2025年9月12日、ドゥカティ・ワールド・プレミア2026の第一弾として、ドゥカティがマッスルロードスターと呼ぶディアベルシリーズの「ディアベル V4 RS」と、スポーツアドベンチャーモデル「ムルティストラーダ V4 RS」の2台を発表した。この2台はシリアルナンバー入りで生産されることになる。
目次
最強のマッスルロードスター「ディアベル V4 RS」
乾式クラッチ仕様のデスモセディチ・ストラダーレ・エンジン
「ディアベル V4 RS」のルックスは、チェントロスティーレ・ドゥカティ(ドゥカティ・スタイルセンター)によってデザインされた「RS」のロゴがシュラウドやシートカウルに配され、大胆な配色でインパクトのあるデザインとされる。ボディパーツにはカーボンが積極的に使用され、チタニウム製コンポーネントや小型のリチウムイオン・バッテリーを採用することでディアベルV4と比べて3kg軽量化される。
ディアベル V4シリーズはMotoGPマシンから派生しカウンター・ローテーティング(逆回転)クランクシャフトによるデスモドロミック・バルブ駆動システムを備えた、1103ccデスモセディチ・ストラダーレ・エンジンを搭載する。今回発表された「ディアベル V4 RS」には、ディアベルV4グランツーリスモV4比でプラス14PSとなる182PS仕様のデスモセディチ・ストラダーレ・エンジンが搭載され、レッドゾーンは1速を除くすべてのギアで13500rpm、1速では14000rpmに設定されている。
さらに、他のドゥカティのトップエンドモデルと同様に、特別なスプリングとスリッパー機能を備えたビレットアルミニウム製STM-EVO SBK乾式クラッチが搭載され、新しいドゥカティ・クイック・シフト(DQS)2.0を搭載すると共に、ギアボックス比を変更せずに専用のファイナル・ギアレシオが設定されている。
また、乾式クラッチを採用したことにより、スーパーバイク世界選手権とMotoGPにおけるドゥカティ・コルセとシェルのコラボレーションの成果である、「Ducati Corse Performance Powered by Shell Advance」エンジンオイルを使用することが可能となった。
バイクを自在に操るための電子装備
ディアベルV4 RSのエレクトロニクス・パッケージには、ボッシュ製慣性プラットフォームから受信した情報に基づいて作動する、ハイ、ミディアム、ローの3つのパワード、DTC(ドゥカティ・トラクション・コントロール)、DWC(ドゥカティ・ウィリー・コントロール)、DQS(ドゥカティ・クイック・シフト)2.0が含まれている。
パワーモードの「ハイ」はデフォルト設定ではスポーツおよびレース・ライディングモードを選択すると起動し、素早いスロットル・レスポンスで最大のパワーが得られる設定となっている。「ミディアム」はデフォルト設定ではツーリング・ライディングモードを選択すると起動し、スムーズなスロットル・レスポンスで最大のパワーが得られる設定となっている。「ロー」はデフォルト設定ではアーバン・ライディングモードを選択すると起動し、スムーズなスロットル・レスポンスで最高出力は84kW(114ps)に制限される。
ディアベルV4 RSには、新しいDPL(ドゥカティ・パワー・ローンチ)も搭載されており、ライダーはスタート時にそのパフォーマンスを最大限に引き出すことができる。このシステムにはライダーのスキルに基づいて選択できる3つのレベルが設定されており、設定が完了したら1速に入れてスロットルを開くだけでシステムが起動する。最初の発進時にライダーがクラッチのリリースを調整している間、システムは選択したDPLレベルに基づいてエンジンを最適な回転数で維持し、クラッチが完全に離されると第2段階として選択されたレベルに応じてDPLがトルクを制御してホイールスピンを防止し、最高の発進加速を実現する。
アルミモノコックフレームにオーリンズ製サスペンションを組み合わせる
車体はアルミニウム製モノコックフレームを中心に、同じくアルミニウム製の片持ち式スイングアーム、スチール製トレリス・リア・サブフレームで構成。サスペンションは前後オーリンズ製で、フロントには48mm径のステムを備えたNIX30、リアにはSTX46が装着される。軽く強度の高い鍛造ホイールを採用し、リアには240/45サイズで初めて提供されるディアブロ・ロッソ4を装着し、加速時の優れたグリップと、コーナリング中の路面との優れたコンタクト・フィールを実現している。
ブレーキシステムはブレンボ製で、フロントには330mm径ダブルディスクとStylemaモノブロック・キャリパーを組み合わせ、リアには265mm径シングル・ディスクとフローティング・キャリパーを組み合わせる。
この新しい「ディアベル V4 RS」は、その名に恥じない最強のマッスルロードスターとして完成されており、多くのスポーツバイクが後塵を拝することになるだろう。
ディアベル V4 RS主要諸元(2026)
・ホイールベース:1602mm
・シート高:790mm
・車両重量(燃料を除く):220kg
・エンジン:水冷4ストロークDOHC4バルブV型4気筒1103cc
・最高出力:133.8kW(182PS)/11750rpm
・最大トルク:120N・m(12.2kgm)/9500rpm
・変速機:6段リターン
・燃料タンク容量:20L
・ブレーキ:F=Wディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=120/70-17、R=240/45-17
スーパースポーツアドベンチャー「ムルティストラーダ V4 RS」
エンジンは180PS仕様
「ムルティストラーダ V4 RS」は、スリリングなスポーツライディングと、ライダーとパッセンジャーにグランドツーリング・モデルならではの優れた快適性の両方を提供するという目的で開発されたという。先の「ディアベル V4 RS」と同様の乾式クラッチを装備した1103ccデスモセディチ・ストラダーレ・エンジンを搭載し、アクラポビッチ製サイレンサー、オーリンズ製スマートEC 2.0サスペンション、マルケジーニ製鍛造ホイールなどを装備する。
車体の各部にはカーボン製のパーツが配され、「RS」のロゴが映える専用カラーを採用。チタニウム製コンポーネントや小型バッテリーを採用することで、ムルティストラーダ V4 パイクスピークと比べて2kgの軽量化を果たしている。また、スポーティな外観の創出する専用に設計されたスリムで流線型のテールフェアリングが採用され、3つのパニアケースを装着できるチタニウム製シート・サブフレームは標準のサブフレームに比べて2.5kg軽量化されている。この「ムルティストラーダ V4 RS」において特筆すべきはこの点であり、スポーツバイクとしての動力性能とアドベンチャーモデルとしてのユーティリティが完璧に両立されているのである。
「ムルティストラーダ V4 RS」はファミリーの中で唯一1103ccデスモセディチ・ストラダーレ・エンジンを搭載し、透過性が高いスプリントフィルター製P08エアフィルターと専用に開発されたアクラポヴィッチ製チタニウムサイレンサーを備えたエキゾーストシステムによって180PS/13500rpmという最高出力を実現している。ギアボックス比は変更されていないものの、スポーティでパワフルなパワー特性を最大限に引き出すためにファイナル・ギアレシオはパイクスピークのものより低く設定。さらに、ギアドラムの角度位置センサーに基づいて作動する新しいDQS(ドゥカティ・クイック・シフト)2.0が、ライダーによりダイレクトなシフトフィールを提供する。
最新の電子装備で武装
新しいDVO(ドゥカティ・ビークル・オブザーバー)により電子制御システムがより精密に作動するようになり、コーナリングABSとDWC(ドゥカティ・ウィリー・コントロール)がより高い精度で作動。ACC(アダプティブ・クルーズコントロール)、BSD(ブラインドスポット検知機能)、FCC(前方衝突警告)、さらにフロント&リア・レーダー・テクノロジーも標準装備されるなど電子装備は最新の物が満載される。
パワーモードはフル、ハイ、ミディアム、ローの4種が用意され、DTC(ドゥカティ・トラクション・コントロール)、DWC、EBC(エンジン・ブレーキ・コントロール)、DQS 2.0と共にモデルの特性と使用目的に合わせて調整され、レース、スポーツ、ツーリング、アーバン、ウェットという5つのライディングモードに統合される。
パワーモード「フル」はデフォルト設定ではレース・ライディングモードを選択すると起動し、すべてのギアで最大のパワーが発揮され、スロットル・レスポンスも鋭くなる。「ハイ」はデフォルト設定ではスポーツ・ライディングモードを選択すると起動し、1、2、3速ギアではトルクがわずかに減少するが、素早いスロットル・レスポンスと共に4、5、6速ギアで最大のパワーを発揮。「ミディアム」はデフォルト設定ではツーリング・ライディングモードを選択すると起動し、4、5、6速ギアで最大のパワーを提供し、1、2、3速ギアではトルクがわずかに減少するが、より穏やかなスロットル・レスポンスに設定される。「ロー」はデフォルト設定ではアーバン・ライディングモードを選択すると起動し、最高出力は84kW(114ps)に制限され、スロットル・レスポンスはスムーズなものとなる。
17インチのフロントホイールを軸にしたシャシー
17インチのフロント・ホイールを中心に開発された「ムルティストラーダ V4 RS」のシャシーは、ムルティストラーダV4 Sおよびラリーのキャスター角24.5°に対して25.75°に設定されたアルミニウム製モノコックフレームを採用し、V4パイクスピークと同様によりスポーティな特性が強められている。ダイナミックなパフォーマンスを向上させるマルケジーニ製鍛造アルミホイールには、フロント120/70、リア190/55のディアブロ・ロッソ4コルサを履き、加速時の優れたグリップ力と、コーナリング中に路面との優れたコンタクト・フィールを実現している。
サスペンションに採用されたオーリンズ製Smart EC 2.0は、ライディングスタイルに応じて自動的に設定を調整し、スポーツライディングで最高のパフォーマンスを実現するが、「ムルティストラーダ V4 RS」ではリラックスライディング時の快適性とスポーティライディング時のサポート性の最適なバランスを得るために再調整されている。
ブレーキシステムはブレンボ製で、フロントは330mm径のダブルディスク+ブレンボ製Stylemaモノブロック・キャリパーに加えてパニガーレV4のパッドを採用し、リアは280mm径のシングルディスク+フローティング・キャリパーを採用。これをボッシュ・ブレンボ製10.3ME コーナリングABSシステムによって管理する。
カテゴリーで言えばアドベンチャーとなる「ムルティストラーダ V4 RS」だが、その走行性能はサーキット走行でも不満が出ないレベルに仕上げられているようだ。
ムルティストラーダ V4 RS主要諸元(2026)
・ホイールベース:1591mm
・シート高:840-860mm
・車両重量(燃料を除く):225kg
・エンジン:水冷4ストロークDOHC4バルブV型4気筒1103cc
・最高出力:132.4kW(180PS)/12250rpm
・最大トルク:118N・m(12kgm)/9500rpm
・変速機:6段リターン
・燃料タンク容量:22L
・ブレーキ:F=Wディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=120/70-17、R=190/55-17
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