ロイヤルエンフィールドの「HIMALAYAN(ヒマラヤン)」は411ccの空冷エンジンを搭載するミドルサイズのアドベンチャーで、シンプルでレトロなモデルとして知られていた。ところが2023年、突如フルモデルチェンジを果たし、排気量をアップした水冷エンジンを装備、現代的なモデルに生まれ変わった! 1000ccを超えるのが当たり前のアドベンチャーマシンの世界でも、ミニサイズな(?)新型ヒマラヤンの足つきをチェックしてみた。

水冷化しても巨大タンクガードは健在! ミリタリーなデザインのミドルアドベンチャー

ヒマラヤンは2018年に登場した。ロイヤルエンフィールド唯一のオフロードスタイルで、フロント21インチの大径ホイールやブロックタイヤ、標準装備のアップフェンダーやエンジンガードは悪路走破性を重視。これにスクリーンやリアキャリア、そして巨大なパイプのタンクガードを装着しているという、武骨なスタイルでツーリングユースにもピッタリ。すなわちアドベンチャーモデルだったのだが、他メーカーのアドベンチャーのように先端電子装備やハイパワー&大排気量のエンジンを備えるわけではなく、バーチカルな411cc空冷シングルOHCエンジンを搭載し、電制はなにもなし。灯火類もバルブ式で、ロイヤルエンフィールドのイメージ通りともいえる、レトロアドベンチャーなスタイルを持っていた。

水冷化した新ヒマラヤ。流線形のフォルムや倒立フォーク、電制装備で一気に最新機となった。

アドベンチャーとしては小さめの排気量ながら、オフ走破性を発揮する高い車高で存在感は抜群。

モデルチェンジ前のヒマラヤンは空冷411ccエンジンを搭載するレトロなスタイルだった。

そんなヒマラヤンだが、2023年のフルモデルチェンジでエンジン、スタイル、装備にいたるあらゆる箇所が見直され、一気に現代的アドベンチャーマシンに急速進化。まずエンジンは452ccに排気量アップした水冷DOHC“シェルパ”エンジンに変更され、最高出力も40PSにパワーアップ。さらにタンクやボディは曲線基調にリファインされ、フロントフォークは倒立化している。また灯火類はフルLED、電子スロットルも採用しライドモードセレクトも備えた。そして大型の円形フルカラーTFT液晶メーターは、ナビゲーションを全画面表示することも可能だ。

一足飛びに最新モデルの仲間入りを果たした新型ヒマラヤンながら、先代から引き継ぐ巨大なタンクガードやレトロな丸ヘッドライトなど、ミリタリーマシンを思わせる武骨な雰囲気は健在。さらに各国のアドベンチャーを見ても珍しい、中間排気量の軽快なモデルというアイデンティティーは変わらなかった。

ヒマラヤンならではの巨大なタンクガード。転倒してもタンクは完全に守られる!

水冷452ccDOHCのエンジンは40PS/8000rpmを発揮。

灯火類はフルLED化され、一気にモダンな雰囲気に変貌した。

マフラーはダウンタイプで、短めのサイレンサーが装着されている。

タンク容量は17L、絞り込まれてニーグリップのしやすい形状に。

ステップはクッションを着脱できるタイプで、オフロードモデル準拠の仕様。

フロントホイールは21インチ。スポークだがチューブレスタイヤを標準装備している。

リアホイールは17インチ。こちらもチューブレスタイヤで、公道の実用性を重視した装備だ。

フルカラーTFT液晶メーターは珍しいラウンドタイプでクラシカル。ナビ表示やライドモードセレクトが可能。

スイッチボックスはとてもシンプルで、ボタンは少ない。

電スロ化したことで、アクセル操作も軽快に進化している。

ミドルなら小さいよね! という幻想を打ち砕く引き起こしと足つき

リッター超えも珍しくないアドベンチャーモデルの中で、大型二輪クラスとはいえ400ccと大差ない排気量や、コンパクトなシングルエンジンはとても取り回しがよさそうな印象を受ける。実際、私はこのヒマラヤンの見た目がとても好きなので、試乗がとても楽しみだった。エンジンガードも丸目ヘッドライトも、非常にカッコいいではないか。ところが、実際に車体を見てみるとあまり小さくは見えない。大径ホイールを備えて車高が高いのもそうだが、ワイドハンドルとタンクガードで上半身が非常にボリューミー、さらにホイールベースも長めで、存在感はビッグアドベンチャー並みだ。

いざ跨ってみると、ミドルアドベンチャーなら小柄な私でもラクラク乗れる? なんていう幻想はまったく打ち砕かれた。まず引き起こしの重量感がスゴい。これは外見からもわかるトップヘビーさからくるものだろうが、車体を正立させるのも大変だ(車重は196kgと、特別重たくはない)。そして足つきは厳しい。両足を下ろすとつま先が着く程度で、かなり不安定な感じだ。片足を上げればしっかり着地できるが、やはり重さで緊張感はぬぐえない。825mmのシート高は、残念ながら165cmの身長には高い! とはいえ、車体はとてもスリムなため、足の上げ下ろしに不自由はなく、跨ること自体はスムーズだ。

ライダーは165cm/50kg。両足を出すとつま先がギリギリ着地する程度。

片足ならば余裕の着地。スリムなボディのため足はまっすぐ下ろせる。

シート高は825mm。オフロードとしては高くはないのだが…クッションは柔らかい。

これはヒマラヤンがかなり「オフより」な車格を持っていることが原因だ。それでいてオンロードモデル用の装備を備えているため、重く感じるのは仕様がないことだろう。ただしリアショックがあまり沈みこまなかったため、調整次第で改善の余地はありそうだ。

その高さと重さが武器になる! 走り出したら楽しさ抜群

このように引き起こし、足つきというファーストステップで震えてしまった私。オフロードモデルに乗り慣れていないこともあり、走り出しはおっかなびっくりだった。しかし実際に走り出してしまうと、大柄なアドベンチャーモデルでしか味わえない、高い視点と鷹揚なハンドル感覚がとても楽しい! エンジンはビッグバイクほどのパワーはないが、シングルらしいしっかりした振動を発揮し続け、地面を蹴っている感覚もありありと感じられ、まるで乗馬体験でもしているようだ。

調子に乗ってスタンディングしてみても安定感は抜群。不安定かと思われた高い重心だが、走っている間はむしろ安心感につながる要素になっている。残念ながらオフロードへ乗り込むことはできなかったものの、フラットな道ならきっと楽しく走れるだろう! という期待を持てる乗り味で、オフロード寄りのアドベンチャーマシンという個性通りの乗り心地を体験できた。

走り出せば怖さはまったくなく、心地よいトルク感と高い視点がとにかく楽しい!

スタンディングでも安定感抜群。オフロードでも絶対に面白いだろうと思える乗り味だった。

小柄なライダーはとっつきづらいアドベンチャーというカテゴリー、ヒマラヤンもミドルクラスとはいえ、けしてスイスイ取り回せる小さいモデルではなかった。しかし武骨なスタイル、そしてアドベンチャーらしい乗り味は、頑張ってチャレンジする甲斐のある楽しさがある。興味が沸いたら是非とも、走り出すまでは試してみてほしい!

ヒマラヤ450(2024)主要諸元

・全長×全幅×全高:2,245×852×1,316mm
・シート高:825/845mm
・車重:196kg
・エンジン:水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ 452cc
・最高出力:40.02PS/8,000rpm
・最大トルク:4.08kg-m/5,500rpm
・燃料タンク容量:17.0L
・変速機:6段リターン
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=90/90-21、R=140/80-17
・価格:88万円~

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