「GSX-R」、それは現在ではスーパースポーツと呼ばれるようになったレーサーレプリカを代表する存在であり、「GSX-R1000」はスズキの最高峰と言える技術が詰め込まれた世界最速を競うバイクの中の1台である。1985年に始祖となる「GSX-R750」が鈴鹿8時間耐久ロードレースにデビューし、2007年に初めて優勝したのが今回紹介する「K7」型だ。

原点となる「GSX-R750」

「GSX-R」という名前を冠したバイクがストリートに放たれたのは、1984年のことだった。アルミフレームに4ストローク水冷DOHC直列4気筒エンジンを搭載した「GSX-R400」は、2ストロークエンジン+アルミフレームの「RG250γ」と共に当時火がついていたTT-F3カテゴリーを席巻した。この時代におけるスズキはライバルメーカーの一歩先を行っており、アルミフレームを市販車に最初に採用したのもスズキであった。400に遅れること約1年、1985年に当時のTT-F1カテゴリーとなる750ccクラスに、アルミフレーム+油冷DOHC直列4気筒エンジンを搭載した「GSX-R750」が投入された。この「GSX-R750」はヨシムラの手によってチューニングされ、1985年から3年連続で全日本ロードレース選手権TT-F1クラスチャンピオンを獲得、耐久レースなどでも活躍。レースレギュレーションからは外れるが、フラッグシップモデルとなる油冷の1100ccエンジンを搭載した「GSX-R1100」もラインナップされ、GSX-Rシリーズはレーサーレプリカブームを引っ張る存在となった。

1984年に発売された「GSX-R400」は、新形状のアルミ製MR-ALBOXに59PSの水冷4ストロークDOHC4バルブ398ccエンジンを搭載。1983年世界選手権耐久レースのチャンピオンマシン、GS1000Rのレプリカと言えた。

世界選手権耐久レースなどで活躍したワークスマシンの成果を集約して開発された「GSX-R750」は、アルミ合金製のマルチリブ・角形フレームにSACS(スズキ・アドバンスド・クーリング・システム)を採用したDOHC 4バルブ油冷エンジンを搭載。

1986年に登場した「GSX-R1100」は、油冷4ストローク直列4気筒DOHC4バルブ1052ccエンジンをコンピュータ解析により設計したアルミ製フレームに搭載。乾燥重量197kgと、当時のリッターバイクとしては異例の軽さを実現した。

1992年モデルでは水冷エンジンが採用されたが、他メーカーが極太のアルミフレームを採用する中、すでに古典的とも言えたアルミダブルクレードルフレームを継続して採用。全日本ロードレース選手権が、フレームの改造可能であったTT-F1からフレームの改造ができなくなったスーパーバイクのレギュレーションに変更されたこともあり、レースでは苦戦を強いられた。1996年のフルモデルチェンジでフレームをツインスパータイプへと変更、エンジンも完全新設計されたものを搭載。スーパーバイクや耐久レースへと参戦を続けたが、成績は今ひとつであったと言わざるを得なかった。

2000年には再び新設計のフレームとエンジンを採用した第三世代へと進化、乾燥重量166kg、最高出力141PS/12500rpmとリッターバイク並みのスペックを持つに至った。その結果、全日本ロードレース選手権スーパーバイク、AMAスーパーバイクでチャンピオンを獲得するに至った。

それまでの油冷エンジンに別れを告げ、新設計の水冷式DOHCエンジンを搭載した1992年モデルの「GSX-R750」。コンパクトな水冷エンジンをアルミ製ダブルクレードルフレームに搭載したが、乾燥重量は208kgと歴代で最も重くなっていた。

「GSX-R1000」のベースとなったのが2000年に登場した「Y」型の「GSX-R750」。乾燥重量166kg、最高出力141PS/12500rpmというハイスペックを実現し、レースでも大活躍することになった。

主役は「GSX-R750」から「GSX-R1000」へ

フラッグシップモデルであった「GSX-R1100」は1998年に生産中止となっており、それに代わるフラッグシップモデルとして2001年に登場したのが「GSX-R1000」である。初代モデルとなる「K1」型は、第三世代の「GSX-R750」をベースにボアを72.0mmから73.0mmに、ストロークを46.0mmから59.0mmへと変更し、排気量を749ccから988ccへとアップ。最高出力160PS/10800rpm、乾燥重量170kgを達成。同年のヤマハの「YZF-R1」が最高出力150PSで乾燥重量175kg、ホンダの「CBR929RR」が高出力152PSで乾燥重量170kgなので、スペックはライバルを圧倒していたと言えるだろう。

2003年からスーパーバイクのレギュレーションが変更され、4気筒の排気量上限が1000ccへとアップされることになり、そのベースマシンとして「GSX-R1000」はさらなる進化を遂げていく。2003年には新設計のフレームと一新したスタイリングを採用し、インジェクターのマルチホール化や効率が向上したSRADなどを採用して最高出力164PSを獲得した「K3」型へフルモデルチェンジ。2005年にはエンジン本体に大幅に手が入れられ、シリンダーボアを0.4mm広げて73.4mmとしたことで排気量は999ccとなり、圧縮比は12から12.5に高められた。また、スロットルボディ径を42mmから44mmに拡大すると共に、インジェクターをツイン化するなど改良した結果、最高出力が178PSへと向上した「K5型」が登場した。

初代「GSX-R1000」となる「K1」型は、「Y」型の「GSX-R750」とほぼ同じデザインで、エンジンもこのY型のものをベースにボアとストロークを拡大して988ccの排気量を得ている。他社の2001年モデルと比べても、スペック面ではアドバンテージを持っていた。

2003年の「K3」型では新設計のフレームに164PSのエンジンを搭載。スーパーバイクのレギュレーション変更によって、2003年からこの「GSX-R1000」が市販車の最高峰をかけてレースを戦うことになった。

2005年登場の「K5」型ではボアが0.4mm広げられて排気量が999ccに。圧縮比も高められ、スロットルボディ径の拡大やツインインジェクターの採用などで最高出力は178PSまで向上している。

スズキらしいチャレンジが勝利を運んだ「K7」型

2007年にはさらなるパワーアップを果たした「K7」型が登場。2007年の全日本ロードレース選手権スーパーバイクでヨシムラスズキの渡辺篤選手がチャンピオンを獲得し、鈴鹿8時間耐久ロードレースにおいても「ヨシムラ・スズキ with JOMO」チームが念願のGSX-Rシリーズ初優勝を遂げた。その他にもスズキフランス耐久チームのSERTがGSX-R1000で3年連続のチャンピオンを獲得、AMAスーパーバイク選手権でも5年連続のチャンピオンとなるなどGSX-Rは黄金時代を迎えることになった。

全面的な見直しによって、圧倒的な速さを身につけた2007年登場の「K7」型は、この年のスーパーバイクカテゴリーのレースでいくつものチャンピオンを獲得。初代モデルからの悲願とも言える、鈴鹿8耐でも勝利した。

当時流行していたアップタイプではなく、左右2本出しのエキゾーストシステムは「K7」型の特徴と言える。S-DMSやポジションの変更できるフットレストを採用し、ライダーが自分の走り方に合わせて設定を変えて楽しめるようになっている。

低く設定されたハンドルバー、後ろに向かってカチ上げられたシートカウルなど歴代のGSX-R1000のイメージを踏襲しつつ、よりアグレッシブなデザインを採用。

低いハンドルバーと高めのシート高が生み出すポジションは、レーサーに近いもの。フットペグのポジションは、3タイプに変更できるようになっている。

シート高は810mmと低くはないが、身長171cm体重65kgのライダーが跨ると両足のかかとが軽く浮く感じ。

レスポンスが良く快活なエンジンだが、185PSのパワーは公道で使えるものではない。S-DMSを活用することで、ある程度までは御することができるだろう。

「K7」型では最高出力の発生回転数を11000rpmから12000rpmに高め、最高出力は185PSへとさらにパワーアップ。このパワーアップは、マフラーの2本出し化、吸気ポートの10%拡大、排気ポートの20%拡大、ツインインジェクターの多孔小型化、イリジウムプラグの採用、気筒間ベンチレーションホール拡大といった各部の改良によって達成されている。走行状況に合わせて走行モードを選ぶことができるS-DMS(スズキ・ドライブ・モード・セレクター)を初めて採用し、フットレストのポジション変更機能を備えるなど乗り手に各部を合わせることが可能となっているのも特徴的だ。

コンパクトで縦長のヘッドライトの横に、ダクトが設けられる。コンパクトなデザインのフューエルタンクは、17.5Lの容量を持っている。

アナログのタコメーターとデジタルのスピードメーターを組み合わせる。インジケーター類はタコメーターの周りに配置されており、視認性も非常に良い。

左のスイッチボックスにはウインカー、ホーン、ヘッドライトの切り替え、ハザード、パッシングのスイッチが取り付けられる。クラッチが油圧式なので、左側にもリザーバータンクがある。

右スイッチボックスにはスターターとキルの他に、モードチェンジ用のスイッチが配置される。フォークトップにはアジャスターが取り付けられており、低速と高速を分けてセッティングすることが可能だ。

シャープなデザインのシートカウルに、ある程度厚みのあるシートが組み合わされる。シート高は810mmとなっている。

テールライトとウインカーはシートカウルにビルトインされたデザイン。この車両はフェンダーレス化されている。

水冷4ストロークDOHC4バルブエンジンは、ボア×ストローク73.4mm×59.0mmの999cc。最高出力136kW(185PS)/12000rpm、最大トルク116.6N・m(11.9kgm)/10000rpmというハイスペックに仕立てられる。

フレームは新設計のダイキャストフレームとなっており、ヘッドパイプ、左右メインスパーなどのコンポーネントパーツすべてを鋳造化するとともに、溶接によってアッセンブリー化している。フロントフォークには低速と高速を別々に調整できるダブルアジャスター付きフロントフォークを採用し、ステアリングダンパーは電子制御式の物が採用されている。

倒立タイプのフロントフォークは低速と高速を別々に調整できるダブルアジャスター付きで、ブレーキキャリパーはラジアルマウントタイプ。

フレームと共にブラック仕上げとなる極太のスイングアーム。リアブレーキは1ポットキャリパーとソリッドローターの組み合わせ。

リアショックは別体タンクを備えたフルアジャスタブルタイプが装着される。上側に圧、下側に伸びのアジャスターが取り付けられている。

この「K7型」以降もGSX-R1000は進化を続け、2009年登場の「K9型」ではエンジンとフレームを完全新設計、2017年登場の「L7」型「GSX-R1000R」ではMotoGPで開発した技術を取り入れたブロードパワーシステムや制動時の姿勢を安定させるモーショントラック・ブレーキシステムや、エンジン出力を10段階から選択できるモーショントラック・トラクションコントロール、クイックシフトシステムなどを採用している。

2009年のフルモデルチェンジで「K9」型へモデルチェンジし、新設計のフレームにボア×ストロークが74.5mm×57.3mmとショートストローク化された新設計エンジンを搭載。

2017年に登場した「L7」型では、初めて日本仕様が設定される。MotoGP由来のテクノロジーが各部に投入され、国内仕様で最高出力145kW(197ps)/13200rpm、最大トルク117Nm(11.9kgm)/10800rpmというハイスペックを発揮する。

2025年は初代と言える「GSX-R750」の登場から40年目に当たり、スズキの公式サイトでは「GSX-R 40周年スペシャルサイト」が公開されている。この40周年に合わせて鈴鹿8耐前日の7月31日に何か大きな発表があるということも発表されている。これまでもライダーたちの期待を大きく上回るサプライズを届けてきた「GSX-R」シリーズだけに、期待して待ちたい。

GSX-R1000主要諸元(2007)

・全長×全幅×全高:2045×720×1130mm
・ホイールベース:1415mm
・シート高:810mm
・乾燥重量:172kg
・エンジン:水冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒999cc
・最高出力:136kW(185PS)/12000rpm
・最大トルク:116.6N・m(11.9kgm)/10000rpm
・変速機:6段リターン
・燃料タンク容量:17.5L
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=120/70-17、R=190/50-17

40年の歴史を持つGSX-Rシリーズの中で、鈴鹿8耐を初めて制した「K7」型GSX-R1000 (26枚)

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コメント一覧
  1. HIRO.F より:

    初代は1984年発売のGSX-Rですね
    昨年が40周年で、浜松工場で開催されたGSX-S/R Meetingでも、GSX-R 40周年を祝い、40年新車から乗り続けているオーナーの表彰もありました。
    スズキは、国内マーケットは相手にしておらず、400、250は数にも入れないと、10年前の30周年記念イベントでも発言されていました
    モタサイで、また同じことをしないとスタッフの方にも聞いてましたが、見事に裏切ってくれましたね

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