10月29日から開催されている「ジャパンモビリティショー2025」にて、カワサキが世界初公開を果たした2026年新型「Z900RS」。これにスペシャルカラーを採用した「Z900RS Black Ball Edition(ブラックボールエディション)」が、新型と同時に発表された。装備や仕様は2026年型に準じつつ、全体をブラックアウトした「黒玉虫」仕様となる。

電スロ、クイックシフター、クルコン、IMUでモダナイズを遂げた新型Z900RS

カワサキが2017年からラインナップしている大型ロードスポーツ「Z900RS」は、かつての「Z1」をモチーフとしたコンサバティブなスタイルをそのまま、ストリートファイター「Z900」と設計を共有する最新のパワーユニットを備える、いわゆる「ネオレトロ」の旗手となっているモデルだ。登場から一貫して大型二輪クラスの新車売り上げ数トップを維持する圧倒的な人気は、8年を経た現在も継続中だ。

今回、モビリティショー2025会場にて発表された新型Z900RSは、これまで同様のシルエットは維持しつつ、エンジン、電制を中心に大きなアップデートを受けた。水冷並列4気筒948ccエンジンには新たに電子制御スロットルバルブを採用、これに合わせて吸気ファンネル、カムプロフィール、ECUの設定も見直されている。これによって従来のワイヤー式同様のダイレクトな操作感を維持しつつ、新たにアップ/ダウン対応のKQS(カワサキクイックシフター)、クルーズコントロールの装備が可能になった。エンジンパワーも変化しており、高回転域のパフォーマンス、最高出力の向上も達成している。

発表された新型Z900RS。モビリティショー2025にはSE、CAFEの2モデルが展示された。

EURO5+適合に合わせ刷新されたエキゾーストシステム。従来よりもロングになった。

さらに排ガス規制(EURO5+)への適合に合わせ、エキゾーストシステムも全面的に刷新。エキゾーストパイプは形状を見直し、前方へ張り出しの強いレイアウトとなった。さらにプリチャンバーの小型化、サブ触媒の追加を受け、デザイン的にも変化を見せている。ただし、最もわかりやすいのは集合部分に装着されたセンサー、そして70mm延長されたサイレンサーだ。サイレンサーは内部構造も改良されているほか、エンド部分が従来のスラッシュカットからフラットな形状に見直されており、テール周りの印象を変えている。

また、これまでシンプルに設定されていた電子制御は全面的に強化を受けた。KCMF(カワサキコーナリングマネジメントファンクション)パッケージの採用により、トラクションコントロール、ABSを新搭載するボッシュ製6軸IMUがコントロール。これまで以上に緻密な姿勢制御が可能になっているほか、コーナリング時のトレイルブレーキング、急激な路面変化にも対応する安定した減速を可能とするABSの高度な制御も備えた。

ポジションも見直されており、従来よりもコンパクトなハンドルとなっている。

車体、装備品の基本設計は従来通りだが、操作系にはより低くコンパクトなポジションを狙ったナローハンドルを新装備。50mm内側、38mm下方に移動したグリップ位置によって、小柄なライダーにも快適な姿勢に進化した。さらにシートはERGO-FITローシートを標準装備し、シート高が810mmに。ローシートと言いつつ従来よりも10mm上がっているのだが、タックロール形状、ウレタンの配置を見直したことで沈み込みが向上。足つきは従来とほぼ同等だ。

そして新機能として、スマートフォン連携機能を新たに採用している。ただしメーターのレイアウトは従来通りのアナログ2眼ながら、接続用ユニットは車体に収められており、コクピットの外観は変わっていない。このスマホ連携によって「RIDELOGY THE APP MOTORCYCLE」アプリから、残燃料、オドメーター、メンテスケジュールなどの車両情報を確認できるほか、GPSによるライディングログの記録、電話、メールの着信通知、ナビ機能、音声コマンド機能といった、幅広い機能を利用することが可能となった。

新採用するスマホ連携機構。バイクの情報をスマホでチェックできるほか、ログ取得も可能だ。

新装備の一覧

・【新採用】ETV(電子制御スロットルバルブ)
・【新採用】KQS(クイックシフター)
・【新採用】クルーズコントロール
・【新採用】IMU(慣性計測装置)
・【新採用】KCMF(コーナリングマネジメントファンクション)
・【新採用】インターナルカットキー
・【新採用】スマホ連携機能
・【新採用/SEのみ】USBタイプC
・【新採用/SEのみ】ドライブレコーダー

・【従来から】ABS
・【従来から】KTRC(トラコン)
・【従来から】サウンドチューニング
・【従来から】A&Sクラッチ

新型オリジナルカラー「ブラックボールエディション」はZ1オマージュをちりばめた大人向けグラフィック

大幅なアップデートを受けた新型Z900RS、モビリティショー会場では上級装備の「Z900RS SE」、カウルを備えた「Z900RS CAFE」がそれぞれ展示され、いずれも2026年2月発売がアナウンスされた。これらと同時に登場する仕様「ブラックボールエディション」は、外装仕上げにこだわりの詰め込まれたスペシャルカラーとなっている。

この仕様、外装はSTDに準じつつ、一見するとオールブラックに見える仕様ながら、ソリッドブラックのベースにメタリックなファイアーボールパターンを描き、おなじみ「火の玉」スタイルとなっているのが特徴だ。これまでも「50thアニバーサリー」「イエローボールエディション」とした、「火の玉」バリエーションの特別仕様はラインナップされてきていたが、グロス仕上げのブラック一色という落ち着いたパターンは前例がない。また塗装のみならず、メーターやヘッドライト、ブレーキ&クラッチレバー、フェンダーステー、ラジエーターシュラウド、前後ホイールといったディテール部分に至るまでがブラック仕上げに統一されているのもポイントだ。

ブラックアウトされた特別仕様「ブラックボールエディション」メッキやシルバーだったパーツもブラックに統一。

さらにサイドカバーのエンブレムは「Z1」同様の「DOUBLE OVERHEAD CAMSHAFT」となっており、またエンジンの左右カバーにも「DOHC」のアルミ製エンブレムを装着。Z1を濃厚にオマージュしているのも、「Z」シリーズのファンにとっては嬉しいディテールだ。

エンブレムは「Z1」同様のものに。落ち着いた大人向けのスタイルとなっている。

そんななブラックボールエディション、価格は152万9000円で、従来のSTDモデルからは4万4000円のプラス。新型「SE」は183万7000円、「CAFE」が154万円となっているところからは割安の設定だ。発売はいずれも2026年2月が予定されている。

Z900RS Black Ball Edition(2026)

発売日:2026年2月
メーカー希望小売価格:152万9000円

エボニー【新色】

Z900RS Black Ball Edition(2026)エボニー

Z900RS Black Ball Edition(2026)主要諸元

後日発表予定

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