2025年ドゥカティのニューモデルの目玉とされる新型「パニガーレV2S」のメディア試乗会が、袖ケ浦フォレストレースウェイで開催された。いよいよ日本に上陸した新世代ミドルスーパースポーツの実力を、歴代パニガーレを知るモーターサイクルジャーナリスト・ケニー佐川が徹底レポートする。

「軽さは正義」を地でいく新世代パニガーレ

控えめのパワーにエアロデバイスも最小限で、むしろ地味にさえ見えるV2S。今や200ps超えが当たり前になったスーパースポーツ界に一石を投じる存在になり得るか

 

新型パニガーレV2(2025年モデル)は、従来のスーパーバイク派生ではなく完全新設計の“ミドルスーパースポーツ”の位置づけ。新開発のアルミモノコックフレームに890ccにスケールダウンした新開発90°Vツインを搭載し、最高出力120ps/10,750rpmを発揮。先代モデルから17kg減の大幅な軽量化を実現している。

可変バルブタイミング採用により、ワイドトルクを重視した低中回転の扱いやすさと、高回転域でのスポーツ性能を両立。マス集中による俊敏なハンドリングが持ち味で、ワインディングからサーキットまで幅広い守備範囲でスポーティな走り楽しめる。

車体はクリップオン位置の最適化による疲れにくい姿勢と、ライダーの脚部への熱対策としてエアダクトを新設するなど快適性にも配慮。電子制御面では6軸IMUによるコーナリングABS&トラクションコントロール、ウィリーコントロール、クイックシフター2.0を装備し、4段階のライディングモード(レース、スポーツ、ロード、ウェット)があらゆる路面やシチュエーションでライダーを支える。全体として、パワー数値は下がったものの“軽くて速い”というコンセプトを体現し、気軽にハイパフォーマンスを楽しめる新世代ミドルスポーツとして注目を集めている。

パニガーレV2/S 主な数値
最高出力
120PS(先代モデル:155PS/-35PS)
※ユーロ5+規制に適合

装備重量
176㎏(先代モデル:193㎏/-17㎏)
※燃料を除く、Sバージョン

パワー・ウェイト・レシオ
0.68(先代モデル:0.80/-0.12)
※Sバージョン

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ずぼらに乗っても速い、でもナメてはいない

国内外でのジャーナリスト活動のほか、今年からドゥカティ公認のライダートレーニング「DRE」の講師を務めるなど、ライディングに関しても造詣が深いケニー佐川氏

 

マシン紹介でもふれたとおり、新型「パニガーレV2S」で注目すべき最大のポイントは「軽さ」である。元々がエンジンに前後輪を取り付けただけのようなシンブルな車体構成ではあるが、今回エンジン単体で10kg近く軽くなっているということは、良いシャーシの代名詞でもある「マス集中」のマス自体を感じさせない“次元の異なる”軽さと言っていい。軽さのメリットを生かしてブーキング開始ポイントを遅らせて奥まで突っ込めるし、軽いからそれほど減速しなくてもフロントブレーキを舐めたままコーナーに飛び込んでいける。その高い速度を維持したまま旋回しつつ、早めにアクセルを開け始められるのでコーナー脱出も速いのだ。まさに「軽さは正義」を地でいくマシンだ。

コーナー進入やタイトコーナーの立ち上がりが速いV2S。公道用タイヤだったので攻め切るまで至らなかったが、本来のポテンシャルはさらに高いところにあることが分かった。

 

そして、第二に4000rpm以上で最大トルクの80%以上を発揮するワイドトルクが武器だ。きっちり回し切ってパワーバンドをキープ! などと神経質にならずとも、わりとずぼらに走っていても速いのだ。今回の試乗会はサーキットとしては中規模クラスの袖ケ浦フォレストレースウェイだったが、最大トルク(8250rpm)辺りで早めにシフトアップしていくとリズミカルに楽しく乗れた。

もちろんクイックシフター装備で半クラッチもスロットルの煽りも必要なしなので快適でスムーズ。そしてライディングポジションも楽。セパハンにもかかわらず高めで横に開いているため、ネイキッド感覚で乗れて、首や腕への負担もだいぶ少ないのだ。ドゥカティ関係者が「従来のパニガーレV2とスーパースポーツ950の中間的なモデル」と言っていた意味がしっくりきた。

でも、ナメてはいけない。先代より35psも削られた120psのパワーと言えども、けっして素人が簡単に扱えるものではない。スロットルをカチッと開け切ることだって容易ではないはず。だって、かつてスーパーバイク世界選手権を席巻した名機、ドゥカティ916は“たった”115ps程度だったんですよ! V2Sの性能を引き出してしっかり乗るには、スポーツバイクの操り方を学んで真摯にバイクと向き合うことをおすすめしたい。そのほうが絶対に楽しいし安全だ。

最後にひとつ、試乗車は標準装着の「ピレリ・ディアブロロッソ4」だったが、攻め込んでいくとコーナー進入や立ち上がりでタイヤの限界を感じた。サーキット走行に特化するのであれば、ワンランク上のタイヤを選択するといいだろう。

電子制御のおかげで自信を持って乗れる

全体のプロポーションからも、ハンドル位置が高めで前傾度も緩く、キャスター角も立ちすぎていないことが分かる。つまり穏やかな性格の持ち主

 

パニガーレV2にはライダーを支援するさまざまな電子デバイスが投入されている。身近なところではライディングモード。

今回の試乗はサーキットだったので、4段階のうち「スポーツ」と「レース」しか使わなかったが、狂暴な感じはまったくなく、普通に気持ち良く乗れる。それでも、コーナー立ち上がりなどでタイヤが負けて滑り始めると即座にトラクションコントロールが入るので安心・安全。ただ、やはり本気で攻めようと思ったらタイヤをサーキット用にアップグレードしたいところだ。

また、コーナリングABSはコーナー進入時に絶大な安心感をもたらしてくれる。減速しながら倒し込んでいくときにフロントブレーキをどこまで引き摺れるかなど普通は怖くて試せないが、この文明の利器は6軸IMUでリーンアングルを検知して制動力を最適化(ABSを作動)してくれるため、自信を持ってくトライできる。いわば保険のようなものだ。

そして標準装着のクイックシフターはめちゃくちゃ便利で、クラッチやシフト操作に気を遣わないぶん、ブレーキングやスロットルワークに集中できる。一方でサスペンションは前後とも電子制御ではない従来型のオーリンズ最高峰モデルだし、ブレーキも前後連動タイプではないなど、ライダーが自分の意志でマシンの挙動をコントロールできる余地が多い。

つまり、適度なパワーと軽い車重も含めて、スポーツライディングの基本を学ぶ教材としても適しているわけだ。その意味でも、オススメ度は高い点数が付く。その他、マシン細部の詳細については以下の写真を参考にしてほしい。

 

DRL(デイタイム・ランニング・ライト)付きのフルLEDヘッドライトを装備。ライト下に控えめなスポイラー、カウル両サイドにはライダーに走行風を導くダクトが見える

セパレートハンドルではあるが、V4のようなトップブリッジ下にクリップオンするタイプではなく、ブリッジ上に直接取り付けられている

ブレンボ製φ 320mm ダブルディスク+ M50ラジアルモノブロックキャリパーを装備。指一本の入力でも十分な制動力と速度コントロールが可能だ

スーパースポーツとしてはシートも厚めで乗り心地も悪くない(シート高837㎜)。ちなみに日本向けはV2、V2Sともリアシートが付いた2人乗り仕様

リアサスペンションは独立式リザーバー付きフルアジャスタブルタイプで、V2 は KYB製、V2 S はオーリンズ製を採用。 ストローク 140mm

スイングアームは新型パニガーレV4にヒントを得たアルミ鋳造の中空構造となっている。両持ちタイプだが、伝統の片持ちタイプよりむしろ軽く、しなやかな剛性を得た

パニガーレV4と共通のテールライトデザインを採用

後方2本出しアップマフラーが特徴的で、先代V2やV4の車体センター下にあるタイプとは大きくイメージが異なる。触媒はエンジン下にあるのでマス分散の影響は最小限だとか

パニガーレV2/V2 S主要諸元(2025)

・エンジン:水冷4ストロークDOHC4バルブV型2気筒890cc
・最高出力:88kW(120PS)/10750rpm
・最大トルク:93.3N・m(9.5kgm)/8250rpm
・変速機:6段リターン
・ホイールベース:1465mm
・シート高:837mm
・車両重量(燃料を除く):179kg/177.6kg
・燃料タンク容量:15L
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=120/70-17、R=190/55-17
・価格:211万9000円/240万8000円(税込)

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