
2023年にディアベルにV4エンジンを搭載した「ディアベルV4」が加わったが、今回XディアベルにもV4エンジンを搭載した「XディアベルV4」がラインナップされることとなった。
目次
マッシブなボディに、Moto GP由来のV4エンジンを搭載
2011年にドゥカティのラインナップに加わったディアベルシリーズは、それまでのドゥカティとは異なったコンセプトを持つスポーツクルーザーとしてファンを獲得した。2016年によりキャスター角を寝かせ、ロングホイールベースやフォワードステップなどを採用し、よりクルーザーとしての色合いを強めた「Xディアベル」がラインナップに加わっている。
「XディアベルV4」のデザインはディアベルシリーズの流れを汲みつつ、エレガントでありながらよりマッシブなイメージを強めた。スムーズで力強い造形の彫刻的なスチール製のティアドロップ型フューエルタンクと、快適性を増した新デザインのシートの下に、より力強さを増したV4エンジンを備える。
168PSを発揮する「V4グランツーリスモ・エンジン」を搭載し、スムーズかつパワフルな走りを見せる。
「XディアベルV4」のデザインスケッチ。特徴的な片持ちスイングアームや4本出しのエグゾースト・エンドパイプなど、細部まで描き込まれている。
スタイリッシュなフューエルタンクがボディデザインの中心となり、新しいディアベルのスタイルを生み出している。
今回「XディアベルV4」に搭載されたV4エンジンは、Moto GPのテクノロジーを用いて生み出された「V4グランツーリスモ・エンジン」と名付けられている。このエンジンは最高出力168PS(123.6kW)/10750rpm、最大トルク126N・m(12.8kgm)/7500rpmと強力なパワーとトルクを発生し、低回転域でも扱いやすく市街地走行に適しているが、ひたとびスロットルをひねれば驚異的なパワーを発生する。ちなみに先代のXディアベル1260の最高出力は152.3PS(112kW)/9500rpm、最大トルクは126N・m(12.8kgm)/5000rpmであった。
Moto GP由来の「V4グランツーリスモ・エンジン」は、カウンター・ローテーティング・クランクシャフトなどドゥカティの最新技術が投入される。
組み合わされるエキゾーストシステムは迫力のある4本出しのエグゾースト・エンドパイプを持ち、ドゥカティらしいエキゾーストノートを奏でてくれる。また、このエンジンはMotoGPでの経験から生まれたカウンター・ローテーティング・クランクシャフトを採用し、クランクシャフトがホイールと反対方向に回転することによってジャイロ効果を低減し、ハンドリングと走行精度を向上させている。
ミッションにはパニガーレV4から採用されているドゥカティ・クイック・シフト(DQS)2.0を採用し、初めてV4グランツーリスモ・エンジンと組み合わせることでクラッチを使用せずにシフトアップとシフトダウンを可能にしている。
クルーザースタイルとは言えスロットルを開ければ、168PSの最高出力と125N・mの最大トルクが強烈な加速力を発揮する。
アルミニウム製モノコックフレームに、先進的な足回りを組み合わせる
フレームは軽量なアルミニウム製モノコックで、軽量なV4グランツーリスモ・エンジンとの組み合わせで車両は229kgと先代のXディアベル1260より6kg軽量化されている。シート高は770mmとXディアベル1260よりも20mm高くなっているが、フォーム材の厚さを54mm増加させてより快適な乗り心地を実現。パッセンジャーシートも幅が30%広くなり、奥行きが50%延長され、側面のフォーム材が25mm厚くなったことで、快適性を向上している。
エレガントなタンクのデザインとパワーを感じさせるエンジンに一体感を持たせることで、ディアベルならではの世界観を感じさせる。
テールランプはシートの下に回り込むようにデザインされ、視認性を確保しつつテール周りをスポーティに演出している。
前後のサスペンションはフルアジャスタブルタイプとされ、フロントは50mm径フロント倒立フォーク、リアは独立式リザーバーを備えたシングルショックアブソーバータイプを採用。フロントフォークは左側フォークレッグでコンプレッションとプリロードを、右側フォークレッグでリバウンドを調整する。
ホイールは前後17インチで、フロント3.5、リア8インチ幅の5スポークデザインを採用。スイングアームは片持ちタイプとなり、リアタイヤは240/45という極太サイズを履く。ブレーキはフロントにブレンボ製Stylemaラジアル・モノブロック・キャリパー+330mm径フローティングディスクローターをダブルで装着、リアは265mm径ディスク+ブレンボ製2ポットキャリパーを装備する。
フロントには50mm径の倒立フォーク、リアは片持ちスイングアームを採用。ホイールサイズは17インチで、リアタイヤのサイズは240/45となる。
フルカラーTFTディスプレイや各種電子装備を充実
コックピットにはアスペクト比8:3の6.9インチ・フルカラーTFTディスプレイを備え、オプティカル・ボンディング・テクノロジーを採用することにより、あらゆる照明条件における視認性が向上させている。ドゥカティ・マルチメディア・システムが標準装備され、ライダーはBluetooth経由でスマートフォンをバイクに接続し、音楽を聴いたり、ドゥカティ・リンク・アプリ経由でターン・バイ・ターン・ナビゲーション・システム(アクセサリーとして利用可能)を使用することが可能となる。
ライディングモードは「スポーツ」、「ツーリング」、「アーバン」、「ウェット」の4つが用意されており、各ライディングモードは「ハイ」、「ミディアム」、「ロー」という3つのパワーモードに関連づけられている。ハイパワーモードとミディアムパワーモードではフルパワーの168PS/10750rpmと、126Nm@7,500rpmの最大トルクを発生するが、それぞれのモードでライド・バイ・ワイヤの設定が異なり、スロットル操作に対するエンジンレスポンスに違いが出る。ローパワーモードはグリップの低い路面用に設定されており、アーバンライディングモードとウェットライディングモードに適用される。最高出力は115PS/8750rpmに、最大トルクは114Nm/5750rpmに制限され、スロットルレスポンスも非常に扱いやすい設定となる。また、クルーズコントロールやハンズフリー・イグニッションなど、最新の電子装備が各部に与えられている。
4つのライディングモードが、シチュエーションに合った出力特性やスロットルレスポンスを生む。例えば都市部では、アーバンライディングモードにすることでスムーズなライディングが可能だ。
「V4グランツーリスモ・エンジン」と最先端の電子装備を得て、まさにフルスペックへと進化した「XディアベルV4」。カラーリングはXディアベルV4専用となる、「ブラック・ラヴァ」と「バーニング・レッド」の2色が用意され、販売価格は税込333万5000円となっている。
ストリートからワインディングまで、幅広いステージで楽しめるパワフルなスポーツクルーザー、それが「XディアベルV4」だ。
XディアベルV4主要諸元(2025)
・ホイールベース:1620mm
・シート高:770mm
・車両重量(燃料を除く):229kg
・エンジン:水冷4ストロークDOHC4バルブV型4気筒1158cc
・最高出力:124kW(168PS)/10750rpm
・最大トルク:126N・m(12.8kgm)/7500rpm
・変速機:6段リターン
・燃料タンク容量:20L
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=120/70-17、R=240/45-17
・価格:333万5000円(税込)
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