
ヤマハ発動機はオフィシャルサイトにて、「電動技術への新たな挑戦(1)」と題する動画を公開。モーター+エンジンのハイブリッドで究極の無段変速フィーリングを実現する新技術「SPHEVシステム」を搭載するスクーターを紹介した。さらに動画の最後には、次なるハイブリッドマシンの姿も映し出されていたのだ!
「シリーズパラレルハイブリッド」第1号となるミドルスクーター
ヤマハが今回発表したのは、新技術「SPHEVシステム(Series Parallel Hybrid Electric Vehicle)」を採用するミドルスクーター。通常の単気筒ガソリンエンジンに加え、後輪ハブに駆動用モーター、クランクシャフトに発電用モーターをそれぞれ備えるハイブリッドパワーユニットを搭載している。市街地や住宅街ではモーターで静音性を重視した走行を行い、主要道路や高速道路ではエンジンでパワフルに走行できるコンセプトだ。
SPHEVシステムを搭載するミドルスクーター。スクーターらしからぬ未来的なデザインが目を惹く。
機能だけみれば従来から存在するハイブリッドシステムにも似るが、特徴的なのは必要に応じて、モーターとエンジンが同時に後輪へパワーを伝達し力強い加速力を発揮するというコンセプトであること。またもう一段階上の加速を求めた際には、発電用モーターも参加して「トリプルブースト」も楽しめるというから驚きだ。このような複雑な機構にも関わらず、車格は従来のミドルスクーター同様に抑えられており、「二輪車の楽しさをスポイルしない」ことを目標に開発が進んでいる。
エンジンの外見はスクーター同様だが、ホイールハブとエンジンにそれぞれモーターを装備している。
メカニズムのイメージでは、ホイールハブに駆動用モーター、クランクシャフトに発電用モーターが装着されている。エンジンは単気筒だ。
走りだしはバッテリーのみで静音性を重視、速度が乗るとエンジン駆動に切り替わるという。
注目は駆動/発電モーター、エンジンが全て駆動力を生み出す「トリプルブースト」。その加速力が気になるところだ。
テストライダーのインタビューでは、モーター駆動からエンジン駆動への繋がりが非常にシームレスであり、かつトルクのふくらみを感じられる、「究極の無段変速」というべきフィーリングを実現しているという。
開発中の車体もオリジナリティ溢れるデザイン。スクーターといいつつ、フロントマスクは現行「MT」シリーズとよく似たミニマムなもので、大型のスクリーンとTFTらしき液晶メーターを装着。車体にはミッドコントロールポジションのステップを備え、足を揃えて置けるフロアボードは存在しないようだ。シートもロングサイズでありスポーツバイクに似るが、開発コンセプトで触れられている車格は「XMAX」程度だという。
走行シーンではシームレスなモーター/エンジンの切り替えで、「究極の無段変速」を実現させるとしている。
実際の市販化予定などは不明ながら、今後の展開に注目したい新技術だ。
「What’s coming next」浮かび上がるエンジンの正体はMT-09?
そんな「SPHEVシステム」スクーターだが、まだ一般公開や市販化といった動きについての発表はなく、続報が待ち遠しい状況だ。さらに気になるのは動画の最後に現れる「What’s coming next」というテキストと、背景のエンジン。詳細な情報は一切ないものの、フレームやクラッチカバーなどの形状から大型ネイキッド「MT-09」であることはほぼ間違いなさそうだ。
さらにヤマハ公式サイトでは、電動技術への取り組みを表すイラストにて、MTシリーズらしい「Fun-ride」モデルの存在も示唆されている。MT-09には昨年、これも先端技術である自動クラッチ機構「Y-AMT」を搭載した新型が登場したばかり。あるいは近年のうちに、「MT-09 Y-AMT hybrid」とでもいうべき、直列3気筒エンジンに2基のモーターを兼ね備えた超加速&自動変速ネイキッドが生まれるとでもいうのだろうか!? こちらも期待が高まるばかりである。
動画の最後に現れるエンジン。これはMT-09のCP-3エンジンに酷似している。
MT-09には「Y-AMT」仕様が昨年発売されたばかりだが、ハイブリッド化もあり得るのだろうか? こちらも続報に期待だ。
ヤマハ発動機公式チャンネル:電動技術への新たな挑戦(1)
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