今年2月、ヤマハ発動機は同社初のバイク向けハイブリッドシステム「SPHEVシステム(Series Parallel Hybrid Electric Vehicle)」の開発を明らかにし、スクータータイプのコンセプトモデルを発表した。この際、次なるモデルとして何らかのスポーツバイクの登場が示唆されていたが、ついにその正体が明らかとなった。「MT-09」ハイブリッドの登場だ!

単なるエコモデルではない、エンジン+モーターの異次元加速を発揮

ヤマハが開発を進めているシステム「SPHEV」は、エンジンとモーターのハイブリッド搭載により、脱炭素社会へ向けて実用化を目指す新技術だ。自動車では一般化しているハイブリッド技術だが、メカニズムの複雑さ、大型化といった難点もあり、バイクへの搭載はあまり進んでおらず、2025年現在はカワサキがラインナップするのみだ。これに対し、ヤマハが明らかにしたハイブリッドシステムでは、EVのスムーズな加速と静粛性、エンジンのパワーとフィーリングを両立させるため、モーターとエンジンを同時駆動させるアシスト機能を備え、通常のガソリンエンジンを超える強烈な運動性能も実現しているのが特徴的だ。

ヤマハから発表されたPHEVシステムの第2段は、MT-09ベースの大型ネイキッドだった。

エンジンの外観は通常のMT-09とあまり変わらないように見えるが、サイドフェアリングなど冷却性を高める工夫が見て取れる。

タンク上部にはEVユニット冷却用と思われる新パーツが搭載されていた。

メーターには小型モニタが増設され、バッテリー残量などが表示されている。

前回登場した「SHEV」はスクータータイプだったが、スポーツ性を重視していたコンセプトは今回と同様だ。

その第1号機として今年2月に公開された試作ハイブリッドスクーター「SPHEV」については既報の通り、XMAXのような車格のミドルスクーターのイメージだった。ところが今回、新たにビッグバイクへの搭載を想定したプラグインハイブリッドシステム「PHEV」として発表されたのは、明らかに「MT-09」をベースとしたハイブリッドネイキッドだ。

スタイルはほぼMT-09と変わらないが、透視イメージではエンジン上部に大型のモーターユニットを装着。外見上もタンク中央部に大型のヒートシンク様のパーツや、小型液晶メーターが増設されるなど、大きく異なる面もある。機能面では、自動でEV/ガソリンを切替が可能一旦停車するとモーター駆動によるEV走行を行い、一定速度に達するとエンジン+モーターのハイブリッド走行となる。シームレスな切り替わりと、エンジンのエキゾーストノート、そしてガソリンエンジンを凌駕する加速能力によって、単なるエコ機構ではなく、ビッグバイクの「ファンライド」体験への新機軸ともいえるキャラクターをもつというのだ。

発進時にはモーターのみで静粛&スムーズに走り出すことができる。

一定速度に到達するとパワーユニットがエンジンに切り替わる!

さらにモーター+エンジンで従来のイメージを超えた運動性能も発揮可能だという。

現在はまだ開発中のMT-09ハイブリッド、市販の予定は発表されていない。しかし実車の走行シーン、テストシーンは映像が公開されており、その姿は既にほとんど完成しているように見える! 全開のハイブリッドスクーターと共に、極近い未来に正式発表されるのは明らかだろう。その日を期待して待ちたい!

イメージモデルと思いきや、しっかり実車もテスト走行シーンを見せてくれた!

その加速力は映像を見ていても感じ取れるほど。スポーツ志向のライダーほど気になるか。

市販の情報はまったくないが、ここまでの完成度なら遠からず続報を聞くことができるだろう!

電動技術への新たな挑戦(2)

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