ホンダは今春のモーターサイクルショーで公開し、往年のCB750Fの復活として話題となったCB1000Fと、その豪華仕様のCB1000F SEを11月14日に全国のホンダドリームで発売する。価格はSTDが139万7000円、SEが159万5000円。年間の販売台数は5000台を予定している。

ベースのホーネットとは意外なほど違う

今年春の大阪&東京モーターサイクルショーで「CB1000Fコンセプト」として発表されて以来、大きな話題を巻き起こしてきたCB1000Fがついに正式発表された。価格と発売時期はSTDが139万7000円/11月14日、ビキニカウルやグリップヒーターなど豪華装備版のSEが159万5000円/2026年1月16日となっている。

SC77型CBR1000RR系のエンジンを積むCB1000ホーネットをベースに、1979年に登場したCB750Fを彷彿させる外観をまとい…といった情報は既に各方面で報じられているので、ここでは改めて判明した内容をメインにお伝えしたい。

ホンダ CB1000F(139万7000円)

ホンダ CB1000F SE(159万5000円)

エンジンは吸排気カムを変更

CB1000ホーネットからカムシャフトを変更し、バルブタイミングとリフト量をCB1000Fに最適化。最高出力は124ps/9000rpm・10.5kg-m/8000rpmで、ホーネット(排気デバイスのないSTDで152ps/11000rpm・10.6kg-m/9000rpm)より28psダウンさせつつ、CBに適した低中速重視の出力特性を再構築している。

注目は左右2気筒ごとにバルブタイミングを違えていることだ。これは2010年に発表された、空冷4気筒のCB1100で初採用されたもので、各気筒ごとの最適な燃焼効率はキープしつつ、キャブレター車のような適度なバラつき感を演出できる技術。新設計のエアファンネルとともに、鼓動感のある重厚な排気音にも貢献しているという。

さらにトランスミッションは1〜3速をショート化し(ホーネット:2.285/1.777/1.500 CB:2.642/1.941/1.583)、駆動力を高めるとともに低速時の扱いやすさを向上。1次減速比の1.717は共通だが、2次減速比はホーネットの3.000に対し2.812とロング方向に振られており、高速巡航時のエンジン回転抑制にも配慮されている。

CB1000ホーネットをベースに、カムシャフトとトランスミッションが変更されたCB1000Fのエンジン。76mm×55.1mmのボア×ストロークや11.7の圧縮比などは共通だ。

152psのSTD(134万2000円)と、158psを発揮し、排気デバイスやオーリンズ&ブレンボを装備するSP(158万4000円)の2グレード体制となるCB1000ホーネット。写真はSTD。

CB1100の位相バルブタイミングのイメージ図。1/2番に対し、3/4番の吸気カムのみバルブの閉じ終わりを遅らせている。

カムなどの変更で、低回転から高回転まで谷のないスムーズな出力特性を獲得。どんなスピード領域でも扱いやすい。

トラコンはIMU装備の上級バージョンに

CB1000ホーネットのトラクションコントロールは、前後輪の回転差を元に制御するスタンダードなタイプだが、CB1000Fでは車体姿勢を検知する6軸IMUを追加。より緻密かつ精度の高い制御が可能な、最新スーパースポーツレベルのトラクションコントロールを得ている。さらにコーナリングABSも装備された。

これを支える足回りは、フロントに倒立式&フルアジャスタブルのショーワ(アステモ)製SFF-BPを採用。リヤは分離加圧式のシングルクッションだが、リンクレシオはCB1000F専用とされてホーネットと差別化しており、素直で軽快なハンドリングと乗り心地のよさに寄与しているという。

その他、スチール製のダイヤモンドフレームはホーネットを踏襲しつつ、シートレールを専用設計(=ホーネットよりも角度を下げる)してタンデム性や積載性を向上させている。しっかりと広くフラットなタンデムシートや、大きく存在感のあるテールカウルは、小尻のモダンなヘリテイジモデルとは一線を画す、CB1000Fならではの個性と言える。

ブレーキはフロントが310mm径のダブルディスク+ラジアルマウントの4ポッドキャリパー、リヤが240mm径ディスク+1ポッドという組み合わせ。キャリパーは前後ともニッシン(アステモ)製だ。このあたりはCB1000ホーネットのSTDを踏襲している。

ホーネットとほぼ共通の構成とされるフロント周り。前後のサスセッティングはホーネットよりもかなり柔らかい。

リンクをCB1000F専用としたリヤサスペンション。リヤショックはプリロードと伸び側減衰力の調整を持つようだ。

リヤシートはフラットで面積も広く、タンデム&積載性は高そう。ちなみにリヤフェンダーとシート底板にはリサイクル材を使用し、省資源化にも取り組む。

写真はホーネットのフレーム。CB1000Fはシートレールの取り付け角度を変え、リヤ上がりのフォルムを修正しているようだ。

豪華装備版のSEは単色

エンジン始動はスマートキー式。メーターは5インチのフルカラーTFT液晶で、スマートフォンと接続し音楽再生やナビアプリの操作ができるHonda RoadSyncを標準装備する。

さらにエンジン特性やトラクションコントロールを選択可能なライディングモードも装備。この詳細は未発表だが、編集部がプロトタイプで確認した際は3モード(+ユーザー設定2モード)で、エンジン特性/エンジンブレーキ/トラクションコントロールの3つが連動して変化する設定だった。

ハンドルはクランプ部が太いテーパーバーを採用。写真はSEでグリップヒーターやビキニカウルを装着する。タンク容量は16L。

プロトタイプで確認した限りでは、走行モードはスポーツ/スタンダード/レインの3つに、ユーザー設定モードが2つの計5モード。

キーオンすると「CB1000F」のアニメーションが流れる(左上)。メーターのビジュアルは3種を選択でき、背景色も白と黒がセレクト可能。ちなみにレッドゾーンは10000rpm〜で、これはホーネットよりも1500rpm低い。

 

車体色は従来からの情報どおり「ウルフシルバーメタリック(ブルーストライプ)」「ウルフシルバーメタリック(グレーストライプ)」「グラファイトブラック」の3色設定。これらは1980年代にAMAスーパーバイクレースなどのレースシーンで活躍したCB750F、および初代CB750Fのカラーリングがモチーフとのこと。

ちなみに上級仕様のCB1000F SEはスペンサーカラーと通称される、ウルフシルバーメタリック(ブルーストライプ)のみの設定。このSEはヘッドライトカウルに加え、ラジエーターグリル、グリップヒーター、クイックシフター、専用カラーステッチシートを装備して、STDプラス19万8000円の159万5000円。これらのパーツは個別に純正アクセサリーでも設定されている。

CB1000F・ウルフシルバーメタリック(ブルーストライプ)

CB1000F・ウルフシルバーメタリック(グレーストライプ)

CB1000F・グラファイトブラック

CB1000F SE・ウルフシルバーメタリック(ブルーストライプ)

SEはビキニカウルの他にラジエーターグリル、グリップヒーター、クイックシフター、専用カラーステッチシートを装備する。

最強ライバル・カワサキZ900RSと机上比較

ここまではホンダの公式情報を元にお伝えしたが、この先は誰もが気になる「最強ライバル」カワサキZ900RSとの机上比較をお伝えしていこう。

まず、ホンダがZ900RSを激しく意識しているのは明白で、MCショーでの発表時も「(Z900RSの価格は)意識せざるを得ない」と開発陣も語っている。CB1000Fの値付けにはその言葉がしっかり反映されていて、同排気量帯のライバルにも拘らず、8.8万円安い価格をホンダは実現している。CBとZの全グレードを価格順に並べてみよう。

  • CB1000F=139万7000円
  • Z900RS=148万5000円
  • Z900RS Cafe=151万8000円
  • Z900RS イエローボールエディション=156万2000円
  • CB1000F SE=159万5000円
  • Z900RS SE=170万5000円

オーリンズ&ブレンボのZ900RS SEはともかく、CBはSTDとSEでZ900RSの他グレードを挟み込む。130万円台の価格で目を引いて、もっとイイのが欲しいならSEがあるよ…と、そんな戦略だろうか。続いて購入時に気になる他のスペックも比べてみよう(STD同士での比較。赤がCB)。

  • シート高=795mm/800mm
  • 車両重量=214kg/215kg
  • 排気量=999cc/948cc
  • 最高出力=124ps/9000rpm/111ps/8500rpm
  • 最大トルク=10.5kg-m/8000rpm/10.0kg-m/6500rpm
  • タンク容量=16L/17L

カワサキを下回る点などあってはならぬ! という、ホンダの意地が伝わってくる数値だ(笑)。2018年にデビューして以来、7年連続で大型バイクのトップセールスに輝くZ900RSに対し、ホンダはこれまで対抗できる玉がなかったというのが正直なところ。CB1000Fの年間販売計画・5000台はほぼZ900RSの年間販売数に匹敵する数字で、こんなところにもカワサキへの対抗意識が見え隠れする。

とはいえ、Z900RSはまだユーロ5+規制に適合していないため、早ければ今秋にも新型が登場する可能性がある。好評の外観に大きな変更はないだろうが、今春にはベース車のZ900が電子制御スロットルやクイックシフター、クルーズコントロールやIMUなどを装備するモデルチェンジを行っているため、この内容を踏襲してくる可能性もあるだろう。

ホンダはCB1000F/SEを、10月29日から開催されるジャパンモビリティショー2025で展示する予定。ひょっとしたら同じ会場でカワサキもサプライズ、なんてことがあったりなかったり…するかもしれない?!

CB1000F(139万7000円)

Z900RS(148万5000円)

Z900RS CAFE(151万8000円)

Z900RS YELLOW BALL EDITION(156万2000円)

CB1000F SE(159万5000円)

Z900RS SE(170万5000円)

 

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コメント一覧
  1. 匿名 より:

    https://news.webike.net/gallery3/493073/493135/
    コレ曲げたヤツ下手糞過ぎるだろ?よくNG食らわなかったな?
    シワは入ってるしクランプ強過ぎ。大して難しい材料でも曲げRでもねえじゃんか・・・。
    409か436だろ?でボスのあるモナカ側を曲げ終わりにしてる。なのにコレ・・・。
    よっぽど傷んだロール使ったん?

  2. 匿名 より:

    そりゃわざわざ砲弾型のメーターを作ったバイクと、スマホそのまま乗っけたようなメーターかで掛かってるコストが違うだろ。

    その他に部分にしてもZ900RSの方がコスト掛かってるだろうからその分値段に響いてくるだろうな。

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