
アナログメーターの時代からバイク用メーターの世界トップシェアを誇る日本精機。精密計器や自動車用HUD(ヘッドアップディスプレイ)分野でも活躍する同社から、新たな二輪用メーターのコンセプトモデルが発表されていた。スピードメーターを極小化させ、スマホを内蔵できるように設計された新型メーターだ。
世界シェア23%を誇る日本精機が「もっと手頃なメーターを」狙った新たなコクピットの風景
日本精機は新潟県・長岡市発、特に自動車、バイク用のメーター類の製造・開発分野でトップクラスを走るメーカーだ。日本の自動車産業黎明期から各企業にメーターを納入しており、バイク用も1960年代から現代にいたるまで多くの車種に採用されコクピットを彩った。現在もバイク用メーターの世界シェア23%、世界一のメーカーだ。また自動車用として、近年普及が進むフロントガラスへ情報を映し出す、HUD機器が世界を席巻。こちらも世界トップとなるシェア28%を占めている。
そんな日本精機が、先日開催された自動車関連展示会「人とくるまのテクノロジー展 2025」に、興味深い新型メーターのコンセプトモデルを展示した。メーター部分を最小化し、スマートフォンを車体に直接取り付けができるという一風変わったパーツだ。
高価格化が進むTFTメーターから脱却しつつ、スマホ操作の片手運転も防ぐ
このコンセプトモデルは、バイクのメーター部分を完全に「スマホケース」に内蔵してしまうというもので、実機も大型のケースとあまり変わりはない。スマホケースと違うのは車体に直結された配線と、ミニサイズの白黒反転液晶、各種インジケーターが装着されていることくらい。ただし、これが装着される車体にはメーターがない。
現在、スマホでナビや音楽を利用しつつ走行するのは一般化しており、速度や燃費といった車体情報も連携して表示することが可能になっている。ただしスマホを装着するためには専用のマウントが必要であるし、またマウントが無い場合、片手でスマホを操作しつつ運転を行うライダーもおり、安全面でも問題は多い。
本コンセプトは、日本精機がそんな最新バイクとスマホの課題を解決するべく開発したものだ。近年のバイクはスマホ連携と、その操作やナビ表示のためのフルカラーTFTモニターを備えるようになってきたが、やはりコスト面ではシンプルな機構ではなく、パーツの高価格化、車体の高価格化も止まらない。そこでメーターの機能を法的に問題がないレベルまで完全に割り切り(速度、各種インジケーターがこれにあたる)それ以外のナビ、電話応対、メール対応などはすべてスマホを主とすることで、メーターは非常に低コストになる。さらにスマホを車体と一体化させてしまうことで、専用マウントがないユーザーでもスマホを利用することができ、片手運転も防止。コスト面と安全面の両方からメリットを持つコンセプトなのだ。
機能的には既存のスマホケースに順じており、タッチ操作が可能なアクリル、大型のサンバイザー、さらに車体から電源を取ったリアルタイムの無線充電も可能で、さらに車体の振動検知によるスマホカメラのドラレコ化機能も搭載しているという。しかしパーツは最小限のためコストは低く、かつ様々なモデルに採用できるとみられる。またユーザーの声を受けつつ、改良は繰り返されている。当初はケースがなかったところ、防水機能が欲しい、あるいは盗難防止がしたい、といった声を受け、現在の形となったが、更に現在の縦置きレイアウト対応に加えて、今後は横向き設置もできるように改良したいという。
コストをできる限り抑えたい実用車、コミューターにとっては、ぴったり合致した仕様となるだろう日本精機の「スマートフォンマウントメーターコンセプト」。遠からず、バイクメーカーが採用することに期待していきたい。
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