
ベスパのプリマベーラシリーズとGTV310に、伝説的な工房である“Officina 8”の名を冠したスペシャルモデルが設定された。マットメタリック仕上げの深いインダストリアルブルーの限定カラーでペイントされ、工房のスタッフが身につけていたピンバッジをモチーフにした立体的なプレートなどの特別装備が与えられている。日本導入については未発表だ。
伝説の工房“Officina 8”
戦後の再建後、ポンテデーラのピアッジオ工場内にある“Officina 8”は、ベスパブランドの誇り高き実験部門の本拠地となった。ここは社内の最先端を行くエリアであり、最も大胆なプロジェクトが形作られる場所であった。1940年代末からは、デザイナー、製図技師、メカニック、金属加工の熟練工、そしてテストライダーが、航空業界出身者を含む高度なスキルを持つプロフェッショナルたちと肩を並べて作業していた。
“Officina 8”は革新的なアイデアを含む新しいアイデアが初めて生まれた場所であり、この工房で、量産用、レース用、そして記録更新用のベスパ初号機の設計と試作が行なわれた。金属加工用のカットアウト、専用シャーシモデル、そして実験用エンジンの砂型鋳造はすべて自社で行なわれ、試作車はロードテスターに引き渡され、彼らはこれらのバイクで何万キロも走行した後、どのモデルを量産にするか、あるいはどの新しい競技車両を製作するかを決定した。ベスパの優雅なラインと時代を超越したスタイルは、まさにここオフィチーナ8から生まれたと言える。スタッフの作業服に付けられた“Piaggio 8”の文字が刻まれた青と真鍮のピンバッジは、工場内で最も秘密主義で羨望の的となる部門で働く技術者の証であり、卓越した才能の証であった。
そして時間を超えた2025年、この“Officina 8”の名を冠したスペシャルモデルが、プリマベーラシリーズとGTV310に設定された。
専用カラーと装備が与えられた“プリマベーラ Officina 8“と “GTV Officina 8”
“ベスパ プリマベーラ Officina 8“と “ベスパ GTV Officina 8” は、特別なマットメタリック仕上げの深いインダストリアルブルーの限定カラーである“Blu Officina 8“でペイントされる。この色は、時間を巻き戻し、万力、旋盤、研削ホイールなどの機械や、当時の作業服など過去の産業環境を思い起こさせ、エレガントなサテン仕上げのメタルアクセントとの独創的なコントラストを生み出している。シールドの輪郭やヘッドライト、テールライトはアルミニウム、ステアリングカバーグリルとホイールリムは真鍮色とされ、ホイールリムはダイヤモンドカット仕上げが施されている。
レッグシールドのバックプレートには歴史ある実験部門のメンバーが誇りを持って身に着けていた、ブルーと真鍮のピンバッジをモチーフにしたこのモデル専用の立体的なプレートが取り付けられている。シートも細部にまでこだわった二重張りの仕上げで、水平方向のステッチに加えてエッジをダブルステッチで囲み、ポリッシュ仕上げの真鍮製のリベットが伝統にオマージュを捧げている。 “ベスパ GTV Officina 8” には、ボディ同色のハンドルカバーが標準装備されており、ベスパのコンペティションモデルに典型的なフェアリングを彷彿とさせ、よりスポーティな外観を演出している。そして各部のパーツはマットブラック仕上げとされており、同じくマットブラックのスポーティなバーエンドミラーがこのセットアップを完成させている。
すべてのベスパ Officina 8には、このスペシャルエディションのカラーを彷彿とさせるブリキ製のエレガントなウェルカムキットが付属しており、その中には“Officina 8”の歴史を辿るオーナーズブックが収められている。また、バイクと同色で“Officina 8”のロゴがあしらわれたトップボックスや、マット仕上げのインダストリアルブルーを基調としたジェットヘルメット、テクニカルストレッチニット素材を使用したグローブといったアクセサリーやアパレルなども用意されている。
参考:GTV 300(2025)主要諸元
・全長×全幅:1975×765mm
・ホイールベース:1380mm
・シート高:790mm
・車両重量:163kg
・エンジン:4ストローク水冷単気筒 OHC 4バルブ 278cc
・最高出力:24.1PS/8250rpm
・最大トルク:26Nm/5250rpm
・変速機:自動無段階変速(CVT)
・燃料タンク容量:8.0L
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=120/70-12、R=130/70-12
・価格:91万3000円
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