ホンダ2サイクルロードスポーツモデルの登場

VT250Fには、RZ250とともにホンダ内にもライバルが出現しました。
1983年2月に発売されたMVX250Fです。

前年の1982年、ホンダはWGP500ccクラスに新たに2サイクルのNS500をデビューさせ、早くも3勝を挙げるなど高いポテンシャルを証明しました。
MVX250Fのために開発されたエンジンは、NS500のノウハウを活かした、水冷2サイクルV型3気筒でした。

ヤマハRZ250のライバルは、このMVX250Fに託されました。

1983年1月発行 MVX250Fのカタログ表紙

サーキットでNS500とツーショット。 レーシングマシンから生まれた250ccのスプリンター

MVX250Fに搭載された水冷2サイクルV型3気筒エンジンを誇らしくPR

MVX250Fは、大きな期待を背負って登場しましたが、エンジン不調などが多発して計画どおりの販売にはつながりませんでした。

これを打破するために開発されたのが、オーソドックスな2気筒エンジンを搭載したNS250RとネイキッドのNS250Fでした。

1983年、ホンダはWGP500ccクラスにおいて、フレディ・スペンサーがNS500で念願のライダーチャンピオンを獲得しました。

1984年5月に発売したNS250Rは、このレーシングイメージをPRに採用し一定の評価を得ました。

この年は、2代目のVT250FとNS250R/Fのラインナップで、250ccロードスポーツをリードしていきました。

1984年5月発売 NS250R 539,000円 

NS250R/Fのアクセサリーカタログ

3代目の登場とニューモデルの躍進

1986年は、ホンダの250ロードスポーツで将来に影響する大きな変化がありました。

4月、VT250Fはフルモデルチェンジを図りました。エンジンは大幅に手を入れて、43PSの最高出力を得ています。スタイリングは、年々増加する女性ライダーも意識したやさしいイメージとなりました。

当時の250ccのロードスポーツ市場は、2サイクルエンジンを搭載したレーシーなモデルが各社から投入されて、若者の関心を集めていました。

レーサーレプリカブームに突入していたのです。このため、4サイクルのVT250Fは思うような販売に届かず苦戦を強いられました。

1986年4月発売 VT250F

エンジン型式はMC08EからMC15Eに変わりました

250ccの2サイクルマシンは、NS250RからNSR250Rへと大きく変化しました。

1986年10月に発売されたNSR250Rは、世界チャンピオンマシンのレプリカ版として開発されたもので、圧倒的な高性能でこのクラスをリードしていく存在になりました。

1986年9月発行 NSR250Rのカタログ

そして、ホンダの4サイクルロードスポーツに、高性能な水冷4サイクルDOHC・4バルブ直列4気筒を搭載したCBR250 FOURが新たに加わりました。

翌年の1987年にはフルカウルを採用したCBR250Rを加えて、4サイクル250ロードスポーツのメインモデルに成長していきます。

1986年10月発行 CBR250 FOURのカタログ

高性能4気筒エンジンを訴求したページ。 最高出力45PSを14,500回転で発揮

VT250からVTZ250へ

1987年、ネイキッドモデルVT250をフルモデルチェンジしVTZ250と車名を変えて発売しました。

VT250Fと同じくダイヤモンドタイプのツインチューブフレームにMC15型の新型エンジンを搭載。フロントブレーキは、インボードディスクから通常のディスクタイプになりました。

また、タイヤサイズは、フロントを16インチから17インチに変えるなど、足回りも大幅に変更。

乾燥重量は、8kgの軽量を達成して、より軽快な走りを実現したのです。

そして価格は、従来に比べ3万円も低い399,000円に設定して、幅広いユーザーの獲得を目指しました。

VTZ250は、ツーリングユースの他に、都市部でのバイク便としても大活躍しました。

信頼耐久性が高く燃費の良いエンジンや取り回し性の良さが評価されました。

1988年9月発行 VTZ250の表紙。マイナーチェンジし、エンジン出力特性を低中速域で力強い設定にしました

バイク命のヘビーユーザーではなく、ライトユーザーに訴求したコビー

VTならではのハイメカニズムの紹介ページ。最高出力を43PSから40PSに変更し、より扱いやすい仕様に変更

諸元ページには、ユーザー向けのサービス「H・A・R・T」(ハート)の紹介があります。1980年代から90年代は、各社ともにユーザー会員組織に力を入れていました

VT250 SPADAの登場

1988年12月、ファッショナブルなVT250 SPADA(スパーダ)が新たに加わりました。

世界初のアルミ鋳造中空一体構造のフルキャストフレームを採用。
鮮やかなカラーリングで登場しました。

広告では、F1ドライバーのアイルトン・セナ選手を起用し、「セナさんの休日」のコピーでF1ファンにも共感を与えました。

1988年12月発売 VT250 スパーダ

1988年のカタログより

Vツインを継承したVTRが誕生

VT250Fの水冷Vツインエンジンは、1991年10月発売のXELVIS(ゼルビス)に搭載されました。

そして、1994年に発売したアメリカンカスタムのV-ツインマグナに搭載され、ヒットモデルになりました。

スパーダの発売から9年後の1998年1月に発売されたのが、ネイキッドモデルのVTRです。

独特なトラス構造のスイングアーム・ピボットレスフレームを採用したベーシックなスタイリングを特徴としていました。

1998年1月発売 VTR

軽二輪クラスにVTRが新たに加わった、1997年12月発行の総合カタログを見ると、バリエーション豊かなラインナップであることが分かります。

二輪車排出ガス規制を2年後に控えていた時期でした。

1997年12月発行の総合カタログ オンロードスポーツの軽二輪クラスは8車種。Vツイン、単気筒、2気筒、4気筒、2サイクル水冷2気筒と、バリエーションが豊富でした

1997年12月発行の総合カタログ オフロードスポーツの軽二輪クラスは6車種。2サイクルは、燃費を格段に向上したAR燃焼技術を採用したCRM250ARを新たに加えましたが、このモデルがCRMシリーズの最終モデルになりました

VTRは、2016年10月発売のVTRシリーズが最終モデルとなりました。

約9年間のロングセラーで、多くのファンに愛用されました。

2016年10月発売  VTR-F(ハーフカウル仕様車)

1982年に誕生したVT250Fは、250ccクラスの活性化に貢献しました。

革新的な水冷4サイクルV型2気筒エンジンは、耐久信頼性と燃費の良さが支持され、他のモデルにも搭載されました。

国内においては、約35年間にわたり愛用される長寿エンジンとなりました。

VT250Fに乗ったことが無い人でも、このVツインエンジンを搭載したバイクに乗った経験がある人は多いと思います。

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コメント一覧
  1. 匿名 より:

    ゼルビスは・・・?SPADAからVTR250にいきなり飛んだんだけど・・・。

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