2005年のEICMAで最初のプロトタイプが発表されたドゥカティ「ハイパーモタード」が、デビューと同時に「ベスト・オブ・ショー」を受賞してから20年。2025年のEICMAで新型の「ハイパーモタードV2」と「ハイパーモタードV2 SP」で、「ハイパー」シリーズの歴史に新たな章を刻み始めた。
目次
V2エンジン+モノコックフレームで最新スペックに進化
第4世代となる「ハイパーモタードV2/SP」は、史上最高のハイパーモタードを目指して開発されている。そして、そのデザインは2005年のプロトタイプにインスパイアされ、その特徴的なデザインを現代的かつ斬新な解釈で再構築している。ダブルウィング形状のフューエルタンク、流線型のフロントエンド、テール下に配置されるデュアルエキゾースト、フローティングタイプのリアライトなどは初代1100のスタイリングを彷彿とさせ、一目でハイパーモタードと認識させることに成功している。
新型「ハイパーモタードV2/SP」は、先代の950と比較して13kg(SPは14kg)軽量化されている。フレームは近年のドゥカティらしいモノコックタイプへと変更され、120PSを発生するV2エンジンを搭載することで、史上最も軽量でパワフルなハイパーモタードとなった。
ハイパーモタードにマッチする軽量なV2エンジン
ドゥカティ史上最軽量の2気筒エンジンであるV2エンジンは、ハイパーモタードに最適なパワーユニットと言える。その重量は54.4kgで、従来のテスタストレッタ11°エンジンから6.42kg軽量化され、このセグメントでは他に類を見ないIVT可変吸気バルブタイミングシステムのおかげで、全回転域で十分なパワーを発揮し、スロットル操作に素早く反応する。
最高出力120.4PSを誇るこのV2エンジンは、歴代のハイパーモタードに搭載されたエンジンの中で最もパワフルなパワーユニットとなる。さらに重要なのは、最大トルク94N・mのうち70%をわずか3000rpmで発生するため、コーナーからの立ち上がりで圧倒的な加速を実現している。さらに、ギア比の最適化と各ギアでのトルク向上により、「ハイパーモタードV2/SP」は従来モデルよりも速く、レスポンスに優れている。そして、バルブクリアランス点検は45000kmごととなり、A2ライセンスに対応した35kWバージョンも用意されている。
進化したデザインとポジション
新型「ハイパーモタードV2/SP」のフロント周りのデザインは、非常にアグレッシブでモダンな印象に仕立てられている。ヘッドライトとその周辺エリアの表面処理により、ライトユニットの輪郭がほとんど見えないようになっている。LEDヘッドライトにはDRL(デイタイムランニングライト)が装備されており、中央のリフレクターを囲むように特徴的な「ダブルC」形状を描き出し、ハイパーモタード698モノとのファミリー感を演出している。
ライディングポジションはスーパーモタードそのものであり、幅広のハンドルバー、スリムな車体、そして軽量であることで優れた操作性を実現している。パニガーレV4からインスピレーションを得たシートとサイドパネルの表面加工は、グリップ力とバイクとの一体感を高めている。
SPバージョンはこれらの感覚をさらに増幅させ、より俊敏で軽量、そしてレスポンスに優れた走りを実現。さらに、先代の「SP」モデルと比較して最低地上高を低く設定しながらも、サーキット走行時のバンク角を損なうことなく、増大したトルクを路面に効率的に伝えることができ、安定性とライディング精度が向上している。
シート高は標準で880mmだが、サスペンションのローダウン化と、ドゥカティパフォーマンスアクセサリーとして用意されている複数のシートサイズにより、幅広い身長のライダーに対応できるよう設計されている。
最新のモノコックシャーシを採用し、SPにはオーリンズ+鍛造ホイールを装備
ハイパーモタード専用に開発されたモノコックフレームは、エンジンを構造要素として統合し、エアボックスとしても機能することで、最大限の軽量化とコンパクト化を実現。スチール製のリアサブフレームは初代ハイパーモタードを彷彿とさせ、パニガーレV4のスイングアームからインスピレーションを得たアルミニウム製両持ち式スイングアームは、高い剛性と特徴的なデザインを両立させている。
サスペンションはスタンダードバージョンがアジャスタブルタイプのKYB製、SPバージョンには48mm径インナーチューブのNIX30フォークとSTX 46ショックアブソーバーというオーリンズ製のフルアジャスタブルサスペンションを装備。路面の微細な凹凸をより効果的に吸収しながら、スポーティなライディングに必要なブレーキングサポートを提供することで、より洗練されたレーシングライクなハンドリングを実現している。また、両バージョンともにザックス製ステアリングダンパーを装備している。
スタンダードバージョンには、フロント120/70、リア190/55サイズのピレリ・ディアブロロッソIV+鋳造軽合金ホイールを採用。SPバージョンには、1.56kg軽量化された鍛造アルミニウムホイールが採用され、慣性モーメントを低減して俊敏性を向上させるとともに、走行ラインの精度も高めている。タイヤはピレリ・ディアブロロッソIVコルサが装着されているが、サーキット走行用には180/60サイズのピレリ・ディアブロスーパーバイクスリックタイヤ、または190/60サイズのスーパーポーツタイヤも選択可能だ。
ブレーキは両バージョンともに、320mm径のフロントダブルディスクを備えたブレンボ製ブレーキシステムを搭載。スタンダードバージョンにはM4.32モノブロックキャリパーとPR18/19ラジアルマスターシリンダーが、SPバージョンにはM50キャリパーとPR16/21マスターシリンダーが採用され、サーキットでの優れたパフォーマンスを発揮する。
その性能を完璧に使いこなすための電子制御
新型「ハイパーモタードV2/SP」には、6軸慣性計測プラットフォームをベースとした最新のエレクトロニクスパッケージが搭載される。このシステムは、ロール、ピッチ、ヨーをリアルタイムで検知し、コーナリングABS、DTC(ドゥカティトラクションコントロール)、DWC(ドゥカティウィリーコントロール)、EBC(エンジンブレーキコントロール)といったあらゆる制御を迅速かつ正確に、そして緻密に制御する。これらの各制御は、複数の介入レベルに調整可能で、あらゆる状況に対応可能。スポーツライディングでのパフォーマンスを重視したり、低グリップ路面での安定性と安全性を高めたりするなど、状況に応じて最適な設定を選択できるようになっている。これらの各制御の動作パラメーターは、「レース」、「スポーツ」、「ロード」、「ウェット」という4つのプリセットライディングモードに連動しており、状況に応じてハイパーモタードV2の挙動を変化させる。また、これらのモードをカスタマイズして、自分のライディングスタイルに合わせた設定にすることも可能となっている。
すべての情報は新しい5インチTFTダッシュボードに表示され、左側のスイッチボックスにある新しい「ペタル(花びら)」型ジョイスティックで選択可能な「ロード」、「ロードプロ」、「トラック」という3つのモードが用意される。各モードは、それぞれの状況で最も重要な情報を表示することで、視認性を最大限に高めており、「ロード」と「ロードプロ」ではロードライディングに最適な情報が表示され、「トラック」ではトラック走行に必要な情報に重点を置き、パニガーレV4と同様に各制御の介入レベルをリアルタイムで表示する。
伝統であったスチール製トレリスフレームは失われたが、最新のV2エンジン、モノコックフレーム、電子制御を備えた2026年型「ハイパーモタードV2/SP」は間違いなく史上最強の「ハイパーモタード」と言える。この魅力的な新型「ハイパーモタードV2/SP」は、2026年4月にヨーロッパで発売予定となっており、北米市場では2026年5月、日本とオーストラリアでは2026年10月に発売予定と発表されている。
ハイパーモタードV2/SP主要諸元(2026)
・ホイールベース:1514mm
・シート高:880mm
・車両重量(燃料を除く):180kg/177kg
・エンジン:水冷4ストロークDOHC4バルブV型2気筒890cc
・最高出力:88.5kW(120.4PS)/10750rpm
・最大トルク:94N・m(9.6kgm)/8250rpm
・変速機:6段リターン
・燃料タンク容量:12.5L
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=120/70-17、R=190/55-17
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