カタログは時代を映すバックミラー 第1回
ホンダXL誕生50周年 =ストリートスクランブラーのCLは本格的なオン・オフマシンXLへ=

今年は、ホンダXL125とXL250が発売されてから50周年を迎えます。
どちらも、1975年5月に発売されました。
同時に、「XL」という新しいプロダクトブランドが誕生しました。
このオン・オフロードマシンで林道走行の楽しさを知った方も多いと思います。
XLの特徴や魅力などを当時のカタログで紹介いたします。

1975年「XL250」「XL125」がデビュー

1975_XL250表紙_2025-01-17 19-23-24

1975年6月発行のXL250のカタログでは、大地で遊ぶ相棒としてアピール。
Dual Purpose(デュアルパーパス)をホンダのカタログで初めて採用しています。

1975_XL250中面_02_2025-01-17 19-23-57

1975_XL250中面_03_2025-01-17 19-27-21

1975_XL250中面_04_2025-01-17 19-27-38

新設計のフレームは、最低地上高245mmを確保。エンジンは、4ストローク単気筒4バルブで最高出力は20PS。
左右のクランクケースカバーには、軽量なマグネシウム合金を採用しました。
車両装備重量は148kgです。これは前モデルのSL250Sよりも重くなり、この事が軽快なオフロード走行にはマイナスになりました。

1975_XL250表4_2025-01-17 19-23-24

エアチャンバー採用のエアクリーナーや、メインとサブに分割したマフラーの構造を詳しく紹介。
静かなエキゾーストサウンドにこだわった設計です。
オプションパーツとして、固定式フロントフェンダーを用意。
主要諸元表とともに、当時のカタログには必須の性能曲線図もあります。

XL125のカタログは、若い人たちに旅の魅力を訴求するビジュアルで構成されています。

1975_XL125表紙_2025-01-17 19-23-24

地図を頼りに、自分が進む方向に何があるのかを確かめている様子。
円筒型のツーリングバッグは、当時人気を博しました。このカタログに影響されて同じようなバッグで旅していた人を多く見かけました。(私もその一人でした)

1975_XL125中面_02_2025-01-17 19-26-09

1975_XL125中面_04_2025-01-17 19-26-26

1975_XL125中面_05_2025-01-17 19-26-46

エキゾーストシステムは、XL250と同じくフレームの内側を通して、ライディングを妨げない仕様としています。オフロードファン向けに、オプションとして固定式フロントフェンダーを準備。
燃料タンクの新デザインのウイングマークは、1975年頃からオン・オフモデルやモトクロスマシンに採用されました。

1975_XL125表4_2025-01-17 19-23-24

直立タイプの4ストローク単気筒エンジンは、ロードスポーツのCB125JXと基本は同じで、低中回転域で粘り強い出力特性に定評がありました。

XL250とXL125は、静粛性にこだわった設計でした。当時は、暴走族が社会問題になっていましたので、特に排気音には神経を使いカタログでも訴求しています。
XL250は、オンロード走行にも配慮したことなどで、他社の2ストロークモデルに対して車重がネックとなりました。この事から、オフロードファンからの支持は限定的になりました。

XL誕生前夜、各社が投入したオン・オフロードマシンたち

ここで、XL誕生前のホンダのオン・オフロード車の変遷をたどってみます。
他社のライバル車との関係などで、マシン造りにも影響を受けてきた背景が分かります。

1962年、国内メーカーの先陣を切って、スクランブラーのドリームCL72が発売になりました。
本格的なスクランブラーで、今のモトクロスマシンに値する仕様でした。

エンジンは、ロードスポーツのCB72をベースとしていますが、フレームやサスペンション、エキゾーストシステムなどはCL72専用。ストリートスクランブラーではなく、オフロードレース用のキットパーツも多く用意されていました。

CL72により、オフロードを楽しめるスクランブラーが注目されるようになりました。
ホンダは、CL72発売の4年後にベンリイCL125をスクランブラー第2弾として投入。
その後、50ccから450ccまでのシリーズを完成させますが、CL72以外はストリートスクランブラーの位置づけでした。
ヤマハは、1967年に2ストローク単気筒のトレール 100L2-Cを発売。その後125ccから350ccまで2気筒のスクランブラーを投入しますが、いずれもストリートスクランブラーの域を出ない仕様でした。
スズキやカワサキもストリートスクランブラーモデルをラインナップに加えていきました。
そのような中、ヤマハが1968年に発売したトレール250DT1は、業界に衝撃を与えました。精悍なスタイルと卓越したオフロード性能によって、たちまちヒット商品になりました。

メイン市場のアメリカで大ヒットすると、日本でもオフロードファンやモトクロスファンから大きな支持を得ました。

スズキは、DT1の対抗モデルとして1969年にハスラー250を発売しました。
DT1と同じように、モトクロスレースにも対応できるキットパーツを多く用意していました。
国内のオフロードモデルは、DT1とハスラー250が人気を2分しました。
当時のトレールモデルは、軽量でコンパクトな2ストロークエンジンが圧倒的に優位でした。

2ストロークマシンが勢いを増してきた1960年代後期、ホンダのオフロード領域はスクランブラーのCLシリーズのラインナップが拡充していきました。

50ccから450ccまでの豊富な車種構成で、全9車種のCLシリーズが完成。CLは、ロードスポーツモデルをベースにしていましたから、
ストリートスクランブラーというカテゴリーで、本格的なオフロード走行を楽しめる仕様ではありませんでした。250ccのCL72は、CL250にバトンタッチされています。

ホンダは4ストロークと2ストロークのダブルラインナップから、XLシリーズの洗練へ

ホンダは、ライバルの2ストローク勢に対抗するために、よりオフロード走行を高めた「SLシリーズ」の開発に着手し、1969年8月に第1弾のベンリイSL90を発売します。その後、125、175、350を追加。1972年には、SLシリーズの中で最も高いオフロード性能を持つ、ドリームSL250Sを発売し、シリーズが完成しました。

「MOTOSPORT」モトスポーツというカテゴリーネームを新たに採用したSLシリーズはすべて4ストロークエンジン。SL175とSL350は2気筒で、その他は単気筒エンジンを搭載しています。

ホンダは、CLとSLを同時に販売していた時期もありますが、SLへの移行を進めました。
4ストロークと2ストロークはエンジンの構造の違いから、モトクロスのようなレースには2ストロークが適していることは明確でした。

伝統的に4ストロークを得意としてきたホンダですが、モトクロスレースマシンの需要に応えるために、2ストロークエンジンの開発も進めました。
1972年9月、2ストロークエンジンを搭載した市販モトクロスマシン、エルシノアCR250Mが発売されました。翌1973年には、早くも公道モデルとしてエルシノアMT250を激戦の250ccのトレールカテゴリーに投入しました。
1970年代前期は、4ストロークのSLと、2ストロークのエルシノアMT250/125というラインナップを完成させたのです。

1974年10月発行のエルシノアMT250/125のカタログより。
手前が250で奥が125。いずれもモトクロスマシンから反映された2ストローク単気筒エンジンを搭載。

1970年代前期、オン・オフロードモデルは魅力ある車種が豊富にそろい、市場も活況を呈しました。そのような中、アメリカを中心に排出ガス中のCO(一酸化炭素)などの有害物質低減への取組が社会的にクローズアップされてきました。2ストロークエンジンは、COの排出量が多いために、各社ともに2ストロークから4ストロークに移行せざるを得ない状況となりました。
特に、公道を走行するモデルが最優先されたのです。

こうして、公道モデルのエルシノアMT250/125は短命に終わることになりました。

このような背景もあり、再び4ストロークのオン・オフマシンへの期待感が高まり、SLからXLへと進化していきました。

XL250は、1978年にフロント23インチタイヤ採用のXL250Sにモデルチェンジしました。
このモデルは、軽量で足着き性も良好なことなどで大ヒットしました。このモデルで林道ツーリングを楽しんだ人も多いと思います。そして、1981年には、プロリンクサスペンションを採用したXL250Rに大きく進化しました。XLシリーズのメイン機種XL250Rは、2年後に早くもモデルチェンジとなり、ネーミングは「XLX250R」に変わりました。

1975年に誕生したXLシリーズは、50ccから500ccまでのラインナップとなり、1985年発売のXL600R ファラオまで10年にわたりオン・オフロードファンに愛用されました。

ギャラリーへ (22枚)

この記事にいいねする


コメントを残す