2024年8月に発売が開始されたMoto Guzzi(モト・グッツィ)の「V85TT トラベル」。縦置き空冷Vツインエンジンを採用した唯一無二とも言えるアドベンチャータイプだが、今回はその乗り味をレビューしていきたい。
目次
ロングスクリーンやヒーター、大容量サイドバッグを標準装備した“旅するための縦置きV2”
現存するバイクブランドの中で最古参メーカーであるイタリアのモト・グッツィ。そんな同社の伝統でもある縦置きVツインエンジンは独自のフィーリングを持ち、もちろん「V85TT トラベル」にも搭載されている。
そんな1960年代に初めて開発され、長い歴史を持つ縦置きVツインだが、熟成が進む現在でもその進化を止めてはいない。「V85TT トラベル」は853cc空冷4ストローク縦置き90°V型2気筒OHVエンジンを採用し、チタン製の吸気バルブを搭載。さらに可変バルブタイミング機構を新たに採用することで、ユーロ5+排出ガス規制に適合させると同時に出力・トルク向上を果たしているのだ。
またエンジン以外では5インチフルカラーTFTメーターを採用。スマホ連動機能やクルーズコントロールを携え、タンクは23L大容量を確保、ロングスクリーンやサイドパニアを標準採用するなど、中・長距離ツーリングで欠かせない装備を盛り込んだ。さらにグリップヒーターとシートヒーターも備え、冬場でも快適なライディングを叶える。
タイヤは前モデルのブロックパターンから変更され、舗装路用のロードトレッドへ。フロント19インチ、リア17インチのクロススポークホイールで前後ともチューブレス化が図られた。そして大きな特徴を持つデザインは従来のV85を踏襲し、“イーグルシルエット”のDRL付きLED2眼ヘッドライトを採用。アップタイプのフロントフェンダーやアップタイプのマフラーがアドベンチャーらしさを強調する。
そんな“旅するための縦置きV2”とも呼べる「V85TT トラベル」に試乗してみた。
低いレンジでのんびり楽しめる優雅な乗り味! 心地よい振動はまさにモト・グッツィの真骨頂
モト・グッツィの縦置き空冷Vツインエンジンを体感したことがある人なら分かると思うが、大きな魅力はやはりその独特な“乗り味”だろう。縦置きであることからクランク軸が進行方向と同軸にあることや、チェーンではなくシャフトドライブを採用していることなどが複合的に絡み合った結果、ある種“クセ”とも呼べる特徴を見せてくれる。
まずエンジンをかけると横方向への力が働き、ハンドルが左右に振られるところにモト・グッツィらしさを実感。BMWを代表するボクサーエンジンを始動した際の感覚に近いが、モト・グッツィはより大きな振動が感じられる。そして走り始めると力強いトルクで地面を“蹴る”ように進んでいく。
この乗り味は縦置きエンジン+シャフトドライブが生むメリットも絡んでおり、クランク軸と後輪へのシャフトが同軸なことで中間にベベルギアを噛ます必要が無く、パワーロスが少なく済むことも要因。そして常用回転数は非常に低いため、3000rpm~4000rpm程度でそこそこのスピードが出てしまう。そもそも最大トルクを発生させる回転数が5100rpmと非常に低く、それだけでもゆったりとクルージングを楽しむ特性ということが分かる。
以前に同系統のエンジンを持つ「V7ストーン」に試乗したことがあるが、エンジンの振動が直にライダーへ届くダイレクト感は「V85TT トラベル」でもある程度感じられた。しかしシート高はV7から50mmほど高くなり、フレーム形状も異なる「V85TT トラベル」は良い意味で振動が緩やか。これならば長時間のツーリングでも疲れにくいはずだ。とはいえVツインの心地よい鼓動感は犠牲になっておらず、“振動を楽しむアドベンチャー”という特異な性質を覗かせてくれた。
ミドル・ツアラーということでシート高は830mmと視界は高く、見える範囲が広いことは大きなメリット。大型のスクリーンによって体への負担も少なく、まさに“のんびり”や“ゆったり”といった言葉がよく合う。コーナリングに関しては縦置きVツインらしく少しクセがあり、左コーナーはにパタンと寝ていくが右コーナーでは少し抵抗を感じる。そういった要素の蓄積が独特な乗り味を叶えているのだろう。
V85TT トラベルを勧めるとしたらどんな人?
国内外を問わずアドベンチャー人気は高く、各社より様々なモデルがリリースされていることはご存じの通り。そんな中でエンジン的にも外観的にもひと際異彩を放っている「V85TT トラベル」は、言ってしまえば少し“通”なバイクと言えるだろう。
「V85TT トラベル」を勧めるとしたら、「ある程度いろいろなバイクに乗ってきて、最終的にアドベンチャータイプに落ち着きたい」と考えているライダーだ。経験豊富なライダーほど、最終的には“楽に乗れるバイク”に行きつくもの。しかしその豊富な経験ゆえ、バイク独自の“味わい”にも敏感である。
その点「V85TT トラベル」であれば“疲れにくさ”や“乗りやすさ”は十分、“味わい”に関していえば100点満点と言えるアドベンチャー。しかもアドベンチャーという人気カテゴリーの中でも異彩を放っているため、国内で人と被ることもほとんどない。充実の装備や高級感のあるデザインから、より所有欲も満たしてくれるはず。
休日に思い立ったらゆったりとキャンプツーリングを楽しむ・・・。そんな風景を連想させてくれる「V85TT トラベル」。楽しく、優雅にツーリングを楽しみたいライダーへ是非オススメしたい。
V85TT トラベル(2024)主要諸元
・価格:¥1,897,500(税込)
・全長×全幅×全高:2,460×950×1,420(mm)
・ホイールベース:1,420mm
・シート高:830mm
・空冷4ストローク縦置き90°V型2気筒OHV 853cc
・80ps/7,750rpm
・83N・m/5,100rpm
・タンク容量:23L
・ブレーキ:F=ダブルディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=110/80R-19、R=150/70R-17
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