
ドゥカティのネイキッドシリーズ「Monster(モンスター)」は2021年に大きくスタイルをチェンジし、オーソドックスなシルエットから戦闘的な先端デザインに進化した。見た目はかなりイカツイ現行モンスターの足つきチェック&試乗を体験してきたところ、意外や意外、異様な乗りやすさに驚きだ!
目次
1993年からのご長寿シリーズは現在モダンストリートファイターに
モンスターシリーズは1993年にデビューした、ドゥカティのラインナップの中でも異色のネイキッドモデルで、空冷Lツインのエンジンをトレリスフレームが目立つボディに搭載した特徴的なスタイルを持っていた。既に登場から30年以上が経ったとはいえ、今なお「あのトレリスのネイキッドね」と認識しているライダーも多いだろう。しかし、モンスターシリーズは扱いやすさからファンに愛され、ロングセールスを続ける中でモデルチェンジを重ねてきており、ついに2021年に登場した現行モンスターは水冷Lツイン、アルミフロントフレームのストリートファイタースタイルとなり、従来の雰囲気からは大きく変貌を遂げた。
今回試乗できたのは、そんな現行モンスターの上位グレード「モンスター+(プラス)」だ。スタンダードのモンスターにミニサイズのスクリーンと、シングルシートカバーを装備するスポーツイメージを高めた仕様だが、パワーユニットや電子制御といった基本的なスペックは変わらない。エンジンはドゥカティおなじみのデスモドロミックを持つ937cc水冷Lツインで、111PS/9250rpmを発揮する。リッタークラスながら、電制はシンプルにトラクションコントロール、ウィリーコントロール、そしてローンチコントロールが装備されているほか、ライドモードを3種類から選択できるのみだ。
外観はオーソドックスな雰囲気のネイキッドからは完全に脱却しており、リング状LEDヘッドライトや多面的なフェアリングなど、ハイメカを感じさせる戦闘的なスタイル。エキゾーストもショートサイレンサーが跳ね上げられ、スーパースポーツ的な装備となっている。ただ、モンスターシリーズの特徴だった大きく丸い燃料タンクのシルエットは踏襲されており、全体的なシルエットはおなじみのモンスターらしい。
意外な足つきのよさと異様な軽さに衝撃! 取り回しはミドルバイククラス
そんなモンスタープラス、スペックだけ見ると非常に気難しそうな、硬派な印象を受けた。さらに前傾の強いストリートファイター然としたボディも、かなり身構えてしまう感じだ。ところが、実際に跨ってみてびっくり。足つきが無茶苦茶によい! 実際、シート高は775mmと見かけほど高くなく、私の165cm/50kgの体格でも、すんなり両足をつくことができた。これは日本仕様がローシート&ローサスを採用しているためもあるが、フレームもシートも非常にスリムなため、足を開く感覚がまったくないのも大きな理由だ。
さらにハンドルを持ち、引き起こしてまた驚いた。この雰囲気、スペックに比べて異様に軽い! なんと装備重量179kgと、そこいらの250ccクラスと大差ないのである。もちろんエンジンは大きいのだが、重心が見た目よりも低いのか、ラクラクに車体を引き起こすことができ、足をついてもふらつく心配は一切なかった。
この軽さ、足つきのよさは走り出すと一層恩恵を感じるものだった。試乗コースは広くなく、たまにストップもあったりして慣れないバイクでは緊張感がぬぐえないのだが、ストップ&ゴーでふらふらすることはもちろんないし、車格は本当にミドルクラス同様のコンパクトさで、ビッグバイク的な重々しい挙動がいっさいない。とても気楽に乗り出すことができた。
しかしアクセルを開けると気楽な雰囲気は一変、まさに「モンスター」的な怒涛の加速をみせてくれ、これが100PSを超えるビッグバイクなのだということを思い出させられる。とはいえ発進加速、コーナリング、すべてスムーズで特段緊張が走ることはない。これは多すぎない電子制御が、エンジンの大パワーをしっかり制御して扱わせてくれる必要十分なものだからだろう。
大型デビューにも、小柄なライダーにも、ビッグバイクの面白さを感じられる!
見た目の戦闘的な雰囲気で、とっつきづらいイメージが(個人的には)あった最新型のモンスター。ところが実際にまたがり、乗ってみると、まったく気負わず走り出せる非常にフレンドリーなマシンであることがわかった。それでいてスポーティーな走りを狙えば、リッタークラスの性能であっという間に楽しめてしまう。またLツインエンジンの鼓動感、トルク感覚も面白く、パワフルなマシンを思いのままにあやつる喜びを感じられるのだ。
ビッグバイクは取り回しにも、足つきにも緊張感があるという小柄なライダー、またはじめて大型バイクに乗るぞというビギナーにとっては、戦闘的デザインが気に入りさえすれば、不安なく大型バイクを楽しめるひとつの回答であることは間違いがないマシンだった!
Monster(2025)主要諸元
※【】内は+
・ホイールベース:1474mm
・シート高:755mm
・車両重量:179kg
・エンジン:水冷4ストロークV型2気筒 937cc
・最高出力:82kW(111PS)/9250rpm
・最大トルク:93N・m/6500rpm
・変速機:6段リターン
・燃料タンク容量:14L
・ブレーキ:F=ダブルディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=120/70-17、R=180/55-17
・価格:157万円~【162万2000円~】
この記事にいいねする
足着きや軽さなどドゥカティとしては珍しいフレンドリーなバイクは魅力的だけど
スタイルはストリートファイターV2との棲み分けが分かりづらくなった。
乗りやすいバイクを目指すならトレリスフレームを継承してストリートファイターV2との違いを明確にしてほしい。
装備重量188kgじゃなかったっけ?
と思って調べたら、装備重量179kg(燃料を除く)となっていた。
初登場時も乾燥重量だけ出して軽さをアピールしていたし、
ちょっとやり方姑息すぎませんかね。
「装備重量」はオイルも規定量入れてガソリンも満タンに入れて(水冷なら)クーラントも規定量入れて今すぐ走り出せる時の重量なんで、ガソリンを抜いた重量を「装備重量」とするのはダメなんだよね。「優良誤認表示」と取られても仕方ない。