2021年に日本での販売を終了した後も、タイ向けに新車の生産と販売が続けられていたヤマハSR400。しかし、今年8月に現地でもファイナルエディションが発表され、SR400は完全にその生産を終えることとなった。そんな「本当に最後の新車SR」をタイで取材することに成功! 大量の撮り下ろしカットとともに、最後の試乗記をお届けしたい。

⚫︎ウエア協力:Kushitani Thailand

タイで販売が続いていた青春の単気筒

1978年に登場し、基本的な構成を変えずに43年間、その生産&販売が続けられていたヤマハSR400。2021年に「ファイナルエディション/同リミテッド」が登場したことで日本での販売は終了したが、各種規制が日本ほど厳しくないタイ向けには、新車の生産と販売が継続されていた。

 

しかし、タイでも2024年から排気ガス規制「Euro5」が導入されたことにより、SR400も排ガス規制の対象へ。今年8月にタイ仕様の「ファイナルエディション」が登場したことで、SR400はそのモデルライフを本当に終了することになった。

今回は現地のヤマハディーラーの協力により、タイ仕様のSR400ファイナルエディションをじっくり撮影し、かつ簡単ではあるものの試乗することも出来た。46年にもおよぶSRの歴史における、本当の本物の最終仕様のレポートをお届けしたい。

現地では140万円もする高級車

まず、タイにおけるSR400の立ち位置だが、ファイナルエディションの現地価格はSTDよりも3000バーツ高い29万8000バーツ(約140万円)。YZF-R3のタイ現地価格が20万8200バーツ(約100万円)だから、現地では高級車の部類に入る。ヘリテイジモデルの中でも人気の高いモデルだ。

今回、車両を貸していただいたのはバンコク市街地から少し離れたナワミンという場所にある「Yamaha Riders' club Kaset Nawamin」。店内は広く綺麗で、取り扱いモデルも大型モデルだけと、まるで日本のディーラーに来たような感覚になってしまった。

タイの主軸は125ccクラスのスクーターから、YZF-R3のような小排気量クラスということもあり、バンコク市街でもヤマハの大型モデルを扱っているのは2店舗ほどだが、近年はモトGP人気(ソムキアット選手のようなタイ人ライダーも登場したこと)も相まって、スポーツモデルも人気なのだそうだ。

車両撮影に協力いただいたYamaha Riders' club Kaset Nawaminとそのスタッフ。店舗の高級感に、現地における大型バイクのプレミアム性が感じられる。

プレミアム感抜群の初期型カラー

さて、さっそく貸していただいたタイ仕様のSR400ファイナルエディションにまたがってみる。筆者は1979年のSPと2013年の35周年モデル、そして2021年の国内仕様ファイナルエディションに試乗経験があるが、173cmのアベレージ日本人の私で両足ベタ着きなのはタイ仕様ファイナルでも同様だ。

ディテールに目を向けると、タコメーター内とガソリンタンクのシート近くにそっと書かれた「Final Edition」の文字が飛び込んでくる。このあたりは日本仕様ファイナルも同様だが、改めてSRが本当に終了してしまう哀愁を感じさせる。

タイ仕様となっても、スリムな車体によるSR400の足つき性の良さは不変。身長173cmで両足がかかとまで接地する。

メーターは1000台限定だった日本仕様のファイナルエディション・リミテッドと共通のブラック文字盤タイプを採用。タコメーター内に「Final Edition」の文字が入る。

 

とはいえ、それ以外に特に独自の変更点があるわけではなく、タイ仕様ファイナル最大の特徴は鮮やかなレッドの車体色だろう。取材車両は2色あるカラバリのうち、1978年の初期型SR500をモチーフとしたダークレッドメタリック。日本仕様ファイナルには設定されなかったカラーで、SRの最後を飾るにふさわしいプレミアム感がある。

ちなみにタイ仕様ファイナルのもう1色は日本仕様にも展開されたダークグレーメタリックだが、タイではレッドの方が人気があるという。取材時にはすでに3台ほど契約が決まっているとのことだった。

 

こちらはタイ仕様ファイナルエディションのもう1色、ダークグレーメタリック。こちらは日本仕様のファイナルにも存在した。

良好な始動性と軽やかな走行フィール

実際にエンジンを始動させてみる。SR名物のデコンプも装着されているが、インジェクションによる始動がスムーズでキック一発でかかってしまった。SR名物のデコンプも装着されているが、設計の古いビッグシングルとはいえ、そこは2025年の新車。日中の気温も高いことも幸いしたのか、借用中は問題なく一発で始動してくれた。

これはインジェクション化したSRシリーズと共通だろうが、アイドリングも国内仕様のFI車と同様で、低回転域でクラッチをつなぐと力強く付いてくるトルク感があり、新車のため4000rpmほどまでしか回さなかったものの気持ちよく走れてしまう。

日本仕様と変わらぬ、軽やかな走りを見せるタイ仕様SR400。エンジン始動も一発だった。

 

ちなみにタイのガソリン事情は日本とはやや異なり、91(ガオヌン)と呼ばれる、日本のレギュラーに近いエタノール10%混合の燃料と、95(ガオハー)と呼ばれるハイオクに近い燃料、さらにエタノールが20%混合しているE20(イーイーシップ)と呼ばれる燃料と複数がある。年式の新しい車種はE20に対応しているが、聞くと燃費はそこまで良くないらしい。

今回試乗したタイ仕様ファイナルには95が入っており、エンジンフィーリングは国内仕様のものとほとんど変わらなかった。違いがあるとすれば、アクセルオフした際のトルクの落ち方がやや緩やかで、減速ターンなどで扱いやすかったところだろうか。タイではバイクは高速道路を走れないため、常用範囲では問題ない感じだ。触媒付きのマフラーも、SRらしい低音とトコトコと歯切れのイイ音は健在だった。

タイでのSR400は日本のカスタムパーツや、ツーリングで楽しむユーザーも多いらしく、大切にされているという。残念ながらファイナルエディションとなってしまったが、その生産終了が惜しまれていること、そしてSRのようなネオクラシックモデルが再び登場するのを待ち望んでいるのは、日本だけでなくタイでも同様なのだ。

 

ヤマハSR400ファイナルエディション(タイ仕様)主要諸元[ ]内は日本仕様ファイナルエディション

・全長×全幅×全高:2085×750×1100mm
・ホイールベース:1410mm 
・シート高:790mm 
・車重:175kg
・エンジン:空冷4ストローク単気筒 OHC2バルブ  399cc
・最高出力:23.8hp[24ps](17.5kW)/6500rpm
・最大トルク:2.8[2.9] kg-m(27.8Nm)/3000rpm
・燃料タンク容量:12L
・変速機:5段リターン
・ブレーキ:F=ディスク R=ドラム
・タイヤ:F=90/100-18 R=110/90-18 

・価格:29万8000バーツ(約140万円)[STD:60万5000円/リミテッド:74万8000円

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コメント一覧
  1. 匿名 より:

    >近年はモトGP人気(トプラック選手のようなタイ人ライダーも登場したこと)

    モトGPのタイ人ライダーは「チャントラ選手」じゃないですか?

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