東京MCショーでも登場し、450ccのミドルアドベンチャーとして大きな話題となったCFMOTOの「450MT」。国内では2025年に販売が開始する予定であり、すでに事前予約も始まっている。そんな同車のナンバーが取れたということで、国内初となる試乗をいち早く行った!

高いクオリティと最強のコストパフォーマンスが融合した最新ミドルアドベンチャー

CFMOTOより発売されるミドルアドベンチャー「450MT」

フロント21インチ、リア18インチと本格的にオフロード走行も視野に入れるサイズ感だ

中国発祥のCFMOTOは、2022年からはMoto2、Moto3、さらにWSBKに参戦するなど、レースシーンでの活躍で知る人も多い。さらに国内市場でもその存在感を増してきており、3気筒スポーツモデルの「675SR-R」やボバースタイルの「250CL-C」とラインアップの豊富さも特徴。そしてどのモデルにも共通しているのが、ハイクオリティでありながら非常にリーズナブルという点である。今回試乗した「450MT」に関しては、充実の装備にも関わらず税込99万9900円と100万円を切るコスパの高さが最大の魅力だ。

ここで言う“クオリティ”とは車体全体の作り込みや、洗練されたデザイン性のこと。正直に言えば「中国製」と聞くだけでも反応してしまうライダーが多いことはよく理解しているつもりだ。しかし、この「450MT」をいざ目の当たりにすれば、良い意味で期待を裏切られてしまうはず。

水冷2気筒4ストロークDOHC270°クランクシャフト449ccエンジンを搭載する「450MT」は、ホンダのクロスオーバーである「NX400」や、ヤマハの「テネレ700」を連想する本格ラリー然としたデザインが非常にカッコいい。そして最も大きなメリットとして、車両重量が185kgと非常に軽量な点である。同カテゴリーの車両の中では最も軽量な部類に入り、最大トルクは6500rpmで42N·m、最高出力は8500rpmで31kw(42.1PS)を発揮するなど必要十分な出力特性も確保。そしてタンク容量は17.5Lの大容量とすることでロングツーリングにも対応し、ノーマルでシート高820mmと程よい足つき性を叶えている。

水冷2気筒4ストロークDOHC270°クランクシャフト449ccエンジンを搭載

デザイン性重視のマフラー。もちろんeマークを取得済みである

ゼファーブルー/タンドラグレーの2色をラインナップ。今回試乗したのはゼファーブルーで、塗装も非常に美しい

クロモリ製フレームで軽量化を実現。シートのワンポイントステッチがオシャレだ

エンジン下部にはスキッドプレートを標準装備

肉厚なステップにはしっかりと滑り止めも

上下でロービーム、ハイビームと独立しており、中心にはファッショナブルなデイライトが採用される

大型のフルカラーTFTメーターを装備。必要な情報が一目でわかり見やすい

シンプルなデザインのLEDテールランプ

ブレーキランプは独立して明滅する

左側のハンドルスイッチ。全てに表示があり、初めてでも感覚的に使用できた

右側のハンドルスイッチはキルスイッチとセルが一体化しており、下部にハザードも装着する

スクリーンは可動式で数段階調整できる

ノブを回転させることでほぼ無段階に調整可能だ

足回りの装備はフロント・リアともにKYB製サスペンションを装備。フロントはΦ41mmフォークを採用し、圧縮および減衰調整が可能なアジャスター付きで最大で200mmのストロークを可能とする。リアはマルチリンクショック、プリロードおよびリバウンド調整が可能となり、こちらも最大で200mmのストローク幅を持つ。そして前21インチ、後18インチのホイールだが、クロススポークホイールの採用でチューブレス化も果たしているのだ。本格的なオフロード走行にも対応する充実の足回りも必見である。

フロントはKYB製アジャスター機能付きフォークを採用。J・JUAN製4PフロントキャリパーにΦ320mm シングルディスクを装備する

リアはΦ240mm シングルディスク、シングルピストンキャリパーを装備

特殊な形状でデザイン性も高めたスイングアーム

サブタンク付きリアサスペンションもKYB製。マルチリンクショック、プリロードおよびリバウンド調整可能だ

身長171cm、体重65kgのライダーが跨ると片足で踵が少し浮く程度。ポジションは自然で非常に楽である

片足でも車重が軽いので全く不安はない

両足では土踏まずが浮く程度。オフを想定している割には足つきが良い

いざ試乗! 誰でも気軽に乗れてしまうクセの無さに心が安らぐ

峠も全然ヘッチャラ! 狙ったラインをピッタリと走ってくれる快感

実はCFMOTOの車両に初めて乗る筆者。見た目のクオリティやスペックだけを見れば非常に優れたバイクであることは言うまでもないが、実際に乗るとなると結構ドキドキするものである。しかも国内で乗っている人間はほとんど皆無に近く、なんの前評判も無いまま乗るのだからなおさら緊張してしまう。

ところが跨って走り始めた瞬間、その緊張感が一気に霧散していくのを如実に感じた。「なんだこの乗りやすさ!?」と実際口にしたかどうかは定かではないが、とにもかくにもクセが無く乗りやすいのである。低速域でのトルクは強すぎず弱すぎず“十分”といった印象。そして高回転化していくにつれてそのトルク特性は安定しており、ひたすらにフラットな乗り心地なのだ。

おそらくこれは449ccという中排気量が成せる乗り味で、スロットル操作に気を遣いすぎることなく、言ってしまえば雑に乗っても全く問題がない。峠道のワインディング走行も試してみたが、狙ったラインに“ピタッ”とハマり、初めて乗ったような気がしないほど乗りやすいのだ。

とにかく“乗り心地が良い”という一言に限る。特別なパワーもクセも無いが、だからこそ安心してライディングに集中できる

日本ではCT125などで人気を博す「CST」のブロックタイヤ「AMBRO A4」も想像以上に乗り心地の良さに寄与し、KYB製のサスペンションと相まって路面ギャップもあまり気にならない。ライディングポジションは非常にリラックスした姿勢であり、身体からのハンドル距離や、シートからステップの距離も自然で疲れにくい。長時間のツーリングで恩恵を感じられるだろう。

さらに「CF-SCスリッパークラッチ」を装備しており、エンジンブレーキのバックトルクは緩やか、クラッチレバーも非常に軽くストレスフリー。電子制御ではBOSCH製のデュアルチャンネルスイッチ式ABSやトラクションコントロールシステムを備えるなど、もはや死角のない快適性に感激すら覚えた。

ここまで観察し、実際に乗ってみたが、車体から「安っぽさ」は一切感じない。むしろ細部に至るまで作り込まれている点に上品さすら感じられる。

450MTを勧めるとしたらどんな人?

今回試乗した「450MT」は、圧倒的な軽さとコストパフォーマンスを両立したクロスオーバータイプ。17.5Lの大容量タンク、必要十分な足回りの装備でロングツーリングも楽々こなせるが、軽量なのである程度のオフロード走行も可能だろう。

結論、元バイク販売店営業が「450MT」を勧めるとしたら、すでに大型アドベンチャーを所有しており、乗り換えを検討しているライダーである。「え? すでにアドベンチャーに乗っている人が欲しがるの?」と思うかもしれないが、大抵のアドベンチャーはご存じの通りデカくて重い。そのため取り回しに苦労するのはもちろん、転んでしまった際のリスクを考えると、ちょっとした林道にもなかなか行きづらいものだ。(ライダーによってはあえてアドベンチャーで林道に行きたがる人もいるが・・・。)

その点「450MT」ならば軽くてチューブレスということもあり、林道に行きたくなったら気軽に入っていける。しかも取り回しも格段に楽なので、大型アドベンチャーに疲れてしまったライダーにうってつけというわけ。「デカさも必要以上のパワーももういらない・・・」というビッグアドベンチャー乗りに是非お勧めしたいミドルアドベンチャーであった。

大型アドベンチャーに乗り慣れた人であれば、その軽さとフレンドリーさにきっと驚くはず。是非一度体感していただきたい

450MT 主要諸元

・全長×全幅×全高:2210×870×1390mm
・ホイールベース:1505mm
・シート高:820mm(800mm:リンケージボルト位置を調整した場合)
・車重:185kg
・エンジン:水冷4ストロークDOHC並列2筒 449cc
・最高出力:31kw(42.1PS) / 8500rpm
・最大トルク:42N·m / 6500rpm
・燃料タンク容量:17.5L
・変速機:6速
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=90/90 R21 CST、R=140/70 R18 CST
・価格:99万9900円

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コメント一覧
  1. あま より:

    日本製でリーズナブルというのはメリットだけど中華製でリーズナブルはデメリットなのよ。

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