先日行われたホンダの試乗会にて、発売からまだ間もない原付二種クラスEVバイク「CUV e:」に試乗。EVバイクで公道を走行するのは初めての経験だったのだが、想像以上の乗りやすさに感動を覚えた。その感想をお伝えしていきたい。

30年以上の時を経て復活した「Clean Urban Vehicle」。未来的なデザインで新たなる日常の足に

ホンダの次世代EVモビリティ「CUV e:」。シンプルかつ未来的なデザインが大きな特徴だ

しっかりとしたリアキャリアは標準装備。車体サイズはリード125と同じくらいだ

ホンダの最新型EVバイク「CUV e:」だが、実は30年以上前に原型となるバイクが存在していたことをご存じだろうか。1994年に官公庁や地方自治体などに200台限定で販売された「CUV ES」という幻のEVバイクが存在したのだ。「CUV e:」は言うなれば、「CUV ES」の復刻版とも言えるのである。

1994年に登場した「CUV ES」。200台しか生産されず、一般販売もされなかった幻のEVバイクだ

「CUV e:」という名前を見て「カブ」と読んでしまいがちだが、(実際に筆者は最初カブイーだと思っていた・・・)正しくは「シーユーヴィーイー」と読み、由来は「Clean Urban Vehicle(クリーンアーバンビークル)」の頭文字をとっている。なので、お馴染のカブとは全く関係がない。

デザインコンセプトはシンプルながらも美しく、印象的なスタイリングであり、電動ならではのプレミアムで未来的な雰囲気を演出。特にシャープに設計されたデイライトやテールランプが「CUV e:」を象徴しているように感じる。

ライト類はフルLEDで、全て小ぶりな印象。あえてシャープにすることで“未来感”を演出している

テールランプもウィンカー一体型でまとまりのあるシンプルなデザインが特徴

フロントタイヤは12インチで小回りバツグン。フロントのみディスクを採用し、コンビブレーキとなる

リアタイヤも12インチを採用。エンジン車ではないので、もちろんマフラーもついていない

モーターが直接後輪を駆動。ドラムブレーキを採用する

標準でリアキャリアを採用。ホンダ純正の35Lトップボックスが装着できる

左側ハンドルスイッチにはハイ/ロービーム切り替え、ホーン、ウィンカーに加え、メーター操作に用いるスイッチ類が目立つ

右側ハンドルスイッチは非常にシンプル。エンジン車と同様、スタートは下部のスイッチで、同時に長押しすることでリターンモードに切り替わる。上部のスイッチでは走行モードの切り替えが可能だ

スマートキー採用なのでダイヤル式。操作は現行PCXなどと同様だ

フロントポケットにはUSB-Cソケットを装備

171cmが跨ると両足で少し踵が浮く程度。女性には少し高いかもしれない

片足でも少し踵が浮いた。車体を傾ければベタ付きだ

トルクは250cc並み!? 航続距離は約57kmを達成した“新たなる日常の足”に

新たな日常の足として素晴らしいポテンシャルを持つ「CUV e:」

さて「EVバイク」と聞いて、皆様はどのような感想を抱くだろうか。バイク販売店に勤めていた筆者でもEVバイクに触れる機会などほとんどなかったためか、なんとなく“取っつきにくいイメージ”を持っていたのが正直なところ。その要因はやはり、エンジン車ではないことによる“パワー不足”への懸念と、EVバイク特有でもある「バッテリー」の取り扱いに関する不安だ。しかし、少なくとも「CUV e:」に関しては、そういった不安を払拭するに十分な高い性能と利便性を備えていた。

まずパワーに関してだが、最高出力は8.2PS/3,500rpm、最大トルクは2.2kgf・m/2,300rpmを発揮。これは最高出力に関してはホンダの110ccスクーターである「Dio110(8BJ-JK03)」の8.7PSに比肩し、最大トルクに関してはなんと250ccの「フォルツァ(8BK-MF17)」の2.4kgf・m/6,250rpmに近い。しかも「CUV e:」は最大トルクの発生回転数が2,300rpmと非常に低く、瞬時に高いトルクを発生させる特性であることが分かる。このため、パワーに関しては一切不安がないことがお分かりいただけるだろう。

次いで航続距離だが、国土交通省届出値では60㎞/hを一定走行した場合に57km、欧州届出値のWMTCクラス1では最大79.8kmを達成。流石にロングツーリングで利用するには厳しいかもしれないが、都内近辺であれば十分な航続距離と言える。

また「CUV e:」が採用するバッテリーは、以前より販売されている50ccクラスのEVバイク「EM1 e:」と同様の「Honda Mobile Power Pack e:」を採用。異なる点と言えば、この「Power Pack e:」を2つ装備する必要があるという点で、1つだけでは「CUV e:」は動かない。2つのバッテリーが同時に消費されていき、充電も2つ同時に行う必要がある。

「Honda Mobile Power Pack e:」を2個装備。1つ10キロ程度でずっしりしている

シート内はバッテリーによって容量はほとんどない。後方部に3Lほどのスペースが確保されていた

ちなみに「Power Pack e:」はひとつで¥108,900(税込)、専用の充電機も¥55,000(税込)なので、それぞれを×2にして足すと¥327,800(税込)という価格。なんと、「CUV e:」本体代の¥200,200(税込)よりもバッテリー関連の方が高額なのだ。

そういった初期費用は無視できない価格ではあるが、実はこれらは必ずしも購入しなければいけないというわけではない。実は「Gachaco(ガチャコ)」と呼ばれるバッテリーシェアサービスが2022年より開始しており、東京都に46基、大阪府に7基のステーションが設置されている。(2025年6月現在)

東京都と大阪府に設置されている「Gachaco(ガチャコ)」

今回の試乗会では「CUV e:」の開発メンバーが集結。車両に跨っているのがチーフエンジニアの後藤香織さんだ

今回は開発者インタビューも行った。現状では都内を中心としたセールスを行っているが、順次エリアを拡大していきたいとのこと

そしてこのサービスのサブスクに加入することで、「CUV e:」本体を購入するだけで気軽に乗り出すことが可能なのだ。本体代だけであればかなりのお手頃価格なので、EVバイクへの敷居がグッと下がるのではないだろうか。さらに東京都民であれば東京都補助金と全国で活用できるCEV補助金によって、最大で10万円以上お得に。なんと、全てをフル活用すれば10万円以下で「CUV e:」を購入できてしまうのだ。補助金に関して詳しく知りたい方は、別記事を参照いただきたい。

長くなってしまったが、実際に試乗した感想をお伝えしていきたい。

いよいよ試乗! 「Sportモード」のトルクフルで爽快な加速感がとにかく楽しい

これでもかと言うほど多くの機能が盛り込まれている「CUV e:」だが、大きな特徴のひとつに3つの走行モードがある。「Standard」「Sport」「Econ」から選択可能で、それぞれ全く特性が異なっていた。

メーター右上部に現在の走行モードが表示される

まず「Standard」モードでは過不足の無い加速感を実感。信号の多い都内のストップ&ゴーでもストレスはなく、パワー不足も一切感じない。むしろEV特有の予備動作がほとんどないスムーズな加速が非常に楽しく、自分の意志にマシンが素直に反応してくれる点がクセになる。

そして「Sport」モードを試してみたが、これはまさに“感動”の一言。「Standard」モードではある程度スピードが出てくると、スロットルをいくら開けようが車速は変化しなかったのだが、「Sport」モードは開ければ開けるだけグングンスピードが出てくれる。しかも低い回転数から最大トルクに到達するので、加速の力強さが125ccクラスのエンジン車と比較すると段違いなのだ。にも関わらずEV車のためほとんど“無音”なこともあり、まさに近未来の乗り物に乗っている不思議な感覚を味わうことができた。

「Sport」モードではグングンと加速し、トップスピードになるまで一瞬だった

「Sport」モードを使用した後の「Econ」モードだが、こちらは驚くほど加速しないので正直に言えば物足りなく感じる。しかし名前の通り“エコ”な乗り方がしたい時に使用するモードなので、バッテリー残量が気になる時や渋滞時など、少しでも節約したい状況では助けになるだろう。

スポーティなライディングもゆったりとしたライディングも可能。走行モードによってかなり極端に乗り味が変わるので素直に楽しかった

また驚きなのが「Reverse」モードを採用している点で、車のようにバイクが後ろ側に向かって走行できるのだ。都内の狭い道や狭い駐車場などで活用でき、特に女性には嬉しい機能と言える。

「Honda RoadSyncDuo」のナビ機能で利便性も次世代だ

今回の「CUV e:」から新たに採用された「Honda RoadSyncDuo」とは、スマホとバイクを連動させることができるホンダの新機能。とはいえ、「Honda RoadSync」は以前から「CB650R」などで導入されており、ナビ機能や音楽アプリとの連携はすでに実装されていた。では今回の「Duo」は何が凄いのかというと、従来とは異なり、フルマップの地図が表示できるようになった点。クラス最大とも言える7インチ大型TFTメーターは、この「Honda RoadSyncDuo」のフルマップ表示のために採用されたのだ。

「Honda RoadSyncDuo」によって7インチの広々とした大型メーターでナビが確認できる

しかも「Turn by Turn」表示でより丁寧で分かりやすいナビゲーションを実現。バッテリー残量が少なくなれば、ナビの途中でバッテリー交換ステーションを中継する最適なルートを提案してくれるのだ。しかもアプリと連携すれば現在地から100km圏内の地図データを車体本体にダウンロードするので、極端に言えばスマホが無くともナビが使えてしまうのである。

「Turn by Turn」表示で最低限のナビゲーションもお手の物

巨大とも言い換えられる7インチメーターは言わずもがな見やすいが、さらなる工夫として「オプティカルボンディング」という特殊加工が施されている。太陽光の下でも画面の乱反射を抑えてクリアな視認性を確保する加工で、試乗当日は日差しが強かったにも関わらず、メーターに日光が当たっても見づらくなるということはなかった。

CUV e:を勧めるとしたらどんな人?

今回「CUV e:」を試乗して、正直に次世代モビリティとしてのポテンシャルの高さに驚愕した。しかし、まだまだ普及していないEVバイクということで試験的な部分が多いことも事実。実際に「CUV e:」の生産予定台数は700台と抑えめで、バッテリーステーションも東京と大阪にしか存在していない。ということを考えると、まずは東京都、大阪府に住んでいるライダーにオススメするのが妥当である。

さらに東京都民にフォーカスして言えば、10万円以上の助成金が活用できる点がやはり強い。東京都に住んでいて、特にエンジン車への強いこだわりがなく、日常の足として原付二種クラスを希望しているのであれば、正直かなりお買い得なバイクなのではないか。

より言ってしまえば、バッテリーのサブスクに抵抗がなく、「Gachaco」のステーションが生活圏内にあるという都民であれば10万円以下でハイスペックなEVバイクを手にできる機会ということ。そう、これはチャンスでもある。なので身もふたもないかもしれないが、「CUV e:」は“都内在住で、原付二種クラスのスクーターを新車で安く購入したい人”にはうってつけなのだ。

もちろんバッテリー込みで購入すれば「Gachaco」ステーションがない地域でも問題なく乗れるし、EV特有のストレスフリーな乗り味は多くの人に刺さるハズ。いち早く新世代のモビリティを体感したい人には強くオススメしたい。

CUV e: (2025)主要諸元

・全長×全幅×全高:1970×675×1100mm
・ホイールベース:1310mm
・シート高:766mm
・車両重量:120kg
・原動機:DCブラシレスモーター
・定格出力:0.98kW(原付二種分類)
・最高出力:8.2PS/3500rpm
・最大トルク:2.2kg-m/2300rpm
・航続距離:80.7km
・ブレーキ:F=ディスク、R=ドラム
・タイヤ:F=100/90-12、R=100/90-12
・価格:税込52万8000円(車両本体は税込20万200円)

ホワイト、シルバー、ブラックの3カラーから選択できる

ホンダの原付二種クラスEVバイク「CUV e:」に初試乗! 250cc並みのトルクと加速感で想像以上に楽しめる次世代スクーターだ【元バイク販売店営業インプレ】 ギャラリーへ (29枚)

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コメント一覧
  1. ユキオトコ より:

    こういう互換性の無いバイクをどうして出すのか理解不能。

  2. 匿名 より:

    まだまだ電動バイクの時代ではない
    脱炭素? その電気何で作っているの石油でしよ
    航続距離が短い 充電時間がかかる 高い

  3. 匿名 より:

    ホンダのサイトから…
    車両本体 200,200円
    Honda Mobile Power Pack e: 108,900円
    Honda Power Pack Charger e: 55,000円

    パワーパックがバッテリーで2台必要。

  4. 匿名 より:

    おっと、充電器も2つ必要っぽいww

  5. 匿名 より:

    田舎モンには関係無いね

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