走りの楽しさと燃費・環境性能を高次元で両立させたヤマハ独自の「BLUE CORE」エンジン。その国内初導入モデルとして2016年に発売された125ccスクーターが、「ヤマハNMAX」だ。その後、2017年と2021年には厳格化された排出ガス規制に適合させるためにBLUE COREエンジンを進化。そして2025年4月に、スタイリングを刷新し、各部を熟成した新型NMAXが登場した。

スタイル刷新と前後サスペンションを変更

NMAXに搭載されたBLUE COREエンジンは、高効率燃焼、高い冷却性、ロス低減の3点を注視して設計された。6000rpmで吸気バルブが低中速側から高速側に切り替わる可変バルブ機構(Variable Valve Actuation)を装備し、走りの楽しさと燃費・環境性能を両立しているのが特徴だ。2017年と2021年には厳格化された排ガス規制に適合するため、エンジン内部を変更。さらに、静粛なエンジン始動を実現する「Smart Motor Generator」、低燃費に貢献する「Stop & Start System」、前後ABS、トラクションコントロールなど装備も充実している。

そのNMAXがスタイルを刷新。エンジンの力強い流れを表した「ブーメラン」モチーフのサイドカバーは新デザインとなり、フロントとリヤのフェイスもシリアスなイメージへと変更。LEDヘッドランプはリフレクター式からプロジェクター式へと変更し、前後ウインカーもLEDとなった。

また、リヤサスペンションはストロークを5mm延長し、フロントサスはオイルロック機構を追加してセッティングも変更。BLUE COREエンジンは油圧式カムチェーンテンショナーを新たに採用している。2025年型NMAXは、ヤマハのスポーツスクーター「MAXシリーズ」らしさを受け継ぎながらも、より精悍なイメージのスタイリングとなっている。

「見る者を圧倒するような鋭い表情」を印象付ける、凛とした佇まいで自信の表れを表現したスタイリングとなったNMAX。画像のマットダークグレーのほか、マットダークレディッシュグレー、ホワイト、グレーの全4色を設定。

LEDヘッドランプは上下2段のプロジェクター式へと変更。ポジションランプに加えて、ウインカーもLEDを採用。より精悍なイメージとなっている。

LEDテールランプとストップランプは、「MAXシリーズ」の「M」をモチーフとした新デザインで視認性も良好。リヤウィンカーもLED化し、ハザード機能も装備している。

スマートキーでハンドル、シート、給油口のロック解除ができる。左側ポケットの最大耐荷重は1.5kgで、DCコネクターからUSB Type-Cソケットに変更された。右側ポケットはリッド付きで最大耐荷重は0.3kg。センタートンネル上面に容量7.1L燃料タンクの給油口を設置している。

ポジションの自由度が高いシート。クッション性も良好で、疲れにくい座り心地を実現。

シート下トランクは容量約23L。今回使用したフルフェイスヘルメットのほか、レインウエアなども収納できる。

望遠鏡で覗き込んだ時の集中している状況をイメージした「テレスコープコクピットデザイン」を新たに採用したディスプレイ。

ウインドスクリーン形状も変わったハンドルまわり。ハンドル左側に設置されたスイッチでディスプレイの表示を切り替えられる。

NMAXの足着き性をチェック!

リヤサスの5mmストローク延長に伴ない、シート高も765→770mmにアップ。しかし、身長172cmのライダーにはシート高アップは感じられなかった。

両足を着こうとすると、カカトが浮くのは旧モデルと同様。とはいえ、車体が軽いので停車時に不安を感じることはなかった。

ライダーの身長は156cm。「旧モデルでもカカトが浮きましたが、5mmアップで足着き性が悪化した感じはないですね」とのこと。

「両足つま先立ちになりますが、取りまわしの軽さと車体の安定感も変わっていないので、足着き性に不安がないのも変わらないですよ。」

利便性と質感の向上を表した新スタイリング

2025年型NMAXのヘッドランプは「N」を鏡文字にした模様がモチーフ。シートとの隙間やサイドカバー下部にカーボン積層パターンを施したりと、細部まで品質を高めている。

2025年型BLUE COREエンジンはセルスイッチ一押しで静か、かつスムーズに始動する「Smart Motor Generator」、アイドリングストップ機能といった便利な機能に変更はなく、カムチェーンの張り具合をコントロールするカムチェーンテンショナーを油圧式とし、フリクション低減に寄与しているのが変更点だ。

エンジンをかけ、アイドリング状態から少しスロットルを開けると、トルクがしっかりと立ち上がり、車体はスムーズに発進する。そこからのエンジン回転の上昇もスムーズで、それほどスロットルを開け足してはいないのだが、メーターには6000rpmで吸気側カムが切り替わる「VVA」の文字が表示されていた。旧エンジンも余裕を持って交通の流れをリードできる加速力を発揮したが、新エンジンの加速力も遜色ない。最高出力・最大トルクともに変わっていないので当然といえば当然ではあるが。

しかし、エンジン回転が上昇していく際の振動がより少なく、一度スロットルを戻してから再加速するような際のトルクの出かたが、さらにスムーズになったように感じられた。
スロットル操作に対する車体の反応がマイルドになったとも言えるが、旧NMAXから遅くなったわけではなく、むしろ扱いやすさとして感じられた。回転上昇のスムーズさを、フリクション低減の効果のひとつとして体感できたからだろう。

新型ディスプレイは視線移動が少なく、走りに集中しやすい「テレスコープコクピットデザイン」を採用。また、専用アプリ「Yamaha Motorcycle Connect(Y-Connect)」をインストールしたスマートフォンとの連携機能も搭載し、通話やSNS通知などを表示できる。新型ディスプレイ、新フロントフェイスに合わせてスクリーン形状も変更しているが、ライディング中に高い整流効果を発揮し、快適性も向上している。

細部を熟成した新BLUE COREエンジン。ラジエターカバーには傷が目立たないようにシボ加工を施している。サイドカバー下部にはカーボン積層パターンを新採用。

新デザインとなった液晶ディスプレイ。速度をメインに、スマホとの連携も表示。上部には各種警告灯を配置している。

スポーティな走りに洗練された質感をプラス

NMAXの車体剛性の高さはスポーティな走りとして結実。市街地でも走る楽しさが感じられる。

旧モデルも前後サスは奥で踏ん張り、大きな衝撃をしっかりと吸収してフラットな乗り心地を実現していた。新NMAXの前後サスは衝撃をスッと吸収し、延長したリヤサスのストローク量を使いきるというより、スパッと収束するように感じた。フラットな乗り心地は旧モデルから踏襲しているが、余分なマシン挙動が少なくなって、乗り心地に上質さがプラスされた。新デザインのフロントフェイス、細部までデザインされた車体、高められた整流効果といった新要素と、新たな足まわりによる乗り心地のよさもあって、乗り味にはラグジュアリーさが増したようにも思った。

乗降性に関してはセンタートンネルを持つNMAXより、フラットフロアのモデルのほうが便利だが、そのセンタートンネル(フレーム)のおかげで車体剛性にはハッキリとした差を感じる。サスペンション取り付け部を始めとした車体全体の強度はフラットフロアのモデルよりも高く感じられ、それがハンドリングの安定性となって、走行中に安心感が得られるからだ。それと、センタートンネルを両足でホールドすることでライディングフォームも決まりやすく、マシンコントロールがしやすくなるというメリットも大きい。

新BLUE COREエンジンのトルク特性にはマイルドさも感じるが、スムーズな加速力は健在で、余分なマシン挙動が減少した車体とのバランスがよく、歴代NMAXが培ってきたスポーティな走りは損なわれていなかった。スポーティな走りと、細部までしっかりデザインされた車体を含め、トータルでのクオリティが高められているのが新型NMAXの特徴と言える。原二スクーターで上質な走りを楽しみたい人に好適な一台だ。

底突きを防ぐオイルロック機構を追加したフロントサス。フロントフェンダーはフォークカバーと一体化した新デザインを採用。

ストロークを5mm延長し、減衰特性を調整。乗り心地と路面追従性を向上したリヤサスペンション。

2025年型NMAX主要諸元

・全長×全幅×全高:1935×740×1200mm
・ホイールベース:1340mm
・シート高:770mm
・車重:132kg
・エンジン:水冷4ストロークSOHC4バルブ単気筒124cc
・最高出力:12PS/8000rpm
・最大トルク:1.1kgf・m/6000rpm
・燃料タンク容量:7.1L
・変速機:Vベルト式無段/オートマチック
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=110/70-13、R=130/70-13
・価格:38万9400円

【画像】精悍なスタイルとなった新型NMAX。スポーティな走りと洗練された乗り心地を両立! (18枚)

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