカスタムマシン"グースカブ"をご紹介する。
(Featured Image by @矢野聡)
目次
スーパーカブC50とは?
ホンダ・スーパーカブC50は、日本を代表する小排気量モーターサイクルのひとつである。
高い耐久性と実用性を武器に、通勤・配達といった日常用途から、カスタムベースとしても長年親しまれてきた名車だ。
年式や仕様を問わず受け入れてくれる懐の深さこそが、C50最大の魅力と言えるだろう。
だが、今回紹介する一台は、そのスーパーカブC50のイメージを軽々と飛び越えている。
フレーム1本から始まったグースカブ
グースネック化されたフレームに、ソフテイル構造。フロント19インチ、リア18インチという原付二種としては異例の大径タイヤを履き、ロー&ロングなシルエットを描く“グースカブ”。
スーパーカブを起点としながらも、ディガースタイル、そしてボンネビルやサンドフラッツ、ビーチドラッグレーサーの空気感を強くまとった一台だ。
このマシンを手がけたのが、オーナーのななこんさん。
グースカブ以外にはカフェレーサー仕様のスポーツスター、VMXスタイルのカブ&エイプ、ワイルドなYAMAHA ブロンコなど、ジャンルの異なるバイクを所有されている。
一見バラバラに見える愛車だが、そこに共通するのは「自分がカッコいいと思えるイメージを、実際に走る形に落とし込む」という一貫したスタンスだ。
そしてこのグースカブは、完成車両をベースにしたものではない。製作の起点となったのは、ガレージタカさんのヤードに転がっていた"カブのフレームのみ"。
そこから他車種のフレーム要素やスイングアームを組み合わせ、全体を構築していった。
つまりこのマシンは、「スーパーカブをカスタムした車両」ではなく、スーパーカブという存在を起点に再構築されたオリジナルマシンなのだ。
ここからは、ななこんさんがどういう思いでこのマシンを作り上げてきたのかを紐解いていく。
Instagram「ななこんさん」
https://www.instagram.com/nanakon7
製作に至ったきっかけ
「ガレージタカさんから声をかけてもらったのが始まりでした。」
お世話になっているガレージタカさんから、
「お客さんのケンタくんが、250TRのリジットチョッパーでカスタムショーに出るから、一緒にどう?」
と誘われたことが、製作の直接的なきっかけだった。
実はななこんさんの中には、かなり前から『スーパーカブでグースネック&ソフテイルをやりたい』という構想があったという。
「試しにヤフオクでスイングアームを買ってみたら、想像以上にしっくりきて。『これはちゃんと形にできるな』と思って、そこから一気に製作が進みました。」
Instagram「ガレージタカ」
https://www.instagram.com/garagetaka
コンセプトは"こんなバイクで走ったらカッコいいよね"
グースカブのコンセプトは、非常にシンプルだ。
「ボンネビルやサンドフラッツを、こんなバイクで走ったらカッコいいよね、というイメージから始まりました。」
乾いた大地を一直線に駆け抜けるドラッグマシン。その世界観を、スーパーカブという意外性のある素材で表現する。当初は「実際にそんなところを走ることはないだろう」と思っていたという。
だが、その空想は思わぬ形で現実になる。
12月8日「Hell Fun!!」での実走体験
「似たようなシチュエーションで、実際に走ることができました。12月8日の『Hell Fun!!※』です。」
※ "HAVE FUN !! Flat Track"と"Hell On Wheels"の合同イベント
HOT ROD CUSTOM SHOW翌日に開催されたこともあり、当初は見学のみの予定だったが、ショートドラッグの走行を目の当たりにして気持ちが高ぶる。
駐車場で軽くスタート練習をしてみると、思った以上に走れそうな感触があった。
遠心クラッチにハンドシフトという独特の操作系のため、クラッチ操作は決して簡単ではなかったという。
「正直、クラッチはうまく繋げられなかったです(笑)。でも転倒の心配はなさそうだったので、急遽参加させてもらうことにしました。」
一緒に走った参加者への感謝とともに、こんな言葉も。
「一緒に走っていただいた方々、ありがとうございました。特に排気量の大きいバイクの方々は、こんなバイクと走らされることになってしまって……申し訳ありませんでした(笑)。」
イラストという、もうひとつの表現
HOT ROD CUSTOM SHOWでは、車両展示にあわせて、イラストレーターの"すらくすさん"にグースカブのイラスト制作も依頼した。
「正直なところ、コワモテなお兄さんたちが多く集まるチョッパーショーの空間に、アニメ調のイラストを持ち込んで受け入れられるのか…。」
ななこんさん自身、かなり不安があったという。
しかし、そんな心配はまったくの杞憂だった。会場で無料配布したポストカードは、しっかり完売!
ハードで無骨な実車と、ポップで柔らかいイラスト。
一見すると相反するふたつの表現だが、どちらも"グースカブ"という同じ思想から生まれたものだった。
バイクも、イラストも、
「型にはめず、自分たちが面白いと思う形をそのまま出す。」
その姿勢が、来場者にまっすぐ伝わった結果と言えるだろう。
Instagram「すらくすさん」
https://www.instagram.com/thrux_r102
カスタムの詳細
主なカスタムは以下の通り。
・グースネック&ソフテイル構造のフレーム
・フロント19インチ/リア18インチの大径タイヤ
・ハンドルポスト移設によるローダウン化
・ワンオフ分割エッグタンク
・ワンオフマフラー(特にお気に入りのポイント)
・ワンオフ製作の各種アーム類
・ナイスモーターサイクル製グリップ
・大神戸のラバー類
・ドハーティ製ハイスロットル
走らせるイメージから生まれた一台
先日、取材後にななこんさんのグースカブと一緒に走る機会があった。
実際に並んで走ってみて、あらためて感じたのは、その"低さ"だ。
スピードがどうこうではない。
信号待ちでも、流しているだけの区間でも、とにかく視界の中で誰よりも低く、そして異質にカッコいい。
写真や展示では伝わりきらない、
「走っている姿そのものが完成形」という感覚。
このバイクが"走らせるイメージから生まれた一台"であることを、並走することで強く実感させられた。
グースカブは、ただのカスタムスーパーカブではない。
フレーム1本から始まったその物語は、いまも路上で走り続けている。
Instagram「みんなの単気筒」
https://www.instagram.com/minnano_tankito
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