空冷単気筒エンジンとシンプルな車体構成で、長く支持されてきたKAWASAKI 250TR。扱いやすさとカスタムの自由度を併せ持ち、幅広いスタイルを受け止めてくれる、懐の深い250ccモデルだ。
今回はそんな250TRをベースに、"人とかぶらない、でも背伸びしない"オリジナルスタイルを追求した一台をご紹介する。
目次
KAWASAKI 250TRとは?
KAWASAKI 250TRは、2002年に登場した、空冷4ストローク単気筒エンジンを搭載する250ccクラスのロードモデルだ。
トラッカーを思わせるシンプルなスタイリングと、軽量かつスリムな車体構成により、街乗りからツーリングまで幅広く対応する一台として知られている。
エンジンは低中速トルクを重視した穏やかな特性で、過度なパワーを求めない分、日常域での扱いやすさが際立つ。ビギナーはもちろん、ブランクのあるリターンライダーにとっても、安心感のある乗り味が魅力だ。
また250TRの大きな特徴が、カスタムベースとしての懐の深さ。トラッカー、スクランブラー、クラシックなど、スタイルを限定しない素直なパッケージは、多くのカスタムビルダーやユーザーに選ばれてきた理由でもある。
生産終了から時間が経った現在では、中古車相場の上昇とともに再評価が進んでいるモデルのひとつ。
「シンプルで、気負わず、長く付き合える250cc」という立ち位置は、今なお色褪せていない。
背伸びせず、日常の中で育てる"オリジナル250TR"
そんな懐の深さを持つ250TRを、日常の足として、そして自分らしさを表現するキャンバスとして楽しんでいるのが、今回のオーナー・イワサワさんだ。
高校時代にSR400でバイクの世界に触れ、その後、仕事や結婚、子育てといった生活の変化の中で、一度はバイクから距離を置くことになる。
現在は会社員として働きながら、通勤をメインに250TRと付き合う40代のリターンライダー。
「そういえば、俺バイク好きだったよな」
そんな何気ない気づきから、約20年ぶりのリターンライドが始まった。
ここからは、イワサワさんがどのようにして250TRを選び、"人とかぶらない、でも背伸びしない"一台を作り上げてきたのかを紐解いていく。
Instagram「イワサワさん」
https://www.instagram.com/iwasawak69
株で稼いで夢を買う、という選択
『家庭を持つ40代にとって、「バイクが欲しい」という気持ちは、簡単に口にできるものではなかった。』と語ってくれたイワサワさん。
そこで考えたのが、株で利益を出し、その資金でバイクを購入するという方法だった。
古本屋で株の入門書を買い漁り、基礎から勉強。約1年かけて50万円の利益を出すことに成功する。
その間、ネットで様々なバイクを眺める中で「これだ」と感じたのが250TRだった。
そして辿り着いたのが、浜松のペペモーターサイクルス。
当初はショップHPに掲載されていた製作車両をベースに注文する予定だったが、店主との打ち合わせを重ねるうちに、次第に「自分だけのスタイル」を求める気持ちが強くなっていく。
結果、カスタムオーダーを決断された。
そして、納車当日…20年振りの運転にも関わらず浜松のショップから湘南の自宅まで約230kmを走破。
『道中、雄叫びを上げ、ニヤニヤしながら走り切ったその体験が、すべての始まりでした。』
Instagram「PEPE MOTOR CYCLES」
https://www.instagram.com/pepemotorcycles
カスタムのテーマはオリジナルスタイル
『テーマですか?人とかぶらない、オリジナルスタイルですね!』
通勤メインの"ただのリーマンライダー(自称)"だからこそ、高価なパーツを多用するのではなく、他車用パーツの流用やオークションサイトを活用し、なるべくお金をかけない工夫を重ねてきた。
一方で、要所ではプロに相談し、ワンオフ製作も取り入れる。
やり過ぎず、崩さず、全体のバランスを保つことを何より大切にしているとのこと。
「イメージして、探して、試す」
その積み重ねが、現在のスタイルを形作っている。
カスタム詳細
主なカスタムは以下の通り。
・Fork製アルミ鋳造ヘッドライトケース エンデューロフェイス(通称「鉄仮面」)
・フロント21インチ化
・タイから届いた正体不明ヴィンテージ風マッドフラップ(フライングKマーク)
・フロントフェンダー延伸(GPZ400R用スタビライザー流用)
・ハリケーン製トラッカーハンドル
・ワインのコルク流用バーエンド留め
・イージーライダース製マシンガンマフラー
・町工場製作フロントフォーク用パンチングパイプ
・ホームセンター調達の亀甲金網(エキパイ)
・他車用ドリルドスキッドプレート
・オーダー製タックロールシート(茶)
・Heiwa製タックロールシート(黒)
・タンク同色サイドカバー
・W400用キャリア(廉価版)
雨を避け、磨く。それが250TRの"味"になる
維持にあたって、特別に気をつけていることは多くないという。
『強いて言えば、雨ざらしにしないことくらいですね。』
出勤前には必ず天気をチェックし、濡れてしまった場合は、帰宅後すぐにタオルで拭き取る。
特に気を使っているのが足元だ。
『リムはピカッとしてるのが好きなので、そこは割とこまめに磨いてます。』
保管は建物内。その環境も、この250TRとの良好な関係を支えている。
苦労している点はほとんどないが、唯一の悩みを挙げるなら…
『楽しすぎて、ついついバイクにうつつを抜かし過ぎちゃうことです(笑)』
250TRが教えてくれた、等身大の楽しみ方
250TRは、特別に速いバイクではない。
最新装備が揃っているわけでもない。
それでも、通勤に使えて、
磨く時間さえも楽しく、
「次はどこをどうしようか」と考える余白がある。
『全体のバランスだけは崩さないように気を配ってきました。』
その言葉通り、この250TRにはオーナーの生活と気持ちに寄り添う距離感が、そのまま形になっている。
無理をしない。
背伸びをしない。
それでいて、確実に“自分の好き”が詰まっている。
40代で再びバイクに乗るという選択において、この250TRは、まさに最適解だったであろう。
Instagram「みんなの単気筒」
https://www.instagram.com/minnano_tankito
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