
今年4月に満を持して国内販売が開始された2025新型「Z900 SE」。今回カワサキの新車試乗会で実走してきたので、元「Z900」オーナーとしてのインプレッションをお送りしたい。
目次
より洗練されたSugomiデザイン、より“深化”した新世代のストリートファイター「Z900 SE」
2025新型「Z900 SE」が発表されたのは、昨年のミラノショーでのこと。948cm³水冷4ストローク並列4気筒エンジンというスタイリングは前モデルを踏襲しつつ、同シリーズ最大の特徴である「Sugomi(凄み)」デザインや、電子制御、シャシーに至るまであらゆる部分に大幅な変更が加えられた。
まずデザインだがヘッドライトの3眼化や銀色に輝くアルミシュラウドの採用、さらに“Z型”から“W型”に変更されたテールランプ形状など細部に至るまで一新。気づいた人も多いかと思うが、前モデルから丸みを帯びた部分が増えたことが特徴で、これは“原点回帰”を狙った結果である。コンセプトはよりネイキッドらしさを強調しつつも、洗練された品のあるデザインとした。
そしてデザイン以外にも数多くの変更点が加えられており、ボッシュ製IMU (慣性計測装置) 搭載のライディングサポートテクノロジーや1500rpmという低回転域から使用できるクイックシフターの標準装備、新デザインの5インチTFTメーターやクルーズコントロールの採用、さらに各シャシーの細かな変更など枚挙に暇がない。そんな多くの変更が加えられた新型「Z900 SE」でワインディングを走行してみた。
アグレッシブな走りは健在どころかより過激に! 激しさと乗りやすさを両立させた高次元のネイキッドだ
「Z900」の持ち味といえば、軽量な車体から放たれるエキサイティングな加速感である。“ドカン!”と一気に風景が加速していく感覚を得られる点が魅力であり、筆者もそんな特性を持つ「Z900」に魅了された一人だ。
では今回の「Z900 SE」はどうだろう? デザイン的には丸みを帯びて上品な出で立ちになり、前モデルからはるかに高度な電子制御が与えられた同車を見た最初の印象は「優等生チック」というものだった。ところが実際に乗ってみると、そんな感想は吹き飛ぶことになる。
まず跨った感想は「ちょっと小さくなった?」というもの。実際はほとんど車格は変わらないのだが、810mmと10mmほど上がったシート高や、より最適化されたライディングポジションのおかげか前モデルよりも一回り“小柄”に思える。
そして地味に感動したのはステップ位置で、前モデルの“ギュッ”と足を畳み込むかのような狭いポジションから、かなり自然なポジションへと変更されていた点。前モデルでは跨った瞬間に足の付け根が攣りそうになったことも珍しくなかったが、新型「Z900 SE」からはそういったストレスは一切感じない。
いざ走行を開始すると、低速域では非常にマイルドな印象。これは前モデルから引き継がれており、発進から「いきなり大加速!」という特性ではなく、ライダーの感覚通りに発進してくれる。問題はそこから“開けていく”過程でどれほどの加速感を再現しているかだ。
峠に差し掛かり、スポーツ、ロード、レインの3つのライディングモードからスポーツを選択。そしてスロットルを少し開けてみると、まさに「これぞZ900!」と言わんばかりの強烈な加速を見せてくれた。電子制御スロットルの導入によってよりレスポンスが機敏になり、ライダー自身が車体を“操っている感覚”が圧倒的に強調されている。
今回より変更が加えられたテーパー状のアルミ製ファットタイプハンドルバーは剛性が高く、より車体との一体感演出に寄与。強烈な加速感の中でも不安を感じないのは新設計のハンドルバーの賜物だろう。
そしてもちろん「SE」であることの恩恵でもある足回りの豪華さにも注目したい。フロントキャリパーにはブレンボを採用し、前モデルのアキシャルマウントからラジアルマウントへ変更。前後サスペンションはもちろんオーリンズ製で、リアサスペンションに関しては傾斜角を最適化することで乗り心地の向上を果たした。タイヤはダンロップの「SPORTMAX Q5A」を装着し、全ての要素が合わさることで優れた路面追従性を叶えている。「SE」だから、ということもあるが、強烈な加速感の中でも不安なくライディングが楽しめたのも納得の内容だ。
結論、元Z900乗りとして懸念材料だった“エキサイティングな乗り味”は衰えるどころか格段に進化していたのである。それどころか全てにおいて最適化され、より幅広い層が楽しめるバイクへと“深化”していた。
Z900 SEを勧めるとしたらどんな人?
先述した通り、前モデルと比べても加速感は遜色なく、それでいて圧倒的に扱いやすくなっているのが「Z900 SE」の凄いところ。明らかに間口が広がった同車を勧めるとしたら、“圧倒的に乗りやすいストリートファイター”を求めているライダーに是非乗っていただきたい。
基本的にストリートファイターはネイキッドの中でも最もスポーティな部類に入り、想像以上にライポジは前傾でスロットルレスポンスも過敏なことが多かったりと手放しで乗りやすいタイプとは言えない。しかし「Z900 SE」はそんなストリートファイターの“クセ”を絶妙なバランスで中和しつつ、“らしさ”をガッツリと強調しているのだ。まさに乗りやすいストリートファイターの筆頭とも称せるだろう。
なので、なんとなく「ストファイはアグレッシブすぎて怖いイメージがある・・・」「めちゃくちゃ疲れそうな印象」といったライダーが「Z900 SE」に乗れば感動するはず。ストリートファイターに乗ったことがないというライダーへはもちろん、今まで乗っていたというライダーにも是非この“扱いやすさ”を体感いただきたい。
Z900 SE主要諸元(2025)
・全長×全幅×全高:2065×830×1110mm
・ホイールベース:1450mm
・シート高:810mm
・車両重量:215kg
・エンジン:水冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒948cc
・最高出力:91kW(124PS)/9500rpm
・最大トルク:98N・m(10.0kgm)/7700rpm
・変速機:6段リターン
・燃料タンク容量:17L
・ブレーキ:F=Wディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=120/70-17、R=180/55-17
・価格:165万円(税込)
今回の試乗会ではKUSHITANIのカワサキ ウインターアニメタジャケットを着用!
今回試乗会で着用したジャケットはカワサキプラザオリジナル商品「カワサキ ウインターアニメタジャケット」。KUSHITANIとカワサキのコラボジャケットであり、カワサキロゴ入り、専用カラーとなっている。カラーラインナップはレッドとブルーが用意され、今回はブルーを選択した。
背面、肩、肘へのプロテクターを標準装備し、脱着式防寒インナーを装備。商品名に「ウインター」とあるものの、インナーは外せば夏でも十分使用できる。アウター部分は簡易防水なので、ロングツーリング時の急な雨にも安心だ。
デザインはKUSHITANIらしい上品なイメージとカジュアルさを両立し、カラーリングも明るすぎず車両や風景とよくマッチする。防風性能も非常に高く、長時間のライディングでも疲れにくい。全国のカワサキプラザ店頭で購入することができ、価格は5万6650円(税込)。KUSHITANIとカワサキファンは必見のジャケットである。
気になるライダーはお近くのカワサキプラザにてお求めいただきたい。
元「Z900」オーナーが乗る! 2025最新「Z900 SE」は全てにおいて圧倒的に“深化”していた【元バイク販売店営業インプレ】 ギャラリーへ (19枚)この記事にいいねする