2025年11月から施行される新排気ガス規制への対応が難しいなどで、今まさに「絶滅の危機」といえる50cc以下の原付バイク。2025年度には、125cc以下のバイクを最高出力4.0kW(5.4PS)以下にした「新基準原付」という新区分も登場予定。でも、今までの50ccバイクは生産終了となる見込みが強いといわれています。
このクラスには、とくに、ホンダのビジネスモデル「スーパーカブ50」に代表されるように、昭和の時代から今も続く名車たちもいて、長い歴史に終止符が打たれる恐れがあるのは悲しいものです。ここでは、そんなロングセラーの50ccバイクたちをピックアップして紹介します。

ホンダ・タクト(初代1980年)

まずは、長年庶民の足などとして愛用され続けてきた50ccスクーターモデルのなかでも、昭和に生まれて、今でも(2025年3月14日現在)新車で買えるロングセラー3モデルを紹介します。

1台目は、40年以上の歴史を誇るホンダの原付一種スクーター「タクト」です。

初代モデルは1980年に登場しました。最高出力3.2PSを発揮する49cc・2ストローク単気筒エンジンにより、高い走行性能を実現。今では当たり前となったフラットなステップを持つステップスルーなど、快適かつ実用的な数々の装備により、大きな人気を獲得したモデルです。

当時は、後述する「ジョグ」など、ヤマハ発動機(以下、ヤマハ)製の原付スクーターも大きなセールスを記録。ホンダとヤマハが激しいシェア争いを繰り広げ、「HY戦争」とまで呼ばれましたが、そんななか、ホンダ勢の中心的モデルのひとつとなったのがタクトでした。

ちなみに、現在、ホンダのタクトはヤマハへOEM供給されていて、「ジョグ」の名称でも販売。かつてのライバル2モデルが、今となっては兄弟車になっているというのも、どこか不思議な縁のようなものを感じさせますね。

そんなタクトは、一時期ラインアップから外れていたものの、2015年に16年ぶりの復活を果たした現行モデルが登場。エンジンには、扱いやすい出力特性を備え、環境性能にも優れた水冷・4ストローク・OHC・単気筒の「eSP(イーエスピー)」を搭載。最高出力4.5PS、最大トルク0.42kgf-mを発揮し、WMTCモード値で58.4km/Lという優れた燃費性能を誇ります。

ラインアップには、アイドリングストップ機構付きの「タクト」に加え、シート高を15mm下げてより足つき性に配慮し、アイドリングストップ機構を省いて価格をリーズナブルにした「タクトベーシック」も設定。

いずれのグレードも、ヘルメットや小物を収納できるラゲッジボックス、被視認性の高い大型マルチリフレクターヘッドライトやテールランプ、軽い力で掛けられるよう配慮したセンタースタンドなど、利便性を考慮した装備が満載です。

現行タクトの価格(税込み)は、タクトベーシックが17万9300円、タクトが19万2500円。このモデルについては、現時点(2025年3月14日現在)で生産終了になるのか、また電動化や排気量アップなどで後継機種が出るのかなどは不明です。

でも、40年以上愛されてきたモデルだけに、絶滅するにが惜しいのも確か。例えば、110cc版か125cc版の新基準原付バージョンを出すなどで、今後も伝説が続くといいですけどね。

ヤマハ・ジョグ(初代1983年)

ヤマハの原付一種スクーター「ジョグ」シリーズは、スポーティなスタイルとパワフルな動力性能などが魅力のロングセラーモデルです。

1983年に登場した初代モデルは、2000年代前半頃まで続く、スポーティな50ccスクーターのブームを作った立役者といえます。当時としてはパワフルな4.5PSを発揮する49cc・2ストロークエンジンや、尖ったフロントカウルが前輪を覆う戦闘的スタイルなどが好評を博し、大ヒットを記録しました。

その後、ジョグは、90cc・2ストロークエンジン搭載モデルなど、数々の派生モデルも誕生し、ヤマハ製スクーターの基軸となりました。でも、一方で、年々厳しくなる排気ガス規制などの影響もあり、2007年には、4ストロークエンジン搭載車に変更されます。

さらに、2018年に登場した現行の50ccモデルでは、前述の通り、ホンダのタクトをベースに、ヤマハのデザインを投入したOEMモデルとなっています。かつてヤマハを代表した50ccスポーツスクーターは、外観とネーミングなどをオリジナルとし、エンジンや車体など基本構成はタクトと共用となっているのです。

そんなジョグの現行モデルは、ラインアップに上級モデルの「ジョグ デラックス」とスタンダード仕様の「ジョグ」を設定。最高出力4.5PSを発揮する49cc・水冷4ストローク単気筒エンジンは、登坂路でもグングンとストレスなく登れるパワフルな特性を実現。加えて、燃費や環境にも配慮していることが特徴です。

特に、上級モデルのジョグ デラックスには、アイドリングストップ・システムを専用装備。燃料の余分な消費や騒音、排出ガス低減に貢献します。また、スタンダード仕様と共に高い燃費性能も誇っており、WMTCモード値で58.4km/Lを実現しています。

ほかにも、シート下トランクは、デラックスで20L、スタンダード仕様で19Lの大容量を確保。ヘルメットはもちろん、レインウェアなどの収納にも便利です。さらに、(後輪ブレーキ用の)左レバーを操作すると、前輪にもほどよく制動⼒を配分し、ブレーキングをサポートするコンビブレーキなどで、高い安全性も確保しています。

なお、現行ジョグの価格(税込み)は、スタンダード18万1500円、デラックス19万4700円です。

ちなみに、ジョグ・シリーズには現在、124cc・空冷4ストロークエンジンを搭載する原付二種スクーター「ジョグ125」もラインアップ(税込み価格26万7300円)。2022年に登場したこのモデルは、シリーズ共通のスポーティなスタイルを採用。ヤマハ独自の「ブルーコア(BLUE CORE)」エンジンの搭載により、最高出力8.3PSという力強いパワーと、WMTCモード値51.9km/Lという高い燃費性能を両立していることがポイントです。

そして、おそらく50cc版のジョグが新排気ガス規制に対応できなくても、この原付二種モデルは生き残る可能性は十分にあります。ロングセラーモデルの血統は、125ccモデルとしてこれからも続くことが予想されます。

スズキ・アドレスV50(初代1987年)

「アドレスV50」も、1987年に登場した初代「アドレス」以来、ロングセラーを続けるスズキの原付一種スクーターです。

スポーティでファッショナブルなフォルムを持つ初代モデルは、6.5PSの高出力を発揮する49cc・2サイクル空冷単気筒エンジンを搭載。フルフェイスヘルメットの収納が可能なパーソナルスペース(多目的収納スペース)をシート下部に設けるとともに照明も装備し、使いやすさを充実させていたことも特徴でした。

1990年には、上級モデルの「アドレスV」が登場。ゆったりと運転できる大柄な車体に、最高出力6.8PSの49cc・2サイクル単気筒エンジンを搭載。スポーティーな走りが楽しめるほか、長距離走行に便利な大容量4.8Lの燃料タンクを装備するなどの特徴を持っていました。

また、2006年には、上級スクーターのアドレスVシリーズをベースに、エンジンを4ストローク化した「アドレスV50」が登場します。

現行モデルでは、フューエルインジェクションを採用した49cc・4サイクル空冷単気筒エンジンを搭載。最高出力3.7PSを発揮するエンジンは、スポーティで力強い走りを実現。また、WMTCモード値52.8km/Lという高い燃費性能も両立し、毎日の通勤・通学などでの高い快適性と経済性を追求しています。

加えて、シート下トランクスペースは、フルフェイスヘルメットが横向きに収納できる大容量サイズを採用。グローブなどの小物が入る便利なフロントインナーラックやリアキャリアなどで、荷物の積載性も良好です。ほかにも、鍵穴へのいたずらや盗難を抑止するシャッター付きキーシリンダーなども採用し、高いセキュリティ機能も合わせ持っています。

なお、現行アドレスV50の価格(税込み)は、19万3600円。スズキのスクーターには、125ccエンジンを搭載する原付二種の「アドレス125」もラインアップします(税込み価格27万3900円)。

そのため、もしアドレスV50が新排気ガス規制の影響で生産終了となっても、シリーズは存続することになるのは確かですね。ただし、手軽でリーズナブルな50ccスクーターはなくなってしまう可能性は大きいでしょう。いずれにしろ、このモデルについても、現時点(2025年3月14日現在)でとくにアナウンスがないため、今後の動向に注目したいところです。

ホンダ・ジャイロX(初代1982年)

お次は、配達業など商用モデルとして長年活躍し、昭和の時代から今でも続くモデルたちを紹介。まずは、原付三輪スクーターの「ジャイロX」です。

初代モデルは1982年に登場。当時のホンダは、前1輪+後2輪のスリーホイールを備えた50ccバイクを、新感覚な乗り物「スリーター」としてリリース。1981年に発売した乗用車的イメージの「ストリーム」に続き、スリーター第2弾として発売したのがジャイロXでした。

初代ジャイロXの主な特徴は、最高出力5PSを発揮する49cc・2サイクル単気筒エンジンを搭載し、コーナーリング時にフロントボディが左右にスイングするナイトハルト機構を採用。3輪の安定性とバイクの持つ軽快な操縦性を兼ね備えたことが魅力でした。

また、ノンスリップデフ機構、ワイルドパターンの低圧ワイドタイヤなどの装備により、不整地や雪道、坂道などでの優れた走破性も実現。アウトドアをイメージさせるタフな外観や、フロントデッキとリア大型キャリアなどによる高い積載性や実用性も実現しました。

ちなみに、1990年には、ルーフやワイパー付きウインドスクリーン(風防)を備えた屋根付き3輪バイクの兄弟車「ジャイロキャノピー」も登場。宅配などの配送業などに便利な高い実用性を備えることで、ジャイロXと共にビジネス向け3輪バイクのスタンダードモデルとして定着しました。

現行のジャイロXは、2008年に登場。兄弟車のジャイロキャノピーと共にエンジンを刷新し、従来の2ストロークエンジンから49cc・水冷4ストローク・OHC・単気筒エンジンに変更。従来モデルに比べ燃費を約30%向上させるなど環境性能をアップしつつ、滑らかな出力特性も両立したことが特徴です。

また、新設計のアルミ製ホイールとチューブレスタイヤを前・後輪に採用したほか、後輪のサイズを6インチから8インチに大径化。後輪のトレッド拡大などと相まって、走行安定性の向上も図っています。

その後も、ジャイロXとジャイロキャノピーは、2017年にエンジンを平成28年排出ガス規制に適合させるなどの変更を受けており、環境性能を進化させました。ただし、それでも、2025年11月の新しい排気ガス規制に適合できるのかは不明で、2025年3月14日現在でとくにアナウンスはありませんが、生産終了の可能性も十分に考えられます。

ただし、これら2モデルについては、2021年に電動バイク「ジャイロe:」「ジャイロキャノピーe:」が出ており、これらは新排気ガス規制の影響がないことが予想できる。昭和生まれのスリーターモデルは、電動ユニット化により、今後もその伝統を受け継いでいくこととなるでしょう。

なお、現行のジャイロX(50ccエンジン車)の価格(税込み)は、ウインドシールドとリアキャリアなしのベーシックタイプが40万4800円、ウインドシールドと車体の前後にキャリアを装着したスタンダードタイプで42万6800円。また、現行のジャイロキャノピーの価格(税込み)は57万900円です。

ホンダ・スーパーカブ50(初代1958年)

ラストはホンダの「スーパーカブ50」。今回紹介する50ccバイク中で、2025年3月14日現在、すでに生産終了がアナウンスされているモデルです。

ホンダの「スーパーカブ」シリーズといえば、1958年に登場した初代モデル「スーパーカブC100(排気量は50cc)」以来、世界的に大きな支持を受けているビジネスバイクですよね。取得が楽な原付免許で乗れる50ccクラスのなかでも、とくに、配達業などの商用から日常の足まで、手軽な移動手段として長年支持をうけてきたバイクだといえます。

特に、現行モデルでは、兄弟車の110ccモデル「スーパーカブ110」と同様、レッグシールドや丸目ヘッドライトなど、往年のカブを彷彿とさせるスタイルを採用。各部に配したクロームメッキのパーツなどで上品な印象とした外観や、クラッチ操作不要の4速リターン式シフトによる軽快な走りも自慢です。

そんなスーパーカブ50に関し、ホンダは2024年11月に生産終了することを発表しており、その最終仕様となる「スーパーカブ50・ファイナルエディション」を受注期間限定で2024年12月12日(木)に発売しました。

主な特徴は、往年のスーパーカブをイメージした「ボニーブルー」のカラーリングや、エンブレム類などに専用デザインを設定。また、メーターリムとマフラーカバーをメッキ仕様としたほか、シート前部と後部をグレーとしたツートーンのシートを採用するなどで、特別感を演出しています。

ホンダは、同時に、スーパーカブ50をベースに、サンリオの人気キャラクター「ハローキティ」の50周年を記念した「スーパーカブ50・HELLO KITTY」も発表。こちらは、スーパーカブ110をベースとした「スーパーカブ110・HELLO KITTY」も設定しますが、いずれにしろ、これで最後となるスーパーカブ50に2タイプの特別仕様車をリリースしました。

なお、これら2タイプは、受注期間限定での販売ですが、受注期間は2024年11月8日(金)から2024年11月24日(日)までだったので、すでに終了しています。

価格(税込み)は、スーパーカブ50・ファイナルエディションが29万7000円(通常仕様車の4万9500円アップ)。スーパーカブ50・HELLO KITTYは33万円(通常仕様車の8万2500円アップ)。

いずれも価格(税込み)24万7500円の通常仕様車より高いのですが、新車で買える最後のスーパーカブ50だけに、購入できる人はかなりラッキーでしょうね。実際に、Webikeプラス編集部が入手した情報によれば、2タイプの合計受注数は目標を遙かに超える1万6800台に上るようですから、かなり大きな反響だったことがうかがえます。

ちなみに、兄弟車の110ccモデル「スーパーカブ110」(税込み価格30万2500円)や125ccの「スーパーカブC125」(税込み価格45万1000円)などは継続販売。スタイルはスーパーカブ50とほぼ同様で、排気量をアップした原付二種モデルの存在により、「スーパーカブ伝説」はまだまだ続くことになりそうです。

昭和から続くモデルたちの今後は?

ここに挙げたモデルでは、スーパーカブ50のほかは2025年3月14日現在、まだ生産に関するアナウンスはありません。でも、先に述べたように、2025年11月から施行される新排気ガス規制の影響を何らかの形で受けるのは間違いないでしょう。

昔からバイク初心者のエントリーモデルとしてはもちろん、通勤・通学、商用などの用途で、街中での気軽な移動手段として活躍してきた50ccの原付一種バイク。とくに、ここで紹介した元祖が昭和生まれのバイクたちは、長い歴史を持つモデルばかり。ぜひ、何らかの形で存続させてもらいたいものですね。

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