モンキー125用外装キット「エフモン」で知られるT.T.Rモータースが、東京モーターサイクルショー2024において製作したスペシャルモデル「白龍神(はくりゅうじん)」を公開した。CB750F風のスタイルをベースにしながら、T.T.Rモータースがある草加市にゆかりのある異業種とのコラボレーションを盛り込んだ、工芸品ともいえる異色のカスタムは、バイクの可能性を突き詰めた1台だ。

白をまとう龍──職人たちの技と「草加の力」が結実

「エフモン」外装キットは、昨年発売されたモンキー125用の外装キットで、車体に被せる形で「CB750F」のシルエットを再現することが可能なもの。おなじみのスペンサーカラーやCB900F風のレッドなどカラーも充実、角ばったレトロスタイルをデフォルメしたスタイルに4ミニファンからも、旧車ファンからも注目されている。

今回登場した「白龍神」は、エフモンキットをベースにしつつ、草加市にゆかりのある職人や芸術家の力を結集して作成されたワンオフモデル。最大の見どころは、白を基調とした個性的な外装と、そこに描かれた筆文字ロゴ「白龍神」。外装には草加市の塗料販売店・点シールドによる建築物保護用の高耐久塗料「AQシールド」を応用し、手作業で波模様のような質感を再現。担ったのは草加在住の塗装職人、宮島星空氏だ。均一ではないムラをあえて活かすことで、一台ごとに異なる“生きた”質感を生み出している。さらにタンクサイドには、力士の化粧まわしなどを手掛ける高名な書家・山崎秀鴎氏による力強い筆文字があしらわれ、威厳と気迫を演出。マシン全体に流れる空気が、既存のモンキーカスタムとはまったく異なるものになった。

東京MCショー会場に登場した「エフモン 白龍神」。

スタンダードのキットは、CB750Fのスタイルを再現できる外装パーツセットで、昨年発売された。

注目したいのはこの独特のペイント。長寿命のAQシールドによって実現された輝きを放つ。

フェンダーやタンクキャップには「黒龍神」カラーで仕上げ。こちらもAQシールドを用いたものだ。

サイドカバーのエンブレムは書道家・山崎秀鴎氏が手掛けたもの。

サイドカバーにも龍の文字。山崎氏は映画『ラストサムライ』の題字も手掛けた書家だ。

台湾製パーツが支える“走れるショーモデル”というコンセプト

デザインや塗装に目を奪われがちだが、白龍神は外観だけのカスタムモデルではない。見た目はショーマシンでありながら、公道走行も可能な実用性を備えている。その基盤を支えるのが、T.T.Rモータースが長年の信頼関係を築いてきた台湾ブランドの数々だ。フロントフォークとリアショックはGEARS RACING製で、減衰力調整機能を備えた本格派サスペンション。ステムキットはSMR(Sun Moon Racing)製で、切削面の美しさだけでなく、ステアリング特性にも高い精度で貢献している。マフラーにはSSPファクトリーのワンオフ品を装着。取り回しとアップタイプの角度が絶妙で、車体のフォルムをより引き締めている。

台湾ブランドのパーツは、手頃な価格帯ながら設計思想と仕上がりのレベルが高く、近年はモンキー125のカスタムシーンでも確実に存在感を強めている。白龍神は、そうした台湾製パーツを最大限に活かしつつ、日本的な職人技と融合させたハイブリッド的存在といえる。加えて特筆すべきはシート表皮。素材はなんと白ヘビ革。そのうねるような模様と柔らかな質感が、「白龍神」の名にふさわしい妖艶さを生み出しているが、これもアジアンパーツのつながりで調達できたものだという。

ヘッドライトはSTDだが、ウィンカーは角タイプへ。これはキットに付属するパーツだ。

台湾SMR製ステムキットで実用的な走行性能も兼ね備えている。

前後サスも台湾ギアーズ製。マニアックな4ミニパーツを多数取り扱っているメーカーだ。

ヘビ革のシートは個性爆発! 龍のイメージにふさわしい仕上がりだ。

この白龍神は、ショーのために製作された完全なるワンオフモデルであり、市販の予定はない。ただし、ベースとなった「エフモン」外装キットは購入可能だ。価格は未塗装で20万7900円、塗装済みで32万8900円。CB750F風をはじめとした歴代CB-Fスタイルに対応したカラーオーダーや、「HONDA」ロゴの変更オプションなども揃っており、自分好みにカスタムする余地が大きい。オリジナルカスタムベースとしてのキットの可能性にも注目だ。

キットは往年の「F」を再現した塗装済みも販売されているが、オリジナルペイントも十分楽しめそうだ。

昨年の発売時から話題を呼んだエフモンキット、今後も様々な可能性に注目したい。

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