
スポーツバイクメーカーとして長い歴史を持つイタリアの「ドゥカティ」は、MotoGPにおいても世界チャンピオンを連続獲得するなどその存在感を大きくしている。そんなドゥカティの2025年モデルが出揃ったので、改めてラインナップを確認していきたい。今回はアドベンチャー、モタードそして販売が待たれるMXを紹介していく。
目次
アドベンチャーのフラッグシップ「ムルティストラーダV4/V4 S/V4 PIKES PEAK」
ドゥカティのアドベンチャーモデルのフラッグシップとなる「ムルティストラーダV4」シリーズは、最高出力170PS、最大トルク124N・mを発生するV4グランツーリスモエンジンを、アルミニウム製のモノコックフレームに搭載する。V4 Sのサスペンションはフロント50mm径の倒立フロントフォーク+リアモノショックで、ザックス製のセミアクティブサスペンション「ドゥカティ・スカイフック・サスペンション(DSS) EVO」を装備。このDSS EVOは車速が10km/h以下になると最大で30mm車高を下げ、50km/hを超えると通常の車高に戻る自動車高低下機能を備えている。また、よりオンロード性能を高めたV4 PIKES PEAKには、前後オーリンズ製の電子制御サスペンションが装着される。V4とV4 Sのホイールサイズはフロント19、リア17でオンオフタイヤであるピレリの「スコーピオン・トレイルII」を履くが、V4 PIKES PEAKは前後17インチのマルケジーニホイールにピレリ製のスポーツタイヤ「ディアブロ・ロッソIV」を履く。電子制御システムは「ドゥカティ・ビークル・オブザーバー(DVO)」を採用した最新のものが採用されており、長距離走行時の疲労を軽減するアダプティブ・クルーズコントロール(ACC)と、バックミラーの死角に存在する車両を知らせるブラインドスポット検知(BSD)機能をサポートする高度なフロント&リア・レーダーシステムも用意される。
ムルティストラーダV4/V4 S/V4 PIKES PEAK主要諸元(2025)
・ホイールベース:1566mm/1566mm/1595mm
・車両重量:229kg/231kg/227kg
・エンジン:水冷4ストロークDOHC4バルブV型4気筒1158cc
・最高出力:125kW(170PS)/10750rpm
・最大トルク:124N・m(12.6kgm)/9000rpm
・変速機:6段リターン
・燃料タンク容量:22L
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=120/70-19、R=170/60-17/120/70-19、R=170/60-17/120/70-17、R=190/55-17
・価格:279万8000円/353万22000円〜/438万7800円(税込価格)
「V2」エンジンを搭載した「ムルティストラーダV2/V2 S」
デスモドロミック機構ではなくバルブスプリング方式を採用したドゥカティの新世代エンジン「V2」を、新設計のアルミモノコックフレームに搭載した「ムルティストラーダV2」シリーズ。「V2」エンジンは最高出力115.6PS/10750rpm、最大トルク92N・m/8250rpm仕様で搭載され、ギア比はムルティストラーダ専用に設定されている。サスペンションはV2 にはマルゾッキ製の45mm径のフロントフォーク+プログレッシブリンク付きのショックアブソーバー、V2 Sには電子制御を備えたザックス製のセミアクティブサスペンション「ドゥカティ・スカイフック・サスペンション」が装着されている。ホイールサイズはフロント19インチ、リア17インチで、タイヤはスポーツ・ツーリングタイヤとダート用タイヤの特徴を兼ね備えたピレリ製「スコーピオン・トレイルII」を履く。ライディングモードは「スポーツ」、「ツーリング」、「アーバン」、「エンデューロ」、「ウェット」の5つが用意され、路面状況やライディングシーンに最適なパフォーマンスを生み出すことが可能だ。
ムルティストラーダV2/V2 S主要諸元(2025)
・ホイールベース:1572.5mm
・シート高:830-850mm/790-810mm(V2 Sの日本仕様はローシート+ローサスペンション装着)
・車両重量:199kg/202kg
・エンジン:水冷4ストロークDOHC4バルブV型2気筒890cc
・最高出力:85kW(115.6PS)/10750rpm
・最大トルク:92.1N・m(9.4kgm)/8250rpm
・変速機:6段リターン
・燃料タンク容量:19L
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=120/70-19、R=170/60-17
・価格:199万4000円/230万7000円〜(税込価格)
本格オフローダー「デザートX/ディスカバリー/ラリー」
より本格的なオフロードライディングを可能にするアドベンチャーモデルである「デザートX」シリーズは、110PSを発揮する937ccのテスタストレッタ11°L型2気筒エンジンをオフロード専用に開発されたスチール製のトレリスフレームに搭載する。ホイールサイズはフロント21、リア18インチを採用し、チューブレスのクロススポークホイールにピレリ製「スコーピオン・ラリー」を履く。サスペンションは前後KYB製で、フロントは46mm径のアジャスタブルタイプ倒立フォーク、リアはアジャスタブルモノショック+アルミニウム製両持ちタイプスイングアームで、ホイールトラベルはフロント230mm、リア220mmとなる。ライディングモードはスポーツ、ツーリング、アーバン、ウェットに、オフロード専用のエンデューロとラリー加えた6つが用意されている。また、サスペンションストロークを増やして最低地上高を上げてオフロード走行性能を高めた「デザートX ラリー」、ツーリング・フロントスクリーンやプロテクションバーなどツアラーとしての性能を高めた「デザートX ディスカバリー」もラインナップされる。

フロント21、リア18インチのホイールを採用し、本格的なオフロード走行を可能とした「デザートX」シリーズは、937ccのテスタストレッタ11°L型2気筒エンジンをスチール製のトレリスフレームに搭載する。
デザートX/ディスカバリー/ラリー主要諸元(2025)
・ホイールベース:1608mm/1608mm/1625mm
・シート高:855mm(ローサスペンションキット装着)/855mm(ローサスペンションキット装着)/880mm(ローシート装着)
・車両重量:210kg/210kg(ディスカバリー専用装備を除く)/211kg
・エンジン:水冷4ストロークDOHC4バルブL型2気筒937cc
・最高出力:81kW(110PS)/9250rpm
・最大トルク:92N・m(9.4kgm)/6500rpm
・変速機:6段リターン
・燃料タンク容量:21L
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=90/90-21、R=150/70-18
・価格:209万2000円/232万5000円/270万4000円(税込価格)
シングルエンジンを搭載する「ハイパーモタード698モノ/RVE」
ドゥカティ初の単気筒ロードゴーイング・スーパーモタードである「ハイパーモタード698モノ」シリーズは、シンプル、軽量、俊敏で、レーシングDNAを備えた真の「ファンバイク」として開発されている。パワーユニットは新開発されたデスモドロミック・バルブ駆動システムを備えた659ccスーパークアドロ・モノで、これは1299パニガーレのエンジンから派生した最高出力77.5PSを9750rpmで発生する高回転型ユニットだ。フレームはスチールパイプ・トレリスで、572mmの短いアルミ製スイングアームとの組み合わせで1443mmというホイールベースを実現。このフレームとエンジンの組み合わせによって車両重量は151kgに抑えられ、スーパーモタードならではの楽しさと、ドゥカティのスポーツバイク特有の正確なフロントエンドのフィーリングを得ている。サスペンションはフロントにマルゾッキ製45mm径フルアジャスタブル倒立フロントフォーク、リアにザックス製フルアジャスタブルショックを装着する。バリエーションとして、クイックシフターや専用のグラフィックなどが与えられた「ハイパーモタード698モノ RVE」も用意されている。
ハイパーモタード698モノ/RVE主要諸元(2025)
・ホイールベース:1443mm
・シート高:864mm
・車両重量:151kg
・エンジン:水冷4ストロークDOHC4バルブ単気筒659cc
・最高出力:57kW(77.5PS)/9750rpm
・最大トルク:63N・m(6.4kgm)/8000rpm
・変速機:6段リターン
・燃料タンク容量:12L
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=120/70-17、R=160/60-17
・価格:177万8000円/188万6000円(税込価格)
テスタストレッタ11° L型2気筒を搭載する「ハイパーモタード950/RVE/SP」
「ハイパーモタード950」シリーズは、セクションによって径を変えたチューブを使用した専用のスチール製トレリス・フレームと、同じく鋼管トレリス・フレームを採用したリア・サブフレームを組み合わせたシャシーに、最高出力114PSを発生する937ccドゥカティ・テスタストレッタ11° L型2気筒エンジンを組み合わせたスーパーモタードだ。ボッシュ製6軸慣性プラットフォームをベースにした最先端の電子制御を採用し、スポーツ、ツーリング、アーバンの3つのライディングモードによって走行条件に合わせて最適な走行性能を発揮することができる。メーターには4.3インチのTFTカラー液晶ディスプレイが採用され、ドゥカティ・マルチメディア・システム(DMS)がオプション設定されている。「ハイパーモタード950 RVE」はスポーティなキャラクターを強調する新しいグラフィティEVOカラーを纏い、ドゥカティクイックシフト(DQS)アップ/ダウンEVOを標準装備。「ハイパーモタード950 SP」には185mmのホイールトラベルを備えたオーリンズ製48mmフルアジャスタブルフォークと、175mmのホイールトラベルを備えたオーリンズ製フルアジャスタブルショック・アブソーバーが装着され、マルケジーニ製の3本Yスポークタイプ鍛造ホイールやよりフラットなデザインのシートなどが採用されている。
ハイパーモタード950/RVE/SP主要諸元(2025)
・ホイールベース:1493mm/1493mm/1498mm
・シート高:870mm/870mm/890mm
・車両重量:193kg/193kg/191kg
・エンジン:水冷4ストロークDOHC4バルブL型2気筒937cc
・最高出力:84kW(114PS)/9000rpm
・最大トルク:96N・m(9.8kgm)/7250rpm
・変速機:6段リターン
・燃料タンク容量:14.5L
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=120/70-17、R=180/55-17
・価格:193万5000円/202万8000円/243万2000円(税込価格)
ドゥカティ初のモトクロッサー「デスモ450 MX」
ドゥカティ初のモトクロスバイクとなる「DESMO450 MX」は、デスモドロミック機構を持つ449.6ccの単気筒エンジンをアルミニウム製のペリメーターフレームに搭載し、車両重量は104.8kgに仕上げられている。新設計となるデスモ450エンジンはボア×ストロークが96×62.1 mmにが設定され、インテーク40mm、エキゾースト33mmというバルブサイズを採用。最高出力は46.7kW(63.5hp)/9400rpm、最大トルクは53.5N・m/7500rpmで、4200rpmで最大トルクの70%を発生する。サスペンションは前後ともショーワ製で、フロントフォークは310mmのトラベルを持つフルアジャスタブルの49mm倒立タイプ、リアショックアブソーバーはフルアジャスタブルで、ホイールトラベルは301mmとなっている。トラクションコントロールやローンチコントロール、エンジンブレーキコントロールといった電子制御システムも搭載している。
Desmo450 MX主要諸元(2025)
・ホイールベース:1494mm
・シート高:970mm
・車両重量:104.8kg(燃料無し)
・エンジン:水冷4ストロークDOHC4バルブ単気筒449.6cc
・最高出力:46.7kW(63.5hp)/9400rpm
・最大トルク:53.5N・m(5.46kgm)/7500rpm
・変速機:5段リターン
・燃料タンク容量:7.2L
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=80/100-21、R=110/90-19
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