取材協力:レッドバロン

先日レッドバロン岡崎で行われたメディア試乗会にて、様々な極上中古車に試乗することができた。その中で試乗した「Vmax1200」の歴史と乗り味をお伝えしていきたい。

ネイキッドでもアメリカンでもない、唯一無二の性能とデザインを得た“対北米戦略車”

初期型の「Vmax1200」。そのマッスルなデザインは登場から40年が経った今でも色褪せない

「Vmax1200」の登場は1985年にまでさかのぼる。この当時ヤマハは北米でのセールスで苦戦していたこともあり、アメリカの市場で勝てる“マッスルなバイクを造ろう”という流れで動き始めたプロジェクトが始まりだった。そしてアメリカと言えば“ドラッグレース”ということで、「ゼロヨン10秒を切るバイク」として開発されたのが「Vmax1200」なのだ。

リアビューも迫力満点。さらけ出されたV4エンジンがデザインの一部となっている

エンジンは1983年にヤマハから発売された最高級ツアラー「ベンチャーロイヤル」をベースとし、水冷4ストローク70°V型4気筒DOHC1198ccを採用。70°という侠角、さらに4気筒ということで点火タイミングも独特で、エンジン音も唯一無二のサウンドを響かせる。

水冷4ストローク70°V型4気筒DOHC1198ccエンジンを採用。あまりにも無骨で重厚感のあるデザインだ

そして「Vmax1200」といえば語らずしていられない機構が「V-BOOST(ブイブースト)システム」。この装置は6000rpmを超えることで強制的に発動する機構で、キャブレター下部のインテークマニホールド前後を繋ぐバタフライバルブが開き、一時的に1気筒でツインキャブの状態に。要するに、高回転になればなるほど大量の混合気がシリンダーに送り込まれるという仕組みで、8500rpmを最大に爆発的なパワーを発生させるという機構なのだ。V-BOOSTの発動によって最大で145PS/9000rpmを発揮する、当時としてはまさに“モンスター”と呼ぶにふさわしいバイクだった。

ちなみにこのV-BOOSTが搭載されていたのはいずれも海外仕様の輸入車だけで、1990年から国内で販売されたモデルには搭載されていない。それでも最高出力は97PS/7000rpmと十分なパワーを持ち、現在でもヤマハ車のデザインを手掛けるGKダイナミクスによる独自のスタイリングから、国内外問わず20年以上も愛されるロングセラーとなった。

語ることは無限に出てくる名車ではあるが、今回は実際の乗り味をお伝えしていきたい。

小ぶりの単眼ヘッドライトの左右を流れるようにフルードのホースを配置。クラッチも油圧である。また、タンクのサイドに設置されているダクトはダミー。なんならタンクもダミーで、すぐ下にはエアクリーナーボックスが入っている

スピードメーターはkm/hとマイル表記が。そのほかはODOとトリップのみというシンプルな作りとなっている

「Vmax1200」の大きな特徴と言える第2のメーター類。左が水温計、右がタコメーターだ。各種ランプ類もこちらに配置される

メインキーはステム上部ではなく、タンクとダミーエアダクトの中間あたりに配置されている

実際に馬の鞍をイメージしたと言われるシート。かなり肉厚で座り心地は良い

象徴的なディッシュホイール。そして初期型特有の対向2ポッドキャリパーを装備している

左右2本出しとなっているメガホンマフラー

後輪への駆動力はチェーンではなくシャフト。このためダイレクトなトルクを実感することができる

燃料タンクはシート下。容量は15Lのみとスタイリングに振り切っていることがわかる

噂と異なる圧倒的な乗りやすさ! そして噂に違わぬドラッガー「Vmax1200」

全長は2,300mm、シート高は765mmとロー&ロングな出で立ちである「Vmax1200」。とはいえ連想される“アメリカンバイク”とは一線を画す特徴的なフォルムを持ち、シルエットだけでも一目で車種が特定できてしまう。

そんな車両の足つきはもちろん良好。シートは非常に肉厚で沈み込み、見た目以上に足つきはよく感じる。馬の鞍を彷彿とさせるシートデザインにもこだわりを感じ、フォルムだけで乗る者を陶酔させる不思議な魅力を放つ。

身長171cm、65kgのライダーが跨ると両足ベタ付き。シートが幅広いが十分に低いので全く恐怖心はない

ステップ位置はミッドコントロールで自然なポジション。シートの厚みとステップの低さが良いバランスで疲れない

「Vmax1200」といえば「止まらない」「フレームが弱い」といったマイナスのイメージを聞いたことがある人も多いはず。事実、最初期型はフロントキャリパー、リアキャリパー共にワンポッドを採用。とにかくエンジンを強調させるため、あえてフレームも強固に作られなかったという逸話が残っている。

ところが走り出すとそういったマイナス要素は気にならず、いたって乗りやすいことに驚きが隠せない。この「止まらない」「フレームが弱い」という情報は、おそらく「V-BOOST」を使用した際に強調されてしまう部分で、街乗り程度のスピード感であれば相当に乗りやすい部類だ。その秘密はV型4気筒から発せられるビッグトルクにあり、十分にバンクさせてコーナリングを攻められるスポーツ性も持ち合わせる。

低速のドロドロとした鼓動感がクセになる。低中速のトルク感で街乗りは非常に楽だ

とはいえ、やはり真骨頂は直線での「V-BOOST」発動による加速感。今回試乗したコースは「V-BOOST」を使用するには短すぎるので“一瞬のみ”使用してみたが、まず6000rpmからエンジンフィーリングとサウンドがガラッと変わる。低速時の「ボコボコボコ」といったフィーリングから、一気にリッターSSのような高回転型エンジンのサウンドへと変わっていくのだ。

そしてそのサウンドが変わっていくにつれ、まさに“急に”という言葉が相応しいほどに爆発的な加速を発揮。これは“乗りやすい”とか“乗りづらい”とか、そういった次元の走りではない。重量250kgを超える車体が“ぶっ飛ぶ”感覚はおそらく、この「Vmax1200」でしか味わえないだろう。

重量感のある車体だが、コーナリングはかなりあっさり曲がれる。トルクフルなので大きくバンクさせても不安はない

Vmax1200を勧めるとしたらどんな人?

スタイリング、乗り味、トータルで個性の塊とも言える「Vmax1200」。紛れもなくヤマハが誇った名車である

今なお人気が衰えない「Vmax1200」。今の時代だからこそ、このような“ぶっ飛んだ”マシンに価値があると言えるのではないか。しかも2025年となった今でも中古市場で見かける機会は多く、手に入れるだけならば難しくない。

そんな「Vmax1200」をオススメするならば、“普通じゃないアメリカンバイクが欲しい人”になる。そもそも“普通”の定義が曖昧だし、「Vmax1200」をアメリカンと呼ぶべきでないことも承知だが、そのスタイリングはやはりアメリカンに近い。ロー&ロングで足つき性も良好、ゆったりとクルージングを楽しめるという点がまさにそうだ。

しかし、“アメリカン”や“クルーザー”の一言で表わせない、というところが「Vmax1200」の大きな魅力であり、唯一無二の存在であることが一番の価値といえる。何を隠そう筆者の愛車も「Vmax1200(2006年カナダ最終型)」であり、その孤高の存在感に惹かれたことで購入に至った一人だ。

ただし、海外仕様車を購入した際は、くれぐれも「V-BOOST」の扱いに気を付けてほしい。

Vmax1200(1987)主要諸元

・全長×全幅×全高:2,300×795×1,160(mm)
・ホイールベース:1,590mm
・シート高:765mm
・水冷4ストロークDOHC4バルブV型4気筒1198cc
・145ps/9,000rpm
・12.4kgf·m/7,500rpm
・タンク容量:15L
・ブレーキ:F=ダブルディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=110/90-18、R=150/90-15

登場から40年が経っても色褪せない“魔神”。当時最強の145PSを叶えたヤマハ渾身の「Vmax1200」に試乗【元バイク販売店営業インプレ】 ギャラリーへ (17枚)

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