ホンダを代表する「CB」というネーミングは、フラッグシップモデルに与えられるだけではなく、現代においてはベーシックなバイクにも与えられている。そのベーシックな「CB」の走りとも言えるのが、1992年に発売された「CB750」である。

ネイキッドブームに投入されたベーシックCB

「CB750」という排気量の後ろに何も付かないこのネイキッドモデルは、1992年から2008年まで16年間に渡って製造が続けられたロングセラーモデルである。このRC42型と呼ばれるモデルは登場する前年の東京モーターショーで、ホンダは「プロジェクトBIG-1」による「CB1000SF」と共に参考出品されていた。

1991年の東京モーターショーに展示されたCB1000SFは、ホンダファンが欲しいと思うCB像を具現化したネイキッドモデル。発売後、当然大ヒットモデルとなった。

CBR1000F系統の水冷エンジンを搭載し、ホンダを象徴するかのような白と赤で塗り分けられた「CB1000SF」は大きな注目を集め、発売が待たれていた。この「CB1000SF」が開発されたのは、ネイキッドブームを巻き起こしたゼファーシリーズの存在があったことは否めないだろう。400ccの「ゼファー」が登場した当時ホンダにも「CB-1」というCBR400RR系のエンジンをスチール製のフレームに搭載したネイキッドモデルがあったが、人気はクラシカルなZ系デザインを持つゼファーに集中した。1990年には「ゼファー750」が発売され、当然その上を行くリッタークラスのモデルが出てくることも容易に想像ができた。実際「CB1000SF」と同じ東京モーターショーで、川崎は「ゼファー1100」を発表している。

CB750のライバルとなったゼファー750。丸タンクのZ系のデザインを現代風にアレンジし、大人気モデルとなった。

「CB1000SF」の発売が待たれる中、ホンダは1992年の2月に「CB750」を発売する。しかし、このバイクは紺または黒の単色でペイントされており、多くが期待した「CB1000SF」とは異なるいささか地味な面持ちで登場した。

暗めの単色でペイントされていたCB750の初期モデルはとにかく「地味」という印象で、人気の面ではライバルに遅れをとることとなった。

20年以上使われた名機RC17E型

「CB750」のデザインは「CB-F」シリーズや「CBX」などに通じるものではあったのだが、初期モデルのカラーリングはそのデザインをスポイルしてしまう地味さであった。ライバルである「ゼファー750」も単色の展開ではあったが、そう感じなかったのは400のイメージがあったからだろうか。

今回撮影させていただいた2008年型はCB750の最終型となり、CB750FのFC型をイメージさせるカラーリングを採用している。

2色で塗り分けたことでタンクやサイドカバーがシャープな印象となり、スポーティなイメージを生み出すことに成功している。

この「CB750」と「ゼファー750」は直接的なライバルであり、その出自も似ている。「CB750」のエンジンは1983年に登場したRC17型の「CBX750F」のエンジンがベースで、その大元は「CBX650カスタム」である。「ゼファー750」のエンジンは「GPz750」ベースで、その大元は「Z650」である。共に80年代に発売された650ccから発展した空冷の750ccエンジンをベースにしており、デザイン的には70〜80年代のバイクのデザインをリメイクしたものである。当然ライバルとなるのかとも思われたのだが、売り上げに関しては「ゼファー750」に軍配が上がった。

上半身は軽く前傾する感じになり、ステップの位置は少し前気味になっている印象。車重は235kgあるが、車体がコンパクトなので手強さはない。

171cm、65kgのライダーが跨って両足を着くとかかとが浮く感じになるが、片足であればしっかり着くので不安は感じない。

メッキ仕上げのメーターケースとマルチリフレクタータイプのヘッドライトは、2004年モデルから採用されている。

メーターはベーシックな二眼タイプで、2004年モデルからスピードメーターが電気式になり、走行距離計が液晶化された。

よく見ると複雑な造形をしたフューエルタンクは、ペイントでその印象が大きく異なる。燃料容量は20Lとなっている。

シートはしっかりと長さがあり、タンデムしやすいデザイン。2008年型でシートの表皮素材が変更され、パイピングタイプとなった。

シャープなデザインのシートカウルは、F以降のCBシリーズをイメージさせるスポーティさを感じさせる。

車名のロゴが入るサイドカバーはかなり大きめのデザインだが、塗り分けられたことで引き締まった印象を受ける。

「CBX750F」用をベースとするエンジンは、オイルクーラーを標準装備したり、油圧式のバルブクリアランス・ オートアジャスターや自動調整カムチェーンテンショナーを採用するなどメンテナンスフリー化が図られている。このエンジンの型式はRC17E型とCBXと同じであり、ボア×ストロークは67.0×53.0mmで排気量は747ccと変更は無い。最高出力はCBXの77PS/9500rpmに対して75PS/8500rpmと若干低回転型になり、最大トルクは6.5kgm/7500rpmと全く同じである。ただ、ミッションは5速化されており、ギア比はワイド化されている。

エンジンは1983年に発売されたCBX750Fのものがベースとなっている。CB750以前に、北米向けとして作られたナイトホーク750に搭載された。

ボア×ストロークが67.0×53.0mmで排気量は747cc。最高出力は75PS/8500rpm、最大トルクは6.5kgm/7500rpmとなっている。

燃料供給はキャブレターによって行なわれ、2004年モデルからスロットルポジションセンサー付きとなっている。

エキゾーストシステムは高級感のあるメッキ仕上げで、サイレンサーは左右に1本ずつ出されている。

ネイキッドバイクらしい車体構成

フレームはスチール製丸型断面パイプを使用したダブルクレードルタイプで、サスペンションはフロントにスムーズな減衰力特性を発揮するダンパー構造を採用正立タイプフロントフォーク、リアはハードな走行時にも安定した減衰力特性を発揮する放熟性に優れたリザーバータンク付きツインショックを組み合わせる。ホイールサイズはフロント16インチリア18インチのCBXに対して前後17インチの6本スポークのアルミキャストとなり、とされ、タイヤも幅の広いラジアルが採用されている。

フロントフォークは正立タイプで、ホイールは17インチの6スポークタイプアルミキャストとなっている。

フロントにはダブルディスクブレーキが装着され、安定したブレーキング性能を発揮する。

リアショックはリザーバータンク付きのものが初期から採用されており、タンクやスプリングの色は年式によって変更されている。

リアブレーキはシングルポットキャリパーとソリッドディスクを組み合わせる。スイングアームはスチール製の角パイプタイプだ。

登場時は「地味」と言わざるを得なかった「CB750」だが、モデルチェンジを重ねるごとに過去のモデルをモチーフにしたデザインを採用するなどてしてデザインの良さをアピールしている。今回撮影させていただいたのは最終型となる2008年式で、「CB750F」のFC型をイメージさせるカラーでペイントされているが、この他にもFBをイメージさせる「キャンディリバイヴレッド」やスペンサーカラーの「CB750 Special Edition」などが用意され、ホンダファンの心を掴むことに成功した。また、その素性の良さから大型自動二輪免許用の教習車としても採用されており、名車としての地位を確立している。

1995年モデルに設定された「キャンディリバイヴレッド」は、CB750FのFB型をイメージさせるメタリックレッドだ。

2007年に期間限定で受注販売された「CB750 Special Edition」は、AMAスーパーバイクでフレディ・スペンサーが駆ったCB750F改デイトナレーサーのカラーリングを再現。

CB750主要諸元(2008)

・全長×全幅×全高:2155×780×1100mm
・ホイールベース:1495mm
・シート高:795mm
・車両重量:235kg
・エンジン:空冷4ストロークDOHC4バルブ直列2気筒747cc
・最高出力:55kW(75PS)/8500rpm
・最大トルク:64N・m(6.5kgm)/7500rpm
・変速機:5段リターン
・燃料タンク容量:20L
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=120/70-17、R=150/70-17
・価格:78万7500円(税込当時価格)

撮影協力:バイク王つくば絶版車館

あらゆるジャンルの絶版車が揃うショールーム。カラーリング違いなども数多くストックされ、好みの1台が見つかるはずだ。

住所:茨城県つくばみらい市小絹120

電話:0297-21-8190

営業時間:10:00~19:00

定休日:木曜日

16年というモデルライフの間に、存在感を増していったベーシックCB「CB750」 (24枚)

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コメント一覧
  1. 匿名 より:

    ✕モーターショー
    ○モーターサイクルショー

    ✕ホンダは〜参考出品されていた
    ○ホンダから〜参考出品されていた

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