2025年、ホンダの代名詞とも言える「スーパーカブ50」の生産が終了する。「スーパーカブ」と名付けられたそのバイクは第一種原付規格、つまり50ccバイクのベストセラーバイクとして50年以上親しまれてきた。シリーズの合計生産台数は1億台を超え、世界中で愛されるスーパーカブシリーズだが、今回は、OHCの50ccカブの初代モデル「スーパーカブ C50」と「スーパーカブ50・Final Edition」を並べて撮影する機会に恵まれたので、この2台の各部を比較しながら見ていくことにする。

庶民の足として開発された初代「スーパーカブ C50」

初代モデルとなる「スーパーカブ C100」は、本田宗一郎氏と藤澤武夫氏がヨーロッパ視察の後に「日本人のためのバイク」として作り上げられた。「手のうちに入るもの」、そして「使い勝手のよいもの」を目指し、「エンジンは、高出力、静粛性と燃費に優れた4ストローク」、「車体は女性も乗り降りしやすいカタチとサイズ」、「ギアの操作でクラッチレバーを必要としないシステムの構築」、「先進性のあるデザインで、かつ親しみやすく、飽きがこない」という4つの具体的な案を具現化し、1958年に発売された。C100は自動遠心式クラッチを採用したOHV方式のエンジンを搭載し、ポリエチレン製のレッグシールドやプレスハンドルなどを用いた新しいデザインを採用していた。

スーパーカブは1966年にエンジンの形式をOHCへと変更し、現代のシリーズの祖先となる「C50」が誕生。C100から受け継ぐデザインは大きかわったおらず、現代まで継継承されている。変速にはクラッチ操作のいらない自動遠心式クラッチを採用したトランスミッションが引き続き採用され、パワーユニットには4.8PS/10000rpmという当時としては高回転・高出力な50cc4ストロークOHCエンジンを新搭載していた。

その後もスーパーカブはモデルチェンジを繰り返し、セルフスターター付きモデルの追加などで熟成し続け、2007年のモデルチェンジではフューエルインジェクション化されている。50年以上生産が続けられているため、「初めて乗ったバイクがスーパーカブだった」というライダーも多いことだろう。2012年モデルからは中国生産となり、長くボトムリンク式だったフロントサスペンションがテレスコピックフォークとなり、グレードが一本化されるなどした。現行モデルは2018年に登場し、角形になっていたヘッドライトが丸型のLEDに変更された。平成28年度の排出ガス規制に対応し、生産も熊本工場へと戻されて再びメイドインジャパンとなった。

初代モデル「スーパーカブ C50」は今までにないデザインを採用し、実用性の高さや高い性能などによって一躍人気モデルとなった。

C50をモチーフにした「スーパーカブ50・Final Edition」は、「ボニーブルー」と呼ばれるC50のカラーをイメージしたカラーを採用する。

C50の意匠を各部に纏う「スーパーカブ50・Final Edition」

第一種原付規格が4kW仕様の125ccまで拡大されることを受け、2024年にホンダは50ccのスーパーカブの生産終了を発表した。そして、50ccモデルの生産終了に当たって、「スーパーカブ C50」をイメージさせる意匠を各部に配した「スーパーカブ50・Final Edition」を期間限定の受注生産モデルとして発売することを発表した。この「スーパーカブ50・Final Edition」の受注期間は11月8日から11月24日までで、販売計画台数は2000台とされた。しかし、注文は殺到し、1万1000台以上という販売計画台数の約6倍となった。この注文台数に対してホンダは全注文数を生産すると発表し、ホンダのスーパーカブというバイクに対するリスペクトを体現してみせた。

「スーパーカブ50・Final Edition」は現行モデルをベースに、フロントエンブレム、サイドエンブレム、イグニションキーに専用のデザインを施し、カラーリングはC50をイメージさせる「ボニーブルー」を採用。リアキャリア、チェーンケース、スイングアームなども、車体と同じ「ボニーブルー」でペイントされる。さらに、メッキ仕上げのメーターカバーとマフラーカバーや、ツートーンのシートなども装備している。

フロントに取り付けられるエンブレムはC50ではアルミプレートを貼り付けた、シンプルなものであった。

Final EditionのエンブレムはC50のデザインを踏襲しつつ、メッキパーツを使用したり「HONDA」が「FINAL EDITION」に変更されるなどアレンジされている。

C50のシートは白と黒のツートンのパイピング仕上げで、背面に赤でHONDAのエンブレムが入る。

Final EditionのシートはC50のツートンや背面のエンブレムなどを再現しているが、パイピング仕立てにはなっていない。

C50の大きめのウインカーとテールライトがフェンダーに取り付けられ、小ぶりなリアキャリアとショックの上の部分がフェンダーと同じ色でペイントされている。

Final Editionのリアキャリアはフェンダーと同色仕上げとなっているが、ショックの上側部分はメッキ仕上げになっている。また、テールライトとウインカーはユニット化されている。

C50のチェーンケースとスイングアームは、フェンダーなどと同色でペイントで仕上げられる。ショックの取り付け部分が上に伸びているのが特徴的だ。

Final Editionのチェーンケースとスイングアームも、C50と同様にフェンダーなどと同色でペイントされる。スイングアームは角形で、ショックの取り付け方もベーシックだ。

初代となるC100のエンジンはOHV方式だったが、このC50ではOHCに改められた。最高出力は4.8PS/10000rpmを発揮する。

Final EditionのエンジンはOHC方式で、燃料供給にはフューエルインジェクションを採用。最高出力は3.7PS/7500rpmを発揮する。

スーパーカブは長くプレス成形のフロントフォーク+ボトムリンク式のフロントサスペンションを採用していた。あの独特の挙動を懐かしく思う人も多いだろう。

2012年モデルからは一般的なテレスコピックタイプのフロントフォークを採用。ブレーキは最後までドラム式が採用された。

メッキ仕上げのメーターカバーを採用し、100km/hまで刻まれたC50のスピードメーター。シンプルで見やすいデザイン。

Final Editionのスピードメーターもメッキ仕上げのメーターカバーを採用。左上に燃料計が装備されており、実用性はアップしている。

C50のハンドル左側。ハンドルから独立したアルミ製のスイッチボックスが設けられ、そこに各種スイッチが取り付けられている。

Final Editionのハンドル左側。スイッチボックスはハンドル部分と一体化されており、グリップエンドが取り付けられている。

C50の右側スイッチボックスには、ウインカーのスイッチが取り付けられている。これは片手での運転を想定した仕様だ。

現代では片手運転は禁止されているので、Final Editionのハンドル右側にはスタータースイッチだけが取り付けられる。

C50のエキゾーストシステムはメッキ仕上げとなっていた。また、エンジンスタートはキックのみとなっていた。

Final EditionのサイレンサーにはC50をイメージしたメッキ仕立てのカバーが取り付けられている。エンジンスタートはキックとセルの併用だ。

50ccモデルが生産中止となっても110ccモデルは継続生産され、50ccモデルの後を継ぐ「スーパーカブ110ライトコンセプト」も大阪モーターサイクルショーで発表された。「スーパーカブ」これからも庶民の足であり続け、多くのライダーのファーストバイクとなることだろう。

スーパーカブ50・Final Edition主要諸元(2025)

・全長×全幅×全高:1860×695×1040mm
・ホイールベース:1210mm
・シート高:735mm
・車両重量:96kg
・エンジン:空冷4ストロークOHC2バルブ単気筒49cc
・最高出力:2.7kW(3.7PS)/7500rpm
・最大トルク:3.8N・m(0.39kgm)/5500rpm
・変速機:4段リターン
・燃料タンク容量:4.3L
・ブレーキ:F=機械式リーディング、R=トレーリング
・タイヤ:F=60/100-17、R=60/100-17
・価格:29万7000円(税込価格)

2025/05/15:本記事文中に車種名の誤りがあり、修正しております。 ホンダの根底を支えるスーパーカブ! 「C50」と最後の「ファイナルエディション」を見比べる (22枚)

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コメント一覧
  1. hotrod classic より:

    一生懸命にc100 と言ってますが画像はc50だし
    エンジンの画像もOHCですね〜!
    素人が書いたような恥ずかしい記事になってます。
    笑われますよ!

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