CB1000ホーネットの派生機種となるホンダの新型スポーツツアラー・CB1000GTが早くも日本国内で公開された。11月初頭に開催されたEICMA(ミラノショー)で世界初公開されたばかりのニューモデルだが、日本で乗れる日もそう遠くなさそうだ!
例えるなら2輪版ポルシェ・マカン

CB1000GT(以下GT)が公開されたのは、11月26日に開催されたホンダのメディア向けイベント「編集長ミーティング」の場。開発責任者である三木聡介さんと開発責任者代行の吉田昌弘さんが来場しサプライズ的に実車を公開、さらにプレゼンを展開してくれた。ここではその内容を要約してお伝えする。
GTの開発コンセプトはより速く、より遠くまで快適に到達できる「ハイパフォーマンスツアラー」。CBの持つ懐の深さ、欧州のタフな走行環境を視野に入れつつ、スポーツネイキッドの操る楽しみ、ツアラーの快適性や積載性、1000cc並列4気筒スポーツエンジンの官能的なフィールと卓越した動力性能など、多岐に渡る要素を1台にまとめ上げている。
ベースはCB1000ホーネットで、スーパースポーツ由来のハイスペックなエンジンと快適な運動性能を基に、幅広いシチュエーションで高レベルの走りを提供。さらに電子制御サスペンションを搭載し、ライダーとパッセンジャー双方に配慮したエルゴノミクスの適用と、ツーリングでの快適装備の充実を図っている。
大型ハイスピードスポーツの性能を開放する充実感は大切にしつつ、遠くの景色や空気を味わえ、ライディングの体験や喜びを拡大できる1台…と語る開発責任者の三木さんは「4輪ならポルシェ・マカンGTSのようなスポーツSUV」とGTを例える。直接的な競合車としてはヤマハのトレーサー9GTやスズキGSX-S1000GXを想定しているという。
軽快感を保ちつつ高速安定性を向上
まずは車体から。ツアラーとしての安定感と、スポーツネイキッドに劣らない軽快なハンドリングを追求し、重量配分やライディングポジションなどの最適化が図られている。
フレームはホーネットがベースのスチール製ダイヤモンドフレームで、スチール特有の快適かつ、粘りのある特性が幅広い速度域で安心感を演出。シートレールはアッパーパイプの延長、クロスパイプの追加など細部に渡って見直されており、重量増を抑えつつ剛性を最適化し、前後席の居住性を向上。専用のアルミダイキャスト製リアグリップの追加により、パッセンジャーの居住性も格段に上がっている。
ホイールベースはホーネット+10mmの1465mmと最小限に抑え、キャスター角はホーネットと同じ25度を維持しつつ、トレール量を98mmから+8mmの106mmに変更。スイングアーム長もホーネット比で+16mmの635mmとしており、軽快性を保ちつつ、積載時の高速安定性を向上させている。カウリング類などの装備を追加しつつ、車両重量は229kgと、ホーネット(STD)の+18kgに抑えられている。センタースタンドは標準装備だ。
ライポジはアップライト化による開放感ある視界の高さとし、自由度の高いライポジにより車体を操りやすい特性とする。シート高は825mmとホーネットより16mm高いが、シートクッション厚はホーネットに比べ、メインライダー側で15mm、パッセンジャー側で約40mmプラスとし、長距離走行時の快適性を向上。21リットルの専用燃料タンクにより、航続距離は340km以上を確保している。

センタースタンドを下ろせなかったため足着きは未確認だが、ライポジは上半身がほぼ直立するアップライトなもの。ステップはホーネットよりも前方かつ低いCB1000Fと共通パーツのようで、下半身も窮屈さのない設定だ(テスターは身長170cm・体重70kg)。
電制サスがワイドレンジな楽しさを実現
エンジンはホーネットをベースに、FIセッティングとスロットルバイワイヤのプログラムを見直し、特にスロットルの開け口をより滑らかにすることで長距離走行時の疲労を低減。出力/トルクはホーネット(STD)の152ps/11000rpm・10.6kg-m/9000rpmに対し、GTでは150ps/11000rpm・10.4kg-m/8750rpm(海外仕様の公表値)となっている。
足回りは様々な走行条件や積載状況に対応するため、アステモ(ショーワ)製の電子制御サスペンション・EERAを標準装備。6軸IMUなどから車体情報を基に前後サスペンションの減衰力を適宜調整し、幅広いシチュエーションで操る楽しさと快適な乗り心地に寄与している。
エンジンや足回りのセッティングを統合制御するライディングモードは、スタンダード/スポーツ/レイン/ツアー/ユーザーの5モードを設定。注目はツアーモードで、低速域では柔らかく扱いやすく、高速域では荷物をフル積載しても安定感のある味付けとするため、車速に連動して変化する減衰力を、他のモード以上に大きく変化させているという。ほか、電制面ではクルーズコントロールやクイックシフター、スマートキー、オートキャンセルウインカーなども装備されている。
スポーティさと機能を両立させたデザイン
デザイン面では、前方に突っ込んでいくようなダイナミックさを表現するため、先端をツノのように尖らせたスポーティなスタイリングを採用。フロント周りは見た目にはボリューム感があるものの、内側をトンネル構造とすることでフロント周りの圧力を抜くなど、エアマネジメントにも注意が払われている。
空力面ではCFD解析を駆使し、さまざまな走行条件下で最適なピッチング、ロール、ヨーモーメントを導き出すとともに、実走行でのライダープロテクション能力も評価を行っている。これにより、フロント周りをシャープなデザインでまとめつつ、高いプロテクション性能とニュートラルなハンドリングを両立させている。
可変式のスクリーンは片手で操作でき、5つのポジションを選択可能(調整幅は81mm)。オプションでハイスクリーンも用意されている。また、シート底板にプレコンシューマーリサイクル材、ウインドスクリーンに植物由来のエンジニアリングプラスチック「デュラビオ」を採用。リサイクル性にも配慮されている。
GTは、ホーネットやCB1000Fとエンジンやフレームの共用がありつつも、制御や装備を専用化することで「速く、より遠くまで快適に」を高いレベルで実現しており、ホーネットの着せ替えモデルではない、GT固有の価値を提供できると開発チームは自信を示す。すでに欧州では試乗会が開催され、高い評価を得ているという。
気になる日本での発売時期だが、現状では未定とのこと。と言っても撮影車両は日本仕様の市販予定車で、日本語のコーションマークが貼られており、近日中の正式発表を期待してもいいだろう。価格は競合に挙げられた2台(トレーサー9GT=159万5000円/GSX-S1000GX=205万7000円)から、装備面を鑑みて180〜190万円前後と予測する。
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