国内販売が期待されるスズキの「DR-Z4S」と「DR-Z4SM」だが、スズキがこの2車種の技術解説動画をYouTubeで公開している。

規制をクリアし登場した新型DR-Zシリーズ

「2000年発売のDR-Z400S、2004年発売のDR-Z400 SMは、高い走行性能と軽快な操作性が高く評価されましたが、日本国内向けは排出ガス規制により2008年に生産終了となりました。再販を望む多くのお客様の声に答え新型の開発に着手しました。新型DR-Z4はDR-Z400の特徴であった本格的な走行性能を継承しつつ、排出ガス規制などの法規に対応した上で電子制御を含めた現代の技術を注ぎ込み、操作性と利便性を大幅に向上させ、新時代を象徴するスタイリングを纏った新しいDR-Zとなります」(加藤氏談)。

スズキ株式会社 二輪営業・商品部 チーフエンジニア 加藤幸生氏。

新型DR-Z4Sは本格的な走行性能を追求。軽量な車体とパワフルかつコントローラブルなエンジンを活かし、オフロードだけではなくオンロードでも楽しむことができる優れたデュアルパーパスモデル。そして、DR-Z4SMは4Sの走行性能を活かしながら、スーパーモトの走りに対応する性能を有し、サーキットでのスポーツ走行も楽しめるスーパーモトモデルとなっている。

発売への期待が膨らむ新型「DR-Z4S」と「DR-Z4SM。国内への導入も決定した。

アグレッシブな新スタイルを採用

「DR-Z4はふたつのキーワードをもとにスタイリングデザインを進めました。ひとつめは『エボリューション』で、アグレッシブなスタイリングに進化させています。ふたつめは『シリアス ギア』で、エルゴノミクスを重視しつつ機能美を追求し本格的な道具が持つ魅力を引き出しています。DR-Z4はオフロードやサーキットといったシチュエーションだけでなく、街中でも一際目を引くデザイン性と機能性を兼ね備えたスタイリングを実現しています」(加藤氏談)。

新しいDR-Zに相応しいアグレッシブでフレッシュなスタイリングによって、マシンの進化と存在感を具現化。フロントフェンダーからテールセクションまで、水平基調のサイドラインによって俊敏な走りを強調している。余分な要素を削ぎ落とし、機能美を追求することで走りを楽しむための本格的ギアであることを表現。シャープでフラットなラインを強調し、新時代のデュアルパーパス・スーパーモトらしさを引き出している。

コンパクトなLEDヘッドランプにはハイビームとロービームの切り替えができる「バイファンクション LEDヘッドランプ」を採用。フロントのLEDターンシグナルランプはポジションランプとしての機能も備えている。

リアには新デザインのLEDリヤコンビネーションランプとLEDライセンスランプ。コンパクトでシャープなデザインとなっている。

チタンやマグネシウムも使用したニューエンジン

「エンジンは本格的な機構、チタン・マグネシウムの採用を含め妥協無く作り込みを行なっています。低回転から高回転まで、全域でパワフルかつスムーズなフィーリングを実現させながらも、始動性向上などの利便性を高めています」(加藤氏談)。

エンジンは水冷4サイクル単気筒DOHC。最低地上高の確保とマスの集中化に貢献するドライサンプ潤滑方式を採用。最低地上高を確保するためのアップタイプマフラーなどオフロードバイクとしての必要な特徴を持たせつつ、最新の排出ガス規制、騒音規制に対応している。

細部に渡るエンジンのアップデートにより、全域に渡ってスムーズなトルクとパワーを発生し、コントロール性が向上。ライダーのスロットル操作に忠実で、リニアなレスポンスを実現している。また、フューエルインジェクションシステムを採用。電子制御スロットルと合わせ、始動性向上や加速性向上など全域に渡って洗練されたエンジンフィーリングを味わうことができる。

エンジンは新設計のシリンダーヘッドにより最適な燃焼を実現。低回転走行時の粘り強さ向上と、高回転域での出力向上に貢献。シリンダーヘッドカバーは軽量なマグネシウム製を採用している。

デュアルスパークプラグを採用することで、エンジンの全域で燃焼効率とパフォーマンスを最大化。

慣性重量を軽減させるためインテークには軽量なチタン製バルブ、エキゾーストにはナトリウム封入中空バルブを採用

新設計されたカムプロフィールにより、高回転でのバルブ挙動を安定させると共に、低回転域のトルク向上を実現。

新設計のピストンとクランクケースがメカニカルロスを低減。これによってスムーズな出力特性と、高い燃費性能を両立させています。

排気システムにはエキゾーストパイプとサイレンサー内それぞれ触媒を装備。デザイン性を考慮しながら、最新の排出ガス規制と騒音規制に適合している。

「スズキ・クラッチ・アシスト・システム」を採用し、操作力軽減と減速時の車体安定性向上に貢献している。

完全新設計の車体が新次元の走りを生み出す

「全面的に車体の見直しを図り、軽快な操作性や安定性を向上させ、ライダーの意のままに操れる走行性能を実現しています。さらに、DR-Z4SとDR-Z4SMは異なったセッティングとし、それぞれの使用用途に合った本格的な走りに対応しています。また、乗りやすさ・快適性も向上させており、街乗りでの使い勝手も向上しています」(加藤氏談)。

フレームは新設計のスチール製ダブルクレードルタイプで、シートレールとスイングアームはアルミ製となっている。サスペンションはカヤバ製を採用しモデルの用途に合わせて最適化。幅広いアクティビティに適したセッティングに対応し、ライダーの好みや使用状況に合わせたセッティングが可能だ。

フロントサスペンションにはダンパーの調整機能を持つカヤバ製倒立フロントフォーク。リアサスペンションもカヤバ製リンク式サスペンション。ダンパー調整およびプリロードの調整機能に加え、圧側減衰調整が低速域と高速域を独立して行なえる2ウェイ方式を採用している。また、タイヤのサイズやホイール径はもちろん、ブレーキもディスクローターの違いなどでそれぞれに最適化されている。

車体には新設計されたスチールパイプ製セミダブルクレードルフレームを採用。タンクレール部はツインスパー形状とし、スリムなライディングポジションと剛性を両立させることでオフロード性能が向上。

シートレールには軽量なアルミニウム製を採用。

スイングアームも軽量アルミニウム製。形状などの最適化を図り路面の追従性を向上させ、スムーズで快適な乗り心地を実現。

DR-Z4Sのフロントフォークのストロークは280mm、DR-Z4SMフロントフォークのストロークは260mmとなっている。

DR-Z4Sのリアホイールトラベルは296mm。オフロードでの走破性と追従性を重視したセッティングとなっている。DR-Z4SMのリアホイールトラベルは277mm。スーパーモトに求められるクイックかつスポーティなハンドリングを重視したセッティング。

DR-Z4Sのタイヤはフロント21インチ、リア18インチのワイヤースポークホイールにIRC製「TRAIL WINNER GP-410」を採用。オフロードの使用を想定した設定となっている。

DR-Z4SMは前後17インチを採用。ホイールはフロント3.5インチ、リア4.5インチのリム幅とし、ダンロップ製「SPORT MAX Q5A」と合わせ、スーパーモトのポテンシャルを最大限に引き出す。

DR-Z4Sのブレーキディスクの直径はフロント270mm、リア240mm。オンロードおよびオフロードでの制動力とコントロール性が向上。

DR-Z4SMはフロントに310mmのフローティング式、リアには240mmを採用し、スーパーモトのアグレッシブな走りに対応している。

電子制御がライダーの思い通りのライディングを可能にする

「DR-Z4SとDR-Z4SMでは、それぞれの用途に合わせて電子制御システムの味付けも変更しています。また、路面状況、ライダーのスキルや好みに応じてさまざまなモードを自由に選択できます。ぜひ、お試しください」(加藤氏談)。

「S.I.R.S.(スズキ・インテリジェント・ライド・システム)」がライダーの走りをアシスト。「SDMS(スズキドライブモードセレクター)」は、走行シーンや路面状況好みのライディングスタイルに合わせ、出力特性の異なる3つのモードから選択することが可能だ。各モードとも最高出力は一律ながら、スロットル開度に対する出力をコントロールしている。

スズキ トラクション コントロール システムは、DR-Z4SとDR-Z4SMそれぞれに最適なチューニングとなっています。乾いた舗装路向けの「モード1」、濡れた舗装路向けの「モード2」に加え、未舗装路向けの「G(グラベル)モード」が選択でき、さらにオフにすることも可能となっている。

電子制御スロットルシステムは、スロットルフィーリングとエンジン出力特性の関係をきめ細かく制御。SDMSの各モードにマッチするようにチューニングされており、ライダーの意思に忠実に反応するスロットルフィーリングを実現している。また、より人間の感性にフィットするように、スロットルケーブルを介した電子制御スロットルをあえて採用。アソビ調整が可能になることに加え、ケーブルがたわんだ状態から張った状態に移行するフリクションと荷重の変化を感じることもできるため、オフロードやスーパーモトでのスライドコントロールにおいてスロットル明け始めの繊細な操作を可能にするこだわりの機構となっている。

コンパクトで軽量なフル液晶インストルメントパネルは視認性が高く、さまざまな情報がリアルタイムに把握できる。

最もシャープなスロットルレスポンスの「モードA」、適度なスロットルレスポンスの「モードB」
マイルドなスロットルレスポンス「モードC」を用意。

「G(グラベル)モード」では一定量のリアタイヤスリップを許容。滑りやすい路面でも必要以上に出力を抑制しないため、アクセルワークで車両の向きをコントロールすることが可能となり、未舗装路ならではの走りを楽しむことができる。

DR-Z4SのABSはリアのみオフにする機能に加え、フロントもオフにする機能を追加。DR-Z4SMのABSは、リアのみオフにすることができる。

オフロード走行だけでなくオンロード走行も楽しむことができるDR-Z4S。

スーパーモトのサーキット走行やワインディングでのスポーツ走行を楽しめるDR-Z4SM。

この2車種共、日本市場への投入を予定しているということなので、期待して待ちたい。

DR-Z4Sのカラーバリエーションは「チャンピオンイエローNo.2/ソリッドスペシャルホワイトNo.2」のツートンカラーと、「ソリッドアイアングレー」の2色展開。

DR-Z4SMは「スカイグレー」と「ソリッドスペシャルホワイトNo.2」の2色展開。

スズキ期待の「DR-Z4S」と「DR-Z4SM」。その各部の進化を開発者が語るYouTube動画が公開中! (26枚)

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コメント一覧
  1. GPX250Rii より:

    ちょうど、モタード系バイクが欲しいかったので
    発売されたら、買います!!

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