バイクの歴史を語る上で欠かせないカテゴリーがある。
「絶版車」だ。
絶版車とは文字通り販売終了になったモデルを指すが、このモトレポートでは1970年代、1980年代のモデルを中心に記載することとする。
当時は国内四メーカーが競いあって続々とニューモデルを投入し、発表される度にライダー達に衝撃を与えていた。
海外向けの大型バイクをベースに国内販売して訪れたナナハンブーム。
ナナハンに続いて多くのライダーに愛された中排気量車。
80年代にはレーサーレプリカブームが訪れ、各地の峠には多くのギャラリーが集った。
国内かつてない空前のバイクブームである。
やがて日本の人口、バイク乗りの人口は変動し、若者が興味を示すものも時代と共に移り変わっていった。
だが、西暦2000年を10年以上も過ぎた今なお記憶に残り続け、現代のライダーをも魅了して止まない名車がある。
最新バイクと比べてスペックが大きく劣る絶版車が、なぜ現在もこれほど人気なのか。
今回は[絶版名車特集第一弾]として、当時も今も人気の高い中排気量の4サイクルバイクに迫ってみたい。
当時を知っているライダーも、今回初めてこれらを目にするライダーも、本特集を通して絶版車の魅力を感じていただきたい。
目次
HONDA CBX400F(1981-) 新車・中古車をさがす
1981年に「400マルチの時代が変わる」と謳われて登場。
当時では唯一のDOHC4バルブは、中空カムシャフトやオイルクーラーを装備し発売当時最強の48PSのパワーを誇るなど、謳い文句通り「400マルチの時代を変えたバイク」だ。
外から見るとドラムブレーキに見える「インボード・ディスク・ブレーキシステム」は、量産では世界で初めて採用された。
セミエアサスや鍛造スイングアームなども採用され、車体構成の完成度も高かったとされている。
また、ウインカーとテールランプを一体化したテール周りなど、デザイン面でもライバル達をリードしていた。
現在でもその人気は衰えず、高価なものは一台数百万円もする程である。
HONDA CB400FOUR(1974-) 新車・中古車をさがす
「ヨンフォア」の愛称で親しまれる名車。
流れ川のような美しい集合管に魅了されるファンは現在でも後を絶たない。
CB350FOURのボッタリとしたフォルムを一新、ボアも4mm広げた408cc(47ps)でパワー不足も解消し1974年にデビュー。
6速ミッションはゼロヨン14.9秒、トップスピードは170km/hを越え「おまえは風だ」というキャッチコピーに負けない車両であった。
しかし時代はこのキャッチコピーを「おまえが好きだ」に改めさせるほどバイクに対して厳しい眼差しを向けていた。
発売翌年となる1975年には中型二輪免許が施行され、この免許での運転は400cc以下の排気量に限定されてしまった。
この対策としてショートストローク化をはかり、排気量を398ccに変更したCB400FOUR-I(セミフラットハンドルでスポーティ)とCB400FOUR-II(アップハンで街乗り、ツーリング、とりまわしが楽)が発売された。
398cc版はサイドカバーがブラックになり、一層精悍さを増した。
KAWASAKI Z400FX(1979-) 新車・中古車をさがす
CB400FOURが販売終了となって以来、400モデルに4気筒を望む声が高まった。
そのニーズに応えて登場したのが、このZ400FXである。
直線基調なフォルムと大柄の車体、DOHCマルチ搭載で大ヒットとなったこの車両は「硬派カワサキ」のイメージを定着させた一台ともいわれている。
発売当時最大の43psを発生させるエンジン特性は、見た目からは想像が出来ない素直なハンドリングとの相性も抜群。街乗りからワインディングまで扱いやすく、当時のカタログでは「クオリティを越えたパーフェクションモデル」として締め括られた。
最高速は169km/hを越え、ゼロヨン14秒という記録を残している。
SUZUKI GS400(1976-) 新車・中古車をさがす
それまで2ストロークマシンのみを生産してきたスズキが、威信と存続を賭けて開発した4ストロークマシンがGSシリーズである。
その第二弾として1976年に発売されたのがGS400であった。
DOHCヘッドに180度クランクのパラレルツイン、6速ミッション、SUキャブレターを装備したエンジンはシャープに吹け上がり、軽量ボディを突き進ませた。
また、曲線的なタンク&シートカウルは軽快なイメージを放ち、走行性能と相まって爆発的なヒットを呼んだ。
2年後の1978年に発売されたGS400E(キャストホイールを装備)も、引き続き高い人気を誇った。
これらGSシリーズのサウンドとスタイルは今でも多くのファンを虜にしている。