バイク以上に安定した走りと、積載性の高さが魅力のトライク。とはいえ、一番快適な屋根付きとなるとホンダ「ジャイロキャノピー」アイディア「AA-CARGO」等、限られた選択肢しかないのも事実。「もっとスタイリッシュで、快適に街なかを走り抜けられて、SNS映えするモデルはないものか…」という欲張りセット大好きなそこのあなた! そんな希望を叶える一台が、遠くインドの地で「E3W」として登場したぞ。

日常の足としてEVが普及しつつあるインド

バーラト・モビリティ・グローバル・エキスポ2025での公開の様子。E3Wのフロントパネルは、LEDで様々な文字や記号が映し出せる。

お披露目されたのは、2025年1月開催のインド最大級自動車展示会「バーラト・モビリティ・エキスポ」。そこで、日本でも先進的なEVを展開しているヒョンデが、世界第3位の二輪車メーカーであるTVSと協力し、インドの混雑した道路向けにクールな電動マイクロモビリティのコンセプトとして公開したが、今回の主役E3Wだ。これは現地では、「オートリキシャ」と呼ばれる分類の乗り物。タイで一般的な「トゥクトゥク」とよく似ているが、あちらよりも一回りくらい小さいということが大きな違い。

こんな狭い路地もスイスイ。そう、オートリキシャならね。

14億人超という世界1位の人口を抱えるインドでは、都市部はもちろん、郊外でも道路の反対側にある店に渡るのも躊躇するほどの混雑した道が大半。そのためクルマよりもコンパクトで取り回しが良く、バイクよりもモノや人が載せられる「オートリキシャ」が日常の足になっている。しかも、インドのEV推進団体「Clean Mobility Shift」がまとめた「インドで販売されたEVの種別シェア」によれば、2024年の時点で、その年間総販売台数のうち55.41%が電動タイプ。新車に限れば、インドはかなりの電動化先進国だったりするのだ。

コストダウンの賜物でもあるE3Wの先進的なデザイン

そんなインドで公開されたE3Wは、ヒョンデが展開しているEV「IONIQ 5」にも通じる、シンプルながらシャープなラインで構成されたモダンデザインが目を引く。

パネルの落ち着いた水色は、アーカーシ・ブルーと名付けられている。インド洋と無限の空の色であり、インドの精神の無限の志を証明するものだとか。

この先進的なデザイン、実はコストダウンという面でも一役かっている。フラットデザインとすることで成形とパーツ構成が容易になり、オーナーが部品交換する際の費用を抑えられるように考えられているのだ。ボディパネルには、リサイクルプラスチックを使用していることもポイント。二酸化炭素を出さないEVが、さらにエコな乗り物になっているというというワケ。ヒョンデからアナウンスはないが、破損したボディパネルを回収して再生するといったサービスもあると、もっと製品の価値が高まりそうだ。

コンポーネント化されているため、警察車両や輸送特化型等、さまざまなバリエーションも容易に対応可能。現在のところ、ここまでの展開については製品化のアナウンスはなされていない。

ドライバーの欲しいが詰まったE3W

さらに乗り心地を改善するための一般的なオートリキシャよりも大型のホイールや、荷物を載せたり、乗員が快適になるよう、200mm長いホイールベースを確保し、十分なフラットフロアスペースを設けることで使い勝手を向上させている。加えて乗降の容易さや、広々とした乗車空間が確保できるよう、一般的なオートリキシャよりも約35mm高い位置に屋根を設置。

シートを折りたたんで荷物を載せたり、車椅子ユーザーに対応することもできる。

ドリンクホルダーやスマートフォンホルダー、USB充電ポートといったドライバー周りの快適性を上げる装備も充実している。シート下やダッシュ付近の収納スペースなども確保されてたりと、日本のトライクやスクーターと比べても至れり尽くせりのパッケージだ。

ドライバーをはじめ、乗員の欲しい位置に欲しいアイテムが設置されている。

さらに技ありなのが、ボディの高さが調整可能なこと。これはインドならではの気候が関係している。なにせ、モンスーン期ともなれば道は豪雨で水浸しどころか、ひどいときには川といっても過言ではない状態。そんな場合でも問題なく移動できるように設計されているのだ。日本でも浅瀬くらいなら渡れちゃうかもしれない。車高を上げるメカニズムも気になるところ。車体のフロントホイールをよくみると、片持ちのリンク式サスペンションになっているので、エアサスかリンク自体を持ち上げる機構が有力?

ホイールが半分埋まっても大丈夫!

現地で51万円、最高時速60km/hで登場するかも

現状E3Wは開発中なものの、ヒュンダイはこの車両を近いうちに製品化すると意欲的なコメントを残している。詳しいスペックは明かされていないが、庶民の足として設計されていることを鑑みれば、インドで流通している現行の電動オートリキシャが参考になるだろう。パートナーであるTVSが販売中の電動オートリキシャ「King EV Max」を見てみると、価格は295,000インドルピー(執筆時点の為替で約51万円)。公称航続距離は179km、最高速度は60km/hとなっている。
一方のE3Wはさまざまな快適装備がついているとはいえ、コストダウンの努力も図られているため、King EV Maxと同等の価格とスペックで登場するかも。日本でも日常の足として便利そうだし、製品化の暁には国内導入お願いしますヒョンデさん!

兄弟モデルとして4輪のE4Wもあるぞ!

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