中国・重慶ショーで登場し、話題沸騰中のホンダCB500SF。Webikeプラスでも大注目の機種だけに「作れる記事は全部作る!」という意気込みで取り組んでいる。というわけで速報/足つき性に続く第3弾の記事は従来型CB400SFとの比較をお届けしたい。

〈デザイン〉意外なことに“初代”に似てる?

CB500スーパーフォア

 

新型CB500SFを見て誰もが感じるのは「まとまりの良さ」だろう。一見してCB-SFと分かる好バランスを持ちつつ、倒立フォークやモノサス、液晶メーターといった近代的な装備で2025年モデルらしいモダンさも兼ね備えている。細かな部分ではリムを角張らせたLEDヘッドライトなども丸目ながらクラシックに寄せすぎない絶妙な処理だ。マフラーを除くとクロームメッキパーツをほぼ廃しているのもモダンな印象に貢献しているはず。

そんな中で“CB-SF感”に大きく貢献しているのが、左右にグッと張り出したボリューム感たっぷりの燃料タンク。しかし従来型CB400SF(NC42)と比べるとシルエットは微妙に変化しているのが興味深い。真横から見ると、NC42はタンクの頂点(=最も高さのある部分)が給油口の前にあり、そこからタンク後端へなだらかに下降していくのに対し、新型のタンク頂点は給油口の後方にあり、ちょっとクラウチング姿勢を取ったようなシルエットとなっているのだ。

このタンクのシルエットはNC42よりも、1992年に登場した初代CB400SF(NC31)に近いもので、デザイナーはCB-SFらしさをNC31に求めたのでは? などと想像できる。ただしニーグリップ部分のえぐりを見比べると、新型はパキッと折ったかのようにプレスラインのエッジが立っており、非常にシャープで近代的。こうした造形は2018年に登場したCB1000Rの燃料タンクなどを彷彿させるもので、NC31や42の時代には採用できなかった、近年のプレス成形技術ありきの造形と言えそうだ。

新型CB500スーパーフォア。燃料タンクは下部のラインがフレームの角度に綺麗に沿っており、車体全体で見た場合の一体感も高い。

2022年に生産終了となった従来型CB400SF(NC42型)。

そして1992年に登場した初代CB400SF(NC31)。3車の燃料タンクのシルエットに注目して欲しい。

赤い矢印が3車を真横から見た際の燃料タンクの頂点部分。新型は給油口の後部なのに対し、NC42はその前に、NC31では給油口あたりに頂点がある。タンクの上下の厚みも新型はNC31に通じるボリューム感があり、ニーグリップ部のプレスラインも他2車より鋭い点に注目。

2018年に登場したCB1000Rは、エンジン外観の凝った切削やアルミ製のラジエターカバーなどで高い質感を追求。燃料タンクも抑揚に富んだ造形とされており、ニーグリップ部のプレスラインもかなり鋭い。

エッジの立ったプレスラインにより、CB500SFの燃料タンクはシャープな硬質感がある。

 

こうしたエッジを尖らせた処理はテールカウルでも反復されており、全体的なシルエットはNC42と似ているが、新型では鋭いエッジにより、上下の面をNC42よりも明確に分断している。上面の面積をNC42よりも減らしているのは、シュッとした今風の小尻に見せる意図だろうか。とはいえタンデムシートの面積はかなり広く、グラブバーを固定できそうな穴もあり、積載性はなかなかに高そうだ。

テール周辺でいうと、丸目2灯となったテールランプは従来型から大きく変化した点。近年のホンダ車ではあまり見ない意匠で、これによってリヤビューはかなりスポーティな印象を得ている。とはいえ従来型CB400SFのテールランプは四角いレンズ内に2つの電球を仕込み、点灯時は丸目2灯に見える処理とされていたから、それを発展させたデザインと言えるかもしれない。

このテールカウルとタンクを繋ぐサイドカバーは、車名ロゴの色使いなどにNC31へのリスペクトを感じさせるもの。ただしデザイン的にタンクとの連続感は薄く、仮にNC42のようなボディカラー同色にすると全体のバランスは崩れそう。タンクやテールカウルの造形を引き立てるための、影武者的な外装パーツと言えそうだ。

新型CB500SFのテールカウル。真横から見ると青いラインが入る上側の面は狭め。グラブバーが固定できそうな穴(蓋はされているが)やサイドカバーの造形にも注目。

NC42のテールカウルは、真横から見ると上下の面がほぼ同一の比率。サイドカバーはボディ同色としても違和感のないデザインだ。

CB500SFのテールランプ。NSR250RやCBR400RRといった前例はあるが、近年のホンダ車では少ない丸目2灯のデザイン。

とはいえ、NC42のテールランプはレンズ自体は角形だが、内部に2灯を仕込んだ擬似丸目2灯的なデザインだった。

「SUPER FOUR」を赤い文字としたCB500SFのサイドカバー。タンクグラフィックの「SF」も新鮮な処理。

NC31のサイドカバーは「PROJECT BIG-1」の文字を赤く処理。CB500SFはこの意匠を踏襲している?

〈エンジン〉美しいエキパイの引き立て役?

エンジンに関しては、現状の公式情報は502ccという排気量やDOHC4バルブの弁配置、6段ギア、電子制御スロットル採用といった程度しかなく、ボア・ストロークや圧縮比といったデータは未公開。気になる最高出力やトルクも発表されていない(重慶ショーの現場では80psなどと噂されていたが)。

というわけで外観から分かる従来型CB400SFとの違いだが、吸気方式がサイドドラフトからダウンドラフトとなり、さらにクランク/メイン/カウンターの主要3軸は従来型の同一面上から、トライアングル状に配して前後長を短縮する現代多気筒エンジンの定番と言える構成に。さらにセンターカムチェーンからサイドカムチェーンとなったことでシリンダーヘッドの左右面は非対照となっている。

後述するEクラッチを除けば目新しいメカは少なさそうで、最大の見せ場は往年のヨンフォア(=CB400フォア)風の流麗なエキゾーストパイプかもしれない。どうしても外観的な見せ場が少なくなりがちな水冷エンジンだけに、この排気系は車両全体の存在感に非常に効いているし、CB400フォアから連なる「ミドル4気筒CB」の正統継承者というストーリー性も訴求できる。オイルフィルターをエンジン前面から底面に移動させたのも、このエキパイをスッキリ見せる意図があるのかもしれない。

ダウンドラフトやサイドカムチェーン、トライアングル配置の主要3軸など、現代流の構成とされたCB500SFのエンジン。オイルパンの後ろにカートリッジ式オイルフィルターが見える。

従来型CB400SFのエンジンは1986年のCBR400R(NC23)を起源とする。オイルフィルターはクランクケースの前面に配置。

CB500SFエンジンのシリンダーヘッド左側は、カムチェーンがないことで小ぶりな印象に。

従来型はセンターカムチェーンのため、シリンダーヘッドは左右ともに基本的に同形状。

「4気筒らしさ」を強調するエキゾーストパイプ。その背後のエンジンもオイルフィルターの移設などでスッキリしており、エキパイの造形美を引き立てる。

カフェレーサールックや量産車初の4in1集合マフラーを装備し、1975年に発売されたCB400フォアはホンダ400cc4気筒の元祖。「おお400。」のカタログコピーはあまりにも有名だ。

 

ヨンフォア風のエキパイというと兄貴分のCB650Rも同様だが、CB500SFのエンジンはこの650系に外観の雰囲気がよく似ている。ひょっとしたら650の排気量ダウン版? と思うかもしれないが、650系はシリンダーがアッパークランクケースと一体化しており、シリンダー別体式のCB500SFとは別系統と考えていいだろう。

ちなみに今後登場する400cc版だが、ボアを縮小するのか、ストロークを縮小するのか、その両方なのかは全く不明。同一設計で500ccと400ccを設定する例として、ホンダにはCBR400Rやレブル500などに搭載される水冷2気筒が存在するが、こちらは10.2mmのストロークの違いで471ccと399ccを作り分けている。何事もこうした前例を踏襲するのがやりやすいはずだが、CB500SFがわざわざシリンダーを別体型としたのは、ボア径を違えて排気量を作り分けているのかも…などと勘ぐりたくなる?

現行型のCB650R(Eクラッチ車)。シリンダーヘッド周辺の雰囲気はCB500SFとの近似性を感じさせる。ちなみにヨンフォア風のエキパイは先代型となるCB650F(2014年登場)から採用される。

650系の初代となるCB650Fのシリンダー。アッパークランクケースと一体型だ。

CB500SFのシリンダーはケースとは別体の独立型。400cc版との作り分けに関係がある?

〈Eクラッチ〉搭載を感じさせない外観の“第二世代”

CB650R/CBR650Rやレブル250では、エンジン右側面のクラッチカバーに被せるようにEクラッチの作動ユニットを装着していたが、CB500SFはこれをクランクケースの上へ移動。おかげでエンジン右側面は通常のMT車となんら変わらず、左側面もドライブスプロケット上に部品があるもののジェネレーターカバーとはほぼツライチで、Eクラッチ化による左右方向の張り出しはほぼ皆無とされている。

さらにEクラッチ車として初の電子制御スロットルが組み合わされるのも注目点。従来のEクラッチ車はシフトダウン時のエンジンブレーキを半クラッチ制御で逃がしていたが、CB500SFではブリッピングによる回転合わせを行うとアナウンスされており、あらゆる面でより緻密な制御が投入されているはず。目立ちにくい搭載方法も含めて「第二世代Eクラッチ」にふさわしい熟成を遂げているはずだ。

ほかにトラクションコントロール(HSTC)や5種類のライディングモードの装備など、電子制御面もしっかりアップデート。メーターは5インチのTFTカラー液晶で、従来型のような指針式を求める日本のユーザーの気持ちもわからなくもないが、スマホ連動機能のホンダロードシンクが搭載されるなど機能的には格段に進化した。やや高めのポストにマウントされたハンドルバーはテーパータイプが採用されている。

CB500SFのEクラッチユニットはクランクケース上に配置。ドライブスプロケットカバー上にもクラッチワイヤーのレリーズなどを配しているようだが、それでもジェネレーターカバーとツライチ程度の幅に収まる。

CB650RのEクラッチはエンジン右のクラッチカバーに被せるように置かれ、通常のMT車よりも幅が増している。

この配置はEクラッチ搭載の第二弾で、作動ユニットを650と共用するレブル250のEクラッチ車でも同様。

 

CB500SFのハンドルまわり。やや高めのポストでテーパーハンドルがマウントされる。メーターは5インチのTFTカラー液晶。

〈車体〉剛性を積極的にコントロールか

フレームは近年のスポーツモデルの定番と言えるスチール製のダイヤモンド型で、ホンダの4気筒車ではCB650RやCB1000ホーネットなどが採用している。このフレームレイアウトは従来型CB400SFが採用するダブルクレードルに対し、ダウンチューブが省けるため軽量化が可能で、エンジンをつっかえ棒のように利用することで車体剛性も高めやすく、ダイレクトな操縦性を獲得しやすい。

その反面、しなりやたわみといった剛性バランスを作り込む余地は減る方向にあるが、CB500SFではシリンダーヘッドとの接続部にプレートを噛まして締結剛性を下げるなど、剛性バランスを作り込んだと思しき痕跡が散見される。従来型CB400SFはダブルクレードルの真骨頂と言えそうな、しなやかな走りが大きな魅力だったが、CB500SFもそうした“味”を追求しているのは間違いない。

CB500SFはフレーム形態を従来型CB400SFのダブルクレードルから、ダウンチューブのないダイヤモンド型へと変更。

CB400SFのダブルクレードルフレーム。エンジンをパイプで取り囲んでおり、エンジンが車体の動きにわずかに遅れて追従するような、ゆったりした操縦性を得やすい。

ダイヤモンド型フレームの例。写真はCB750ホーネットで、ヘッドパイプとスイングアームピボットを直線的に繋いだシンプルな形態。操縦性はダイレクトな方向となる。

フレームとエンジンの締結部にボルト固定のプレートを介し、意図的にこの部分の剛性を下げたと思われるCB500SF。フレームの内側にプレートを配せば見た目はさらにスマートだったかもしれないが、それも踏まえた上での剛性コントロールだろうか。ともあれ、このプレートの形状やボルトの締結トルクなどが「CB500SFの味」を産んでいるのは間違いない。

 

また、諸元が未公開なので推察にはなるが、前後長短縮が目的と思われるエンジンの構成変更に伴い、スイングアームもロング化されているように見える。ホイールベースが同じなら、ロングスイングアームは前輪荷重の増加やトラクション性能の向上など、運動性能へのメリットが大きいレイアウト。リンク式モノサスの採用と併せて、車体の潜在能力はかなり大きく向上していそうだ。

足回りでは、前後ホイールとブレーキキャリパーはCB750ホーネットに酷似したものを採用。倒立式のフロントフォークもエンドピース形状はCB650RやCB750ホーネットのショーワ(アステモ)製SFF-BPによく似ているが、重慶に展示されたCB500SFはKYB製だった。ともに調整機構はないが、リンク機構を備えたリヤのモノショックにはカム式のプリロード調整機構を備えている。

タイヤサイズはメーカー発表はないものの、重慶の車両は前120/70ZR17、後160/60ZR17というミドルの定番サイズで、メーカーは台湾チェンシンタイヤのブランドであるCSTだった。世界10位の規模と実力を持つ有力メーカーではあるが、我が国の知名度が高いとは言えないため、日本仕様では銘柄が変更される可能性もある? そのあたりは日本仕様の生産を熊本製作所で行うのか、それとも中国なのか(現状では未発表)にも関連してくるだろう。

CB500SFのホイールベースは未発表なのであくまでも参考だが、前後輪の端を揃えて比較してみると、写真上では新型のスイングアームピボットは従来型よりも前方に位置。エンジンの前後長も短縮されているようだ。

アルミ製のスイングアームは現代のモデルらしいテーパー形状。リヤショックはリンク式でカム式のプリロード調整を備える。

CB500SFのフロントまわり。ホイール形状やフロントフォークのエンドピース、ブレーキキャリパー形状などを下のCB750ホーネットと見比べてほしい。タイヤ銘柄は台湾のCSTだ。

こちらはCB750ホーネットのフロントまわり。花弁型のブレーキディスクこそ異なるが、他の部分は酷似している。

写真はCBR500R FOURだが、重慶に展示されたCB500SFもフロントフォークはKYB製だった。

CBR/CB650RやCB750ホーネットのフロントフォークは41mm径のショーワSFF-BP(写真はCBR650R)

           

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