本業はスタントライダーですが、実は趣味でオフロードが大好きなOGAチャンネルがTF250-EとTF450-Eに試乗させていただいたので、そのインプレッションを皆さんにお伝えしていきます!

トライアンフのオフロードモデルTF250-EとTF450-Eに試乗

わずか2年でクオリティはどこまで進化した!?

2023年にモトクロッサーのTF250-Xを発表したことから端を発したトライアンフのオフロードモデル。発表からわずか2年ほどの間にどの程度のクオリティに仕上げてきたのかがとても気になるポイントですよね?

結果からお伝えすると、TF250-E / TF450-Eは国産・外車のエンデューロバイクと肩を並べる戦闘力があり、最新の電子制御系を備え、高性能なパーツが装着されているのにもかかわらず、かなり値段が抑えられています。そのため、今後のゲームチェンジャー的な車両になると予想されます。さらに、純正部品を最短48時間で届けるシステムを構築しているとのことで、エンデューロバイクの購入を検討している人にとっては候補の筆頭になるのではないかと思います。

コストパフォーマンスが最強レベルのトライアンフのオフロードモデル TF250-E

TF250-E
排気量:249.9cc
エンジン:4ストローク、単気筒、DOHC
馬力:42.3ps
車重:114.2 kg
サス:KYB
ブレーキ:ブレンボ
ホイール:DID
フレーム:軽量アルミスパインフレーム
電子制御系:トラコン・ローンチコントロール・パワーモード・クイックシフター
価格:115.60万円
TF450-E
排気量:449.9 cc
エンジン:4ストローク、単気筒、SOHC
馬力:59.2ps
車重:116.7 kg
サス:KYB
ブレーキ:ブレンボ
ホイール:DID
フレーム:軽量アルミスパインフレーム
電子制御系:トラコン・ローンチコントロール・パワーモード・クイックシフター
価格:129.60万円

オフロードモデルの発表からごく短期間で、トラコン、ローンチコントロール、パワーモード、クイックシフターなどの電子制御装置が装着され、さらにブレンボ、DID、KYBなどの一流パーツでまとめられた上に、エンジンも他社と同等の戦闘力を持ったTFシリーズ。注目度の高い本車両が実際にどんな走りをしたのか紹介していきましょう。

試乗インプレッション

エンジン特性

今回試乗したのは7月中旬。当日は土砂降りの中での試乗となってしまい、経験したことのない豪雨の中でのテストとなりました。そんな天候の中、まず乗り始めたのはTF450-E。この車両は低~中回転重視のSOHCエンジン。TF250-Eは高回転仕様のDOHCなのでエンジン特性が異なります。パワーモードはパワーを抑えたマイルドなモードを選択し乗り始めました。今回のコースはサンド質で、意外とパワーを食われてしまう路面状況。そんな中、まずはパワースライドをやってみました。そこで感じたのは流す気持ちよさ。450ccのパワーは意外と扱いやすく、アクセル操作がとてもコントローラブルで、リアのスライド量をしっかりと調整できます。450ccはパワーがありすぎて扱いづらいのかな?暴力的な加速をちゃんと扱えるかな?といった予想に反して、気持ちよくアクセルを開けられたことに驚きました。

ちなみにTF250-Eに乗ったときも同様にパワースライドはできましたが、サンドの抵抗があって450の方が流しやすく、コントロールがしやすかったですね。こういったパワーが食われてしまう路面では450のパワーは正義です。反面、250の方はきっちり開ける楽さがあって、乗れてる感が堪らなかったですね。さらに、「250はもう少しパワー感がないのかな?」と思ってたけど、予想に反して回転に合わせてスピードがしっかりと伸びて、良い意味で期待を裏切ってくれました。フラットなトルク特性で、低回転から高回転までとても扱いやすいエンジンです。450は扱いやすい部分が低速側に寄っていてさらにトルクフルに、中回転以降は開ければ450らしく加速するという感じですね。

TF450-Eを十分なパワーでサンドでのパワースライド全開が楽しい

TF250-Eは高回転型のDOHC

TF450は低~中回転型のSOHC

ウッズセクション

次にウッズセクションで乗ってみました。TF450-Eは回転をそんなにあげずに、淡々と走ることができました。ギアチェンジを最小限にしつつ、高速クルージングが可能で、体力を使わず、無理せずにハイペースに走ることができます。一方、TF250-Eはベースの回転数が少し高めで、更にハイスピードを維持するなら高回転付近を維持しておきたい感じです。乗れてる感があったり、エンジンを回す楽しさがある反面、高回転のシビアな領域を使い続けると、長いレースなどでは疲れやすいだろうなと感じました。

土砂降りのウッズセクションの走行だったが安定して走破できた

サスペンションはとても良く動いてくれて、海外メーカーに多いバネレートが硬すぎるような印象もなく乗りやすかったです。しかも前後KYBのサスペンションで、チューニングの幅にも期待が持てます。いま、海外のレースではKYBが主流でトップチームは殆どがKYBを採用しているそうです。そういった実績のあるサスがついているのはとてもよいポイント。自分自身もKTM 250EXCにのっていますが、テクニクスさんでKYBのカートリッジキットを組み、KYB化しました。テクニクスさん曰く、チューニングの幅が広く、思い通りに仕上げられるのがKYBで、そのため殆どのトップチームが採用しているとのこと。そんなKYBが前後アジャスタブルで装着されているのはかなり嬉しいですね。オフロードは大体の場合、車体選び>タイヤ選び>サスペンションセッティングの順で悩みますから、購入時点で良いものが装着されている点は評価がとても高いです。

KYB48mm倒立AOSコイルフォーク(圧側および伸側調整機能付き)

KYB50mmピストン採用3ウェイピギーバックリアコイルショック(圧側調整(高速・低速)および伸側調整機能付き)

それと、注目すべきはクイックシフター。アクセルを戻した瞬間にシフト操作をするだけでスコスコとギアが入ってくれます。クラッチの操作が不要なので、長時間のエンデューロレースでは、左手の握力を温存できます。オフロードでクイックシフターを使ったのは初めてだったのですが、想像以上に素晴らしい機能だと感じました。今回のTFにはトラクションコントロール、ローンチコントロールそしてパワーモードが搭載されていて、他社の最高グレードの車両と同等のシステムが標準装着されていますが、冒頭でも述べた通り、短い開発期間を考えると驚異的なことだと思います。

オフロードのクイックシフターはクラッチ操作の低減に非常に有効な機能

ウィリーもやってみた

ウィリーは走行エリアが狭かったこともあり最初は1速の低速でチャレンジしたのですがなかなかうまく行きませんでした。しかし、2速で少しスピードをつけると安定するポイントがありました。450ccのトルクが有るので2速でもなんの問題も無くフロントアップやウィリーができます。少し速度が乗ってても余裕でフロントアップが出来るのが450の強みですね。そして、マイルドなパワーモードにしていたのもあって、意外とウィリー中もアクセル操作がしやすかったです。ちなみにTF250-Eも2速でトライしました。パワー感は250の方が扱いやすかったです。トルクがちょうど良くて非常にコントローラブルでしたね。

低速で一気に上げるとふらふらするので少しスピードを乗せるのがコツだ

ヒルクライムに挑戦

中級レベルのショートヒルクライムもやってみました。スロープが無く平地から斜面に突然アプローチするので、実際には加速区間が1.5mくらいしかとれず意外と難しい坂です。こんな場面では450の低速トルクとパワーが有利でした。特に短距離での爆発的な加速が最高です。そして、さらに際立ったのが斜面のギャップで跳ねてしまった時のリカバリーです。着地と同時にもう一度ステップを踏み直してトラクションかけて、再加速させますが、その時の伸びが、流石の450ccだなと感じました、回転は高くないけど太いトルクで余裕の再加速です。よく考えたらこのときにフルパワーモードを試せばよかったのですが、土砂降りすぎてちょっと余裕がなかったです。さらにもう一段階上の加速体験ができたかもしれませんね。こういったときのリアサスの動きも良く、踏ん張ってくれて扱いやすかったです。

一方、TF250-Eは全開にする楽しさがありました。坂の直前で全開&高回転をキープしながら半クラで加速させ登っていくのがとても楽しいポイントです。ギャップに合わせるときも450よりも高回転を使います。もっとシビアな坂になると「アクセル全開固定で半クラを操作しつつ、レブリミッター全開で登っていくんだなー」と想像がつきます。もっと本格的なヒルクライムで乗り比べ比較をやってみたいですね。ヒルクライムでは250と450で明らかに異なる印象が感じられてとても面白かったです。

土砂降りのなかのヒルクライムはより難易度が上がったが4ストのトラクション特性でグイグイ登った

そして、ヒルクライムを登ると、そのままダウンヒルで下ります。そこそこの下り坂なうえに、路面は柔らかくさらに濡れていましたが、フロントサスがしっかり動いてくれて、とても安定感があり、しっかりとブレーキを掛けることができました。ブレーキはコントローラブルでしっかりと効いてくれ、何の不満もありません。ブレーキ周りは信頼のブレンボ、ディスクはガルファー製です。

しっかり動いてくれるフロントサスの安定感に支えられ、信頼のブレンボ製ブレーキをしっかりかけられる

450はエンストが目立った

ちょっと気になったのはエンストが多い点。やはり高圧縮レーサーなので、仕方ないとは思いますが、スピードレンジの低いセクションでは、どうしてもエンストの不安がつきまといました。そのためエンジンを掛けた状態でのスタンディングスティルなんかは苦手です。それに比べるとTF250-Eの方はエンストも無く、スタンディングスティルなんかも簡単にできました。自分が主に走っている林道ツーリングやハードエンデューロはTF250-Eの方が良さそうですね。TF450-Eはやはりハイスピード系のクロスカントリーなんかで本来の性能を発揮できそうです。

TF250-Eでスタンディングスティルができたが、TF450-Eは極低速の扱いが苦手だった

価格・足つき・パーツ・純正パーツの納期など

■価格
短い試乗時間でしたが、自分が感じた範囲では現行の海外や国産のエンデューロバイクに比較しても同じレベルの車両に仕上がっていると感じました。価格はTF250-Eについては115万と他の海外エンデュランサーに比べると圧倒的に低価格で魅力的です。性能は充分に戦えるので、購入を検討する際は第一候補になる人は多いと思います。

■純正部品は最短2日で届くシステムを構築する予定(オフロードのみ)
トライアンフジャパンでは、オフロードモデルのみ注文後に最短2日程度でパーツが届くようなシステムを構築しているとのことでした。この仕組みが実現すればTF250-E / 450Eの魅力が更に上がりますね。

■各パーツ類
前後サスペンションはKYB、ホイールはDID、ブレーキはブレンボと最高峰のコンポーネントでまとめられています。他社のモデルではコストを下げるために廉価版のパーツを採用することがありますが、途端にそれらがネガティブポイントになることがあります。TFはどれも一流パーツメーカーを使っているのでとても安心ですね。

DID、ブレンボ、KYBなど最高峰のパーツで構成されている

■電子制御系
ローンチコントロール、クイックシフター、パワーモード、トラクションコントロールなど他社とも十分に戦える制御機能が装着されていて、ハンドル左手にスイッチが集約されており、ボタン一つで制御をコントロールできます。

電子制御系は左手のスイッチで操作が可能

■ナンバーの装着について
TF250-E / TF450-Eともにナンバーの取得が可能とのことです。ただし、リミッターが作動しエンジンの回転が制限され、吸気や排気系統に制限がかけられている状態となり、実際にはこの状態で公道走行は難しいです。このあたりの詳細につきましては、車両を扱っているディーラーへ問い合わせてみてください。

■足つき
シート高は955mmで、OGAチャンネルが跨ると写真のとおりとなります。ノーマルの場合は両足が届きませんでした(171cmで足はかなり短め)。ここまで車高が高いとOGAチャンネル的にはほぼ何もできません涙。ちなみに、体格が同じ他の人が跨ったときは両足がちゃんと届いてました。足の長さによって個人差がかなり有るので、一度跨って確認したほうが良いですね。

シート高は955mm片足であればつま先が届いた

両足を着こうとすると両足が同時に地面に届かずかなり厳しかった

ノーマルのTF250-Eでエルズベルグロデオを完走!

6月に行われた世界でもっとも完走することが難しいハードエンデューロレースエルズベルグロデオではジョニーウォーカー選手がストック状態のTF250-Eに乗り見事完走、6位入賞を果たしました。

エルズベルグロデオは難易度の高いヒルクライムが多数存在し、圧倒的な加速力が必要なため、2スト300cc一択と言われています。しかしその中で、非力と言われる4スト250ccで完走することができたのは本当に驚くべきことなんです。オフロードはバイクの性能よりもライダーの技量の方が重要であることは確かですが、ロングヒルクライムでさらに壁のような斜度の場合は、物理的にバイクの性能が必要になります。

しかし、そういったヒルクライムを全てクリアし完走しているわけです。さらに注目すべき点は冷却性能がすぐれていて、レース中にラジエーターを吹くことがなかった点。4ストロークは熱量が多い分、ハードエンデューロには向いていないというのが定説でしたが、それをも覆した結果となります。さらに、予選では2000台ほど出走する中で、7位という結果も残しています。日本でもエルズベルグロデオに参戦しているライダーは沢山いますが、なかなか完走する選手が現れません。そんな彼らが口を揃えて言うのが「予選が一番大事」だということです。決勝の出走台数は500台と多いため、予選を上位で通過しなければ渋滞にのまれ、完走できなくなってしまいます。

つまり完走するためには圧倒的なスピードが重要で、TF250-Eにはスピードでも戦える性能があると言えますね。

ジョニーウォーカー選手がTF250-Eでエルズベルグロデオを完走し6位入賞を果たした

まとめ

ということで最後にどんなライダーにおすすめなのかまとめておこうと思います。
TF250-Eは脱初心者~上級者まで幅広いライダーが楽しめる車両です。初心者であれば扱いやすく、初めてのエンデューロレーサーとして最適です。パワーモードでマイルドにして乗るのもよい方法でしょう。中級者にとっては程よいパワーでライダーのステップアップにちょうど良く、サスペンションもマッチしていると思います。

そして、更にしっかりとアクセルを開けられる上級者になれば、全開固定でレブリミットを当てたままヒルクライムを登る様なスタイルになっていくんだと思います。まさにエンジンの性能を全開放して扱うライディングで、OGAチャンネルも憧れるスタイルですね。

そして、250ccではパワー不足を感じるライダーはTF450-Eが射程に入って来ます。中~上級者で特にハイスピードなクロスカントリーやエンデューロレースで結果を求めるライダーに良いと思います。低~中回転のトルクに頼りつつ、余裕を持ってバイクを扱えて、どんな場面でもフロントを上げることができる特性を活かし、ハイアベレージをキープする走りが可能です。

今回試乗して思ったのは、冒頭でも述べた通り、よくこの数年でここまでの車両を作り上げたなということです。扱いやすいエンジンやマッピング、各パーツは最高級品で構成され、電子制御系も他社のエンデューロマシンと同等に仕上げ、アルミフレームを新たに開発し、非常に完成度の高い車両を作り上げたにもかかわらず、価格が非常に安い。おそらくトライアンフの戦略的な価格設定ではあると思うのですが、ライバル車に比べるとお買い得すぎる値段設定です。

ということで、ここまで記事を読んでくれた方は、冒頭で書いた通り「ゲームチェンジャー」と表現した意味がおわかりいただけたかと思います。興味を持ってくださった方がいれば、ぜひディーラーさんへ問い合わせてみてください。この記事が皆さんのオフロードバイク選びの参考になったら嬉しいです。

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