スポーツバイクメーカーとして長い歴史を持つイタリアの「ドゥカティ」は、MotoGPにおいても世界チャンピオンを連続獲得するなどその存在感を大きくしている。そんなドゥカティの2025年モデルが出揃ったので、改めてラインナップを確認していきたい。まずはスーパースポーツとストリートファイターからだ。

スーパースポーツの最高峰「パニガーレV4/V4 S」

ドゥカティのフラッグシップモデルである「パニガーレV4」シリーズは、ワールドチャンピオンを獲得したMotoGPマシンに最も近いモデルだ。最高出力216PSを発揮するデスモセディチ・ストラダーレの最新進化バージョンを、MotoGP由来のアルミフロントフレーム+新設計の中空対称スイングアームを採用した最先端シャーシに搭載する。ブレーキには最新のブレンボ製Hypureキャリパーを採用し、V4 Sにはオーリンズ製 NPX-30加圧フォーク、オーリンズ製 TTX36リアショック、オーリンズ製ステアリング・ダンパーをベースにしたドゥカティ・エレクトロニック・サスペンション(DES)3.0システムやより軽量な鍛造アルミニウム合金製ホイールが搭載される。デザインは一新されて最新の空力テクノロジーを採用し、フロントエンドに完璧に統合された特徴的なフロントのダブルプロファイル・ウィングは先代モデルと同等のダウンフォースを発生する。エレクトロニクスも最新のものが与えられ、各種電子制御がドゥカティ・ビークル・オブザーバー(DVO)を介してライディングをサポートしてくれる。

MotoGPマシンに最も近いロードゴーイングモデルと言えるのが「パニガーレV4」シリーズ。最新のデスモセディチ・ストラダーレを、最適化されたシャシーに搭載する。

フロントカウルと一体にデザインされたダブルプロファイル・ウィングは、十分なダウンフォースを発生する。

スイングアームは従来の片持ちタイプから両持ちタイプへと変更され、剛性を最適化することでより高いコーナリング性能を実現している。

パニガーレV4/V4 S主要諸元(2025)

・ホイールベース:1485mm

・シート高:850mm

・車両重量:191kg/187kg

・エンジン:水冷4ストロークDOHC4バルブV型4気筒1103cc

・最高出力:158.9kW(216PS)/13500rpm

・最大トルク:120.9N・m(12.3kgm)/11250rpm
・変速機:6段リターン

・燃料タンク容量:17L
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク

・タイヤ:F=120/70-17、R=200/60-17
・価格:323万9000円/414万1000円(税込価格)

新型「V2」エンジンを搭載する「パニガーレV2/V2 S」

伝統の90°2気筒エンジンを搭載する「パニガーレV2」シリーズは、2025年モデルでデスモドロミック機構を採用せず、通常のバルブスプリング方式を採用した「V2」エンジンが搭載された。この「V2」エンジンは排気量は890ccで、最高出力は88kW(120PS)/10750rpm、最大トルクは93.3N・m(9.5kgm)/8250rpmと先代モデルが搭載していた「スーパークアドロ」には届かないものの、エンジン単体で9.5kgも軽く、車両全体ではは200kgから179kg(V2 Sは177.6kg)と21kgも軽量化されている。シャーシはフレームとエアボックスを兼ねるモノコック構造を採用し、スイングアームはストレスメンバーとなるエンジンに直接取り付けられる。スイングアームはV4系同様に先代の片持ちタイプから両持ちタイプへと変更され、大きく開けられた穴で強度や捻れ剛性が最適化されている。足回りはV2がマルゾッキ製フロントフォークとKYB製リアショックの組み合わせ、V2 Sはオーリンズ製NIX-30フォーク、43mm径ステム、オーリンズ製リアショックとなる。また、5インチのフルカラーTFTディスプレイや4つのライディングモード、第2世代のドゥカティ・クイック・シフト(DQS)なども装備する。

マルク・マルケスがトレーニングに使用しているという「パニガーレV2」シリーズは、それだけでその性能の高さが証明されていると言えるだろう。

通常のバルブスプリング方式を採用した「V2」エンジンは、ドゥカティの今後を見据えた新機軸となるエンジンだ。

V4シリーズのように大型のウイングは装着されていないが、各部に最新のエアロデザインを採用している。

パニガーレV2/V2 S主要諸元(2025)

・ホイールベース:1465mm

・シート高:837mm

・車両重量:179kg/177.6kg

・エンジン:水冷4ストロークDOHC4バルブV型2気筒890cc

・最高出力:88kW(120PS)/10750rpm

・最大トルク:93.3N・m(9.5kgm)/8250rpm
・変速機:6段リターン

・燃料タンク容量:15L
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク

・タイヤ:F=120/70-17、R=190/55-17
・価格:211万9000円/240万8000円(税込価格)

最強のストリートバイク「ストリートファイターV4/V4 S」

「パニガーレV4/V4 S」のネイキッドバージョンである「ストリートファイターV4/V4 S」は、パニガーレのエンジンと車体を基本的に受け継いでいる。フルカウルの代わりにコンパクトなヘッドライトカウルとウイングレットを備えたミッドカウルを装着し、ウイングレットは270km/h時に約17kgのダウンフォースを発生するという。搭載されるエンジンはユーロ5+に対応した最新のデスモセディチ・ストラダーレで、214PSの最高出力と120N・mの最大トルクを発生。このエンジンをストレスメンバーとするシャシーは、パニガーレV4同様に剛性を最適化されたフロントフレームとスイングアームを採用している。サスペンションはV4がショーワ製のフルアジャスタブルBPF+フルアジャスタブルのザックス製リアショックを装備するのに対して、V4 Sはフロントにオーリンズ製NIX-30フォーク、リアに同じくオーリンズ製のTTX36ショックアブソーバーを備え、ステアリングダンパーも含めてオーリンズ スマートEC3.0コントロールシステムによって電子制御される。ドゥカティ・ビークル・オブザーバー(DVO)を基軸とした最新の電子制御が、あらゆるシーンでのライディングをサポートしてくれる。

ネイキッドモデルである「ストリートファイターV4」シリーズは、よりデスモセディチ・ストラダーレの存在感を感じさせる。

コンパクトなヘッドライトカウルのサイドには、270km/h時に約17kgのダウンフォースを発生するウイングレットが装着される

フレームやスイングアームは「パニガーレV4」シリーズ譲りとなり、ドゥカティの最新テクノロジーが惜しみなく投入されている。

ストリートファイターV4/V4S主要諸元(2025)

・ホイールベース:1496mm

・シート高:845mm

・車両重量:192kg/190kg

・エンジン:水冷4ストロークDOHC4バルブV型4気筒1103cc

・最高出力:157.4kW(214PS)/13500rpm

・最大トルク:120N・m(12.2kgm)/11250rpm

・燃料タンク容量:16L
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク

・タイヤ:F=120/70-17、R=200/60-17
・価格:293万円/326万9000円(税込価格)

軽量かつパワフルな「ストリートファイターV2/V2 S」

「ストリートファイターV2/V2 S」は、「パニガーレV2/V2 S」のエンジンと車体を基本的に共有するストリートファイターモデルだ。搭載されるパワーユニットは最高出力は88kW(120PS)/10750rpm、最大トルクは93.3N・m(9.5kgm)/8250rpmを発生する新世代の「V2」エンジンで、この軽量なエンジンをアルミモノコックシャーシに搭載することで車両重量は178kg(V2 Sは176.6kg)と非常に軽量に仕上げられている。コーナリングABSやドゥカティ・ウィリー・コントロール、ドゥカティ・トラクション・コントロール、エンジン・ブレーキ・コントロールなどの電子装備が搭載されており、4種類のライディングモードによって様々なシーンで最適なライディングが可能となる。上級バージョンとなるV2 Sはシングルシート仕様となり、オーリンズ製サスペンション、リチウムイオン・バッテリードゥカティ・パワー・ローンチ、ピットリミッターなどを装備する。

「ストリートファイターV2」シリーズは、2気筒エンジンを搭載することでより軽量なネイキッドモデルに仕上げられている。

ストリートファイターらしさを表見したフロントフェイス。ウイングレットは装着されないが、各部にエアロデザインが採用されている。

120PSを発生する「V2」エンジン+モノコックシャシーという車体構成は、「パニガーレV2」シリーズと基本的に共通。

ストリートファイターV2/V2 S主要諸元(2025)

・ホイールベース:1493mm

・シート高:838mm

・車両重量:178kg/176.6kg

・エンジン:水冷4ストロークDOHC4バルブV型2気筒890cc

・最高出力:88kW(120PS)/10750rpm

・最大トルク:93.3N・m(9.5kgm)/8250rpm
・変速機:6段リターン

・燃料タンク容量:15L
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク

・タイヤ:F=120/70-17、R=190/55-17
・価格:194万円/222万9000円(税込)

かつてのドゥカティらしさを感じさせる「スーパースポーツ950/950S」

「スーパースポーツ950」シリーズは、かつてのドゥカティを象徴していたスチール製のトレリスフレームに、公式が「L型」と表現する937ccのテスタストレッタ11° 2気筒エンジンを搭載する。スイングアームも片持ちタイプが採用されており、その車体構成は名機916シリーズを思い起こさせるネオクラシックスポーツモデルと言えるだろう。デザインは同時期のパニガーレ系のものを採用しているが、高めに設定されたハンドルやコンフォータイプのシートを採用するなど、普段使いもできるスーパースポーツに仕上げられている。ボッシュ製6軸慣性プラットフォームをベースにした電子制御システムを搭載し、ライディングモードはスポーツ、ツーリング、アーバンの3種類が用意される。サスペンションはスタンダードの950が43mm径マルゾッキ製フルアジャスタブル倒立フォーク+ザックス製アジャスタブルリアショック、950Sには48mm径オーリンズ製フルアジャスタブル倒立フォーク+オーリンズ製フルアジャスタブルリアショックが装着される。

パニガーレシリーズよりも日常的なライディングを意識した「スーパースポーツ950」シリーズは、高めのハンドルやしっかりとシートを装備する。

メーターにはTFT液晶タイプが採用され、必要な情報を的確に伝える。ライディングモードは3タイプが設定されている。

950Sには前後オーリンズ製サスペンションが装着され、よりスポーティで上質な走りを実現している。

スーパースポーツ950/950S主要諸元(2025)


・ホイールベース:1478mm

・シート高:810mm

・車両重量:205kg

・エンジン:水冷4ストロークDOHC4バルブL型2気筒937cc

・最高出力:81kW(110PS)/9000rpm

・最大トルク:93N・m(9.5kgm)/6500rpm
・変速機:6段リターン

・燃料タンク容量:16L
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク

・タイヤ:F=120/70-17、R=180/55-17
・価格:185万3000円/203万9000円〜(税込価格)

ドゥカティ2025ラインナップを再チェック![スーパースポーツ&ストリートファイター編] (15枚)

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