
ヤマハのモトクロス競技用車両YZシリーズの2026年モデルを9月25日に発売する。「YZ250F」と「YZ125」については、ヤマハ発動機創立70周年を記念する特別仕様車「70th Anniversary Edition」が追加され、これは10月23日発売となる。価格は特別仕様車以外、2025年モデルから据え置きとなっている。
目次
フルモデルチェンジとなる「YZ450F」
3年ぶりのモデルチェンジとなる「YZ450F」の主な新しい特徴は、まず従来からの高速域でのパワフルさはそのままに低中速域での扱いやすさも両立した新エンジンだ。吸気ポートを長円に近い断面形状へと変更することで流量を確保し、同時に壁面形状も調整して燃焼室内のタンブル(縦渦)を強化。これにより高速域でのパワーフィーリングは維持しつつ、3000~5000rpmでのトルク特性を向上。また低~中速域での燃焼効率を高めている。
クラッチは従来型のワイヤー式クラッチから、上質な操作フィーリングを実現した油圧クラッチとされた。油圧クラッチの採用にあたってミートポイントの分かりやすさや自然なタッチを重視し、クラッチスプリングの荷重を高めながらもスプリング特性を最適化することで、レバー操作荷重を軽減。半クラッチのスムーズさ、そして滑らかなつながり感を実現し、上質な操作フィーリングを実現している。
剛性を適正化し、より穏やかなフィーリングをもたらす新フレームを採用し、「YZ450F」持ち味であるスタビリティとコーナリング性の高さを継承しながら、コンフォート感と接地感を高め、より穏やかなフィーリングをもたらしている。従来型よりもダウンチューブをスリム化し、内側形状も刷新。エンジン懸架は新フレームに最適な左右非対称形状を選定し、フレームのねじれ挙動を調整。これらにより、縦・横・ねじれの各剛性は現行と同等としながらも、路面からの突き上げに対する剛性を現行比で抑制。最適なバランスを取ることにより、走行時のノイズになり得る過剛性感を軽減し、より穏やかで安定感の高いフロントエンドフィーリングを実現している。
新フレーム採用に合わせて、前後サスペンションに専用セッティングを施している。低速域から高速域までより滑らかに推移する減衰力特性を持つ新開発のリアサスペンションを採用し、手回し可能な圧側減衰アジャスター(クリックダイヤル)を追加し、より容易なセッティング変更が可能となっている。
その他、盗難抑制に寄与するECUロック機能を市販オフロード競技用モデルとして初搭載し、加速時のホールド感を高める新シート表皮なども採用された。この「YZ450F」は、税込価格118万2500円となる。
パフォーマンスを高め、特別仕様車も用意される「YZ125」
「YZ125」は、吸気系まわりを見直してより幅広いシチュエーションで高いパフォーマンスを発揮するとともに、キャブレターセッティングをより容易にし、ハイパフォーマンスと扱いやすさの両面を高められた。
キャブレターへの燃料供給量を調整するジェットニードルを変更しし、従来型は4段階だったテーパー角を2段階で変化する仕様とし、スロットル開度の大小に関わらずバランスのよい燃料供給を実現。安定したパワーデリバリーをもたらす。さらに、メインジェット、パイロットジェット、パワージェットを変更し、適切な燃料流量を実現。さらに、フロートチャンバーの油面の適正化も行なわれ、これらの相乗効果によってエンジンのドライバビリティを向上。特に低回転域から高回転域まで幅広い回転域を多用するコーナー立ち上がりにおいて、よりスムーズなライディングを可能にしている。
点火タイミングも見直され、より細かくセッティングすることで低回転域から高回転域に至るまで、ライダーのスロットル操作に対してリニアに反応するエンジン特性を実現。また、よりスムーズにキャブレターへと導入するために、エアフィルタージョイントの形状を変更してつながりを滑らかにし、加えてエアフィルターケースへのエアインテークの形状も変更して拡大。これらにより、あらゆるスロットル操作において空気をスムーズに導入し、安定したキャブレターセッティング及び、エンジン特性とされた。
価格は「YZ125」が税込価格75万9000円、「YZ125 70th Anniversary Edition」が税込価格71万8000円となる。
充実の「YZ」シリーズラインナップ
「YZ250F」は2025モデルをベースに細部を煮詰め、ECUセッティングを最適化するともにエンジンセッティングの容易化を図るパワーチューナーのアプリをバージョンアップ。トラクションコントロールシステムの介入度合いを従来の3段階から4段階(OFF含む)へと変更し、より細やかなセッティングが可能となっている。また、YZ450F同様に、盗難抑制に寄与するECUロック機能や、加速時のホールド感を高める新シート表皮を採用するなど各部がバージョンアップされた。価格は「YZ250F」が税込価格94万500円、「YZ250F 70th Anniversary Edition」が税込価格96万2500円、2ストロークエンジンを搭載した「YZ250」が税込価格80万8500円となる。
その他のモデルも2026年モデルが発表され、価格は「YZ85LW」が税込価格59万4000円、「YZ85」が税込価格58万3000円、「YZ65」が税込価格51万1500円となる。なおいずれのモデルも、従来からの水平基調のデザインをさらに進化させ、スピード感と安定感をアピールしつつ、艶やかな生命感を感じさせるヤマハらしいデザイン性を継承。またシュラウドに配されたビッグロゴは、力強さと個性、そして存在感を表現している。
YZ450F主要諸元(2026)
・全長×全幅×全高:2170×825×1275mm
・ホイールベース:1475mm
・シート高:965mm
・車両重量:110kg
・エンジン:水冷4ストロークDOHC4バルブ単気筒449cc
・変速機:5段リターン
・燃料タンク容量:6.2L
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=80/100-21、R=120/80-19
・価格:118万2500円(税込価格)
YZ125主要諸元(2026)
・全長×全幅×全高:2135×825×1295mm
・ホイールベース:1445mm
・シート高:980mm
・車両重量:96kg
・エンジン:水冷2ストローク単気筒124cc
・変速機:6段リターン
・燃料タンク容量:7.0L
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=80/100-21、R=100/90-19
・価格:75万9000円(税込価格)
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