
2025年3月13日に発表された「XSR900」の2025年モデルは、日本専用カラーとなる”セラミックアイボリー”をラインナップし、従来よりもカジュアルなイメージを強めた。そんな新型「XSR900」の発表会が芝浦にある”カフェ スーパーレーサー”で行なわれたのだが、そこにはサプライズとも言える2台のカスタムが展示されていた。
GKダイナミックスによるカスタムコンセプト
この日展示された2台のカスタムXSR900は、車体のデザインを担当するGKダイナミックスが手がけたものであるため、プレゼンテーションはGKダイナミックスの清水芳朗氏によって行なわれた。冒頭「あくまでもカスタムコンセプトで、お客様にイメージを広げてもらうためのもので、発売予定があるものではない」とし、「XSRというバイクのポテンシャルをダイレクトに伝えたい。ただ、そのまま売れるものでもないので立体スケッチと思ってほしい」とこの2台を紹介した。
カスタムXSR900のプレゼンは、デザインを手がけたGKダイナミックスの清水芳朗氏。今までにXSRシリーズや、XJR1300Cなどのデザインを手がけた。
発表会の会場となったのは、芝浦にある”カフェ スーパーレーサー”。新型XSR900のコンセプトに合わせて選ばれたという。
セパレートハンドルと専用シートが生み出すカフェレーサースタイル
1台目は日本専用カラーの”セラミックアイボリー”をベースに、XSR900GP用のセパレートハンドルを組み込んだカフェレーサースタイルだ。このカスタムに取り付けられたセパレートハンドルは、トップブリッジの下に取り付けられているためポジションは非常に低い。そして、このハンドルの高さに合わせてライトも専用のヘッドライトステーを使用して取り付け位置を下げ、メーターの角度も変更している。その結果ハンドル、ライト、メーターに一体感が出て、バーエンドタイプのミラーと相まってカフェレーサーらしいフロント周りを演出している。
低く構えたセパレートハンドルと、シングルシート風のシートでカフェレーサーイメージを強めた1台。
XSR900GP用のセパレートハンドルを装着し、それに合わせてヘッドライトの位置を下げている。また、メーターの角度も変更することでまとまりが出ている。
このハンドルと共にカスタムのポイントとなっているのはシートである。シートカウルを持たないXSR900の場合、シートのデザインというのが大きくスタイリングに影響を与える。この車両に取り付けられているシートは、リア部分に丸みを持たせてシングルシート風にし、座面はステッチ入りのスエード、側面からリアにかけてはレザーで仕立ててある。
スゥエードとレザーの切り返しで、スポーティさを演出するシート。「XSR」のロゴが入るレザータグが、オシャレ度をアップしている。
シートはリア部分に丸みを持たせてシングルシート風に仕立てられる。テールカウルを持たないXSR900の場合、シート形状は重要だ。
さらにエキゾーストシステムはアクラポビッチ製で、小さめのサイレンサーが高くはね上げられている。ノーマルのエキゾーストシステムはその存在感をあまり感じさせないようにデザインされているため、このアクラポビッチ製エキゾーストシステムの存在感はXSR900に迫力をプラスする。そして、このシートとエキゾーストシステムのおかげで、テール周りはノーマルよりもよりスポーティな印象に仕上げられている。
アクラポビッチ製のエキゾーストシステムがパワー感を演出。エキゾーストシステムが目立たないようにデザインされた、ノーマルの雰囲気を大きく打ち破るアイテムだ。
セミブロックタイヤを組み合わせたアドベンチャースタイル
もう1台はゴールドのホイールが印象的な”ブラックメタリックXをベースに”、セミブロックタイヤを履かせ、カドヤ性のレザーサドルバッグを装着してアドベンチャーイメージに仕立てられる。このブロックタイヤをネイキッドバイクに履かせるというカスタム手法は、アジア圏などでも若者に人気のスタイル。ライトガードやエンジンガードを組合わせ、ガッチリとしたハードなイメージを身に纏う。
セミブロックタイヤを組み合わせることで、アドベンチャーイメージに仕立てられた1台。
ライトガードやエンジンガードなど、オフロードテイストのパーツを組み込んでハードなイメージを演出。
足回りのイメージを一新させるセミブロックタイヤ。スイングアームにはグラフィックが入れられている。
もうひとつのポイントとして、車体の各部には上質さを感じさせるレザー素材のパーツが配されている。レザーパーツはグリップ、タンクのセンター部、エンジンガード、バルブキャップなど多岐にわたる。このレザーパーツを手かけたのはティダコ レザーワークスの嶺井 智氏。嶺井氏はこれまでにもXSR用のシートやタンクパッドなどをオーダーで製作しており、XSR界隈では知られた存在だ。このレザーパーツは使い込むほどに馴染んでいき、色味も深くなって味わいを増す。
使い込むほどに手に馴染むレザー製のグリップは、純正のラバー製グリップの上に被せる形で装着される。
フレームとスイングアームにはグラフィックが施されており、ストリート感を演出。XSRシリーズも元々はMT-09をベースにしたメーカーカスタムと言えるモデルであり、こうした新しい提案をするのはヤマハは昔から上手。今回の2台のXSR900のカスタムは、新規のユーザーを獲得する起爆剤になるかもしれない。
フレームにもストリートテイストを感じさせるグラフィックが入る。ホイールと合わせたゴールドで個性を主張。
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