ホンダは8月2日、鈴鹿8耐決勝前日の前夜祭にて、今年3月の東西モーターサイクルショーで発表した「CB1000Fコンセプト」を初めてデモ走行させた。ライダーを務めたのはモータージャーナリストの丸山浩さん。長年に渡ってホンダCBに関わり続け、今年はホンダから「CBアンバサダー」に任命されている丸山さんに、CB1000Fコンセプトのインプレッションを伺ってみた。

「仕掛け屋」丸山浩の本領発揮?!

「ウイリーさせちゃおうと思ってるんですよ。もちろんホンダさんには言ってないけどね」。そう耳打ちしてきたのはデモ走行前の丸山さん。ヤングマシン誌などで活躍し、現在は自身のYouTubeチャンネル「モーターステーションTV」も運営するモータージャーナリストだ。

今回、ホンダは鈴鹿8耐の前夜祭でCB1000Fコンセプトを初走行させた。同時に往年の名耐久マシン「RCB1000」を岡田忠之さん、CB1000Fコンセプトのカスタム提案車「CB1000Fコンセプト モリワキエンジニアリング」を宇川徹さんという元GPライダーの2人が駆る。希少なレーシングマシンやコンセプト車による複数台のデモランである。普通に考えたらそんな場面で、しかも試作車をウイリーさせようなんて考えないだろう。

丸山浩さんは1980年代後半から全日本や8耐に参戦し、同時期よりジャーナリスト活動をスタート。自身が主宰するYouTubeチャンネル「モーターステーションTV」は登録者数18万人超を誇る。

前夜祭にはCB1000Fコンセプトのほか、そのモリワキ製カスタム車であるCB1000Fコンセプト モリワキエンジニアリング、そして1970年代の耐久レーサーであるRCB1000
が登場した。

デモラン前に開催された、丸山さん、岡田さん、宇川さんによるトークショー。「GPライダーの2人と一緒に走る、こんな機会を頂けるなんて感謝しかない(丸山さん)」

グリッド上での丸山さん。バイクの後ろに立つのはCB1000Fコンセプト開発責任者の原本貴之さん(左)と、ホンダのFUNモデルを統括する坂本順一さん。

しかし丸山さんはこうした、観客を喜ばせたり、楽しませたりする企みが大好きなのだ。丸山さんといえば1992年に登場したCB1000スーパーフォアを大改造してテイスト・オブ・フリーランス(現テイスト・オブ・ツクバ)に参戦し、ビッグネイキッドブームを巻き起こした姿をご記憶の方も多いはず。当時の丸山さんは全日本や8耐に参戦中の現役ライダーであり、草レースともなれば観客を盛り上げる「魅せるレース」を企む第一人者でもあったのだ。

その後も丸山さんはCB1300SFで鈴鹿8耐に参戦したり、空冷のCB1100に1980年代のCB750F風外装を載せた「CB1100プロジェクトF」を企画したりと、何かとホンダCBの盛り上げに関わってきた。そうした功績が認められ、今年からホンダは丸山さんを「CBアンバサダー」に指名、CB1000FコンセプトのPRなどを託している。そのマシンを鈴鹿の大観衆の前で走らせるとくれば… 「仕掛け屋・丸山浩」がいっちょカマしてやろう、と考えるのはごく当然のことなのだ?!

丸山さんと言えばCB1000SFで出場したテイスト・オブ・フリーランスでの大活躍。後に参戦したXJR1200やGSF1200とのバトルに熱くなった人も多いはず。(写真提供:WITH ME)

愛機CBは最終的にフレームを切断し、キャスター角を立てるほどの改造が施されたが、当初は筑波まで自走していたというのがツーリングも大好きな丸山さんらしい。荷物満載のビッグ1がなんともいい雰囲気!(写真提供:WITH ME)

「1速だと即竿立ちになってしまうので、2速に入れてからアクセルでゆっくり浮かせてパワーリフトに見せるようにしたんだけど、これはなかなか難しかった」。丸山さんはウイリーの達人で、かのケビン・シュワンツにもその腕前を褒められたほどだが、1周目はやや苦戦。しかし東コースを1周し、ホームストレートに戻ってきた丸山さんは見事な角度のパワーリフトを披露。その姿に触発されたのか、宇川さんもモリワキ号をウイリーさせて会場を盛り上げた。

というわけで、丸山さんはCB1000Fコンセプトで世界初のパフォーマンス走行に見事成功。デモランにはホンダでFUNモデルを統括する坂本順一さん、CB1000Fコンセプトの開発責任者である原本貴之さんも付き添っていたが、お二人とも終始笑顔だったので特にお咎めはなかった模様…ということで、丸山さんにCB1000Fコンセプトのインプレを語ってもらおう。

CB1000Fコンセプトでウイリーに挑む丸山さん。やや下り坂の鈴鹿ホームストレート、1周目はうまくいかなかったが…。

東コースを1周して戻ってきたストレートで見事なウイリーを披露!(写真が荒くて恐縮ですが、下のリンクから動画が見られます)

【インプレ】低中速の豊かな味わいが見事。よくぞここまで!

「エンジンはベース車であるCB1000ホーネットに対して、かなり低中速のトルク寄りになっています(注:エンジンのレブリミットはホーネットの11500rpmに対し、CBは10000rpm)。その力強さはCB1300を彷彿させるほどで、アイドリング領域からグッと前に出るこのトルク感は、街乗りでのスタートダッシュや乗りやすさ、楽しさに直結するはずです」

「そして、3~5000rpmあたりで聞こえる低音の効いた排気音がものすごくイイ! ホーネットはこうした領域がやや薄味でしたが、CB1000Fコンセプトだとヴァーンと吠えるようなサウンドや心地よいバイブレーションまで楽しめる。スーパースポーツ由来のエンジン(元を辿るとSC77型CBR1000RRがベース)をよくぞここまで味わい深くセッティングしたなと思います。単純にSS系エンジンのパワーダウンだと上がなくなり、下も使えない、無味無臭なエンジンに陥りがちですが、CB1000Fコンセプトはきっちりと低中速寄りに仕上げてきた」

「今回はサーキットですからレブリミットの10000rpmまで回せてしまうわけで、直4らしい快音は楽しめるものの、高回転の力強さではホーネットには敵わない。出力は152psのホーネット(STD)に対し、130~140psくらいのイメージでしょうか。前後のサスペンションもすごく柔らかくて、装着されていたスポーツタイヤのブリヂストンS22ですら、サーキットだともう少しバネを固めたくなるくらい奥まで入ってしまう。つまり低中速のエンジンフィールを味わいつつ、ストリートを走らせるのがCB1000Fコンセプトの正しい楽しみ方です」

鈴鹿東コースをデモランする丸山さん。エンジン特性や足回りはストリート向けの設定とされるが、セッティング次第でサーキットで楽しめる可能性も見出しているようだ。

モリワキチューンのCB1000Fコンセプトを走らせる宇川さん。このタッグで9/13-14の鉄馬に参戦することが、この日モリワキから正式発表された。

同じくRCB1000を走らせる岡田さん。写真の車両は1976年式で、1979年に登場するCB900F/750Fのベースになったと言われる。今回は耐久レースでのデモランということで選ばれたとのこと(走行写真3点:中村浩史)。

「実は鈴鹿の前にHSR九州でも試乗したのですが、約2.3kmのこのコースは一般的なワインディングに近いコーナーもあり、そこでの軽やかな走りがとても気持ちよかったんです。本当にスパスパッっと切り返せる。CBRのような設定速度の高いマシンでこうした味を出すことは難しいですよ。やっぱりCBはストリート、ワインディングでこそ楽しさが光るマシンで、CB1000Fコンセプトはまさにそうしたバイクになっている。CB1300の良さを継承しつつも、車重が軽いから引き起こしや取り回しははるかに楽。アンバサダーとして、こうした良さを一人でも多くに伝えていきたいですね」

「こうしたバイクではカスタムも大きな楽しみです。その気になれば本来のCBRエンジンに積み替えて200psオーバーも可能ですが、私はもう少しユーザーに近いカスタムを提案したいですね。今回、鈴鹿8耐でCBを走らせるという役割を頂いたことで、自身のレース復帰も決断しました。公道で楽しい CBですが、カスタム次第でサーキットも走れることを証明したいんです」

「まずは9月13~14日にHSR九州で開催される鉄フレーム車のレース“鉄馬”にCB1000Fコンセプトで参戦しますが、車両はあくまでも公道カスタムの延長線上とする予定。今回セパレートのレーシングスーツを仕立てたのもストリートをイメージしたからで、鉄馬もこの格好で参戦します。(丸山さんのショップである)WITH MEで応援団も結成するので、サービス精神たっぷりの走りを見に集まって欲しいですね」

デモラン終了後に坂本さん、原本さん、そして一緒にCBアンバサダーを務める梅本まどかさんと。

↓丸山さんのパワーリフト動画はこちら↓

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